遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS
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トレセン学園 学園祭

 

 トレセン学園の学園祭の準備がとりあえず終わりました。

 

 現在、私は何故か、床に伏しています。前回、良い休暇になった云々と私は言いましたね? あれ前言撤回します。

 

 

 何故なら、準備が終わってからナイターでトレーニングがあったからです。

 

 

 頭おかしいのはいつものことでしたね、予想してなかった私が悪いんです。涙が出ますよ、はい。

 

 おぉ!神よ、寝ているのですか? グアム旅行中だから話しかけてくんなですって?

 

 すいません、蹴飛ばしてもいいですかね、割と本気で。

 

 

「………………」

 

 

 チーン(笑)という音が聞こえてきますが、きっと気のせいではないでしょうね。

 

 足が棒になって死に体になってますので、全く身体を動かす気になりません。このまま私は床になろうと思います。

 

 すると、そんな私を見ていたメジロドーベルさんは心配そうにこう声をかけてくる。

 

 

「大丈夫…? アフちゃん?」

「………私は貝になりたい」

 

 

 そう言って、再び床に同化する私。

 

 ただでさえ、学園祭の準備でくたびれてたのにナイターのトレーニングがあるなんて聞いてませんでしたよ。

 

 坂? あぁ、いつも通り四桁行きましたね。そして、義理母の檄が飛んできました。めっちゃ怖かったです。

 

 ちなみに新加入したメジロドーベルさんは身体を慣らすために今回は私達の半分程度のトレーニングでした。

 

 だけど、この人は割と涼しい顔してこなしてましたので、次回からはもっとトレーニング量が増えるかと思われます。

 

 メジロ家ってやっぱり変態しかいないんですね。というかドーベルさんは私とトレーニングしたいあまりに義理母のトレーニングに参加しようとする始末でしたし。

 

 すると、ドーベルさんは死に体で床に伏している私を弄り始めた。

 

 

「ほら、いつまでも床に寝ないで…あっ、…へぇ、今日、縞々なんだ」

「勝手にスカートを捲らないでください。…こらっ! 匂いを嗅がない! 匂いをっ!」

 

 

 そう言いながら、死に体の私をいいことに制服のスカートを捲り尻に顔を近づけてきたドーベルさん。

 

 私は慌てて、血迷ったそのドーベルさんの行動にすぐさまその場から立ち上がり、息を切らしながら尻を隠す。

 

 人のパンツを見た挙句、好き勝手にしよってからに! Siriに生暖かい息が当たって背中にゾクゾクって悪寒が走ったわ!

 

 あ、私のsiriは話しませんし、検索機能とか付いてませんよ?

 

 当初のクールビューティーぶりはどこいった。名前にドーベル付いてるからとかいって犬みたいな事をしよってからに。

 

 貴女は気品あるウマ娘なんですから、しかもメジロ家の令嬢…。

 

 あ、ちょっと待て、私の知ってるメジロ家のウマ娘って癖者ばかりでしたわ、これはもう駄目みたいですね(白目。

 

 そんな事を考えていた私は思考が一旦停止する。まさか、床に同化するつもりがパンツを晒される事になるとは思わなんだ。

 

 さて、気を取り直した私はコホンと咳払いするとドーベルさんにこう告げ始める。

 

 

「良いですか? こんなところを誰かに見られたりしたら私は明日から変装しながらトレセン学園で過ごさなくてはなりません」

「ふーん…」

「ふーん…じゃないですよ、鼻フックするぞワレェ」

 

 

 そう言いながら、あっそう、みたいな反応のメジロドーベルさんに青筋を立てて何故か広島弁風に怒りつつ苦笑いを浮かべる私。

 

 あかん、この人流し上手や、私の説得やとあきまへんわ、なんでこんなとこでクールビューティー発揮しとんねん。

 

 私の水色の縞々パンツを晒した事はこの際どうでもいい、問題は距離感である。変な噂が立ったりしたら学園生活が暮らし辛くなるでしょう、主に私が。

 

 すると、メジロドーベルさんは長い髪を指でクルクルと回しながら、私にこう話をしはじめる。

 

 

「今更気にする事でもないでしょ? ウマ娘同士なんだし。それにほら、貴女、ブライアン先輩の部屋で真っ裸になってたそうじゃない」

「それ言われたらグゥの音も出ないんでやめてもらっていいですかね?」

 

 

 そう言いながら、私はドーベルさんのなかなか鋭い突っ込みに顔を引きつらせる。

 

 いや、あれは確かにそうなんですけども、しかも、寝泊まりしたりもしちゃってる間がらなんですけどもね?

 

 ほら、全裸になった過程はロイヤルストレートフラッシュとか意味わからんカードを出されたからで、多分、あともう三戦くらいしたら勝てたと思うんですよ私。

 

 無理じゃないです、アンタレスのスローガンは無理を超えろなんで、きっと無理を超えれた筈なんです。

 

 はい、ごめんなさい自粛します。どう頑張っても勝てませんでしたね。

 

 ドーベルさんに完全論破された私はもう言い返す言葉が見当たらなかった。

 

 ドーベルさんがなんで知ってるのか不明だが、多分、ヒシアマ姉さんあたりが話して回ったのだろうとだいたいの予想がつく。

 

 後でヒシアマ姉さんに報復という名の悪戯を仕掛けよう、絶対にだ。

 

 致し方ないので私は肩を竦め、こうドーベルちゃんに話をし始めた。

 

 

「なるほど、わかりました。…しかぁし! 私の痴態を晒すのはやめていただきたい! 良いですね!」

「もともと貴女、痴態を自ら晒してるのだけど」

「そう言われてみればそうですね」

 

 

 ドーベルちゃんの言葉に即答で答える私。

 

 実際そうだから仕方ない、ウイニングライブでは演歌は歌うわ、紅を熱唱するわ、よくよく考えたら私がだいたい痴態を自ら晒していくスタイルが多い気がします。

 

 くっ…! こんな的を射た言葉になんか負けないっ! でも楽しい! ついやっちゃうっ!

 

 はい、今後とも訂正する気は皆無ですね。

 

 こんなんだからトレセン学園のマスコットなんて言われちゃうんですよね私は。

 

 すると、メジロドーベルさんは少し頬を染めながら私にこう告げて来る。

 

 

「ふふ…、なら…私もそう接しても構わないってことよね?」

「駄目です」

 

 

 そう言いながら、手を握ってくるメジロドーベルさんに私は思わず戦慄しながら満面の笑みで答える。

 

 どう接するつもりなんですかね? またやばい人を惹きつけてしまったのではないだろうか今更なんですけども。

 

 そんな感じでひとまず、ドーベルさんとの話を終えた後ナイターの練習を終えた私はメジロドーベルさんの肩を借りてブライアン先輩の部屋まで送って貰った。

 

 足が棒になってるのはほんとなので、もう動けなかったです。

 

 わざわざ、部屋まで送ってくれたメジロドーベルさんには感謝ですね。

 

 そして、そんな状態でもブライアン先輩のヌイグルミに徹する私カッケーですよ、まさにプロ意識の塊だと思います。

 

 これからプロフェッショナルという言葉をアフト・クラトラスにすべきだと提言します。

 

 すいません、調子に乗りました。嘘です、そんな言葉流行ったら私、恥ずかしくて多分、引きこもります。

 

 こうして、学園祭の前夜も何事もなく過ぎていく、今夜も私は寝ぼけたブライアン先輩から抱きしめられながら眠りにつくのだった。

 

 

 

 トレセン学園、学園祭当日。

 

 さあさあ、やってまいりましたトレセン学園の学園祭! 私はチームアンタレスのたこ焼き屋でたこ焼きを作りながら販売しています。

 

 なかなか売り上げも上々、いつもレース場で売っている時よりもどんどん注文が入って売れていく。

 

 皆さんたこ焼きがお好きなんですね、あ、私みたいな可愛いウマ娘が売ってるからですかね?

 

 いやー、やっぱりカリスマ性ありますよねー私。

 

 身体から溢れ出るこの商売上手の雰囲気は隠せませんか、それなら仕方ありませんよね。

 

 ほら、調子に乗ってきた方が売れるといいますし、今日はとことん調子に乗りましょうかね? ふははは。

 

 

 たこ焼きがお好き? 結構、ではますます好きになりますよ。さあさどうぞ。アフトクラトラスお手製のたこ焼きです。

 

 美味しいでしょう? んああ仰らないで。お好み焼きや焼きそばなんて手にかさばるわ、口に食べるのに時間がかかるわ、ゴルシちゃんが押し売りするわ、ろくな事はない。

 

 おかわりもたっぷりありますよ、どんな大食いの方でも大丈夫。どうぞたべてみてください、いい味でしょう。秘伝のタレだ、年季が違いますよ。

 

 

 私はニコニコと上機嫌にたこ焼きを皆さんに提供しながらそんなことを考えていた。

 

 だが、調子に乗っていた私は大事なことをこの時すっかり忘れていた。

 

 そう、しばらくして、調子に乗っている私の目前に現れたのは見覚えがある大食いの芦毛の怪物であるこの人だった。

 

 

「1番気に入っているのは…?」

「なんです?」

「値段だ」

「わーっ、何を! わぁ、待って! ここで食べちゃ駄目ですよ、待って! 止まれ! うわーっ!!」

 

 

 そう言いながら、アンタレスの店前に立っているのは大食いマスコットキャラのオグリ先輩。

 

 そして、彼女はなんと50人前のたこ焼きを注文し始めた。これにはたこ焼きを順調に売っていた私も思わず血の気がサァっと引いてしまう。

 

 50人前って貴女、胃袋どうなってるんですか! 本当に! しかも、店前で食べてはどんどん注文してくるので手が追いつかない。

 

 大食いの人でも大丈夫といったな? あれは嘘だ。

 

 というか大食いの域を超えてるのでもはや対応できないという。

 

 しばらくして、ある程度満足したオグリ先輩が店前から立ち去っていく頃には、私の目のハイライトが無くなっていた。

 

 まさしく死闘だった。あの人の食欲は底無しの沼ですね本当。

 

 まさか、義理母の鬼トレーニング以外でも絶望を味わう事になるとは思わなかった。

 

 その後、放心状態の私の身を案じてくれたバンブーメモリーさんとナカヤマフェスタ先輩が店番を代わってくれる事になったのは本当に幸いである。

 

 というより、二人ともオグリ先輩が立ち去るのを見計らってきた感が満載だったのはこの際、気づかなかった事にしておこう。

 

 

 

 それから、二人に店番を代わった私は他のお店を回る事にした。

 

 久方ぶりに一人でのびのびといろいろと歩いて回れるので何かと気が楽だ。

 

 すると、ここで、肩をポンっ叩かれる。振り返るとそこには満面の笑みを浮かべたライスシャワー先輩が立っていた。

 

 

「アフちゃん一人で回ってるの?」

「あ、ライスシャワー先輩! えぇ、ついさっき暇を貰いまして」

「ほんと? ならちょうど良かった! せっかくだし一緒に学園祭回りましょう」

 

 

 そう言って、両手を目の前で合わせて喜びを露わにするライスシャワー先輩。相変わらず可愛いですね、本当に天使だと思います。

 

 もちろん、そんな申し出を私が断るわけもなく二言返事で頷いてライスシャワー先輩にこう答える。

 

 

「是非ともっ! ライスシャワー先輩と回れるなら嬉しい限りですよっ!…ところで姉弟子は?」

「ブルボンちゃんなら太鼓の出し物があるらしいから多分、ステージの付近で控えてるんじゃないかな?」

「あぁー、なるほど」

 

 

 私はライスシャワー先輩の言葉に納得したように頷く。

 

 ライスシャワー先輩の話によると、大食い大会の後にでも太鼓の出し物がありそうだ。これは身内として、見に行かなくてはならないだろう。

 

 頼むから、ミホノブルボン姉弟子が褌とサラシだけで太鼓を叩かない事を祈るばかりです。

 

 何故かって? 来年私がするかもしれないからですよ、流石に私も人前で褌でお尻を晒しのは恥ずかしいですからね。

 

 お尻を出したら一等賞なんて日本の昔話くらいですよ、というより、今回、尻の話しかしてませんね私。

 

 というわけで、はじめての私の学園祭、午前中はこんな感じでした。

 

 皆さんはくれぐれも店前でたこ焼き50人前を食べるなんてことはしないようにしましょう。

 

 オグリ先輩だから致し方ないところはあるんですけどね、可愛いから許しましょう、私は寛大なのです。

 

 

 さて、気を取り直して午後からはライスシャワー先輩と一緒に出店回りという事で私のテンションもだだ上がりです。

 

 執事喫茶とか、おばけ屋敷とかメイド喫茶なんかもあると聞きましたしね、これは満喫せざる得ない!

 

 それに姉弟子の和太鼓の披露もありますしね、なんやかんやでこれもなかなかに楽しみですし、オグリ先輩が大食い大会に出るとも言ってましたので応援に行かねば。

 

 やることたくさんありますねー、いやー、なんやかんやで充実してるな私、学生っぽいことしてますよ!

 

 そう思って上機嫌で午後からの学園祭を楽しもうと意気込んでいた私でしたが、そんな私とライスシャワー先輩の前にちびっ子探検隊という立て札を掲げている二人のウマ娘とばったりと出会ってしまった。

 

 そう、ブライアン先輩とヒシアマ姉さんの二人である。

 

 

「おっ、アフちゃんじゃないか」

「おや、ブライアン先輩とヒシアマ姉さんじゃないですか何してんですか一体」

「そりゃ見ればわかるだろお前、ちびっ子探検隊のリーダーだ」

 

 

 そう言いながら、自信満々に答えるヒシアマ姉さん、相変わらず無邪気というか何というか良くも悪くも姉御肌なんですねこの人。

 

 幼女に飛びつかれているブライアン先輩は左右に尻尾を振っているあたり上機嫌なご様子。

 

 ふむ、ここはとりあえず、私が取るべき行動はただ一つですね。

 

 

「あ、もしもし警察ですか? 発情した二人のウマ娘が事案を起こして…」

「ちょっと待てぇ!!」

 

 

 そう言って見事に突っ込みを入れながら私の携帯端末を取り上げるヒシアマ姉さん。

 

 えっ? そういう事ではないの? お姉さんの色香で幼い子供達に保健体育の授業をするんじゃないんですか?

 

 私はわかりますよ、えぇ、ちびっ子探検隊とはある種、そういった意味で冒険するって事ですよね? えっ、違うの?

 

 そんな事を考えていた私は少年、少女達の身を案じて気づいた時には110番通報の一歩手前まで無駄なく行ってしまっていた。

 

 ついでにメジロドーベルさんとゴールドシップとかいうセクハラウマ娘も摘発してくれたらなとか思っていたりしてましたけどね。もちろん冗談ですけれど。

 

 すると、ナリタブライアン先輩は私の両肩をポンと叩くと私に向かいこう告げはじめた。

 

 

「なぁ、アフちゃん、悩みがあるなら私が相談に乗るぞ?」

「そうですね、強いて言うなら胸を毎回弄られる事ですかね?」

 

 

 肩を掴んでいるナリタブライアン先輩に笑みを浮かべながら私はそう告げる。

 

 それ以外、何があると言うのだ。毎回毎回、私掴まれるんですよ? 鷲掴みですよ、しかも、こんな事をするのは変態ウマ娘しかいません。

 

 するとナリタブライアン先輩はすっとぼけたような表情を浮かべつつ私にこう告げる。

 

 

「手が吸い込まれてしまうからな、それは致し方ない」

「私の胸は掃除機か何かですかね?」

 

 

 そう言いながら頷くナリタブライアン先輩に私は顔を引きつらせながら告げる。

 

 吸引力の変わらないただ一つの胸なんて聞いた事ありませんよ、全く。私の胸はそんな高性能ではありませんしね。

 

 そんな中、ブライアン先輩の身体に張り付いている幼女はブライアン先輩に向かってこんな事を問いかけはじめた。

 

 

「ウマのお姉ちゃん! このちっこいウマのお姉ちゃんはだぁれ?」

「あぁ、この娘か、私のヌイグルミだよ」

「えー! ヌイグルミさんなんだ! 可愛いー」

「誰がヌイグルミやねん」

 

 

 そう言いながら、すかさず突っ込みを入れる私。

 

 たしかに夜はヌイグルミ役を引き受けていますけれどもなんでブライアン先輩の私物のヌイグルミである事が確定してるんですかね?

 

 そんな事を言うものだから、私の周りはすぐにブライアン先輩達が引き連れてきた少年少女で囲まれてしまった。

 

 それを見ていたライスシャワー先輩もこれには思わずニッコリ。

 

 

「アフちゃんは人気者ね♪」

「おのれー! 余計な…! あ! 尻尾はつかんじゃダメですよ! 触るなら優しく撫でなさい優しく!…ひゃん!」

 

 

 そう言いながら、私が囲まれて弄られているのを幼女の手を握りながら見守るライスシャワー先輩。

 

 ナリタブライアン先輩の余計な一言のせいで、こうして私もライスシャワー先輩もちびっ子達の面倒を見なくてはいけなくなりました。

 

 これでは、本当にトレセン学園のマスコットですよ私。

 

 こんな風に騒がしくも賑やかな私の学園祭ですが、午後の部はまた次回に続きます。

 

 こうなったら腹いせにヒシアマ姉さんにどさくさ紛れにセクハラしておきましょう。








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