遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

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アフチャンネル! その2

 

 

 

 さあ! 始まりましたアフチャンネル! 

 

 まあね、皆さんとこうしてね、なかなか腰を置いて話す機会なんてなかなかないもので、もうすぐ私、海渡っちゃうんで今のうちに配信しとかなきゃと思い至った次第です。

 

 

「さて、こんばんは〜皆さん、アッフだよ!」

 

 

 そう言って笑顔を振りまきながら私は皆さんに媚びを売る(直球)。

 

 来週にはお金が入ってくるな! 間違いない! 

 

 とまあ、そんな事はないんですけどね、そんな私に対して皆さんはというと? 

 

 

『出た! 曰く付きのウマ娘!』

『アッフさぁ……』

『相変わらずで安心した』

 

 

 なんか凄い言われようでした。普段の行いを顧みたら致し方ないんですけどね。

 

 なんでや! 激励くらいあってもええやろ! もっと先日のレース褒めてくれてええやろ!

 

 そんな中、私はコホンと切り替えるように咳を入れると話をし始める。

 

 

「まあね、最近、配信できてなかったんでね、今、配信をしてるんですけども、……なんちゅーか特に企画決めてないんですよねー」

 

 

 うん、そう、何しようか特に決めずに見切り発車。

 

 私、あまりこういうのやったことないですからね、走る事が本業ですし。

 

 あと、ウイニングライブだいたい雑ですしおすし。

 

 

『ゲームでもしたら?』

『えっ? アッフ脱衣ゲームするん?』

『コスプレキボンヌ』

『とりあえず脱ごうか』

 

「お前ら欲に忠実すぎや! 普通、女の子のパンツなんて8千万で落札なんてしませんからね!」

 

 

 そう言って、私の服を何故か脱がそうとしてくる皆さんに吠える。

 

 変態が多すぎなんですよ! 大体ね、女の子に普通に脱げとか言いませんからね。

 

 せめてこうね? もうちょいオブラートに言いましょうよ、皆さん紳士なんですから。

 

 

「とりあえず……ゲームですか、インドアな趣味って私あんまし、してなかったですからね」

 

 

 そう言って、私は配信をそっちのけでゴソゴソと何か漁ってみる。うん、とりあえずそんな案も出るかなって思って一応、ゲームを用意してはいたんですけども。

 

 大体トレーニングばっかりですからね、私の場合は。

 

 なんだろうなぁ、私、FPSとかあまり残虐なゲームはしたくはないんですよね(建前)。

 

 だって私、か弱い女の子ですよ? 人殺しのゲームなんてそんなとてもとても。

 

 

「うーん、この間、これやって殺しすぎちゃったからなぁ……」

 

『草』

『wwwwww』

『容赦なさすぎワロタ』

 

 

 ヘッドショットって決まると楽しいですよね!

 

 はい、という事でバンバンやりすぎちゃったんで気が引けちゃうんですよね。

 

 軍隊式トレーニングすると身についちゃうのかな? 

 

 てな訳で、ゲーム実況を希望という事なので今回はこのゲームをすることにしました。

 

 

「恋愛ゲームしましょうか、これとか」

 

『きらメモかぁ……』

『懐かしいなオイ』

 

 

 うん、視聴者さんも割と気乗りしてくれてる模様。

 

 きらきらメモリアルという恋愛ゲームをやってみることにしました。

 

 しかも最新作です。いやー、恋愛ゲームなんていつぶりかな? 

 

 ゲームは簡単です、ヒロインが爆弾持ってくるんでそれを解除しつつ、攻略して落としていくというゲームですね。

 

 

「さて、遊ぶとしますか、名前はそうですね……。……メイトリクス大佐で」

 

『こ れ は ひ ど い www』

『死体しか残らなそう(こなみ)』

『ヒロインがターミネートされるぞw』

 

 

 鋼みたいに強い主人公じゃないですか? 

 

 うん、我ながら良い名前をチョイスしたと思います。

 

 もはや高校生やないやないか! というツッコミは無しですよ。

 

 さて、こうして、私が操るメイトリクス大佐の学園生活がスタートした。

 

 

『ねえ、メイトリクス大佐はどんな部活に入るの?』

 

 

 早速のイベント。

 

 幼馴染から何の部活に入るのか訪ねられるという定番イベントですね。

 

 メイトリクス大佐に何部に入るか聞くのか……(困惑)。

 

 

「とりあえず、そうですね……皆さん何部が良いと思います?」

 

『エクスペン◯ブルズじゃね?』

『何その部活楽しそう』

『元グリーンベレーの俺に勝てるもんか!』

 

 

 最早、高校生が入る部活すらないというね。

 

 皆さんはワイワイと盛り上がりながら何の部活に入るのか話し合う。

 

 敢えてここは敢えてボディビルダー部って言っておきましょうかね? 

 

 なんと、このゲームは部活動名が決めれるらしい。

 

 

『コマンドー部隊に入ろうと思ってる』

『へぇ! そうなんだ! 凄い!』

 

 

 見てくださいこのシュールなやり取り。

 

 お前の幼馴染、コマンドー部隊やぞ! それでええんか!? 選択したの私だけども! 

 

 私はこのゲームの展開に一言。

 

 

「高校にコマンドー部隊がある学校ってなんなんですかね」

 

『とんでもねぇ! 待ってたんだ』

『もー、アフったら古いんだ!』

 

 

 それから、私はゲームのシナリオを進めていく。

 

 ヒロインにモテるには主人公を強化しなければならない。

 

 私はコマンドー部隊に入った主人公を鍛えまくり、成長させる事にした。

 

 それは厳しい訓練の日々だった、ヒロインをデートに誘う事を封印し、ひたすら部活と筋トレに励む日々。

 

 そして、その成果を見せる時が来た。

 

 

『俺の言う通りにしろ』

『だめよ、7時半に空手の稽古があるの。付き合えないわ』

『今日は休め!』

 

 

「なんつーデートの誘い方だこれ……」

 

 

 筋肉モリモリマッチョマンの変態と化した主人公がこれです。

 

 こんな風にしたの私だけども。

 

 皆さんはこの展開を観て多いに賑わっていた。

 

 まあ、これどう観ても恋愛ゲームじゃないですもんね、金曜洋画ですよ。

 

 

『容疑者は男性、190cm、髪は茶、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ』

『一体何が始まるんです?』

『大惨事大戦だ』

『死体が増えそう(こなみ』

 

 

 こうして、ゲームのシナリオを進めて行くこと数時間。

 

 いよいよ、修学旅行! ヒロインとの恋愛イベントが待ってます、流石に修学旅行のイベントは普通になるでしょう。

 

 私はゲームのシナリオを進めつつ、そんな期待を胸に抱いていた。

 

 だが、なんと、修学旅行先は強制的に何故かバル・ベルデになってました。どういう事なの……。

 

 

『いたぞぉ、いたぞおおおおぉぉぉぉぉぉ!』

『出て来いクソッタレエエ! 化け物めぇ、チキショー!!』

 

 

 ヒロインがクッソ重そうな機関銃を振り回してるんですがそれは……。

 

 宇宙人が何故か修学旅行先に現れ次々とクラスメイト達がやられる中、主人公達は宇宙人を倒すために奮起する。

 

 そして、修学旅行先が派手に爆発。

 

 誰ですか! このゲーム作った人! 

 

 天才じゃないですかね? 突っ込みどころ満載ですよ。

 

 それからしばらくして、ヒロインとの最後の告白のシーン。

 

 告白の場所はなんと溶鉱炉。

 

 未来から来たとんでもなく強い機械人間を相手に主人公とヒロイン達が奮闘する。

 

 そして、ついに感動の告白シーン。

 

 

『人間が泣く気持ちが分かった。俺は泣く事はできないが』

『メイトリクス大佐……』

 

 

「いや、普通の高校生の筈なんだけど……」

 

 

 なんと、主人公がアンドロイドだった事が判明。

 

 ショットガンで撃たれても全然平気だからなんかおかしいなとは思ってたんだけど、そんな中、主人公が頭からICチップをヒロインに渡す。

 

 そして、溶鉱炉の中へと親指を立てながらどんどんと沈んでいった。

 

 

『アイルビーバック』

 

 

「いやいやいや! 主人公死ぬの!? カッコいいけども! キラキラしてないでしょ!」

 

『デデンデンデデン! デデンデンデデン!』

『こうなると思ったわ』

 

 

 そして、そんな告白シーンを経て、ヒロインと結ばれた主人公。

 

 結ばれてるん? いや、結ばれてる要素ありましたかね? 私、見てないんですけども、それよりも告白シーンがあれで良いの? 何を告白したの? アレ? 

 

 そして、アイルビーバックした主人公はいよいよ感動のラストへと向かう。

 

 学校にある幻の樹の下で同級生であるベネットがヒロインを人質に取り待ち構えていたのである。

 

 

『来いよベネット! 銃なんて捨ててかかって来い!』

『ブッ殺してやる! ガキなんて必要ねぇ! イッヒッヒッヒ。ガキにはもう用はねぇ! アハハハハ……ハジキも必要ねぇやぁハハハ……誰がテメェなんか! テメェなんかこわかネェェェ! 野郎ぶっ殺してやぁぁぁる!』

 

 

 こうしてベネットとの死闘を繰り広げた主人公は樹の下で第三次世界大戦を勃発させた。

 

 なんか壮絶な筋肉大乱闘があったものの、無事にベネットを倒した主人公。

 

 学校なんだよね? どうなってんだこの学校! 

 

 助けられたヒロインは颯爽と現れた主人公にキリッとした表情を浮かべて一言。

 

 

『もう一度コマンドー部隊を編成したい、君さえ戻ってくれれば』

『今日が最後です』

 

 

 そう言いながら笑みを浮かべて、答えるメイトリクス大佐。

 

 そんな中、残念そうな表情を浮かべているヒロインは続けてこう話す。

 

 

『また会おうメイトリクス』

『もう会うことはないでしょう』

 

 

 そして、エンディングが流れ、スタッフロールへと変わる。

 

 え? 待って? これ、振ったよね? ヒロイン振ったよね? バッドエンドじゃないのこれ? 

 

 あと主人公掘り深くなってない? 私が鍛え過ぎちゃったからこうなったの!? 何このゲーム! 

 

 

『いやー、名作だった』

『やっぱり最高だな』

『こんなの恋愛ゲームじゃないわ! ただのコマンドーよ!』

『だったら漕げばいいだろ!』

『草』

 

 

 私は一体なんのゲームをしてきたんでしょうね? 

 

 さ、最近の恋愛ゲームって怖いなぁ……、というか、これは果たして恋愛ゲームと言っていいのだろうか……。

 

 この手の恋愛ゲームをするときにはちゃんとした名前にしなきゃと思うのでした。

 

 

「は、はい、というわけでですね、このゲームは……なんも……言えねぇ……」

 

 

『筋肉ばっかりでしたね』

『草』

『恋愛ゲームと言ったな? アレは嘘だ』

『うわああああああ!』

 

 

 阿鼻叫喚とする皆さん。

 

 うん、私も嫌だわあんな青春、なんで仮想恋愛でもあんな恋愛シミュレーションしなきゃならんのだ。

 

 しかしながら、皆さんなんやかんや楽しんだらしく満足したようだ。

 

 筋肉モリモリマッチョマンの変態って凄い、改めてそう思った(こなみ)。

 

 気がつけば、視聴者数がとんでもないことに、皆さんよっぽど好きなんですねー私のこと(天狗)。

 

 

「よーし、それじゃ気を取り直して次は何にしましょうか?」

 

『アフちゃんの話が聞きたい』

『まあ、せっかくだしな』

『おっぱいおっぱい』

 

 

 うん? 私の話が聞きたいですと? 特に話すことなんてないんだけども。

 

 まあ、マスコミに対しては私、塩対応で知られてますからね、私のことが知りたいというのはなんとなくわからんでもないですけど。

 

 あと最後のやつは私の胸しか見てないだろ、本音がでとるぞ、こら。

 

 

「うーん、何から話しましょうかね? ……そうだなー、じゃあ、これまでルドルフ会長に怒られた悪戯について話しましょうかね」

 

 

『自ら墓穴を掘りに行くのか(困惑)』

『草』

『アッフろくなことやってなさ過ぎw』

 

 

 はい、という事でゴルシと組んで仕掛けた悪戯についてダラダラと語り始める私。

 

 アナ◯が弱そうとかハート付きの手紙で送ったり、ウイニングライブでのやんちゃな出来事とかそんなのを話しました。

 

 まあ、一部の皆さんはご存知かと思いますが、我ながら振り返ってみるとよくやったなと感心します。

 

 

「まあ、私は可愛がられてますからね、えっへん、……ん? こんな時間に誰でしょう?」

 

 

『とポンコツマスコットが申しております』

『アフ殿がまた怒られておるぞー!』

『……消される……消される……』

 

 

 それからしばらくして、激おこプンプン丸のルドルフ会長のお怒りと私の悲鳴が動画実況に入ってくるのは数分後のことでした。

 

 何があったかはお察しください。

 

 てか、ルドルフ会長、なんでアフチャンネル見てるんですか! おかしいですよ! もっとやる事あるでしょう!? 

 

 鬼! 悪魔! くっころ!

 

 そして、気がつけば、私はタンコブを作ってちょこんと皆さんの前で正座してこう告げます。

 

 

「……はい、というわけでね今日はここまでです、うぅ……やられた……」

 

『ワロタw』

『次の企画は決まったな、ルドルフ会長の下着を競り市にかけよう(名案)』

『草生え散らかしますよ』

 

「そんなのバレたら私が本当に殺されるわ!?」

 

 

 とんでもない企画が皆さんの中から出てくるものですね、いや、それはやばいですって! 

 

 というか、これルドルフ会長見てますからね? それ書いた人消されちゃいますよ? 

 

 あの人怒らせたら本当に怖いんですから。

 

 まあ、私は慣れてますけど(すっとぼけ)。

 

 こうして、アフチャンネルは大盛況で幕を閉じました。

 

 次ちゃんとやるときは企画考えとかなきゃですね。


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