これが令和、初投稿にしといて下さいお願いします!なんでもしますから!(意味深)。
ではどうぞ
クラシック前哨戦、弥生賞も無事に終わり。
翌日、私はベッドから上半身を起こして起き上がる。
自身の豊満な胸がたゆんと弾む中、シーツに身を包んだだけで胸当ての下着を着けずに寝ていた私は気怠そうに頭をガシガシと乱雑に掻く。
あ、下は履いてますよ? 脱いでるのは上だけです。だから、パンツとパジャマの上だけといったラフな格好で寝ていたわけですね、要するに。
うわ、雑な格好、と思われていることでしょう。
女子校に行ってみたらわかりますよ、あそこはチンパンジーの巣窟ですから。
トレセン学園で学校通っている私が言うんだから間違いない、まあ、皆さん私みたいに雑ではないですけどね。
適当な言い訳つけてみました。
だって、上のブラ着けてると寝苦しいんですもん。
「ふぁぁ…、あー良い朝だなー…もっかい寝よ」
「そうか、なら私もそうしようかな?」
そう言いながら、私の背後から耳元で囁いてくるナリタブライアン先輩の声に思わず悪寒が走る。
ゾクゾクってなりましたよ! ゾクゾクって!
しかしながら、胡座をかいて座っている私は冷静な口調でこう呟く。
「よし起きよう! 走らねば!」
「まあ待て、そう焦るな、昨日レースに出たばかりだろうお前」
「ほうあっ!?」
勢いよく立ち上がろうとするところを私は捕まってしまった!
背後からガッチリと腕を回され、これは逃げれそうにないですね、はい。
そう言いながら、ベッドに押し倒された私はブライアン先輩と見つめ合うような形になっています。
しかも、互いに薄着というね? これ、ヒシアマ姉さんに見られたら変な誤解されるやつやぞ。
「まあ、今日は私とゆっくりするのも良いじゃないか、ちょっと付き合え、アフ」
「えぇー…」
「本当に可愛ヤツだなぁお前はー」
「ふぎゃああああ!?」
そう言いながら乱雑に頬ずりしてハグしてくるブライアン先輩に悲鳴を上げる私。
目を擦りながら起きてきたヒシアマ姉さんもいつもの事かと言わんばかりに溜息を吐きながら着替え始めている。
私の胸を乱暴にもにゅもにゅと鷲掴みにされるのももういつものこと、というこの現状。おかしいと思います!
息を切らしながら、肌けた格好の私はベットから飛び出すとヒシアマ姉さんの腰にしがみ付く。
「うぉ!? おい!? なんで私の腰にしがみ付くんだお前!」
「はぁ…はぁ…に、逃がしませんよ、ヒシアマ姉さん! 私を見捨てたりなんかさせませんからねぇ!」
「やめろー! おまっ! 手の位置をどんどん上げてくるなっ! …ひゃんっ! やめ…っ!」
そうして、私の背後から迫るブライアン先輩に引き摺られ、二人仲良くベッドに引きずり込まれる。
数時間後、上機嫌のブライアン先輩を他所に疲れ切った表情をした私とヒシアマ姉さんは食堂の机の上で伏していた。
なんだかブライアン先輩の肌がツヤツヤしているのはきっと気のせいである。
なんででしょうね? 私とヒシアマ姉さんはこんなに疲れているというのに。
その事実を知る者は当事者である私たちだけの秘密というわけだ。
「お前、ほんとそういうとこだぞ」
「…ごめんなさい、でも後悔はしてません」
「もうこの馬鹿嫌い」
ヒシアマ姉さんは呆れたようにそう呟くと不満げな表情を浮かべていた。
巻き込んでしまい、申し訳ないと思っている。思ってませんけれども。
「アッフさぁ…、なんでお前はこう毎回私を巻き込むかなぁ」
「なんですか、そのやきうのおねえちゃんみたいな呼び方…」
「んな事はどうでもいいんだよ」
そう言いながら、ジト目を向けてくるヒシアマ姉さん、頬を膨らませていじけてますアピールしてるのがちょっと可愛い。
サンキューアッフ! フォーエバーアッフ!
うん、なんか違和感しかないのでやめておきましょう、やきうのおねえちゃんじゃなくて私はそもそもウマ娘のおねえちゃんですからね。
「いやー、今日は良い日になりそうだ」
「そうか、よかったなーブライアン」
「この後、アフと一緒に出かけるしな、楽しいこと尽しだ、なぁ?」
「なぁと言われましても私、今初めて聞いたんですがそれは…」
唐突にぶっ飛んでくるいきなりのスケジュール。
私の事は御構い無しですもんね、はい、まあ、別に予定は無かったのでなんの問題も無いんですけども。
私の尻尾みてください、やる気なしにしなしなになってますよ。
色も艶も良いという噂の私の自慢の尻尾なのに、どうしてこうなった。
「ヒシアマ姉さん…」
「私はパスだぞ、ルドルフ会長から呼ばれてんだ、そんな捨てられた子犬みたいな眼差しで見てもダメだぞ」
「そんな〜…」
私の身代わりが逃走してしまいました。ガッデム!
頼れるヒシアマ姉さんが居なくなるなんてなんてことだ!
ブライアン先輩はノリノリな様子ですし、断る理由も特にはないので別にいいんですけどね。
それで、私は仕方なく、その後ブライアン先輩とトレセン学園の校門で私服で待ち合わせし、合流することにしました
「…で、何する予定なんですか?」
「まあ待て、もうすぐ姉貴が来る」
「ハヤヒデさんがですか?」
「あぁ」
そう言って、私の問いかけに答えるブライアン先輩は校舎の方を見つめる。
あら、まさか、ビワハヤヒデさんも一緒だとはこれは予想外でしたね。
どこに行くかも聞いてないのであれなんですけども、一体行き先は何処に行くつもりなんでしょうかね?
しばらくすると、校舎から私服に着替えたビワハヤヒデさんがゆっくりとこちらに歩いてきます。
「遅いぞ、姉貴」
「いや、すまんすまん、ちょっと野暮用でな、では行くか」
「あのー…一体どこへ」
私の問いかけに顔を見合わせる二人。
するとビワハヤヒデ先輩首をかしげるとブライアン先輩にこう告げる。
「なんだお前、教えてなかったのか?」
「まあな、着いてから説明した方が早いと思ってな」
「お前ってやつは…」
ブライアン先輩の返答に呆れたようにため息を吐くビワハヤヒデ先輩。
全くです、わけわかめですよ、一体何処に行くつもりなのか私にわかりやすく説明してほしいと思うばかりです、もっと言ったれ! ビワハヤヒデ先輩!
すると、ビワハヤヒデ先輩は私の方に振り返るとゆっくりと話をし始める。
「すまなかったな、今から行くのは伝説のウマ娘達が居るトレセン学園の分校だ」
「はえ? えっ…!? そ、それ制服の方が良かったんじゃ…」
「トレセンの分校で系列の雰囲気は大学みたいなものだからな、私服でも別に良いんだよ」
「トレーニングウェアは勿論お前の分も持って来てるから安心しろ、アフ」
そう言いながら、笑みを浮かべ告げるブライアン先輩。
ブライアン先輩の言葉で歴代のレジェンドウマ娘達がいる校舎、またなんでそんなとこに行こうと思ったのか合点がいきました。
なるほど、だからビワハヤヒデ先輩もやたらと荷物があるなと思っていたらそういうことだったわけですね。
「私と姉貴、ルドルフ会長なんかはたまに世話になったりするな、ライスやブルボンの奴も去年は遠山さんと行ったんじゃないか?」
「え? そうだったんですか?」
「まあ、トレーニングトレーナーもあちらに赴いて指導しておられる方もいらっしゃる事もあるからな」
「施設設備は完全に一級品ばかり取り揃えた日本が誇るトレセン学園の分校だよ」
そう言いながら、私に告げるビワハヤヒデ先輩は満面の笑みを浮かべていた。
その話を聞けば、その分校がいかにすごい場所かがよくわかる。
ルドルフ会長をはじめ、G1ウマ娘は必ずと言って良いほど訪れるトレセンの分校はトレセン学園との深い繋がりがあり、また、実際にトレーニングをしに行き、レベルアップのきっかけにもなるという。
しかし、気になるというのはその歴代のレジェンドウマ娘がどなたになるのかという話なのだが。
すると、ビワハヤヒデ先輩はその分校にいるウマ娘の名前を挙げはじめる。
「伝説のウマ娘がどなた達か? …うーん、そうだなぁ例えば、ミスターシービー先輩が有名だな、トレセン学園の前生徒会長でもあったし、ルドルフ会長とはよく凌ぎを削りあった仲と聞いた」
「それに、ミホシンザン先輩、そうだな、最近じゃスズカの奴がキーストン先輩に指導して頂いたって話を聞いたな」
「それに、この間、駅伝で何名か来てらしただろう」
「…あ、そういえば…」
そう言いながら、私はふと、駅伝大会でTTGが揃い踏みしていた事を思い出す。
『天馬』トウショウボーイ、『流星の貴公子』ことテンポイント、『緑の刺客』グリーングラス。
彼女達は全員、現在、そちらの分校に所属していらっしゃる歴代の中でも有名なウマ娘達だ。
ビワハヤヒデ先輩は、名簿もあるぞ、と私に自分のスマートフォンを手渡し、名簿が載ってある資料を渡してくれた。
「…カブトシロー、クリフジ、ダイコーター、タケホープ、ハイセイコー、エリモジョージ、カブラヤオー、テスコガビー、ハクタイセイ…。す、凄いメンツばかりですねこの学校」
「セントライト先輩、トキノミノル先輩、クモハタ先輩など、まあ、挙げればキリがないな」
「実力も折り紙つきばかりだよ、エリモジョージ先輩とカブトシロー先輩はお前と気が合いそうだな」
「そう言うことを言うのはやめなされ」
カラカラと笑いながら告げるブライアン先輩に間髪入れずに真顔で答える私。
癖が強いウマ娘ばっかりじゃないですか、まあ、確かにゴルシちゃんなんかに好かれる傾向にはあるんですけど癖ウマ娘と気があう私は頭がおかしいと思われるではないですか。
もう既に遅いですって? うん、知ってました(諦め)。
ブライアン先輩は一通り笑い終えた後、私に続けるようにこう語りはじめる。
「で、お前も弥生賞に勝って次はいよいよクラシック本番だろう? 一度、あそこでトレーニングを積んだ方が良い経験になるかなと思ってな」
「な、なるほど…」
「基本的に在籍している方は最上位クラスのウマ娘ばかりだからな」
それをビワハヤヒデ先輩から聞いた私は思わず修羅の国を思い出してしまう。
ブライアン先輩は笑みを浮かべながら楽しそうに拳と掌を突き合わせる。
「今から手合わせできるのが楽しみで仕方ないな」
「さいですか」
何というか私としてはそんなレジェンドばかりだと恐縮しちゃいますけどね。
彼女達の実績を知っている分、ほんと化け物ウマ娘ばかりだと思います。
ひと昔前なんて、それこそ今のようにトレセン学園みたいに設備が整っていなかったわけですから、その時代を駆け抜けたウマ娘達がどれだけ凄い人達なのかという話ですよ。
ビワハヤヒデ先輩は私の肩をポンと叩くと笑みを浮かべて気を遣ってくれたのか嬉しそうに告げる。
「まあ、胸を借りるつもりで行くといい、あまり身構えたところで仕方ないしな」
「…は、はい」
胸を借りる(意味深)。
何という便利な言葉なんでしょう、そして、いやらしさも含んでるという。
ふと、視線を落としてたゆんと弾む自分の胸を見てみる私、果たして胸を借りる必要性があるんでしょうかね。
強気的発言ではないです、物理的な意味でですね。
こうして、私はブライアン先輩とビワハヤヒデ先輩と共にトレセン学園の分校に向かうことになるのでした。
果たしてどんな方達がいらっしゃるんでしょうね?
お土産買わなくて良かったのかな…。