世界の調節者、運命の世界で   作:ROT

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最近前書きと後書きが丁寧な言葉遣いから砕けた敬語になりかけている事に気が付いたROTです。

今回はいろいろな事が起こるのでお楽しみにしてください。



死にゆく運命と罰

イシュタルが怒り狂ってしまい天牛をウルクに放つ。

ギルガメッシュとエルキドゥはすぐさま天牛を絶命させた。

それでも被害が大きくでてしまった、荒れた大地にひどい死を遂げてしまったウルクの民。

アリアはその混乱の中でも子供たちを安全な場所である彼女の固有結界に避難させ、ただただその出来事を見守るがその表情は険しいものだった。

彼女は世界の調節者として人や神の領域に踏み込まないが大きすぎるバランスブレイクをするものは人でも神でもあっても罰する権利を持つ調節者。今回の事件で大きく世界のバランスが崩れたことによってアリアはイシュタルが完璧に敵となった。ギルガメッシュやエルキドゥも欲を行動に移し世界のバランスを崩すが、世界の道理にそったバランスの崩し方であるため、アリアは簡単に調節できる。こういうバランスの崩れ方はいろんなところにあるので起こる必用がない。しかも今回の事件でできたバランスブレイクはアリア自身を犠牲にしないといけないほどくずれていたのである。その事に気づいた彼女は死を覚悟をして子供たちとエルキドゥに粘土板で遺言を書いた。そして彼女はその夜、死に向かう恐怖と子供たちの残していくのが無念でしょうがないと泣いた。

 

 

その次の日、固有結界の中で過ごしていた元気いっぱいの双子を現世に連れ出し、遺言である粘土板を渡そうとしたらいきなりギルガメッシュがアリアの工房に現れた。なんでこのタイミングでと思った彼女だがエルキドゥが死に絶えそうだと聞いてしまい、双子を担いで王宮へ急いだ。

 

王宮の中で日の当たりのいい部屋にある寝床に見知った人がいたがその姿はいつもの笑顔がなく顔色がひどかった。

アリアは言葉を失い、双子は泣きそうになった。ギルガメッシュはアリアにどうしてエルキドゥが死に至ろうとするのか話した。

神々の会議で理不尽にもエルキドゥに死ぬように仕向けたのだ。そのことを聞いたア彼女は行動を開始した。まずギルガメッシュにいろんな話をしはじめる。

 

 

アリア「王様、お願いがあります。子供たちを今日からここに住まわせてください。」

 

ギル「今はそれどころではない! わが盟友が死に至ろうとしておるのだ!」

 

アリア「私がエルキドゥの命を救います。」

 

ギル「!!」

 

とアリアはギルの返事を聞かずエルキドゥの元へ。苦しそうな顔をするエルキドゥの手をやさしく握り歌を歌う。アリアは「歌の癒し手」。その力は死に至ろうとも問答無用に命を癒す。じりじりと強制的に命を削っていた力を取っ払い、歌の力でエルキドゥの中身を作り替える。できるだけ人間に近い構造に、神々がエルキドゥに手が出されないようにした。

この荒業を出来るのは皮肉だがエルキドゥが兵器、つまり生きた武器である事によって出来るのであった。

その様子を双子と一緒に見守るしかなかったギルガメッシュだがエルキドゥの顔色がよくなっていくので感激で泣きそうになった。双子もエルキドゥがよくなっているのをみて喜んで泣いてしまいそうになったギルガメッシュ。

でも神によって作られたエルキドゥを癒したアリアの顔色が少し悪くなっていた。その事に気が付いたギルが双子にばれないように話しかけた。

 

ギル「貴様、顔色が...」

 

アリア「王様、聞いてください。私は今からこの世界を好き放題した神を罰します。そして今回の事件で大きく崩れたバランスを直します。」

 

ギルは最近アリア、いやエアはなぜふらりと戦場跡地や森の中で歌っているのか彼の千里眼で少しづつわかりつつあった。彼女はもしかすると神よりも重大な力を持ちやり通しているのかもしれないと。それを知っていたがなぜいきなり双子を王宮に住まわせたいと思っていたのか疑問に思ったギルは聞いた。

 

 

「なぜ、子供たちを王宮に暮らせといった? その世界の亀裂がどうお前に影響をうけるのだ?」

 

 

エアは答えた。

 

 

「...私は力尽きて死ぬでしょう。」

 

 

その答えにギルが唖然とした。エアは答えの補足を募った。

 

 

「今回の亀裂は放っておくと世界が壊れるほどバランスが崩れてしまったのです。私はこの世界の調節者としてこれほどまでバランスブレイクした神を罰し、この命尽きても調節しないといけないのです。」

 

 

言葉をしっかり言っていたエアだが表情は険しく不安と恐怖でいっぱいであった。ギルは止めた。他に方法があるはずだ!宝物庫の中にそれらしいものを探そうとかいろいろ提案した。だがエアは首を横に振るだけ。

 

 

愛している女を死なせたくない王は焦る。だがエアは震えた手でギルガメッシュの手を自身の両手で握った。エアから彼に触れるのはもう何年も前であった。エアは正直ギルが好きではない。でも子供たちの為に彼女は言った。

 

「英雄王、ギルガメッシュ様。あなた様なら世界の亀裂が今どのようになっているのか見えるはずです。」

 

そう言ったらエアの震えは止まり、恐怖と不安しかなかった表情が穏やかになった。

 

ギルは周りを見渡した。少しづつガラスに亀裂が入っているような線があちこちウルクを中心とした処から広がっている所をみた。

 

「この亀裂は責任を持って世界の調節者である私、『アリア』がバランスを整えさせていただきます。だからどうか子供達をお願いできますか?」

 

穏やかながら強い意志を持って覚悟を伝えたアリアに反対できなかったギル。

 

「許可する...アリア、貴様の愛し子達は責任をもって我が愛し子達を愛し、育てる。」

 

その言葉を聞いたアリアは涙を流した。そして固有結界から巨大な粘土板と膨大な武器をギルに託した。そのあと、子供たちの元へ行った。

 

 

エルキドゥのそばにいる双子の元へ行ったアリアは子供たちを抱きしめた。いきなりのことであったがうれしそうに声を上げる双子。それでまた泣きそうになるアリアだが必死にこらえる。

 

「二人ともお母さまのこと聞いて。今から私はこの世界...いいえ、あなたたちを守るために死にに行くわ。」

 

行き成りの宣告に子供たちは泣きそうになるが彼らの母は何者であるのか小さいころから教えた。時代も時代で簡単に人が死ぬ世界であるから子供たちも知っているからこそアリアは簡単に言えた。でもだからこんなセリフを言いたくなかった彼女だったが無責任な希望を持たせたくなかったアリアが子供たちを抱きしめる力を強め続けた。

 

「これからギルガメッシュ様とエルキドゥの所へ住みなさい。彼らはあなたたちを託せるいい大人よ。」

 

「わかった。」

 

「でもお母さま...」

 

「なあに?」

 

 

「「行かないで!!」」

 

 

双子は自分の母親が自分たちをしっかり一人の人間として接しているのを知っているがまだ子供である彼らは母親が死んでしまうのを認められない。その言葉でアリアはないてしまう。

 

 

思いっきり泣いた三人は少しすっきりした顔になった。双子は二人で目を合わせたと思ったら声をそろえて聞いてみた。

 

「「僕たちの父親だれですか?」」

 

アリアは静かにギルガメッシュを見ました。静かに見守っていた彼はうなづいた。

 

「この国を治めている英雄であり唯一無二の王様でもあるギルガメッシュ様があなたたちの父親。」

 

というと子供たちはギルを見た。彼は子供たちと目が合うと無言でうなずいた。その様子をみたアリアは双子の肩に両手で握った。

 

「これから死にゆく母を許して。そしてお父様であるギルガメッシュ様と私たちの友であるエルキドゥと仲良く、そして強く生きてね。」

 

「「うん!」」

 

アリアがそう言って二人を力いっぱい抱きしめた。

 

そして先ほどまで死にかけていたエルキドゥのそばに寄った。

 

「エルキドゥ。あなたは泥からできた命、でも私があなたの中をいじくりまわしたから神に縛られない子になったわ。これからも子供達と仲良くしてくれたらうれしいわ...あなたに会えてうれしかったわ。」

 

短い言葉で別れを告げたアリアは双子にエルキドゥのそばに離れないようにお願いした。子供たちは素直に聞いて彼のそばにいた。

 

 

別れをすんだアリアはギルガメッシュにお別れを告げようと思っていたが、彼はこの地を治めるものとして見守りたいとアリアに言った。最初はいやいやであったがギルガメッシュの押しでしぶしぶ了解して彼と一緒に王宮の天井へと向かった。アリアは天井に着いたらギルガメッシュに少し離れているようにと願い王様はそれを受け入れた。

 

 

 

 

 

 

それを見届けた彼女は一回深呼吸した後、ふいんきが変わった。

 

 

『神代に住神々の者よ!!! 聞け!!!』

 

 

そういった瞬間、世界が変わり彼女の目の前にはふわりと先ほどまでエルキドゥが息を吹き返すというあり得ない事で混乱していた。その中に当然のようにイシュタルもいた。

 

『今回、ウルクで起こったことにより亀裂が入った!!』

 

行き成りの事で神々はなぜ人間が偉そうに言っているんだろうと見下していた。それを気にせずアリアは言葉を続ける。

 

 

『納得していようがなかろうがこれを見よ!!』

 

といつの間にかに持っていた大きな鏡のようなものを持ち神々に見せた。

 

鏡がうつしたものはウルクを中心に神々が住まう所まで亀裂が入っていた光景だった。神々はそれに驚いた。

 

『この亀裂は貴様らに直せるようなものでもない。私しかできないことだ。』

 

万能であるといわれている神々にはっきりとできないといわれ文句を言ったり呪いをつけようとするがアリアの一睨みで怖気づいてしまう神々。

 

『私はこの世界の主に頼まれた人間でも神でもない存在である世界の調節者の一人である。放っておけばすぐにでもこの世界は滅ぶが、私の命尽きるまでバランスを調節できれば助かる。』

 

そういったアリアの顔はつらく当たるような表情だ。傲慢な神々はなんだだったら勝手にやれと言っていたが一部の神は何となくアリアがなぜ神々に強制的にこの場をもうけたのがわかった。

 

『そして今回貴様らにこの場を設けたのは一つだ。大きな亀裂を作った者に罰を与えるためだ。』

 

 

罰を与えると聞いた神々は馬鹿にしているのかと聞く。だがアリアは低く恐ろしい声で言った。

 

『貴様らが何をしたか忘れたのか? 普段は私はこんな表舞台に出ないし大体のバランスは整えられるので貴様らの前に出ない。だが今回の事件では神の所為でこんなことが起こっている。これをどう責任を取らせる? まさか加護やらなにやらをくれてやるなどいうなよ? 今から私は死にいくんだからな?』

 

彼女の魔力、別の何かの力で神々は黙った。その中で反省していないイシュタルは言った。

 

「あんたみたいなやつに罰を与えられても何にも思わないわ。」

 

よっぽど自身があるそれを聞いたアリアは無表情であった顔から眼だけ笑っていないニヤァと恐ろしいともいえる表情になった。

 

『ほう? ならば罰を受ける最初の愚か者はあなたですね。』

 

といったのと同時に今以上の魔力がアリアからあふれて歌い始めた。

 

歌を歌い始めたアリアに神々は何をしているのか疑問に思っていたが歌声は美しいが重々しい声、歌詞をちゃんと聞くとイシュタルが何をもって罪を持っているか歌っていた。

 

 

そして今回やらかしたイシュタルにどのような罰を与えるか歌っていたその歌が終わりに近づくたび細い鎖がイシュタルに巻き付き、太くなっていく。そして神としての力を制限されていく。それを感じたイシュタルは叫んだ

 

 

 

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめていやああああああ!!!!」

 

 

 

間近で見ていた神々も顔色が悪くなっていく。ギルガメッシュは何も言わずただ見守る。

 

歌が終るとアリアは神様に向けてお辞儀をした。まるでご清聴ありがとうございましたっと言っているような態度。だが彼女の歌は神をも逃すことのない罰を与える事ができたのだ。なぜならイシュタルはこれから百年から二百年の間何も手に入れられず大地に、いま生きているウルクの民に大いなる加護を与え続けろという罰をアリアは命じたのだ。その事実に神々は目の前の女が怖くなった。イシュタルは何度も罰の証である枷や鎖を外そうとしたり暴れるが取れない。

 

 

『私が死んでも貴様は逃れられない。むしろ優しい罰でよかったのではないか。本当は貴様の存在すべてを否定され少しづつ消される罰も考えていたのだから。』

 

 

神々は悟ってしまった。

 

 

“この亀裂がもっとひどかったらもっと重い罰を我々に向かっていた”

と...

イシュタルもその事に気づいてしまい泣いた。自分がしてしまった事がどれほど恐ろしいことなのかと。イシュタルが泣いてしまい彼女を慰めようとした連中はアリアの睨みでおとなしくなった。自分に罰が来ると思ってしまい何もできなくなっていた神々を黙らせたアリア。

 

『次、このような事態を起こしたら赤子の姿であろうと貴様らの目の前に現れ今度こそ貴様らという存在を消す。』

 

今から死にゆく人のセリフではない神にとって恐ろしい言葉をもらってしまった神々、アリアは強制的に空間を閉じた。今までの成り行きを見ていたギルガメッシュはアリアのそばに寄った。その理由は彼女の体調を確かめるためである、アリアは少し息を乱していて顔色が若干悪かったが踏ん張った。

 

アリアはギルガメッシュにお礼を言った。そして彼にこれから歌うのは世界の亀裂を直し調節するといった。それは即ち、死にゆくという意味だ。ギルガメッシュは心が痛んだ。

 

 

アリアは最後まで見届ける必要なないと言っていたがギルガメッシュは人と世界を見定める者として彼女を見届けたかった、そして結ばれることが無くなってしまったが愛する女を最後まで見守りたかったのだ。そのやさしさは生前から英霊になってもアリアだけ。

 

そんな彼の覚悟を、やさしさを見たアリアはそのやさしさだけ受け取り、お礼として三か所にキスをした。

 

 

彼が行く道に祝福が訪れるようにと額に。

 

彼の今まで頑張りに親愛を込めて頬に。

 

そして尊愛を込めて手の甲に。

 

 

ギルガメッシュはアリアから初めてキスされた事にとても動揺していた。だが、その動揺を気にしないアリアは彼に向かって

 

 

「さようなら、私の愛しかった人よ。」

 

 

といい笑った。そのほほえみはとても美しくはかないものだった。

 

その美しいものを手に入れたくなったギルガメッシュだが手に入らない宝物であると知る。

 

アリアは空に向かって歌い始める。

 

その歌は今までの歌より旋律が美しくはかなくすべてを包みこむような歌であった。

 

 

ギルガメッシュはその歌を聞き世界の亀裂が癒され調節されてゆくのを見届けていた。

彼だけではない、この世界のすべてのモノがアリアの歌声を聞いていた。

 

草木は歌の風に揺られて、獣は眠りにつきながら、人はその歌声に奪われながら、神は恐れながら聴いていた。

 

 

歌は終わりに差し掛かるとアリアはふらふらと踊るように揺れていた。ギルガメッシュは彼女を支えるように抱きしめた。彼女の体は異常に冷たく屍のようだった。だがアリアは歌い続ける。ギルガメッシュは止めない。

 

そして歌い終わったアリアはギルガメッシュに抱かれながら死んだ。




これでウルク編が終わりました。主人公のアリアはお亡くなりなられましたがまだまだ彼女の物語は終わりません次はどの時代のどの国でアリアは過ごし世界をみまもるのでしょうか。

しばらく更新予定が不定期になるのでゆっくりお待ちくださいね。
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