IFのマガツヒ   作:早起き三文

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第7話 「エリゴール招来」

  

「先生、餓鬼達は任せます」

「おう、任されて狭間偉出夫君」

「何か、大物が来そうだ!!」

 

 バリ、バッ!!

 

 プラズマ消去兵器により餓鬼達を殲滅している大月をよそに、狭間偉出夫は破壊された魔方陣へとその視線をむけ続ける。

 

 グゥン……

 

 空間が歪み、その合間から一匹の騎士風の異形がその姿を顕し始めた。

 

「我は……」

 

 その赤い鎧に身を包んだ騎士は、乗り込んだ馬を引きながら、その槍を偉出夫達へと向ける。

 

「エリゴール、戦を司りし堕天をせし者、悪魔なり」

 

 ブルルゥ……!!

 

 馬の鳴き声、そしてその赤き騎士の口調から、彼がこの召喚に大きな不満を持っていることは明らかであるようにみうけられる。

 

「何用だ、人間よ!!」

「そのまま帰還せよ、悪魔エリゴール」

「何だと!?」

 

 キィン!!

 

 地面へと、赤騎士の騎乗槍が強く食い込む。

 

「呼び出しておきながら、拙者にたいするその無礼!!」

「偶然だ、呼び出したのは!!」

「許してはおけぬ!!」

 

 ヒッ、ヒィーン!!

 

 逞しい軍馬が大きくいななき、その上へと跨がる騎士が狭間の方向へとその槍を差し向けた。

 

「血をもって、あがなってもらおうか!!」

「くそ、プラズマ吸引装置がパンクしそうだ!!」

 

 餓鬼達を消去していた大月先生の機械が破裂寸前なのを見やり、狭間は。

 

「ここは僕に任せてもらおう」

「しかし!!」

「足手まといだ、大月先生は」

 

 ガォン!!

 

そういいながら、狭間は胸の中のホルスターから大口径の拳銃を取りだし、その銃口を異形の者へと向ける。

 

「早く、大月先生!!」

「わかった……」

 

 教師として生徒を見捨てるのは気が引けるが、確かに今ここに自分がいても役にたたない。

 

「黒井君の様子でも確かめに行くよ」

「先生、急いで!!」

 

 ガァン!!

 

「デザートイーグル」を安定した姿勢で放ち続ける狭間偉出夫、大口径拳銃だというのに、その発射体勢にはブレがなく、安定したものだ。

 

「ちっ、効かないか!!」

 

 その隙に、教師大月はその場から離れようと歩を進める。

 

「そのようなパチンコ玉、拙者には効かぬ!!」

 

 エリゴールは乗馬へと拍車をかけ、その異形が行うチャージ攻撃に対して狭間偉出夫は。

 

「対、防御障壁……!!」

 

 物理関係の攻撃をすべからず跳ね返す防御壁を張ろうと、その身を身構える。しかし。

 

「くそ、消耗が大きい……!!」

「見かけ倒しか、小わっぱ!!」

 

 儀式によるマグネタイト流出が激しく、その防御障壁を張るのに集中が出来ない。エリゴールのランス突撃は直ぐ間近まで迫っている。

 

 パカラァ!!

 

「串刺しにしてくれるわ!!」

「くっ!!」

 

 人外の技が使えぬとあれば、天才少年といえども単なる一般人に過ぎない、思わず死を覚悟した狭間であったが。

 

 バァン!!

 

「な、何!?」

 

 いずこからか防御障壁が発動し、そのエリゴールの一撃を撥ね飛ばす。

 

「おのれぇ……!!」

「誰か、他にいるのか!?」

「小わっぱごぁ!!」

 

 完全に頭へ血が昇ったとみえる「悪魔」を見て、狭間はかえって自分が冷静さを取り戻しつつあることを実感している。

 

「堕天せしもの、エリゴール!!」

 

 バリィ、バ……

 

「アマテラのマグネタイトを持ち、汝を滅ぼす!!」

 

 電光が狭間の手のひらからほとばしり、その攻撃が悪魔「エリゴール」へとさらなる追撃を与える。

 

「ぐわぁ!!」

 

 先程の自らの攻撃を跳ね返されたのに加えて、金属製の鎧を疾る電流の痛みにより。

 

「お、おのれぇ!!」

 

 悪魔はその身をよじらせながら、紅きマグネタイトをあたかも血のようにほとばしさせた。

 

 カァン!!

 

「くぅ!!」

「この獣の瞳、貴様に耐えられるか!!」

 

 今度は狭間がその身をよじらせる番だ、乗馬から放たれた眼光により、狭間の身が凍りつく。

 

「いけません!!」

 

 ガ、サァ!!

 

 先程まで草むらへと隠れていた五森婦人が、その眼光に対して毅然とした態度を示し、その歩みをエリゴールへと向かわせる。

 

「中年の女、人の身ではないな……!!」

 

 そう呟きながらも、未だに眼光から回復が出来ない狭間は先の対物理障壁の事を思い出した。

 

「そうか、この女のしわざか……!!」

「退きなさい、エリゴール」

 

 その威厳のある声に対しても、エリゴールは鼻を一つ鳴らしたのみ。

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