鉄仮面少女の航海記   作:葉瀬ミナミ

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航海記 7ページ目

●月●日 晴れ

物置部屋から鉄扇を発見・鍛錬し、2ヶ月がたった。

まだまだ拙いが、なんとか鉄扇で能力を発動させる事が出来た。正直舐めてた。鉄扇なんて開いて扇げば良いと思ってたけど、現実は無情。鉄扇の扱いがこんなに難しいとか聞いてない。

鍛錬初日、まず鉄扇が片手で開かない。最初は錆びてて開かないのかなって思い、壊さないように両手で開いたら普通に開いた。錆びてる部分はない。もしかしてと思い片手で閉じようとしたら閉じれない。両手なら閉じれる。

その事実に愕然としたが、よくよく考えたら当然の事だった。いくら筋トレや柔軟体操、走り込み等やっていても私はまだ6歳。鉄扇の重さは1つ5kg、2つあるから合計10kg。自分の体重の約半分の重さになる。持てるだけでも地味にすごいのだ。

ただ、10分位待つと腕が痺れ、振り回すと逆に振り回される。そして、次の日は筋肉痛…。道のりはかなり険しかった。

なので、最初は鉄扇の重さに慣れることから始めた。主に走り込みの時や筋トレの時のダンベル代わりとして。最初に思い描いていたものとは大分違うけど3週間位で重さには慣れ、振り回される事は無くなった。まだ、1時間位しか保たないけど…。勿論、片手で開く練習もした。親指が何度もつって痛かった。こっちは、1ヶ月で片手で開けるようになった。出来た時の達成感が半端なかった。思わず家の中で

 

「よっしゃーっ」

 

って叫んで、慌てて周りを見渡した。次の日、心なしか村の人達の目線が気になったけど気のせいだと思いたい。

鉄扇を開けるようになってからは開いた状態での素振り。傍目から見れば、6歳児が扇子を両手に持って踊っているようにも見れるが使っている物が物なのでやっている事はかなり物騒だ。先端が尖ってるいるから木だったら簡単に刺さるし、そのまま横に引けば熊が爪で引っ掻いた様な傷が出来る。

庭先でこんな鍛錬が出来るはずもなく最近は森で鍛錬をしている。そのせいで、よく動物に襲われる様になった。主に蛇とか虎とか蛇とか熊とか蛇とか。動物達の縄張りを荒らさない様に気を付けているが蛇率が高いのは多分縄張りの意識が他の動物より低いからだろう。虎と熊には1回しか会ってないし。まぁ、そのおかげで少しは実戦的な動きが出来るようになったからいいけど…。

そんなこんなで、更に1ヶ月が過ぎ大分鉄扇を使いこなせる様になり、まだまだ拙いが鉄扇で能力を発動させる事が出来た。そんな日の昼下がり、ガープさんから

 

「近々、そっちに行くから楽しみにしとれよ」

 

と連絡があった。

次も波乱の予感しかしないのは何故だろう。

 

 

●月▲日 晴れのち曇り

あの連絡から数日経ってガープさんから

 

「今日の昼前にそっちに行くぞ」

 

と追加の連絡をもらい、慌てて丈夫な革のリュックに必要であろう荷物を入れ、鉄扇は十分油で磨き入念に準備した。ホルダーを付けるためのベルトも村の服屋で購入。ホルダーがベルトから外れないか、走る時には能力も使って確認した。

ようやく準備が終わり、朝に連絡して作ってもらった昼食のサンドイッチをマキノさんから大人数分受け取った。ホントすいません、連絡が急で。全部ガープさんの所為なのになんで私が謝ってるのか不思議。

あれから大急ぎで帰宅し、リュックを背負いホルダーに入っている鉄扇を確認、手にはお弁当。港が騒がしくなってきたからそろそろ来たんだろと思い港へ向かった。

港へ向かうとガープさんと無事合流。海軍の部下の人達とは別れ、2人で目的地に向かう。道すがらガープさんから

 

「海軍に入らないか」

 

と何度もお誘いを受けたが断った。出生を知った今では海軍なんかに入った日には秘密裏に消されそうで怖いし、天竜人を守ろうって気にもなれない。赤犬もコワイ。全体的に海軍や世界政府は闇が深すぎて怖い。一部そうじゃない人もいるけど…。

そんな感じで歩いていると森を抜けコルボ山のダダン一家の家に到着。

到着そうそうダダン一家が総出でお出迎え。

 

「また、ガキを預かるんですか!!」

 

とダダンさんが騒いでいた。なんか、預かる方向に話がいってるんですけど…。私が来たことに気づいたルフィが引っ付いてくるが無視してダダンさんに

 

「私家に帰ります、ここでは暮らしません」

 

と言った。あからさまに安心したように息をつくダダン一家。下でルフィがなんだか駄々を捏ねてるけどお弁当のサンドイッチを口に突っ込んで黙らせる。なんだか周りが引いてるけど気にしない。気にしない。

どうやら今回の目的は、私にルフィ達との模擬戦をやらせる為だったらしい。だったら先に連絡しとけよと思ったが、ガープさんだし仕方ない。昼食を手早く済ませ、さっさと模擬戦を開始する。だって、さっきから視線が痛いんだよ。視線の先には2人の男の子、エースとサボ。特にエースの雰囲気がやばい。多分、ルフィが引っ付いているからだろう。私の所為じゃないのに、チクショー。

あれから1時間経ち、模擬戦は今の所私の全勝。最初の模擬戦の内容はルフィは自滅。エースとサボには能力と鉄扇使って頑張った。超頑張った。

勝ったし、そのまま帰ろうしたら結果が気に入らなかったエースとサボに止められ数えるのも嫌になるくらい模擬戦中。2人共本気で鉄棒を振り下ろしてくるからわざと負けることも出来ない。

つーか、この2人私が6歳の少女だって忘れてるよね?

私今日中に帰れるかな…。

 

 




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