ペロロンチーノの冒険   作:kirishima13

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第6話 ロリコンモノは危険が危ない

―――王都郊外の村

 

 

 ペロロンチーノとシャルティアの二人は、八本指の施設の一つの警護として雇われていた。冒険者としての仕事である。

 

「しかし、八本指は意外と良い人たちだったな」

「そうでありんすねぇ、あの王女は何か誤解していたようでありんす」

 

 あの後、早速八本指に乗り込んだペロロンチーノ達であったが、そこで聞いた話はまったく別のものであった。八本指は言わば商会であるらしい。実際に様々な施設があり、商品を卸したり、仕事を請け負ったりしている。麻薬を流行らせているというのも実際は重病人や怪我人痛みを和らげるための治療用の麻薬であるということだ。

 さらに六指という警備のトップ、ゼロと言う男に会ったところ、二人で乗り込んできたところを気に入られ、仕事を頼まれこうして働いているのであった。直接八本指に入ったわけではなく、村の警護依頼を冒険者組合に出したものを引き受けたというのが現状だ。

 

「報酬もなかなかよかったな。それに仕事が終わったらいい店を紹介してくれるそうだ」

「いい店でありんすか?」

「すんごい店だそうだ、楽しみだな」

「ところでわらわたちはいつまでここにいればいいんでありんすか?」

 

 ペロロンチーノ達は今、ある村の畑に立っていた。なんでも村の畑を襲う者がいるというのだ。それどころか村ごと焼かれた場所もあるらしい。

 

「まったく、お百姓さんが一生懸命作った作物を焼くとか許せないな。もしかしてこの間女の子を斬りつけてた兵士もその仲間とかじゃないのか?」

「人でありんすかね?」

「火を吐くモンスターの可能性もあるな」

「ドラゴンでありんすかね。暇なやつもいるもんでありんす」

 

 二人には何の警戒感もない。ドラゴンは確かに強敵だが勝てないというわけではない。もちろん強大なドラゴンはいるが高速移動に優れたペロロンチーノと転移を使えるシャルティアであれば撤退は余裕だ。

 

 その時突如人の気配がし、ペロロンチーノの影から姿を現す。そして背後から首筋にナイフが突きたてられた。

 

「誰だ?」

 

 ペロロンチーノの手にはナイフが握られている。振り返ることもなく受け切ったのだ。慌てて影が飛び、距離をとる。

 

「防がれた。ただ者じゃない」

「女忍者か?なかなかエロくていいが、今のは俺を確実に殺そうとした一撃だったな。こいつらか?畑荒らしは。人殺しまでするとか相当の悪党だな」

「おうおう、麻薬畑に荒らすも何もねえだろ」

 

 そう言って出てきたのはまるでマッチョな男のような筋肉を身にまとった女戦士だ。鎧に身を固め、巨大なウォーピックを持ってる。

 

「女忍者はいいが、うーん、ガテン系かぁ・・・・・・ガッツ・・・・・・うーん。駄目だ俺には。いや、それが悪いわけじゃなくこれは好みの問題だが・・・・・・ドンマイ!」

「なんか知らねえがムカつくぞこの野郎」

「油断しちゃダメ」

 

 もう一人女忍者が現れる。先ほどの女忍者と同じ顔で、さらに同じような露出の多い恰好をしていた。

 

「まったくその通り。油断は禁物だ。だが、急がなければならないのも事実だ。さっさとやるぞ」

 

 今度は仮面とローブで全身をつつんだ女だ。奇妙な、そして幼い声だけが彼女が女であることを証明している。

 

「ちょっと待って、この人達冒険者よ。ほら、プレートを付けてる」

 

 鎧に身を包み、背中に複数の空中に浮いた剣を漂わせたブロンドの女が現れた。鎧を付けているというのに見えるところは見えている。

 

「女騎士キター」

「さっきから何をいっているんだこいつは」

「ちょっと黙ってて、イビル・・・・・・は言っちゃだめね、んん。ねぇ、あなたたちはここで何をしているの?」

「何って畑の警護の依頼を受けた冒険者だ。だから案山子よりは働かなきゃならない」

「畑って・・・・・・ここが何なのか分かってないの?」

「なにとは?」

「ここは麻薬畑なのよ!こんなところは焼いたほうが世の中のためなの」

「は?それが犯罪なら司法の手に委ねればいいじゃないか。なんで焼くって発想になるんだ?お前たちは犯罪者の家を見つけたら放火するのか?」

「え?」

「麻薬だろうが何だろうが、法に則ることなくそれを村ごと焼き払うとかお前たちのほうが悪党だろう」

「それは仕方ないの!こうしないと貴族の横やりで潰されるの!それにそこに生えてるのは麻薬なのよ!」

「治療用の麻薬と聞いている。それにこれは冒険者組合が請け負った正式な依頼だ」

「私たちを信じて!」

「人を殺そうとしたやつを信じろと?」

 

 そういって女忍者から奪ったナイフをクルリと回す。

 

「言っても無駄だ!さっさとやってしまうぞ」

「ちょっと待って」

「いや、こっちもそのほうがいい。そうそう、自己紹介しておこう。俺の名はペロロンチーノ。名前も言えない畑荒らしさん」

「シャルティアでありんす。短い間ですがよしなに」

 

 二人が優雅に一礼をする。

 

「ふざけるな!我々がどんな気持ちでこんなことをやっていると思っている!」

 

 そう言って飛行(フライ)で飛び上がる仮面の魔法詠唱者。そして問答無用で魔法を唱える。

 

水晶騎士槍(クリスタルランス)

 

 水晶で出来た魔法の槍が男を襲う・・・・・・が、そこには既に誰もいなかった。

 

「へー、見たことのない魔法だなー」

 

 いつのまにか空中のイビルアイの後ろに男がいる。そしてその手にはイビルアイの仮面が握られている。仮面の下に幼いが整った顔が現れた。

 

「あら、かわいい」

「な、なんだと?どうやって後ろに回り込んだ!飛行(フライ)でそこまでのスピードは不可能なはず!」

「ふふっ、ペロロンチーノ様に空中戦を挑もうとは無謀でありんすえ」

「しかし、仮面が取れただと?盗賊職でもないのに。これは・・・・・・。それにその赤い目と牙は・・・・・・ヴァンパイアか?」

「・・・・・・ヴァンパイアで悪いか」

「別に可愛ければいいと思います。むしろ良いと思います」

「くっ、仮面を返せ!《結晶散弾(シャドー・バックショット)》」

「おっと。こいつももらっておくかな」

 

 水晶の散弾をものともせず、そう言って、次は水晶で出来た杖が奪われる。

 

「おお、盗れる、盗れる」

 

 ユグドラシルでは相手の装備は盗賊職が能力で盗むか、相手を倒した時にドロップする一部アイテムのみであった。この世界では倒せばすべて奪える。そう思うと暗い喜びを覚えるのであった。

 

「シャルティア!」

「はいな!」

 二人でアイコンタクトを送る。そしてペロロンチーノはイビルアイの両手を掴む。

 

「く、離せ!この・・・・・・」

 

 しかし、続いて両足をシャルティアが掴む。

 

「行くぞ、せーの」

 

 ペロロンチーノがローブを、シャルティアが服を順番に引っぺがした。残ったのは哀れ下着のみとなったイビルアイ(ロリ)であった。胸にはさらしを撒き、下着はなぜか黒い大人びたものである。

 

「ぎゃーーーーーーーーーーー!」

 

 剥かれたイビルアイは急いで飛行(フライ)により一番体の大きいガガーランの背中に隠れ真っ赤になって丸くなる。

 

「な、なななな、なにをするだー!」

 

「ペロロンチーノ様、下着もやってしまうでありんすか?」

 

 シャルティアが舌なめずりをする。

 

「み、見るなー!こっちを見るなー!」

「駄目だ、シャルティア。YES!ロリータ NO!タッチ」

「いえす・・・・・・なんでありんすか?」

「ロリは愛でるものであって触ったりしてはいけないというありがたい言葉だ」

「なるほど」

「だ、だれがロリかー!」

 

「おいおい、やべーぞこいつら」

「なんかうちのちっこいのが可愛い・・・・・・」

「うん、可愛い」

 

 双子の忍者がなんだか喜んでいる。

 

「ちょっとあなたたちふざけないで!」

「よし、次はあのエロ忍者たちだ」

「かしこまりんした、ペロロンチーノ様」

 

 武器を、そして防具を剥がされていく。空中を地上を自在に滑空し、翻弄される。スピードには自信のあるティアとティナであったが、体が追い付かない。しかし、シャルティアに装備を剥がされるティナはなぜか幸せそうであった。

 

「さて、あとは女戦士と女騎士の二人だけか」

「一人は女・・・・・・なんでありんしょうか?」

「なぁ、こいつら本当に(アイアン)級の冒険者かよ」

「もしかして彼らがあなたたちが言ってた《変態》じゃないの?」

「変態?いやぁ」

 

 照れるペロロンチーノ。悪名高い《変態》であれば本気でやるしかあるまい。ラキュースは観念して切り札を出す。

 

「唸れ魔剣!キリネイラム!超技・暗黒刃超弩級衝撃波奥義!(ダークメアインパクト)

 

 ラキュースの剣から巨大な暗黒球体が放出される。ラキュース最強の必殺技だ。ガガーラン曰く、ラキュースが本気を出せば街一つを飲み込むという。だが、その暗黒球がペロロンチーノの体に触れるがさしてダメージを食らっていないようだった。

 

「うそ・・・・・・」

「リーダーの必殺技でもダメージなしかよ」

「これは闇属性の剣でありんすか?わらわが触れても壊れないとは中々でありんすね」

 

 ラキュースの隣に剣を奪ったシャルティアが立っている。

 

「や、やめろ!そいつを手放したらこいつの闇が暴走するぞ!」

「なに?その剣にそんな能力が?」

「ああ、いつか言っていたんだ。己の中の闇の人格ことを」

「ちょっ!大丈夫だから!黙ってて!お願い!」

「お、おう」

 

 真っ赤になるラキュースだが、無垢なる白雪、ネズミの速さの外套、浮遊する剣群

次々と装備が奪われていく。そして白い細かな刺繍が施されたレースの下着一枚の姿へと変わった。ラキュースは腕や手で体を少しでも隠し頬を染めるが、相手をキッと見つめる。

 

「さぁて、次はどうしてやろうかな。この悪党め」

「くっ、殺せ!例え私の体を自由にしようと心まで自由にできると思わないで!」

 

 《変態》たちの動きが止まった。どうしたというのだろう。何か琴線に触れるような言葉を言ったのだろうか。

 

「さて、十分あそ・・・・・・楽しんだし。この辺にしておくか。さて、お前たちの雇い主・・・・・・いや、飼い主に伝えろ。このあたりで騒ぎを起こすな、でないとお前のところまでエロを伝えに行くとな」

「分かりました・・・・・・伝えます。でもこれだけは言わせてもらうわ。私たちの雇い主は本当に心が優しくて、人々の痛みが分かる方です。決して私利私欲のために私たちを雇ったわけではないの」

「おい、俺はまだ剥かれてない・・・・・・」

「いいから、もう帰るから服を返してくれ・・・・・・」

 

 ガガーランの言葉を遮り、イビルアイが涙目で真っ赤になりながら懇願する。

 

「駄目だね。これはあとで使って楽し・・・・・・証拠物件として没収する。それに畑荒らしに武器を返すやつがいるか」

「おい、今使って楽しむっていったか!?何に使うつもりだ!」

「言ってない」

「みんな、撤退よ!ここは撤退します!」

「くそ!覚えてろ!」

「お、おい先に行くな、いろいろ見えてしまう!」

「またね変態」

「じゃあね」

 

 ラキュース達とともに逃げ去っていく中、ガガーランがつぶやいた。

 

「なんで、俺は剥かれないんだよ・・・・・・」


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