遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

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アフチャンネル その3

 

 

 イギリスダービーのウイニングライブ。

 

 さて、肝心のウイニングライブなんですけども私は英語がクソザコナメクジなので、どうしようか悩みました。

 

 クソザコナメクジなのは最初から? うるせー! はんぺんでビンタするぞ!(憤怒)。

 

 それでですね、私はどうしようか迷ったわけですよ。

 

 またソーラン節で誤魔化すのか、ですが、やはりそれもまた違うなと。

 

 そんでもって出した結果がですね、あ、そうだ、資本主義国家のウマ娘ばっかりじゃん、それならどうせだし真っ赤にしよう。

 

 という事で私が取った手段がですね。

 

 

「ラースツヴェターリ♪」

 

 

 はい、真っ赤な足音が聞こえる曲を歌うことにしました。

 

 なんかウラーとか聞こえてきますが気のせいですね、私、ヨシフおじさんに粛正されそう(こなみ)。

 

 私に同志たちから歓声が上がる。革命の時は近いですね。

 

 え? 私? 別に資本主義の犬ですよ? 

 

 赤くないです、ただ、なんとなくこの歌をチョイスしただけです。

 

 三ヶ国語はむりだったのでロシア語で頑張ってみました。みんな拍手! 

 

 ただ、皆さん何故か顔を引きつってらっしゃる、なんか一人だけ目をキラキラさせているウマ娘さんがいらっしゃるんですけども。

 

 

「ナヴェリーグカチューシャ♪」

 

 

 何故かちょいちょい合いの手が入ってきます。

 

 共産主義者だぞ! みんな囲め! なんかウラーとか言ってる人はだいたいそうだってなんか言ってた! 

 

 え、私を囲む? 何故? やだなぁ同志諸君、私は健全な資本主義者ですよ、格好見てくださいよ、バチバチの日本仕様ですよ。

 

 なのになんでこの歌をチョイスしたというね。

 

 だってイギリスダービーのウイニングライブ二本立てですもん、無理だもん、持ち歌歌い切ったらネタ切れになるもん。

 

 あだ名がアフーシャになりそう(こなみ)。

 

 無駄に流暢なのがまた観客達にウケがいいから困ったものである。

 

 そんなこんなで大盛況、私やるやん、みんなもっと褒めてええんやで。

 

 

「アッフは相変わらずだなぁ……」

 

 

 私のライブを見ながら呆れたように呟くブライアン先輩。

 

 私の行動を普段から目の当たりにしていればこんな事をするのは皆わかっていたわけです。流石だなぁ(反省してない)。

 

 そんな感じで二曲目、二曲目は場所がイギリスというわけで、それに合わせた曲を歌いたいなと思い、この曲をチョイスしました。

 

 

「You have come to 〜」

 

 

 これは何故か奇跡的に覚えてたんですけどね。

 

 別名、ゴールドシップの歌(沈没船)。オラ、イギリス、お前達の有名な沈没船の歌だぞ、泣けよ。

 

 先頭に行って両手を広げてもええんやで、助かる保証はしないけどな、イギリスといったらタイ◯ニックやろ、よっしゃ! イギリスのウマ娘と欧州のウマ娘、私が沈没させたようなもんだから歌ったろ。

 

 というナチュラルに煽りが入った気持ちでこの曲をチョイスしました、これは酷い。

 

 だって、私、あとタイムトゥセイグッバイくらいしか歌えないですもん。

 

 グッバイアッフ……ってやかましいわ! 

 

 しかしながら、いざウイニングライブが終わってみると称賛の嵐でした。

 

 真面目には歌ったけどね、歌のチョイスはナチュラルにディスってたのよ? 良いのそれで? 良いんですかね? 

 

 気づいていた人は身内の人達は何人か気づいていました。

 

 やっぱり長年おったら気付くんやなって、ウイニングライブは大盛況だったし、別にいーじゃん、すげーじゃん。

 

 ライブを終えた私は天使のような笑顔を浮かべて会場を後にします。

 

 自分で天使とか言っちゃってる私どう思います? え? 死んだが良い? なんだと、こんにゃくでビンタするぞこのやろう。

 

 さて、そんなわけで、無事にイギリスダービーを制した私はこの喜びをみんなと分かち合いたいなと思い動画配信をすることにしました、パチパチー。

 

 

「はい、と言うわけでですね無事にダービー勝ってきたぞ! どうだー!」

 

『アッフええぞー!』

『相変わらず可愛い』

『見てたぞー! おめでとう!』

『勝負服がエッッッ! やったな』

 

 

 皆さん、優しいなぁ、私の周りみんな厳しいから暖かい言葉は嬉しいですね。

 

 ふふん、頑張ったからね、皆さんもっと私を褒めてくれてええんやで。

 

 確かにスカート丈短かったですもんね、今回、パンツ見えるかと思いました。え? 履いてない? 

 

 いや、履いてましたからちゃんと、私、下半身露出狂ではないですよ、全く。

 

 まあ、前回といい、今回といいパンチが足りないウイニングライブしたんで不完全燃焼ですね。

 

 

「さて、久しぶりの配信なんですけど、今日はホラーゲームでもやりましょうかね、怖いの苦手ですけど」

 

『アッフがホラーやるってよ』

『幽霊にも喧嘩売りそうなウマ娘』

『もはや走る姿がホラー』

『ホラーがお笑いになる模様』

 

 

 私のホラーゲーム実況に言いたい放題な皆さん。

 

 ゲーム機、イギリスにまで持ってきといてよかったなー、しばらく休みがあるんでゆっくり実況できますね。

 

 今日はね、とりあえず買ってきたホラーゲームがあるんですよ(ゴソゴソ)。

 

 

「じゃあ、やりますね、零というゲームですね、うわぁドキドキします」

 

『尻尾ぶんぶん振ってるアフちゃん可愛い』

『どんな絶叫するんだろう』

『アッフのポンコツプレイに期待』

 

 

 さて、みんなゲームやってくぞー! オラー! 

 

 私がゲームを進めているとまずはチュートリアルから始まります。

 

 うん、なるほどなるほど、そうやって操作するんだな、これは楽勝ですね! 幽霊がなんぼのもんじゃ! 

 

 

「さあ、アフちゃんのRTA始まるよー! オラオラ〜! 幽霊出てこいやー!」

 

『アフちゃんがイキリ始めた』

『元からこんな感じ』

『イキリアフ』

『ルドルフ会長から怒られそう(こなみ)』

 

 

 というかデフォルトなんですよね、私の場合、まあ、見てれば分かりますよ。

 

 見ていてください! 遠山監督! ウマ娘! アッフやってやります! 

 

 怖がらせようとしてるみたいですけどね! 私にはわかりますよ! 幽霊軍団の野郎の敗北の原因がね! 

 

 そう、それは私だ! と思ってた時期もありました。

 

 

「……ぴぃ!? な、なんですかこれ! うわぁ……ぎゃああああっ!? 背後になんかいるぅぅ!!」

 

『逃げるんだアッフ!』

『アッフ、黄金バットを出すんだ!』

『帝◯魂!』

『ダメみたいですね』

『チキンメンタル』

 

 

 私の心臓に悪い演出ばかり、もうやだお家に帰る(クソ雑魚)。

 

 黄金バットあるなら欲しいです、やだ、怖いもん、こいつ物理効くんですかね? 

 

 幽霊から攻撃されてる私はとりあえず反撃に出るけど、怖すぎて上手く操作できない。

 

 

「ああああああ!! ボタン間違えた! どうしよ! どうしよう! 誰か助けてぇ!! ぴぎゃあ!」

 

『クソ雑魚アフちゃん』

『怖がるアフちゃん可愛い』

『右からくるぞ! 気を付けろ!』

『今いくぞ! 待ってろ!』

 

 

 皆さん、私の絶叫に満足する中、私は懸命に幽霊を撃退します。

 

 あー怖かった、ん? 今、誰か来るとか言ってませんでしたっけ? 

 

 まあ、気のせいでしょう、気を取り直してゲームを進めましょうかね、ふぅ、手汗がしゅごい。

 

 すると、私の部屋の扉がバン! と開いた。

 

 

「アフ! 大丈夫か! 私が来たぞ!」

「どわぁ!? ブライアン先輩!! なんで凸して来てるんですか!?」

 

『草』

『良かったなアフ、援軍だぞ』

『マジで来てて草生える』

『あら^~』

 

 

 ホラーに怖がってる中、何故かナリタブライアン先輩が来て焦る私。

 

 いや、心臓止まるかと思ったわ! ホラーゲームよりびっくりしましたよ! 

 

 というか私の実況、何見てるんですかね、私は呆れたように大丈夫ですと告げるとブライアン先輩を部屋から追い出した。

 

 

「すいません、なんかありましたけど、気を取り直してやりましょうかね」

 

『艦長! 第二波! 来ます!』

『おっと誰か来るみたいだぞ?』

『黒い影が……』

『パターン青! メジロドーベルです!』

 

「来なくていいです(真顔)」

 

 

 というわけでなんか乱入予告があったので予防線を張っておきました。じゃないとまた来ますからね、第二波はもうええねん。

 

 というか、メジロドーベルさん使徒扱いですか、いや、まあ、天使みたいな人ですけどね? 

 

 心なしか、扉の間から視線を感じますが、まさかね? いや、来てないですよね?

 

 グダグダになりましたが、気を取り直して、ホラーゲームを進めていきます。

 

 うーん、怖いなぁ……、怖いの私こんなに苦手だったっけ? 

 

 しかしながら、慣れって怖いですね。

 

 

「オラ! ピースするんだよ! ほらほらー、かかって来い! あ、そっちはだめ! 待って! あびゃー!!」

 

『アフちゃんが死んだ!』

『このヒトデマン!』

『ヘァ!!』

『アフちゃんは海産物だったのか……(困惑)』

『青いしな、髪』

 

 

 何故か、ゲームオーバーした私がヒトデマン扱いになってました、なんでや。

 

 まあ、見ての通り、幽霊にもビビらなくなりました。幽霊? 関係ないから! 

 

 私はズンズン進んで、慣れた手つきで幽霊を撃退していきます。どうだ! 見たか! この野郎! 

 

 

「大体幽霊ってなんであんな髪が無駄に長いんですかね? 見とけよ今日そのクソ長い髪な……刈り取ってやるよ! 今日! 

 

『草』

『心なしか片手にバリカンが見えるぞ』

『草生える』

『アフらしいなw』

『ヒダリテデウテヤ』

 

 

 なんか心なしか、ホラーのはずなのにギャグ臭がするBGMが流れてくるような気がします。

 

 続いて幽霊が来るが、操作に慣れた私が華麗に撃退。

 

 いやー、私に立ち向かうなんて百年早いわ! いや、百年は経ってるのかな? 幽霊だから。

 

 私はゲーム画面に向かい幽霊に向かい挑発します。

 

 

「幽霊! のらせてくれるぜ!」

 

『なお、さっきまで涙目だった模様』

『煽りよるw』

『調子乗りアフちゃんすこ』

『あれ? 野球ゲームかな?』

 

 

 だが、そんな私の調子も長く持ちませんでした。

 

 出てくる幽霊達にコテンパンにやられちゃったからですね、ゲームオーバーと復活を繰り返しながらとりあえず最後までいきました。

 

 そして、いよいよエンディング、私のメンタルがクソ雑魚すぎたので涙目になりながらですけども。

 

 

「……お、終わったぁ……怖かったよぅ……」

 

『よしよし』

『強がるアフちゃんすこ』

『やっぱりダメだったか……』

『草』

『レースとのギャップがw』

『涙目アフちゃん可愛い』

 

 

 私とて怖いものは怖いんですよ。

 

 そんなわけで、無事にゲーム実況が終わった私はゲーム実況を終えます。

 

 そして、改めて、画面に向き合うと正座をして笑みを浮かべながらこう話し始める。

 

 一言、皆さんに話をしたかった事があったからだ。

 

 

「皆さん、応援、ありがとうございました。おかげでイギリスダービーを勝つ事ができました」

 

『アッフ……』

『当たり前だよなぁ!』

『次はキングジョージだろ! 応援するぞ!』

『アフちゃん! 頑張って!』

『何があっても俺らは味方だぞ!』

 

 

 そう言って、温かい言葉を皆さんから頂く私。

 

 苦しい時、逆境の時こそ、皆さんの声が後押ししてくれている。その場にいなくても、私には届いてます。

 

 次はキングジョージ、そして、凱旋門賞、菊花賞です。

 

 どれも楽な戦いではありません、だけど力の限り頑張ろうと思っています。

 

 

「これからも、不束者ですが、よろしくお願いします」

 

『任せろ!』

『アフちゃん頑張れ!』

『勝てよ!』

 

 

 私にはたくさんの激励の言葉が送られて来ます。

 

 おかげで視聴者数もものすごい数になりましたね、古参の方も新参の方も皆温かいです。

 

 これは、頑張らないといけませんね、どんな事があっても皆の期待に応えないと。

 

 こうして動画の配信を終えた私は改めてそう誓うのでした。

 

 

 


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