ログ・ホライズン “円卓の従者たち” 作:よなみん/こなみん
投稿大分遅くなりました。申し訳ございません!
こんな作者ですが、よろしくお願い致します!
「お久しぶりです。玲音くん」
低く、自分とは違う少し老いた声に内心少しビビってしまうが、玲音はあくまでも冷静を装い、声のした方へと顔を向ける。そこには、D.D.Dのギルドマスター、〈狂戦士〉クラスティ、が眼鏡をかけ直して立っていた。
高山三佐と、リーゼがクラスティの道を空ける。空いた道をクラスティは悠然と、そして玲音に向け、ゆっくりと歩いていく。こちらまで来たあとは、玲音の手元にある手紙を颯爽と取る。
「宛名は私なんですがね。なぜ読んでいたのですか?」
「差出人ぐらい見とけ」
「・・・」
差出人を見たクラスティは何故か深く考え込んでしまう。玲音はアイテムの整理だけすると、一枚の書類を取り出して、高山三佐に手渡す。
高山三佐とリーゼが必死に出ていこうとする玲音を引き留めようとするが、さっさと玲音は出て行ってしまう。
「
「ふん・・・これはちょっと難問かもしれないな、リーゼ、玲音くんを追ってくれるかい?」
「了解しました!お任せを!」
即答で応えると、リーゼはそのまま玲音を追って行ってしまう。高山三佐とクラスティは、玲音が渡した手紙を見て、悩んでいた。
◇
D.D.Dのギルドホールを後にし、玲音は廃ビルの一角。その地下にあるゾーンに来ていた。
誰もいない店内に入り、何かを探すように辺りを見渡す。この店舗ゾーンは、生産系ギルド〈アメノマ〉の売り場で、その証拠として、店内には多くの武器が展示、販売されていた。
が、玲音が探しているのはそんな
「いらっしゃい・・・」
突然声が聞こえ、そちらに振り返る。
そこには、シロエさんとパーティーを組んだ時にいた〈
彼女の種族は玲音やそのアカツキ、そして直継のヒューマン族とは違う種族、ドワーフ族だった。
とは言っても、ドワーフ族は生産系ギルドや、生産職には持ってこいの種族だった。エルフや、ハーフアルヴ、そしてヒューマンなどと言った、万能族とは違い、ドワーフ族はいくつかの生産職に有益な種族固有能力があるために、生産系ギルドには稀に見かける種族である。
彼女の名は
「久しぶり。担当直入だけど、武器の強化って頼める?」
「うん。お金は・・・後払いか」
「になるな。今ちょっと追われてるから」
玲音の耳で、炎の翼が玲音に警告音を鳴らす。
アイテム名は〈炎蝶の双飾り〉、効果は高レベルの奇襲警戒と、自分から半径20メートルまでの範囲で人を可視化させるアイテムであった。壁があっても、範囲に入っていれば可視化されてしまう、奇襲を警戒するのにはうってつけのアイテムであった。
多々良は短く「わかった」とだけ告げると、玲音からアイテムを徴収し、再び店の奥へと姿を消してしまう。その間に玲音は支払いの準備をする。とは言っても、ただの取引みたいな感じだった。
彼女が欲しいものをあげ、その変わりとして玲音の武器を強化してもらう。まさにギブアンドテイクである。
「・・・結構近くまで来てるか・・・リーゼさんかな」
アイテムの反応から、大体誰が来るかなんてのは予想出来た。というか最近追ってくるのはメンバーが限られる。
と言ってもアイテムの強化をしてもらってる以上は玲音はここから動けない。もちろん、向こうも分かってる。だから、あえてこっちまで来ず、外の待っているのだろうか。
数分待つと、店の奥から多々良が姿を表す、ゴーグルといつもの手袋をはめたまま、玲音の武器を持って出てくる。
「終わった」
「ありがと、んじゃ、アイテムは置いといたから」
「まいど」
そそくさとアイテムを取ると、店を後にするが、当然。入り口にはD.D.D、リーゼが待っていることだろう。だから・・・
「行くぜっ」
玲音は意気込むと、指を鳴らして弓を取り出す。
ゾーン内で、戦闘を行えばそれこそ衛兵が飛んでくるが、玲音の場合は戦闘をするために取り出した訳では無い。もちろん。脅しでもない。ではどうするか
玲音は外へ出ると同時に、リーゼの声が耳に入るが、弓を引き、矢をゾーン内の木に命中させると、そのまま飛んでいくようにリーゼたちの上を通過していく。
「レオせんぱーい!」
「はぁ・・・まぁ、冷徹軍師に呼ばれた時から予想はしてたけど・・・ユズコさん。これどうするんです?」
「追いますよー?」
「うぇーい」
リーゼの後ろにいた、〈
多々良は店内からその光景を覗き、呆れた顔で戻って行った。
円卓の輪。それは玲音たちの知らないところで回り始めていた。
◇
玲音は街の真ん中まで行くと、何故かお祭り騒ぎのような声が聞こえ始める。それは真ん中に行くにつれて大きくなっていた。
玲音はその原因が気になり、ついつい声の聞こえる方へと出てしまう。・・・そこには
「いらっしゃい〜って!レオ坊!」
「ぶへっ」
そこにはお見事なファミレス店員の服を着て何か勧誘をしていた〈三日月同盟〉のギルドマスター。マリエールが立っていた。その奥にはちらっと同ギルドのセララさんが見えていた。
もちろん。似合っていた。似合ってはいたが・・・なんだこれは。
軽食屋だろうか。そんな感じのお店を背景に、マリエール・・・ではなく。〈三日月同盟〉のメンバーが軽く説明しながらギルドホールへと連れていってくれる。
「それでなんですよ!にゃん太さんのレシピを元にやろうって!」
話はこうだった。恐らくシロエだろうか。会計のヘンリエッタにクエストを頼んだらしく。そのために必要だとマリエールが無理を通したらしい。
と言っても話を聞く限り簡単な手品だった。〈料理人〉のスキル持ちの職人が、その料理のレシピ通りの料理をすればいいということだった。
と言っても、やはりレベルの概念はあるらしく、その料理をするレベルに達しなかった場合、失敗するらしいが・・・
(ハンバーガーはエルダーテイルの仕様にはなかった・・・のか?オリジナルだからなのかな)
「玲音くん。久しぶり」
「どうもシロさん」
と、ブツブツ言ってるうちに等の本人であるシロエさんが来たようだ。
シロエさんはいつものローブ〈星辰の霊衣〉を見に纏い、落ち着いた顔立ちで椅子に座る。
「それで・・・って、大体要件は分かってるけどね」
1人で納得したシロエは、〈
「・・・円卓会議・・・」
渡されたその紙には、〈アキバの街〉の自治についてと法律について色々と書かれていた。歳のいかない玲音では、半分の意味は理解しかねたが、大体のことは理解出来た。
これに関しては、玲音にも思うところがあった。恐らく〈エッゾ帝国〉で起きた事のことを言っているのだろう。
しかし、やるにしてはまだ実効性がない。
まずは戦闘力のことだ。これをもし、シロエや〈三日月同盟〉の面々でやろうとしているなら、全然足りない。
治安維持をするのなら・・・
「治安維持するなら。戦力がひつようじゃありません?」
「そうなんだよね。だから・・・」
「〈D.D.D〉とかに送ったんですよね?手紙を」
その答えに予想外の反応を見せたシロエに、玲音はニヤニヤした顔で腕を組んでいた。