「くっ……」
赤根沢玲子は痛む頭を押さえながら。
「地震……?」
暗い場所の、周囲の状況を確かめようとする。
「確か、あたしは……」
狭間君、彼と自分の「母親」と話し合っている時に地響きが起こり、そして……
「ここは、どこ?」
かすかな灯りがあるだけで薄暗い、広い公園のような場所、確かここは。
「ヨヨギ公園、かしら」
全く確証はないが病院から近い、大きな公園と言うとここしか心当たりがない。
「……助けて!!」
「え?」
「助けて!!」
ヒュウ……
小妖精、そうとしかいいようがない小さい人影が、その背に生やした昆虫の様な翅で玲子の背後にと隠れる。
「助けて、マジやばい!!」
「ヤバイって……」
「ほら、来た……!!」
グミャア!!
その時、巨大な粘性の生物が玲子達にと襲いかかってきた。
「ひゃあ!?」
思わず情けない声を出してしまう赤根沢、しかし人が持つ恐怖心に襲われないのは。
――今日から君は、悪魔にあるんだ――
――え?――
金髪の少年から昆虫のようなモノを受け取り。
「ガァア!!」
「えいや!!」
ボフゥ!!
その直後に、このような怪物に襲われた経験があり、今のように火炎で撃退した記憶があるからであろう。
「あのときの化け物……!!」
しかし、一回の異形との遭遇でここまでの心構えが出来るということは。この赤根沢という少女は。
「覚悟なさい、化け物!!」
「やっちゃえ、お姉ちゃん!!」
かなり、胆力がある証である。
ドゥ!!
二回目の焔、それが怪物を襲い。
「グル、ル……」
戦意を喪失した怪物が、そのまますごすごと公園の中へと戻っていく。
「すごいー、お姉ちゃん!!」
「怪我はない、あなた?」
「かすり傷だけど、自分で治したから」
「そう……」
そう言いながら、赤根沢は周囲の様子をまたしても確かめようとする。
「お姉ちゃん、どこからきたの?」
「それは……」
「?」
「解らない」
その言葉を聞いて、小妖精はその瞳を大きく見開く。
「もしかして、記憶喪失ってやつ?」
「そうかも……」
「かっこいー!!」
クルゥ……
困り顔の赤根沢をよそに、その彼女の回りをクルリと回る小妖精。
「あたし、ピクシー!!」
「ピクシー?」
「種族名、まあ猫や犬みたいな感じの名前だけどね!!」
ク、ルゥ……
「いいわ、あたしお姉ちゃん気に入った」
「そ、そう?」
「あたしがここらへん、ボルテクス界を案内してあげる」
「ボルテクス界?」
「そっ!!」
そう一方的に言った後に、小妖精ピクシーは。
「まずは、シブヤに行きましょ!!」
「シブヤ、ねぇ……」
「その紅い色のストライプ、あまりセンスがよくないから」
「紅いストライプ、そんなのが付いてるの、あたしに?」
「クッキリとね!!」
そう言いながら、小妖精は。
「早く、早くぅ」
「ちょ、ちょっとまってよお嬢ちゃん!!」
「ピクシーでいいわ!!」
「待って、ピクシー!!」
赤根沢を待たずに、そのまま公園の外へと出ていった。