―――試合会場・観客席
誰もが予想だにしなかった結果に、観戦に来ていた女子生徒達はザワつき、興奮していた。当然、話題は二人の男子生徒。
一人は
もう一人は、怪我をしながらも勝利を飾った織斑一夏。
「凄かったね!私、こんな凄い戦い、去年のキャノンボールフィストでの戦いを見て以来だよ!」
「うんうん分かるわー。負けちゃったけど終始余裕を見せてた木場君も良いし、傷だらけになっても勝ちに行く織斑君もカッコイイよね!」
「うーん、どっちも攻めなんだけど、何か受けっぽいのよねー」
「受け攻めって奴じゃないの?」
「それってMなの?Sなの?」
「Sじゃないの?自分からは手を出さないけど、寄ってきて巣に掛かった獲物にはガッツリ行く、みたいな?」
「「「「「きゃー!」」」」」
とにかく騒がしかった。
対して、一戦目はギリギリ勝利。二戦目は敗北といった戦果を得たセシリア・オルコットの評価と言うと、そんなに悪くなかったりする。
特に1年1組の生徒達には。
「オルコットさん、やっぱ凄かったんだねえ」
「そりゃあ代表候補生だもん。私達とはレベルが違うっしょ?」
「織斑君との戦いも連戦だったし、一戦目で受けたダメージと疲れもあったしね」
「あれ?パーツ交換したからISは万全じゃないの?」
「馬鹿ねぇ、幾らパーツ交換したからと言って万全とは行かないわよ、……でしょ?本音ちゃん」
「うん、そ~だね~。流石に専用機ともなると専用のパーツだし~、きちんと調整をしないと、ちょっとだけズレが出るんだよね~」
「「「「「「「布仏さんが真面目だ……」」」」」」」
「皆酷い~。でも、流石整備科の先輩たちだね。こんな短時間で、殆どのズレを修正するなんて凄いな~」
「ええ。皆さん基本祭り好きですから。テンションMAXで作業してましたよ」
行き成り話しに入りこんできた人物に、全員が顔を合わせ、一人の女子生徒が合図し、
「「「「「「「……どなたでしょう?」」」」」」」
疑問を口に出した。
「お姉ちゃんだよ~」
「「「「「「「お姉さん?!」」」」」」」
「はい。IS学園3年、生徒会会計をしております布仏虚です。皆様には、本音が日頃から世話になっています。……この子、かなりペースが遅くて大変でしょう?」
「お姉ちゃん、ひど~い」
「い、いえ。本音ちゃんは癒し要素で1組のマスコットですよ!」
「そ、そうです!それに基本織斑君が世話係になっていますので!」
「やっぱりですか……――本音」
「ご、ごめんなさい~!」
賑やかに時が流れて行く。
◆
―――東ピット
ピットの降り、白式を解除する。
「ッ、は……!」
途端に襲ってくる激痛と疲労。左腕から、ズキズキと痛みが脳に届く。
この後、亮斗との戦いもあるので、急ぎやる事を脳内でピックアップ。と言っても、やる事は単純で、
……治療と応急修理。
この二つしかない。休息も取る必要があるが、それは治療と同時に取れば良い。確か、どちらも人員を用意してある、とシスコン会長が言った。
そして、その通りに両方の担当者がやってきた。
空気が抜けるような音を鳴らしドアが開く。開いた入り口から二人の女性が入り、此方に駆け寄って来る。
一人は見覚えがあった。甘栗色の少しウェーブの掛かったロングヘアーの女性。遠見真矢の母親、遠見千鶴さんだ。
……そう言えばIS学園で保険医を務めてたんだっけ。
スッパリと挨拶に行くのを忘れてた。
そしてもう一人は、ハーフアップのヘアースタイルのメガネを掛けた――恐らく女性。その女性は、鬼気迫る表情で此方に走り寄り、
「私の白式ぃいいいい!!!」
「なんだ、ただの奇行者か」
◆
―――西ピット
観客の目に付かない奥まで移動し、慣れた動作で《ブルー・ティアーズ》を解除して床に降り立つ。
降り立った位置から一歩も動かず立ち尽くしていると、空気の抜ける音と共に、一人の女性生徒が入って来た。
「お疲れ様、セシリアさん」
「あ、……サラ先輩」
サラ・ウィルキン。IS学園2年生パイロット科を専攻する女性であり、自分と同じイギリスの代表候補生。そして、自分にISの操縦技術を教えてくれた師でもある。
「負けてしまいました」
「だね。いやー、私から見てもありゃ怪物よ?素人とは思えないわ。…………戦った事、後悔してる?」
「後悔はしていませんわ。ただ――」
「家の事?」
俯く事で、肯定とした。
隠そうと思ったが、今更隠そうとも、自分の事情を知っている目の前の先輩には意味のない事だからだ。
「代表候補の剥奪までは行かないかもしれませんが、恐らく――いえ、きっとオルコット家の相続権の保証などは放棄されますわね」
代表候補資格が取り上げられないのは、自分がBT兵器のテストパイロットだからだ。だがそれも、適性が高かったからという理由なだけで、これから先『前』に押し出される事は少なくなるだろう。
……いっその事、私から相続を放棄するのもありかも知れませんわね……。
オルコット家の長女『セシリア・オルコット』から、ただの『セシリア』になる。何ともまあ、肩の荷が一気に無くなりそうだ。肩コリは無くならないだろうが。
「おーい、何か今、私に喧嘩売ってる思考してないかー?」
「ハッ!?い、いえ決してそんなっ!先輩はスレンダーでカッコイイと思いますわ!」
「おーし喧嘩売ってんな?取り敢えず――モグゾ」
数分ほど騒ぎながらピット内を逃げ回るが、
「獲った!」
「ひんっ!?」
身体能力の差から揉み拉かれた。
5分は揉まれ、満足したサラ先輩から解放された。
「うぅ、お嫁にいけませんわ……」
「女同士なんだからノーカンノーカン。話しは戻るけど、今回の負けでオルコット家がどうこうなる確率は低いと思うよ?」
「――――は?」
自分でも驚くくらい、間抜けな声が出たと思った。
「ど、どうしてそう思うんですか?!」
自分の疑問に、サラ先輩は小型パッドを取り出し、動画を見せてくれた。
『控えー!控えー!』『この紋所が目に入らぬかぁ!!』
「おっと間違えた!」
慌てて引き戻し、再び此方に差し出して来た。今度は何だろうと思って画面を覗き、
……今日の戦闘記録……?
先程の織斑一夏との戦闘記録。その最後辺りの攻防だった。
「――分かる? 限定的とは言え、高機動時におけるBT兵器の同時使用してたんだよ?」
「あ!」
言われ、改めて思い出した。
確かにあの時、私はブルー・ティアーズをスターライトMk-Ⅱに見立て、動きながら迎撃していた。確かにBT一基だけとはいえ、同時操作していたと言える。
「それに加え、この二戦でセシリアの実力が上がったんだ。彼等と同じクラスなら、これから先も一緒に訓練を行う機会は一杯あるさ。まあセシリアにとって、今日の試合は得るモノがあっただろ?腕もそうだし、――なによりも精神的に」
心当たりあるだろう、と言われ、確かに思う所があった。
入学早々に黒星は確かに痛い。だがソレを差し引いても、自分にとっては得るモノが大きい試合だった。
……亮斗さん。
ヘラヘラした顔をする軟弱な男。最初はそう思っていた。だがしかし、いざ戦いとなれば彼は荒削りながらも堂々と戦い、そして、真っ直ぐに自分に向き合ってくれた。
……織斑、一夏さん。
初日に顔を合わせた時から、笑みを絶やしてない男。だがその仮面の下には、灼熱のような荒々しい魂を持った男。一挙手一投足、一太刀ごとに洗練されていく動き。
二人の戦いの中で見せた動き、荒々しい気迫、此方の挙動一つ見逃さない視線、思い返すだけ顔が熱くなる。
「おやおやぁ~?オルコット家のセシリアさんは、何故顔が紅くなってるんでしょうか~?」
やっぱり目の前の人は喰いついてきた。
「い、良いでしょうッ!?個人の自由ですのよ!?」
「そりゃぁ、まあね。……で?どっちに惚れたの?」
「お二人と付き合えたら毎日楽しいですわよねぇ……」
「え?」
「はい?」
◆
―――観客席・片隅
更識簪は、同居人に恐ろしさを感じていた。
勝った事に対しては喜ばしくはある――が、試合の経過を見ると、そんな事は吹き飛ぶほど衝撃的だ。
まず単一仕様能力の存在。一次形態での発現は、現在まで前例が無い。織斑君が見せてくれた資料に『零落白夜』の事には触れて無かったから、本当に一次形態での発現か、もしくは篠ノ之博士が“何か”したか、だ。
……後者だとすれば、雪片弐式が怪しい。
だってそうでなければ、かの篠ノ之博士が形状を似せた物に“雪片”の名を付ける筈が無い。
……でも、あの操縦技術は異常……!
だが、もし隣に座る人がソレを可能とさせたのなら、
……私、やっぱり出来損ない。
「何か勘違いしてるみたいだけど、私が彼に教えたのは、ISの基本的な動かし方と、初歩の機動パターンだけよ?」
「え?……あっ」
考え事に没頭しすぎて、初めは何を言ってるのか分からなかったが、すぐに自分の考えている事がバレているのだと理解し体を縮こませる。
だが改めて考えれば、
……確かに。
彼が行ったのはマニュアル操作での機動、実弾系兵器の回避、瞬時加速。確かに初歩の技術。後は彼自身の身体能力と剣の腕前、そして私が協力した射線予想プログラム。
けど、と内心で続いた思考は、
「近接型と遠距離型の戦闘は、歯車の噛み合い、です」
「敬語は付けなくても良いわ」
断る。
「最初、有利だったオルコットさんですけど、噛み合い一つで、織斑君にも勝機があると思い、ます」
例えるならシーソー。公園にある、梃子の原理を用いたあの遊具。
実力が拮抗していれば勝負は千日手。だが、少しでもどちらかに傾けば、すぐに勝負は決まる。ソレが射撃型と近接型に特化した者達の戦い。
今回の試合は、最初こそオルコットさん側に『勝利』が傾いていたと思われていたが、実の所、最初は拮抗状態。勝敗が傾いた切欠は、織斑君が『零落白夜』を発現し始めてからだ。
……アレで、織斑君の思考が一度リセットされたから。
「そうね。それに、セシリア・オルコットは思考錯誤の段階であるBT兵器を使用していた。彼女が純粋にスナイパーオンリーで戦っていたら、――まあ、8割って所ね」
当然、セシリア・オルコットさんの勝率が8だ。
けど、と内心で思った事を、隣の存在が口に出した。
「それでも異常でしょ?」
「っ……」
隣にいる人物と同じ考えらしかった。
「基礎中の基礎。たったそれだけを叩き込んだだけなのに、もう代表候補の一角と戦い、勝利をもぎ取れる段階にまで届いたわ」
それも、ISを動かして間もない期間で。確かに、傍から見れば異常に映るだろう。
だが、と更識簪は最初とは違う意を唱える。ISは空も飛べるし、音速を叩きだす移動速度を誇るし、量子化して多種多様の武装の携帯を可能とする――が、忘れてはいけないのは、ISはパワードスーツでもあるのだ。
……あの戦闘能力は、まず間違いなく織斑君自身の力……ッ!
入学してから彼は毎朝ランニングに行くし、剣の型の反復もしていた。隣に居る人の厳しい訓練も行っていた。夜もギリギリまでプログラミングをして、あのシステムを構築した。
……織斑君は、努力してるっ……!
ソレを、隣に居る人も知っている筈なのだ。
なのに、
「天才ね」
隣の存在は、その一言で彼の努力を無いモノとした。
「ちが、う……ッ!」
立ち上がり、隣の存在に、――自らの姉の正面に立った。
何年か振りに姉の顔を正面から見る。外ハネした水色のショートヘアー、似通った顔立ち、そして自分とは正反対の、真っ直ぐで強い光を宿した朱色の瞳、大きく実った胸部。
……ま、負けないっ!
「織斑君は、天才なんかじゃ無いっ。プログラミングは、寝る時間を削ってまで、長年に渡って組み上げた幾つかのアルゴリズムを組み合わせて、何度も悩んで、思考錯誤を重ねていたのを知っている!彼の手に出来たタコは、ずっと剣を振り続けて出来たモノだって、私は知っている。 料理だって、上達するには長年の積み重ねが必要だ。全部、織斑君が血の滲む努力をして身につけたんだよっ!?――おねっ、お姉ちゃん、知ってるよねッ!?」
「ええ知ってるわ」
「え――」
「
お姉ちゃんは、笑っていた。
「ふふ、結構久しぶりね。簪ちゃんがそんな風にハッキリと物事を言うのって。――それが異性の男の子ってのはー、お姉ちゃん的に納得いかないけどっ、いかないけど……ッ!」
まあ、と言葉を繋げ、
「彼をダシにしちゃったけど、簪ちゃんの本音――ああ、本音ちゃんの方じゃないわよ?本心の方、ソレを聞けて良かったわ」
お姉ちゃんは立ち上がり、私の頭に手を置く。
「それで良いのよ」
「……良い?」
「良いの。簪ちゃんが私の真似をして、ISを一人で組み上げようとしているのは知ってるわ。――でもね?もし心のどこかに認められたい、見返したい、追い越したいって想いがあるなら、真似だけじゃダメ」
頭から手が離れ、今度は両手で頬を抑えられ、強制的に真正面に向き合わされ、
「追い越す気で来なさい。貴女自身のやり方と“力”で」
「…………ん。絶対」
「ええ、待っててあげるわ」
かなり上から目線の発言だが、これこそIS学園生徒会長だろう。
「さて、やることやったし、私はもう行くわ」
「……二人のは、見て行かないの……?」
「ISの情報は知ってるし、二人の戦いはもう見たわ。それに、IS学園の生徒会長はやるべき仕事が多いの」
背を向け、出入り口に向かって歩き出すお姉ちゃ――生徒会長。確かに私達一般生徒とは違って、生徒会の仕事は大変だろう。今年は二人の男子生徒が居るし。
……その割に、本音は結構暇そうにしてた……。
多分、戦力外認識。何故生徒会に入ってるのだろう。
それはともかくとして、最後に何か言おうとしたが、さっきまでとは打って変わって、何を言えばいいのか分からない。
「えっと、その、――お仕事、頑張って、下さい……」
「ふふ、有難う。貴方も頑張んなさい。――ああ、簪ちゃん。一夏君に伝えといて、『しばらく訓練は中止、怪我が治るのを優先ダゾ☆』って」
そう言い残し、会長さんは歩き出す。
その後ろ姿を、見えなくなるまで見送る。
……だ、だぞ……?
取り敢えずその件は置いといて、織斑君の試合を見守ろうと思い椅子に座り直す。
「…………だ、だぞ☆、――無理……ッ!」
顔から火が噴きそうだった。
◆
試合会場から出てしばらく歩き、辺りを見回し、誰も居ない事を確認。人気0なのを確信し、手を鼻に近づける。
「簪ちゃんの匂ぃ」
ああ、たぶん私、いま他人に見せられない顔してる……! と自覚しつつも手の残り香と感触、脳裏に刻み込んだた彼女の声を反芻する。
一夏君の言っていた通り、簪ちゃんは私を真似ようとしていた――それは正直嬉しい。
真似ると言う事は、彼女の中の『私』は“そう在りたい”“そう成りたい”と言える存在だと言う事だ。
でも、
……私が歩きて来た道は孤独よ。
才があった為に、更識の次期当主として育てられた。それが苦痛とは思わない。
……私自身、そうなるのが当然って感覚だったしね。
そして、周りにいた子達は全て更識の系列の者。付き合いがあるのもすべて『更識』。故に、周りが友人だと思ってる子達は全て部下だった。
もちろん普通の子とも知り合いになるが、何でも話し合える仲などただ一人も居ない。
そんな中、唯一とも言っていい存在が更識簪だ。
“知り過ぎた更識” とは対照的な “何も知らない更識”
純粋に姉として慕ってくれたのが嬉しかった。無邪気に笑い掛けてくれるのが、どんなに癒されたか。私の身を、“楯無”としてではなく“刀奈”として心配してくれた事に、どんなに救われたか。自分が段飛ばしで得てきたモノを、努力して乗り越えて来る姿がどんなに羨ましかったか。
そして、
「簪ちゃんは、私に無いモノをもう得てるのよ……?」
友人と言う、他人同士が仲良くなった時に得られ、“普通の人”が持てる縁。
此処最近、簪ちゃんのクラスメイト達が良く話しかけているのを知っている。織斑君情報欲しさに近づいて来ている娘も居るが、彼女の趣味を知り仲良くなろうとしている娘も居る。純粋に仲良くなろうとしている娘も居る。――そして、そんな娘達に心を開こうとしている事も知っている。
「全く。お姉ちゃん、一夏君に嫉妬しちゃうわ」
切欠は織斑一夏と同室になってからだ。
おまけに、入学前の食事の不摂取や睡眠不足からくる髪や肌の荒れがあったのだが、先程触れた簪ちゃんの肌は綺麗になっており、目元に隈も無かった。
彼が食事の管理や精神のケアもしていたのだろう。恐らく、日常的にさりげなく。
……餌付けってやっぱり基本なのね。
私がしたいくらいだ。
でも、しばらくはその役目を一夏君に預けてあげる。その変わりに私には私の、簪ちゃんとの唯一無二の繋がりが出来た。
その事を思い出し、笑いが込み上げてくる。
「会長?」
「あら?虚ちゃん」
通路の対面から、虚ちゃんがやって来た。
「本音ちゃんの方に行ったんじゃなかったの?」
「もう終わりました。お嬢様と妹様と違って擦れ違ってませんから」
グサリと打鉄用近接ブレードが胸に刺さった気分になった。
「それで、どうしたのですか?そんな怪しい笑い声をお出しになられて」
「虚ちゃんの棘のあるツッコミを久しぶりに聞いた気がするわ。――ねえ、虚ちゃん。簪ちゃんがね、私を追って、倒す為に頑張ってくれるって」
「次期生徒会長の座は心配なさそうですね」
「あ、あら?何かあっさりしてないかしら?もっと、こう、私が負ける事に何かないの?」
「仕事が溜まってますよ、会長」
「あれぇ?!なし?!て言うか、虚ちゃんが全部処理してくれたんじゃないの?!」
「此方で処理できるモノはしておきました。ですが、会長直々の判断が必要なモノは分けてあります。……枚数にして段ボール2箱分はあるかと」
「多い……!」
確かに5日間放心状態、一夏君の扱きで2日の計7日、つまり一週間は仕事が手付かずだったとは言え、まさかそんなに溜まるとは思ってもいなかった。
……けど大丈夫!私には簪ちゃんの匂いと声と感触があるから!
それに、先程簪ちゃんの周りに散布したナノマシンが、簪ちゃんの画像と声を私に届けてくれている。
……そう、今も『試合を待ち遠しそうにしている簪ちゃん』の様子を送って――、
『…………だ、だぞ☆、――無理……ッ!』
「っ!」
「会長?!行き成り鼻から血が出てッ!しっかりして下さい!?会ちょッ、お嬢様ぁぁああ!!」
挨拶は大事
2条「と言う事で、――新年、明けましておめでとうー!」
全員「遅いわぁ!!」