遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

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遅れたライブ

 

 

 

 大体セクハラしてくるやつは身内ばっかり。

 

 はい、こんにちは皆のアイドルアッフです。

 

 なんか開幕、ユーチューバーみたいな挨拶になっちゃいましたけど、まあ、私は今や人気配信ウマ娘として脚光を浴びてるしだいであります。

 

 なので、多少目を瞑ってくれたら嬉しいなぁとか思ったり。

 

 さて、そんな私ですが、あいも変わらずトレーニング漬けの毎日です。

 

 トレーニングして、トレーニングして、とにかくトレーニングしまくる。

 

 ひたすら走り、筋トレし、慣れない追い込みを試しながらトラックをかける。

 

 まあ、最後の直線のバネを鍛えるにはこれしかないんですけども、毎日毎日、脚がバチバチになるまで走るのでかなりきついです。

 

 

「……あー、やっば……右足痙攣してる……」

「!? アフちゃん先輩!」

 

 

 不調に気がついたドゥラメンテちゃんはすぐさま私の元に駆け寄ってきてくれた。

 

 レースが明けたとはいえ、まだ、体全体の疲労は抜けきっていない。

 

 それで連日トレーニングしてたもんだから見ての通りです。やっぱり身体にも限界ってあるんやね。

 

 私、今まで限界なんて無いって思ってましたし。

 

 アンタレスは基本そう(白目。

 

 

「……うむ、今日は終わりだアフ、しっかり足を休めておけ」

「いえ、これくらいなんとも」

「疲労骨折などしたら本末転倒だ、ドゥラメンテ医務室に連れてってやれ」

「はい」

 

 

 そう言って、私に強制的に休むよう促してくる義理母。

 

 まあ、そりゃそうですよね……。足やってしまったらほんとに元も子もありませんから。

 

 私を担ぎ上げるドゥラメンテちゃん、おい、持つとこ違うだろ、胸を持ち上げるんじゃない。

 

 ドゥラメンテちゃんの手によってフニュっと変形する自分の胸に顔を引きつらせる私。

 

 

「重い……アフちゃん先輩……」

「なんて失礼な! 私痩せましたからね! こら! 女の子に1番言っちゃだめなセリフだぞそれ!」

 

 

 しかも、胸というね、いや、私も肩凝るからよくわかるんだけども! 解せぬ! 

 

 てなわけで、私の練習がしばらく休みになったわけなんですけども。

 

 タイミングよく、振替のキングジョージのウイニングライブが被っていましてね、仕方ないのでこれを機にやっちゃいましょうという感じになりました。

 

 いやーまさかツケがこのタイミングで返ってくるなんてね、もう無くていいじゃんウイニングライブ。

 

 え? でも皆も私のライブが見たい? 可愛いアッフが歌う姿が見たいですって? 

 

 もーしょうがないなー、せっかくだから歌ってあげますよー、特別ですからねー? (うざい奴)。

 

 

 

 てなわけで、キングジョージの振り替えライブ当日。

 

 真っ暗な会場にはたくさんのお客さんが詰めかけていました。

 

 私のライブによくまあ、こんな人が……。

 

 人気配信者というのも大きかったのかもしれませんけどね。

 

 会場には満員のお客さん、そして、カウントダウンが始まる。

 

 

『3……2……1』

 

 

 そして、深呼吸した私は何故かアイドルみたいな格好ではなくヒップホップみたいな格好をしています。

 

 え? 皆さん、私が普通のウイニングライブすると思いました? 

 

 最近、ちょっと真面目にやってましたけど、基本ふざけるのが私ですよ? やだなぁ、お忘れですか? 

 

 ぐへへ、これはまたルドルフ会長に怒られちゃいますな。

 

 

『DJアッフ! レディゴー』

 

 

 その瞬間、ライブ会場に爆音が鳴り響く。

 

 よっしゃ! 早速、ディスってやるぜー! うえーい。

 

 マイクを握りしめた私は華麗にサングラスをつけたまま会場に飛び出すとノリノリのラップを皆の前で披露し始める。

 

 

「へいYO! 頭のおかしなアッフが来たぞ! ウイニングライブは二の次、三の次! 待たせたお前ら一言言うぞ! 私の前では皆、雑魚同然! yeh♪」

 

 

 会場はクラブミュージックが流れ、観客達は狂ったように声を上げる。

 

 あ、最近、私、DJも勉強してましてね、この曲も私が作りました。すげーだろ、やっぱり私は天才だな(自画自賛)。

 

 マイクを握りしめた私はラップ調の早口で歌を盛り上げる。

 

 

「負けてぇ奴は前に出ろ♪ 後ろのテメェは眼中にねぇ! 凱旋門は無謀すぎ? ハッ! 凱旋門で凱旋上等♪」

 

 

 私のいかしたラップに盛り上がる会場。

 

 イカしてるのかどうかはどうかは知りませんけど、多分、ウイニングライブでこんな事をするのは私ぐらいかと思います。

 

 ルドルフ会長は頭を抑えてました。そりゃそうなるわな、うん、知ってた。

 

 ドゥラメンテちゃんは目をキラキラさせてます。あ、ちなみにこれは私の単独ライブです。

 

 

「誰が出てきても負ける気しねぇ♪ GII、GIカンケーねー♪ 私の前ではクソ雑魚レース♪ 他はただの敗北者じゃけぇ♪ ちなみに私もクソ雑魚じゃ♪」

 

 

 うん、あんだけイキってて、実は私もクソ雑魚ナメクジという落ち。

 

 でも、私、基本ポンコツなんでね、そんな私に勝てないなんてどんな気持ち? ねぇどんな気持ち? みたいな煽りを入れてみました。

 

 私のライブを見てゲラゲラ笑うヒシアマ姉さん。

 

 まあ、ぶっちゃけ啖呵切ってますからね、このライブ、これで凱旋門負けたら洒落ならんでマジで。

 

 私も歌ってて、アカン、と感じてます。自分で自分を追い込んでくスタイル(お馬鹿)。

 

 

「常に狙われるぜ私の貞操♪ 毎回、守るぜ私の栄光♪ 天上天下唯我独尊♪ 天上突き抜けアッフが最強♪」

 

 

 会場が大盛り上がりする中、一度バンッとここで曲が途切れる。

 

 はい、こんな感じのイントロです。これは盛り上がったやろ(確信)。

 

 

 てなわけで次の曲を歌うわけなんだけど。

 

 あ、ちなみに私は短いホットパンツにスカジャンというヒップホップ女子みたいな格好なんでね。

 

 いったん一呼吸入れておこうそうしよう。

 

 てなわけ、マイクを持った私は皆の前で声を上げる。

 

 

「皆ー盛り上がってるかー! アッフだよ♪」

 

 

 そう言うと会場からは、大歓声が上がる。

 

 中には「ポンコツ良いぞー」、とか「やっぱりアッフだった」とかなんか聞こえてきますが、私のライブに何を期待してたんだ君達。

 

 マイクを握る私は皆にこう告げる。

 

 

「はい、と言うわけでね私は他のウマ娘とは違って破天荒だから、これはしゃあない、ちなみに私は陰キャなんで悪しからず、パリピ怖いっピ」

 

 

 そう言うと会場から笑いが溢れる。

 

「嘘こけー」とか、私に対するヤジがすごい来ます。

 

 うん、嘘じゃないんだなこれが。

 

 うん、というわけで次の歌いってみようかな、皆温まってるみたいだし、私、あまり無理はできないんだけど。

 

 

「じゃあ、せっかくなんで会場に居るルドルフ会長に向かってニジウラセブン歌います! オラーいくぞー!」

 

 

 その瞬間、会場が爆笑の渦に包まれた。

 

 ルドルフ会長は額に青筋を立てていました。ヒシアマ姉さんは笑い転げてますし、ブライアン先輩も口元を押さえて笑うのを堪えていました。

 

 エアグルーヴ先輩は笑いを堪えるあまりプルプルしちゃってます。可愛い。

 

 うん、隣にブチ切れ寸前のルドルフ会長がいるもんね、笑ったら殺されるわ。

 

 そして、私は敢えて火に油を注いでいくスタイル。

 

 ルドルフ会長からあとで締められるだろうけどもう関係ないですね。

 

 へっ、てめぇなんて怖くねぇ! (声が震えてる)。

 

 そんなこんなで曲が始まり歌い始める私。

 

 

「口ずさむメロディーが♪ 思い出させてくれる♪ (back in the days)♪」

 

 

 ここで、皆さんに歌うコツを教えておきましょう。

 

 敢えて口元を突き出すようにして、煽る対象に向かい、手をつかったボディランゲージで歌うように心がけましょう。

 

 対象に向かってバーカバーカという感情を見せるためですね。できるだけ煽っていくのが大切です。

 

 多分、かつてこれほどまでにトレセン学園の生徒会長を煽るウマ娘はいなかったんじゃないでしょうかね? 多分、私くらいです。

 

 

「……あの馬鹿は必ず締める」

 

 

 笑顔のまま、そう告げるルドルフ会長の静かな殺気に笑っていたヒシアマ姉さん含め、周りの温度が氷点下まで下がった。

 

 毎回、ルドルフ会長から怒られるのがわかっているのに何故やるのかと言われても、エンタメなんでと答える私の芸人魂、讃えて欲しいものですね。

 

 トレセン学園の生徒会? 関係ないから! (煽り)。

 

 

「あの頃のように! 光りはなつ少年のハート♪」

 

 

 今回はタンコブじゃ済まないかもしれない。

 

 そんな事を考えながら、ルドルフ会長に怒られるであろう恐怖を楽しみつつ、会場を盛り上げる私。

 

 多分、私、ここまでくるとマゾだと思う。だって、ルドルフ会長から大切な外套を譲り受けた上でのこれですからね。

 

 でもね、私の根本って基本変わらないと思うんです。だから仕方ないね、諦めてください。

 

 この後、怒られてる最中にまた目の前で敢えて歌ってみようかしら(馬鹿)。

 

 皆は私みたいな事をしてはだめですよ、本当に毎回タンコブができるので。

 

 私はそれでも辞めないという馬鹿なだけなので、皆さんはやめておきましょう、うん、でも、私はそれでもやめないですけどね。

 

 こんな事してるから癖ウマ娘なんて呼ばれるわけなんですけども、鋼のメンタルと言えば聞こえはいいですがただの馬鹿です。

 

 

 その後、ライブは大盛況で終わりました。

 

 笑顔で帰っていく観客達、うん、良い仕事したわ。

 

 さて、私も帰ろう、会長にバレないようにしないとぶち殺されます。

 

 そうは問屋が卸さないわけですね、まあ、コソコソと帰ろうとしたんですが、当然、見つかってしまいました。

 

 肩をポンと掴まれる私、ゴゴゴという圧が背後から聞こえます。

 

 

「アフ? どこに行くんだ?」

 

 

 私は口から血を流しながら終わったわーという表情を浮かべていました。

 

 どうせ怒られるならはっちゃけようとしたツケですね、うん、反省はしていない、多分、またやる(馬鹿)。

 

 

「あの……ちょっとトイレに……」

「そうか、じゃあ問題ないな、ちょっとこい」

「んぎゃあああああああ!」

 

 

 そう言われてルドルフ会長から引きずられていく私。

 

 行き先はお説教部屋です。うん、知ってた、でも後悔はしていない(キリッ)。

 

 この後、私は地獄を見ることになりました。

 

 皆さん、ルドルフ会長を煽ったり、ルドルフ会長に毎回怒られるのには慣れないようにしましょう。

 

 私みたいになりますからね、ちなみに周りからのウケは良いのでやめるつもりはないですけど。

 

 ここまで、突き抜ければ私みたいになると良いです。オススメはしませんけどね。

 

 こうして、私のキングジョージでのウイニングライブは幕を閉じ、無事に一区切りつける事ができました。

 

 無事じゃないですけどね(死体)。




※訂正、アンケートで凱旋門は走るんだよになってますが、凱旋門をとっとと走るんだよに訂正です。なんか日本語おかしくなってましたね、申し訳ない

追記:なお、次回からアフチャンネルでのアッフへの質問も感想で受け付けてますのでアッフに質問したい人はどうぞ、感想で質問ください(質問は感想の中からランダムでアッフが選びます)
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