誰か助けて・・・(涙) 作: 芝
という事で、この話からは本当の意味での最新話です。
前回から読んでいただいていた方々、お待たせいたしました。
今回はクスリと笑う部分も無いですが、お楽しみください。
朝になり、太陽の光が窓から入ってきた。
その光を感知しすぐさま起床。俺は寝起きは良い方である。
起きてすぐに外に出て、身震いして鳥肌がたった。忘れてたここ寒冷地だった!
部屋に戻りコートを着て出る。
昨日の夜とは違い、太陽の光で眩く光る雪と木々に、目を細めた。こんなのが見れるのも此処だけだろう。
ザクザクと遠くから足音が聞こえた。
ん? 誰だ?
そちらへ向くと、ガムート装備を着た一人の男が歩いてきていた。
その男は少し見上げてしまわないといけない程の、そしてガムート装備という着込む装備であるのに、自分から見てもわかるほど盛り上がっている筋肉が、その場にいるだけで周りへと威圧し、下位ハンターであれば立っている事が厳しいほどの圧力を出していた。
「ん、おお、こんな所に人がいるとは。珍しいこともあるものだな」
歩いて着ていたその男は、何かを探して歩いてきていたのか、今になってこちらを見、そう言った。
「ええ、昨日くらいに此処に着きまして。それで、貴方は?」
「俺はポッケ村で専属ハンターをしていた、バルテだ」
・・・あ。
「この辺りであるハンターを探していてな。昨日には村に着くはずだったんだが、まだ来ていないため、付近で捜索している」
「・・・あの、そのハンターはマフモフ装備で、片手剣を持った少女ですか?」
「ああ、そうだが・・・見たのか?」
少しこちらへ目を向けてくる。装備の厳つさに眼光の鋭さ、上からの視線と体が放つ威圧感が凄い。
・・・ミラ様たちに比べたらマシだが。
「その娘ならこちらに。ついて来てください」
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彼に事情を話した。
その上で眠っているハンターを確認してもらった。
「そうか。モンスターに襲われる直前だったのか。・・・助けていただき、感謝する」
律儀に頭を下げている彼は、2Gにおいて、重要な人物である。多分この人がいなければ、フィールドで狩りを行う事が非常に不便だったであろう。
まあ、これは後で説明しよう。
「それで、どうしますか? 貴方も乗っていきますか?」
「・・・そうだな。お言葉に甘えさせて頂こう」
彼と朝食をすませ、出発した。
暇を潰すためにも村の事を聞くと、彼は快く話してくれた。
フラヒヤ山脈(雪山)の近くにある村で、辺りは基本的に雪で囲まれているらしい。
が、ポッケ村には温泉が湧いていて、地面自体がほんのり暖かく、雪で完全に閉ざされることはないらしい。
農場が近くにあったり、氷で閉ざされた洞窟もあるらしい。
やっぱり、ゲーム時代とほとんど変わらない。
けど、聞いてみて、村人達がどのように生活しているのかなど。ゲーム時代に見る事も、聞くこともなかった事を詳しく教えてくれた。
雪が多いから氷結晶を買わなくても、野菜や肉などが腐りにくい、だとか。
ハンターと村人で一緒に雪かきをしたり。
温泉に仲間と共に浸かり、月を見ながら酒を飲んだり。
ゲーム時代にはない、暖かみを感じた。
彼も村が好きなのだろうと、聞いている内に分かってしまうくらいに。
そうして数時間後
「さあ、着いたぞ。此処が、ポッケ村だ」
着いた場所から、村を見る。
村の上から来たため、村を見下ろす形になったが、それはゲームの初期。あの懐かしい場面を思い出した。
最初、操作キャラを自宅から出した際、村を斜め上から写した状態で、手前から奥の方まで写す。
アイルーを紹介してくれる猫婆。
武具の売り買いから素材を使った武具を造る鍛冶屋。
回復薬や各種ドリンク、砥石に弾に矢を売ってくれる店主。
友達と狩るためにも欠かせないギルド、その入り口。
奥にある岩の近くには、コートを着たアイルーが立っていて。
そして、焚き火の近く、一人座り、ジッとしているお婆さん。
ああ、この光景を見るのが何年ぶりか。
もう、数えられないくらい昔の事だった。
けど、何故か、これを言わないとと思った。
久しぶり。そしてただいま、ポッケ村。
最後の方の文章、書いていて泣きそうになりました。
ポッケ村、懐かしい。