それでは28話をどうぞ!!
駆 デッキ27 手札2
ライフ 4 リザーブ0
トラッシュ3
場
究極輝神アルティメット・オーバーレイ
LV4 BP23000 (2) Sコア 疲労
合体[1]
太陽神剣ソルキャリバー
BP+4000
合体[2]
火星神剣マーズブリンガー
BP+5000
ビートルゴン
LV3 BP4000 (1)
バーゴイル
LV3 BP5000 (1)
バーゴイル
LV3 BP5000 (1)
獄風の探索者 カゲロウシーカー
LV3 BP5000 (1)
邪神域 LV1 (0)
バースト
有り
手元
無し
弾 デッキ26 手札1
ライフ2 リザーブ0
トラッシュ12 Sコア
場
光り輝く大銀河 LV1 (0)
灼熱の谷 LV1 (0)
バースト
無し
手元
無し
ダン「正直危なかった…伏せたバーストカードがアルティメットウォールじゃなかったら終わっていたよ」
駆「…君のターンだ」
ダン「あぁ、分かってるよ。スタートステップ!コアステップ、ドローステップの時に灼熱の谷の効果によりドロー枚数を+1し、その後1枚を破棄する。
デッキからカードを2枚ドローそして俺はこの中から戦竜エルギニアスを破棄する。
リフレッシュステップ、メインステップ!」
弾 デッキ26→24 手札1→2
リザーブ4→13 Sコア
その手札でお前はこのターン、何をしかけてくる?
メインステップに突入した彼を俺は警戒の目で見つめる。
場がどれだけがら空きであろうと、戦況が一気にひっくり返る時がある。だから油断は一切許されない。
ダン「…駆、聞きたいことがあるんだ」
弾は手札のカードから目の前の俺に視線を移し俺にそう言ってきた。
駆「……なんだ?」
ダン「駆はさ、この世界で何をしたい?」
駆「…何故このタイミングで?」
ダン「ふと気になったんだよ。あの過去があってお前は今、この世界でどうしたいのかがさ」
駆「……俺はあの過去を捨てこの世界で生きるだけだ。
あの時は折れてしまったが、今度こそ…たとえ誰からも助けが無く孤独であったとしても生き延びてみせる」
ダン「そうか…なら良かった」
俺の回答に弾は安心の表情を見せた。正直な話、この世界で死のうとは思ってはいない。俺はあの前世が嫌いだから自殺をしたんだ。
ダン「でもそんな悲しいこと言うなよ…お前は絶対に1人なんかじゃない!」
「1人じゃない」その言葉で俺は1人の人物が脳裏に浮かび上がった。
駆「1人じゃない…か。俺を支えてくれたあの人もそう言ってくれたな」
俺はポツリとそう言った。
ダン「…駆のおばさんだな」
俺の話を聞いていた弾はそう答える。
俺はその答えに頷き、話を続ける。
駆「俺を元気づける為に…そしてこれからも頑張れるようにとあの人はそう言ってくれたのだろう。
…だが、あの人はもう居ない。彼女の言葉を信じて外の世界を生きたが、結局のところ俺は独りだ。
もう俺はその言葉を信じてはいない」
ダン「…確かに外の世界のお前は独りだった…でも今は俺や霊夢、魔理沙に早苗それに美弥もいる。それは紛れも無い事実だろ?」
駆「…誰にも分からないさ…信じたものが支えだったものが崩れ去った時の気持ちは………質問には答えた。さっさとバトルを進めろ」
ダン「駆…分かった。俺は4コスト赤2軽減2コストでフェイタルドローを使用。自分はデッキからカードを2枚ドロー…さらに自分のライフが2以下の時、追加で1枚ドローする。
つまり俺はデッキからカードを合計3枚ドローする」
駆 デッキ24→21 手札1→4
灼熱の谷で都合よくドローソースマジックを引いていたか…それにこの状況下で最適なフェイタルドローを採用しているとはな…
ダン「このカード使ってみるか…!俺は手札から1コスト赤1軽減0コストでピクシスリザードを召喚!」
ダンのフィールドに羅針盤を背負った小さなドラゴンが現れる。
これは…スペシャルデッキセット[12宮Xレアの輝き]に収録されたスピリットソウル持ちの光導サポートカード…こいつが現れたということはあのカードが飛んでくるな。
ダン「さらに3コスト赤2軽減1コスト、召喚条件はコスト1以上の自分のスピリット1体以上で創星龍バイアーをコアを一つ置き、レベル3で召喚」
これはまた厄介なカードを召喚してきたな。
…創星龍バイアー、このカードもピクシスリザード同様スペシャルデッキセット[12宮Xレアの輝き]に収録されているアルティメットカードの1枚。
こいつが厄介な理由はレベル3、4、5の永続的に発揮される効果だ。
その効果とは系統光導を持つ自分のスピリットの効果で、相手のスピリットを対象にするとき、相手のアルティメットも対象にできるというもの。
そしてさらに弾の召喚は進む。
ダン「駆、俺の新しいキーカードを見せてやる!
コスト9、赤4、究極1軽減4コスト、召喚条件は赤のスピリット、アルティメット1体以上!
現れよ12の星座を束ねし究極の龍よ!
星の輝きを解き放て!!
究極星アルティメット・ゾディアック
をソウルコア1つと通常コアを4つ置き、レベル5で召喚する!」
弾のフィールドに黄道十二星座が浮かび上がり、射手座、牡牛座は赤、魚座と山羊座は紫、蟹座と牡羊座は緑、獅子座と水瓶座は白、乙女座と双子座は黄色、蠍座と天秤座は青にそれぞれ光り輝き、天高く光の柱を生成する。
その12の光に呼ばれ宇宙から12の星座を統べる究極のドラゴンが翼を羽ばたかせ舞い降りる。
side change
12宮の力を統合したドラゴンか…12宮…昔を思い出す…
早苗「弾さんもとうとうエースカードを召喚しましたね!」
レイ「駆君のアルティメットオーバーレイもかっこいいけど、弾君のアルティメットゾディアックもかっこいいなぁ…!」
2体の大型アルティメットがそれぞれのフィールドにいるこの光景にオーバはウットリしているようだ。
魔理沙「にしても、駆のあんな声初めて聞いた…」
霊夢「弾と駆のあの話…きっと駆の昔の話じゃないかしら?」
早苗「駆さん…一体何があったのでしょう?」
霧雨と博麗は馬神と天童の会話が気になっているようだ。博麗は天童の過去と予想しているようだな。
side change
アルティメット・ゾディアックか…これもまたピクシスリザード、創星龍バイアーと同じデッキに収録されたアルティメットXレア。効果は…俺は知っているがここで言う必要は無い。おいおい弾が説明してくれるだろう。
…しかし、このタイミングでこのカードを繰り出したということは弾は確実にこのカードに賭けている。つまりここから予測できること…それはこのターンで彼は必ずアルティメット・ゾディアックでアタックしてくるこの一点のみだ。
ダン「……(どうする?手札のこのカードを使ってもいいが、もしアルティメット・ゾディアックの効果であのカードがオープンされなければかなり不味いことなる。…やってみるか?)」
目の前の弾は右手を顎に当て、左手に持つ2枚の手札とプレイボードに広げられた盤面を交互に見つめ何か考え事をしている。
なぜアルティメット・ゾディアックを出す前でなく、出してから考え出すかはよく分からないが…
まさか最悪の事態を回避するためにアルティメットゾディアックをブロッカーにするつもりか?
ダン「俺は手札から3コスト赤2軽減1コストでマジックカード、天火烈刀斬を使用。
使用コアはアルティメット・ゾディアックのソウルコアを使用し、ゾディアックのレベルは、4にダウンする。
そして天火烈刀斬の効果によりお前のネクサス、邪神域を破壊しさらに使用コストにソウルコアを使っていた時、シンボル2つ以上の相手のスピリット、アルティメットを破壊する。
よって俺は駆のダブル合体アルティメットを破壊する!!」
弾の手札から放たれた火炎の衝撃波は俺のフィールドの邪神域とダブル合体アルティメットを襲い燃やし尽くした。
駆「…やってくれる。太陽神剣ソルキャリバー並びに火星神剣マーズブリンガーには通常コア1つずつを置きフィールドに残す」
このタイミングで天下烈刀斬か…弾は何かを狙っている。
おそらく俺のこの盤面を利用したカードを奴はアルティメット・ゾディアックで引っ張りたいのだろう。
ダン「……アタックステップ!輝け、アルティメット・ゾディアック、アタックだ!!」
side change
魔理沙「おいおい!弾はアタックして大丈夫なのか!?」
明夢「…これは相当危険な賭けだな」
霊夢「明夢の言う通りね。仮にアルティメットトリガーがヒットしたとしてオープンするカードの枚数によって12宮の出る確率は変わってくる…それに残ったカードはトラッシュに行ってしまうから実質デッキ破棄しているようなものよ…」
補足で博麗が説明した。俺が言おうとしていたことを全て言ってくれたので助かった。
明夢「リスクはあるが場にバイアーがいる。もし、馬神があの12宮カードをオープン出来たのならまだ勝負は分からない…」
side change
アルティメットゾディアックはダンの声に答え飛び立つ。
ダン「アルティメット・ゾディアックのレベル3、4、5のアタック時効果を発動!
[アルティメットトリガー]ロックオン!」
アルティメット・ゾディアックは光の衝撃を打ち出し、俺のデッキの1番上のカードを弾き飛ばす。
ダン「…コストはなんだ?」
駆「…邪神域、コストは4だ」
俺は弾き飛んだカードのコストを弾に伝える。
デッキ27→26
アルティメットトリガー
究極星アルティメット・ゾディアック
コスト9
VS
邪神域
コスト4 負け
結果:[ヒット]
ダン「ヒットだ!」
駆「…ヒットしたか…生憎手札にトリガーカウンターは無い」
そもそも俺のデッキにトリガーカウンターは無いがな。
ダン「ならヒットしたアルティメット・ゾディアックの効果を発動。
俺はデッキから12枚をオープン!」
オープンカード
ブレイヴドロー✕
戦神乙女ヴィエルジェ〇
ダンデラビット✕
エリダヌスドラゴン✕
双魚賊神ピスケガレオン〇
光輝く大銀河✕
砲竜バル・ガンナー✕
創星龍バイアー✕
ブレイドラ✕
フェイタルドロー✕
宝瓶神機アクア・エリシオン〇
白羊樹神セフィロ・アリエス〇
ダン「…この中の系統光導をもつスピリットカードをコストを支払わず好きなだけ召喚する!残ったカードは破棄する。
よって戦神乙女ヴィエルジェにコアを2個置きレベル2、双魚賊神ピスケガレオンをコアを1個置いてレベル1でノーコストで召喚!コアはアルティメット・ゾディアックのコア3つを使う。これによりゾディアックのレベルは3に下がる」
オープンカード召喚
ブレイヴドロー→破棄
戦神乙女ヴィエルジェ→召喚
ダンデラビット→破棄
エリダヌスドラゴン→破棄
双魚賊神ピスケガレオン→召喚
光輝く大銀河→破棄
砲竜バル・ガンナー→破棄
創星龍バイアー→破棄
ブレイドラ→破棄
フェイタルドロー→破棄
宝瓶神機アクア・エリシオン→破棄
白羊樹神セフィロ・アリエス→破棄
弾 デッキ24→12
アルティメット・ゾディアックはワープをホールを2つ作り出し、それぞれ、乙女座、魚座を司る12宮Xレアを呼び出す。
煌めきを放つ戦いの乙女、怪しくもその中に美しさを感じさせる、2艦の戦艦が並ぶ。
これがアルティメット・ゾディアックの真骨頂。デッキから12宮Xレアを召喚する展開力を持つ。
ダン「召喚された12宮Xレアの召喚時効果の処理を行う。
まずは戦神乙女ヴィエルジェのレベル1、2、3の効果、自分のライフが5以下の時、ボイドからコア1個を自分のライフに置く」
ヴィエルジェは眩い輝きを放ちその手にコアを生成しそのコアを弾にさずけた。
弾 ライフ2→3
ダン「そして次は双魚賊神ピスケガレオンのレベル1、2の召喚時効果、このスピリット以外のスピリットすべてのコア1個ずつを持ち主のリザーブに置く。この効果でコアが0個になったスピリット1体につき、自分はデッキから1枚ドローする。
だけど、創星龍バイアーのレベル3、4、5の効果により、系統光導を持つ自分のスピリットの効果で相手のスピリットを対象にするとき、相手のアルティメットも対象にできる。よって駆、お前のアルティメット達もピスケガレオンの効果対象になる!」
ピスケガレオンは無数の砲弾を四方八方に発射、自分のスピリットにもピスケガレオンの効果対象となってしまうためヴィエルジェのコアとピクシスリザードのコアが1つずつ取り除かれピクシスリザードは消滅する。
そして俺のフィールドのアルティメット、及び星神剣もピスケガレオンの砲撃により葬られてしまった。
ダン「そしてピスケガレオンの効果でコアが0個になったカードはピクシスリザード、マーズブリンガー、ソルキャリバーの3枚。
よって俺はデッキから3枚ドローする」
弾 デッキ12→9 手札1→4
…今思えばマーズブリンガーかソルキャリバーにソウルコアを載せておけば良かった。
しかしこれは結果論に過ぎない。この状況をなんとかしなければ、俺に次のターンは無い…
駆「…フラッシュタイミング、4コスト、ソウルコアを支払いリミテッドバリアを使用。
このターンの間、コスト4以上の相手のスピリット、アルティメットのアタックでは俺のライフは減らない」
すると俺の周りに白いシールドが展開され、強烈な吹雪が吹き荒れる。
駆「…さらにソウルコアを使ってこのマジックを発動しているので、追加で相手のネクサス1つを手札に戻す。
よって灼熱の谷を手札に戻す」
燃え盛る灼熱の谷は吹き荒れる吹雪によりその活動を停止し、消滅する。
ダン 手札3→4
ダン「リミテッドバリアか…フラッシュは無いよ、駆」
駆「こちらも無い。そのアタックはライフで受ける。だがリミテッドバリアによって俺のライフは減らない」
アルティメット・ゾディアックは俺に対して無数の光弾を放つ。
しかし、その光弾はリミテッドバリアによって全て弾かれる。
ダン「コスト4以上がダメならコスト3のバイアーでアタックだ!」
弾の声に答えバイアーは右手にエネルギーを溜め始める。
ほう、まさかこのタイミングでバイアーで攻撃するとは…
ラッキーだな
駆「こちらのフラッシュは無い」
弾「俺も無い」
駆「なら、そのアタックはライフで受ける」
バイアーは右手に溜まったエネルギーレーザーを発射。
バリィィィィィン!
俺のライフを1つ貫いた。
駆
ライフ4→3
リザーブ6 Sコア→7 Sコア
ダン「これでアタックステップ終了。ターンエンドだ」
弾 デッキ9 手札4
ライフ3 リザーブ2
トラッシュ7 Sコア
場
究極星アルティメット・ゾディアック
LV3 BP16000 (1) 疲労
創星龍バイアー
LV3 BP5000 (1)疲労
双魚賊神ピスケガレオン
LV1 BP5000 (1)
戦神乙女ヴィエルジェ
LV1 BP4000 (1)
光り輝く大銀河 LV1 (0)
バースト
無し
手元
無し
side change
魔理沙「駆が場を圧倒してると思ったら次は弾が巻き返しやがった!!」
レイ「こんなどんでん返し、初めて見たよ!!(美弥ちゃんも来れば良かったのにな…)」
早苗「ライフは3まで回復、オマケにゾディアックと12宮が並んでます!」
明夢「それに対して天童の場はがら空き、バーストも無く手札はあと1枚か…やはりあのオーバーレイの大抜刀で手札を消費してしまったのが影響しているな…」
さすがにここで詰みか…?
side change
駆「……俺のターン、スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」
駆 デッキ26→25 手札1→2
リザーブ7 Sコア→10 Sコア
この手札2枚か…来てくれたは嬉しいがさすがにキツいな…
だが、最後までやってやるさ…!
駆「…ライフが[3以下]になったことで俺は手札からこのカードを召喚できる…!」
弾「ライフが3以下になった時…?」
駆「召喚条件…自分のライフ3以下をクリア、よって俺は手札から8コストで
獄炎の四魔卿ブラム・ザンド
をソウルコアと通常コアをそれぞれ1個ずつ置きレベル3で召喚する」
俺のフィールドに赤黒い炎が2つ発生する。その炎は俺のフィールドを駆け抜け巨大なサークルを描き地面を抉る。そしてサークルから禍々しい炎が火山の大噴火の如く天高く吹き出す。その中に存在するアルティメットは手に持つ2つの巨大な剣で炎を切り裂き現れる。
その姿は下半身は四足歩行、上半身は赤黒い筋肉と装甲を纏う龍の様なスピリットである。
獄炎の四魔卿ブラム・ザンド…メガデッキ獄炎のブラム・ザンドにて収録されたアルティメットXレア…
今はこいつに賭けるしかない。
グォォォォォォォ!!
そしてフィールドに現れたブラム・ザンドは地面が揺れ動くほどの彷徨を発する。
side change
明夢「…!」
何!?まさか天童があのブラム・ザンドを所持していたとは思わなかった。
……まさか、天童はあの厄介なアルティメットを操れるのか…?それ程の力を持っているのか?
天童に対する疑問が湧いてくる…今すぐにでも問いたい所である。
…それにしても、周りはブラム・ザンドに対してかなり不安な表情を浮かべている様だ。
実際に隣のオーバは怯え肩を震わせている。
あんな明確な殺意を剥き出しにして敵である12宮を見ている巨大なアルティメットを見たら誰もが恐れるだろう。
霊夢「また見た事の無いアルティメット…あの赤い闇…輝きを放つアルティメット・オーバーレイとはまるで真逆の存在見たいね…」
博麗がそう呟いた。光であるオーバーレイと闇のブラム・ザンド…そう考えれば一応合ってはいるが実際のところ2体のアルティメットに接点は無い。
早苗「いったい…どんな効果を持っているのでしょう…?」
東風谷が顎に右手を当て興味津々にブラム・ザンドを見ている。
まぁ奴の効果はこのターンで分かるが教えてるとするか…
明夢「…あのカードには[ソウルドライブ]が搭載されている」
霊夢「……明夢、それ本当?」
俺がそう言った時、博麗が真剣な顔付きでこちらを見つめそう行ってきた。
明夢「あぁ、紛れも無い事実だが…」
魔理沙「マジかよ…ヤバいことになりやがった…」
一方で霧雨は顔を真っ青にして震えている。
明夢「なんだ?[ソウルドライブ]の何がヤバいんだ?」
魔理沙「そ、それはだな………」
霧雨はゆっくりと話を進め始めた。
レイ「嘘でしょ!?」
霧雨の話を聞いたオーバは焦っていた。
明夢「…そうか、それは大変だな」
レイ「明夢君はなんでそんなに冷静なの!?早く止めないと…!」
明夢「…ならオーバ、あれを見ろ。もう止めることは出来ないぞ」
俺はバトルステージの天童を指さす。
やつはもう時期アタックステップへ移行するところであった。
side change
駆「…バーストをセット。そしてアタックステップに入る。
獄炎の四魔卿ブラム・ザンドでアタッ……」
ここでやるしかないと俺がブラム・ザンドに攻撃の命令をくだそうとした時だ。突然、俺の身体が動かなくなってしまった。
まるでソウルコアをライフに置く[封印]を使った時のように…いや、それ以上かもしれないほどの拘束。
抗うことも出来ない上に声も発することも不可能な状況に陥ってしまった。
ダン「…?どうした、駆?」
動きが止まった俺を心配する弾の不安そうにしている顔がバイザーから見える。
それとは別に俺のバトルアーマーに今までに無い変化が始まる。
スーツ部分と両手のグローブがぐちゃぐちゃに変形を繰り返し、やがて俺が纏っている黒い装甲と同じ装甲に変化した。
さらに、ヘルメットのバイザーそのものも同様に変形し黒い仮面の様なものに変形する。これにより視界が遮られるかと思ったが不自由は無かった。
そしてここから封印した時と同じように装甲がスライド、展開され、全身漆黒の装甲のバトルアーマーに今までに見たことのない[レッドゴールド]の閃光が所々に刻まれ鋭い光を解き放つ。
ダン「なんだこれ…?駆、大丈夫なのか?顔を見せて答えてくれ!(いきなり駆のバトルアーマーが全身ガチガチの装甲に…それにヘルメットのバイザーも黒い仮面に変化して、仮面の隙間の赤い目が俺を射殺す様に見つめてくる。何がどうなってるのか理解出来ない…とにかく今は駆が無事なのかどうかが知りたい…!)」
バトルアーマー「ピピッ…音声システムを起動。現在のバトル状況を把握。一時中断されたバトルを再開すると同時に最適の戦術を選択、実行します」
(↑以後Battle Armor 略してBAとします)
ダン「…!?なんだよそれ…駆、答えてくれよ駆!!」
バトルアーマーに支配された俺は無理やりその身体を使われる。
そして話すことの出来ない俺の代わりにバトルアーマーの音声がバトルを進めることになってしまった。
残念だが弾の声に答えることは出来ない。
しかし、バトルアーマーに音声機能なんてあったか?無かったような気がするが…
BA「……………現在のバトル状況を把握。現在進行中のアタックステップをそのまま継続し獄炎の四魔卿ブラム・ザンドで戦闘を開始することを宣言」
バトルアーマーの命令を聞き取り、フィールドのブラム・ザンドは戦闘の態勢に入る。
BA「獄炎の四魔卿ブラム・ザンドのレベル3、4、5のアタック時効果[ソウルドライブ]を発揮」
バトルアーマーはブラム・ザンドの[ソウルドライブ]の発動を宣言した。
すると、ブラム・ザンド上のソウルコアがブラム・ザンドから離れ宙にに浮く。
BA「ソウルコアの破壊を開始」
バトルアーマーの音声と同時に右腕の装甲がぐちゃぐちゃになり変形を始める。
ここまで冷静に解説をしているのだが、実際のところ封印も無しで、起きたことの無い初めての現象が発生してるので俺は相当焦っている。
そして、変形を繰り返すバトルアーマーの右腕は巨大で黒い4本の爪を持つロボットアームの様な物に変形し宙に浮くソウルコアを鷲掴みにする。
4本の爪はソウルコアを握りつぶさんとソウルコアに力を加え続ける。やがてミシミシと鈍い音がソウルコアから聞こえ、次第にヒビが入っていき…
バキバキバギバギィィィィ!!
と音を立ててソウルコアは砕け無数の破片が飛び散る。
四方八方に砕け散った破片は赤黒い炎のエネルギーとなりバトルアーマーに吸い込まれる。
BA「ソウルコアのエネルギーを貯蔵しました。続けてアルティメットへの接続を開始しエネルギー装填を行います」
バトルアーマーの音声と共にバックパックの2つの突起から黒いチューブがブラムザンドへと
伸びて彼の胸の赤い宝石部分に接続される。
BA「エネルギー装填開始」
すると、ソウルコアのエネルギーがチューブを伝ってブラム・ザンドへ注がれていく。
と同時に俺の身体に異変が生じる。全身がじっくりと燃えるような強烈な痛みに襲われ、心臓を鷲掴みにされ握り潰されるような感覚が段々と強くなって徐々に息苦しくなってくる。
アニメでもこういう苦しい時、キャラクターは身体を転がして藻掻いたり苦しさのあまり獣の様な声を上げることがあるが俺の場合、身体を支配されているせいか、藻掻くことも声を上げることも出来ない。
この苦しみは恐らくソウルドライブを行った時の反動だろう。
封印時にバトルアーマーにソウルコアをセットした時の暖かさを入学試験の時に感じてからソウルコアで何かしらのアクションをすると身体へ何らかの影響が出るのでは?と思っていたが、まさかソウルドライブが影響するとは…そしてそれが封印時の暖かさとは逆に地獄のような痛みだとは思わなかった。
その一方でフィールドのブラム・サンドは全身に赤黒い炎を纏い始める。
演出なのかは分からないがブラム・ザンドの纏った炎は周りの温度を急激に上昇させバトルフィールドをドロドロに溶かしている。
BA「ブラム・ザンドの[ソウルドライブ]の効果、相手のスピリット全てを破壊します」
弾「何!?」
やがてブラム・ザンドは溢れんばかりの炎のエネルギーを巨大な炎球にありったけ集中させ弾のフィールドに撃ち込む。
一瞬の光が走り、観客の誰もが目をつぶったであろう。その瞬間、巨大な爆音と凄まじい衝撃が大体育館全体に響き、灼熱の炎が弾フィールドを包み込む。
弾「ぐぅぅぅ!!」
ソウルドライブの衝撃は弾にも伝わり吹き飛ばされそうになっている。
当然、その衝撃は俺も感じている。今はバトルアーマーがコントロールしているので態勢は崩れたりはしなかったが、通常時だと簡単に吹き飛びそうで大変危険だ。
そんなことよりも炎が消え焦土と化した弾のフィールドには効果対象外のアルティメット・ゾディアックとバイアーを残してピスケガレオンとヴィエルジェは跡形もなく消し飛んでいた。
ソウルコアを代償に必殺の一撃を放つ…これがソウルドライブ。火力がオーバーレイの比では無い。
BA「さらにブラム・ザンドの[ソウルドライブ]の効果により相手は次の自分のスタートステップまでスピリットの召喚は出来ません」
ダン「スピリットを全て破壊して、スピリットの召喚を封じる効果…!?
こちらのフラッシュは無い!」
BA「フラッシュタイミングの確認……フラッシュはありません」
ダン「…そのアタックはライフで受ける!」
ブラム・ザンドは左手の巨剣に赤黒い炎を纏わせ天高く振りかぶる。
そして、振り下ろされた剣は弾の展開されたシールドを一撃で粉々に粉砕した。
バリィィン!
ダン「ぐぁぁぁ…!!(な…!?身体に走る痛みがさっきより強い…これもブラム・ザンドが影響しているのか?)
弾
ライフ3→2
リザーブ4→5
BA「アタックステップを終了。エンドステップに入り、こちらのターンを終了します」
BA(駆) デッキ26→25 手札2→0
ライフ3 リザーブ1
トラッシュ8
場
獄炎の四魔卿ブラム・ザンド
LV3 BP16000 (1) 疲労
バースト
有り
手元
無し
これで俺のターンは終わりか…スピリットが召喚出来ないとはいえ弾のフィールドにはまだ2体のアルティメットが残っている…それにソウルドライブの反動がまだジリジリと残っていて息苦しい。
身体的にも場面的にも厳しいところだ。
side change
派手にやらかしてくれたな…色々と
俺は天童のバトルアーマーとブラム・ザンドを交互に見ながら心の中でそう呟いた。
早苗「い、今のがソウルドライブですか!?」
魔理沙「と、飛んでもないパワーだ…吹き飛びそうになったぜ…」
霊夢「それよりも…駆の様子がアタックステップの時点でおかしくなったの分かってるわよね?」
ソウルドライブの感想を言う2人とは違って天童の様子の変化を俺たちに確認させる博麗。
レイ「う、うん…途中で駆君の声からバトルアーマーの音声に変わっちゃったしバトルアーマーの形もいつもと違うよ」
魔理沙「ん?音声……バトルアーマーに音声機能は無いよな?」
霧雨が顔にしわを寄せ腕を組んで考え始めた。
明夢「霧雨、安心しろ。バトルアーマーにそんな機能は搭載されていない。
…しかし、これはまた新しい変化を発見した」
早苗「明夢さん、それはどういうことですか?」
魔理沙「バトルアーマーの音声機能のことか?」
俺のふとした言葉に東風谷と霧雨が反応し質問をしてきた。
早速質問に答えるとしよう。
明夢「…バトルアーマーの音声機能も十分特殊なのだが、一番の問題は天童がソウルコアをバトルアーマーにセットせずに…つまり[封印]を使っていないにも関わらず自身の身体をバトルアーマーに支配されていることだ」
俺がそういった時、博麗、霧雨、東風谷、オーバは非常に驚いた顔をした。
天童と一緒にいた時間は俺より長いはずなのに誰も知らなかったのか…
いや、この真実を天童自身話さなかったのかもしれないな。
そして俺はさっきの言葉に続けてこう言った。
明夢「…それに天童は過去に1度ソウルコアを自らのバトルアーマーにセットする効果…[封印]について俺に尋ねてきたことがある。
奴はバトルアーマーにソウルコアをセットした時に自身の身体の自由が無くなり誰かに操られると言っていた」
俺の言葉で思い出したかのように博麗が口を開いた。
霊夢「…そう言えば、初めて駆とバトルした時、あいつ[封印]を使ってた。
バトルアーマーの姿と挙動が少し変わっただけで気にしてなかったけど、まさか…」
明夢「…そのまさかだ。俺も実際、天童と対戦をし、封印時の様を見た。
通常ならその現象が起こらない筈だが、今はそれに近い状態が天童の身に起こっている」
レイ「で、でもそれは封印した時でしょ!?今の状況とはまた違う力が駆君に影響してるかもしれないし…私達じゃ判断出来ないよ!」
オーバは焦りながら反論してきた。
確かに、この時点での判断は難しい上にオーバの言う通り封印時とは違う何かが天童の身体に影響を及ぼしている可能性はゼロでは無い。
明夢「……オーバの言い分も正しい。しかし、アタックステップ前と開始時の挙動の違い、普通に話していたにも関わらず途中謎のバトルアーマーの音声機能に変化。
バトルアーマーの変形はともかく、これだけでも乗っ取られた可能性は高いと思われる」
と俺はオーバにそう言った。だがこの現象の原因については大半の察しがついている。
それを今ここで言う訳にはいかない。
早苗「なら、バトルが終わったら駆さんに尋ねてみましょう…そしたら分かるのではないかと…」
魔理沙「本人に聞くのが一番だな」
霊夢「駆の変化にビックリしたけど…まずはこの対戦を見届けましょう。話は…そこからね」
side change
ダン「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、リフレッシュステップ、メインステップ」
弾 デッキ9→8 手札4→5
リザーブ5→13 Sコア
スピリットの召喚が出来なくなった今、弾のアルティメット・ゾディアックの機能はほぼ停止したも同然。
弾の手札は5枚、そのうち1枚が灼熱の谷…か。
ダン「(駆の身に何が起こったのかはあいつ自身に聞かないと分からない…まずはこの現状を何とかしなくては…!スピリットを召喚は出来なくても俺にはまだ希望がある!)アルティメット・ゾディアック、並びにバイアーにレベルが最大になるようにコアを置く。
よってアルティメット・ゾディアック、バイアーにそれぞれ4個、追加する。
そして3コスト赤1軽減2コストでネクサス、灼熱の谷を配置!」
再び弾のフィールドにマグマ迸る谷が現れた。
デッキの残りが厳しい状況でドローソースネクサスはデッキアウトを招くかもしれない。
手札とライフに余裕があってもメインステップに突入した時点でデッキ枚数が0になったら元も子もない。
…彼も賭けている。この勝負、もうすぐ終わりを迎えるような気がする。
ダン「いくぞ!アタックステップ!!」
To be continued……
次回予告
ソウルドライブの反動と奇妙な変化を遂げたバトルアーマーは俺の身体を蝕むかのように負荷をかけていく。そして俺と弾、互いに余裕が無くなった今、ついに戦いは終わりの兆しを見せた。
次回、バトルスピリッツ 欠落
Turn-29 ブレイヴ✕サバイブ
……最後にバトルステージで立っているのは1人だけだ。