鉄仮面少女の航海記   作:葉瀬ミナミ

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航海記 6ページ目

◯月*日 雨のち曇り

この前は母さんの日記を読んで、自分の家族の事や親戚の正体を知り、その知ってしまったことの大きさに頭が追いつかず混乱してしまった。さらに、追い撃ちをかける様に見つけてしまった手紙。

あの後、結局頭で情報が整理出来ず、なんだか疲れてしまった為、そのまま寝た。

あれから、何度も何度も日記の内容と封筒の名前を見直したが、それは見間違いでは無かった。出来れば、間違えであって欲しかったけど…。

確かに日記から得られた情報は有力な情報が多かった。けれど、それを上回る勢いで出生がやば過ぎる。

簡単にまとめると、母は海賊王の元クルーで父は現在四皇。叔父は海賊王で叔母は海賊王の妻。盛り過ぎだろ、こんちくしょう。

しかも、母は何年か父の船に乗ってたらしく、元賞金首。周りからは「戦姫」と呼ばれてたらしい…。一体何をしたんだと日記を読めば海軍やら世界政府等を相手に大立ち回り。しかも、(相棒)片手に覇気と自前の身体能力のみで…。どんだけだよ母さん。私が知っている母さんは些細な事は気にしないけど怒ると怖い、どちらかと言うと肝っ玉母さんって感じで割と普通の人だったのに。

まぁ、これのおかげでガープさんと母さんがなんで知り合いだったのかとか、どうして私の後見人がガープさんなのか合点がいったんだけど。どう見ても叔母さん繋がりだよね。叔母さんが妊娠している時、身の回りの世話とか母さんもやってたみたいだし。

母さんは妊娠を切っ掛けに船を降り私を産んだけど、流石に女手一つで育てるのは大変で、その時の無理が祟って心臓の病気に。船を降りた手前、父や仲間には話せずかといって、生まれ故郷(サウスブルー)では自分の顔は有名過ぎる。なんとか昔の伝手で東の海(イーストブルー)に辿り着き、そこから数少ない知り合いであるガープさんに事情を説明。自分に何かあった時、私の後見人になってもらえる様に説得。だったら、自分の孫や面倒を見ている子がいる所の方が都合がいいとフーシャ村に移り住み、現在に至る。波乱万丈過ぎるだろ、何をどうやったらこんな人生になるんだよ。ノリか、その場のノリなのか。私の母さん像がどんどん崩れていく…。

船を降りるのだって父達には伝えなかったらしい。なんでも、あのまま船に乗って私を産んだら、私のやりたい事を潰してしまうかもしれないからだそうだ。

日記には、有力な情報の他にも私の成長記録や深い愛情のこもった言葉が多く綴ってあった。日記に跡がつかない様に素早く閉じ布団に籠った。

 

◯月▽日 晴れ

ルフィが連れ行かれて更に2週間がたった。日記を読んで母さんには武器の収集癖があった事が判明した。道理で武器の事になると話が止まらなくなる訳だ。昔、母さんに

 

「海軍の人達が持っている武器すごいね」

 

とまだ、無邪気だった私にその武器の特徴や弱点を嬉々として話す母さん。幼かった私でも分かったのだろう。それ以降、母さんに武器の話をした事は無かった。

その事は置いといて、船に乗っていた時の自分の武器(相棒)は槍だったらしいがそれ以外にも剣や刀・ハンマー等、刃物に限らず自分が気に入れば集めたらしい。

まぁ、船を降りる時に大半の武器はそのままか質屋に流したようだ。しかし、この間物置部屋を整理しようと色々物色していたら部屋の隅に隠れるように小さな箱が1つ。

一体なんだろうと能力で確認するとあらビックリ。慌てて箱を開けるとそこには、小刀や銃等が入っていた。旅の資金源にするつもりだったのか、護身用だったのか、はたまた手元にただ置きたかったかは今となっては分からない。呆れるような母さんらしいようななんとも言えない気持ちになった。

色々あるなぁと物色していると、気になる物を発見。引っ張り出して見るとそれは、2組の鉄扇だった。全体的に鈍い鈍色で鉄扇の長さは大体30cm、重さは多分5kg程。重いけど持てないくらいじゃない。先端は鋭く尖っていて磨けば切る事も出来そう。持ち手の部分は怪我をしないように加工され更に箱を覗けば鉄扇を仕舞えるホルダーが2つ。これからこの鉄扇を使った鍛錬も加えよう。

母さん、大事に使わせて貰います。




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