IFのマガツヒ   作:早起き三文

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第16話 「ヨヨギ公園のピクシー」

「くっ……」

 

 赤根沢玲子は痛む頭を押さえながら。

 

「地震……?」

 

 暗い場所の、周囲の状況を確かめようとする。

 

「確か、あたしは……」

 

 狭間君、彼と自分の「母親」と話し合っている時に地響きが起こり、そして……

 

「ここは、どこ?」

 

 かすかな灯りがあるだけで薄暗い、広い公園のような場所、確かここは。

 

「ヨヨギ公園、かしら」

 

 全く確証はないが病院から近い、大きな公園と言うとここしか心当たりがない。

 

「……助けて!!」

「え?」

「助けて!!」

 

 ヒュウ……

 

小妖精、そうとしかいいようがない小さい人影が、その背に生やした昆虫の様な翅で玲子の背後にと隠れる。

 

「助けて、マジやばい!!」

「ヤバイって……」

「ほら、来た……!!」

 

 グミャア!!

 

 その時、巨大な粘性の生物が玲子達にと襲いかかってきた。

 

「ひゃあ!?」

 

 思わず情けない声を出してしまう赤根沢、しかし人が持つ恐怖心に襲われないのは。

 

――今日から君は、悪魔にあるんだ――

――え?――

 

 金髪の少年から昆虫のようなモノを受け取り。

 

「ガァア!!」

「えいや!!」

 

 ボフゥ!!

 

 その直後に、このような怪物に襲われた経験があり、今のように火炎で撃退した記憶があるからであろう。

 

「あのときの化け物……!!」

 

 しかし、一回の異形との遭遇でここまでの心構えが出来るということは。この赤根沢という少女は。

 

「覚悟なさい、化け物!!」

「やっちゃえ、お姉ちゃん!!」

 

 かなり、胆力がある証である。

 

 ドゥ!!

 

 二回目の焔、それが怪物を襲い。

 

「グル、ル……」

 

 戦意を喪失した怪物が、そのまますごすごと公園の中へと戻っていく。

 

「すごいー、お姉ちゃん!!」

「怪我はない、あなた?」

「かすり傷だけど、自分で治したから」

「そう……」

 

 そう言いながら、赤根沢は周囲の様子をまたしても確かめようとする。

 

「お姉ちゃん、どこからきたの?」

「それは……」

「?」

「解らない」

 

 その言葉を聞いて、小妖精はその瞳を大きく見開く。

 

「もしかして、記憶喪失ってやつ?」

「そうかも……」

「かっこいー!!」

 

 クルゥ……

 

 困り顔の赤根沢をよそに、その彼女の回りをクルリと回る小妖精。

 

「あたし、ピクシー!!」

「ピクシー?」

「種族名、まあ猫や犬みたいな感じの名前だけどね!!」

 

 ク、ルゥ……

 

「いいわ、あたしお姉ちゃん気に入った」

「そ、そう?」

「あたしがここらへん、ボルテクス界を案内してあげる」

「ボルテクス界?」

「そっ!!」

 

 そう一方的に言った後に、小妖精ピクシーは。

 

「まずは、シブヤに行きましょ!!」

「シブヤ、ねぇ……」

「その紅い色のストライプ、あまりセンスがよくないから」

「紅いストライプ、そんなのが付いてるの、あたしに?」

「クッキリとね!!」

 

 そう言いながら、小妖精は。

 

「早く、早くぅ」

「ちょ、ちょっとまってよお嬢ちゃん!!」

「ピクシーでいいわ!!」

「待って、ピクシー!!」

 

 赤根沢を待たずに、そのまま公園の外へと出ていった。

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