The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題)   作:十五夜の月

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短いよ~・・・



VS脳無!!終

 

 

 

 

 

 雄英の教師陣は皆、次から次へと舞い込む仕事に追われていた。

 生徒の安否確認、怪我人の確認、治療、警察への連絡と話し合い。それらを終えてもまた直ぐに別の仕事が舞い込んでくる。

 

 そんな騒々しい職員室から少し離れた小部屋。

 静かだが、どこか重苦しいような雰囲気を感じさせる。

 

「生徒で怪我をしたのは緑谷と拳獣だけだ。いずれも軽傷・・・」

 

「軽傷・・・ですか?」

 

「まぁ、アンタの話が本当なのなら拳獣の方は重傷のはずだったんだけどね、オールマイト?」

 

「・・・えぇ、緑谷少年の話では腹部に大きな傷を負っていたと」

 

 リカバリーガールの問い掛けにオールマイトは緑谷に聞いた通りの事を話す。観察と分析、緑谷のそれに関しては変態と言えるほどにレベルが高い。

 故に間違いは無いとオールマイトは思っている。

 そして、それを聞いたリカバリーガールは納得したかのように頷いた。

 

「軽傷は軽傷。しかし、それは治ってきていたからという事かい?」

 

 今まで黙っていた人物ーーー否、ネズミーーーが立ち上がって再確認してきた。

 ネズミであるが、その正体は雄英高校の校長である。

 

「傷口を見る限りはそうとしか言えないね」

 

「しかし、彼の個性は増強型では?」

 

「今は分からない。本人が何か隠しているのか、それとも単に増強型由来の物なのか。どちらにせよ、調べる必要があるかもしれない」

 

 校長の表情はどこか険しさを感じさせる。

 考えている事はガロウの個性の事だけではないようだ。

 

「オールマイト、君の話を聞く限りでは拳獣くんは戦いを楽しんでたって?」

 

「はい、嬉々として向かって行きました。私の制止を聞かずに・・・笑みまで浮かべて」

 

「もしかしたら、満足出来る相手が居なかったからかも知れないね」

 

「図抜けた才能故に・・・ですか?」

 

 校長は首を縦に振り肯定する。

 入学試験や個性把握テストの結果からも分かっていたが、拳獣の力量は飛び抜けている。

 

「同じクラスで推薦入学の轟くんや、入学試験で二位の爆豪くんも目を見張るほどの才能の持ち主さ!

  けど、それでも彼は余裕でその上をいっている」

 

 正直不安なのさ、と校長は呟く。

 

「自身の隣や前に立つ存在が無いと言うことは、慢心や油断、それらを引き起こすという事だね」

 

「その通り!」

 

 言葉の続きを変わりに口に出したリカバリーガールに校長は頷いた。

 

「増長した力が理由で道を踏み外すものも少なくは無い。だから僕達が彼の様な子を導いて行くのさ!」

 

 根津校長の宣言にオールマイトは力強く頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◎

 

 

 

 

「おい・・・話が違ったぞ、先生!」

 

 ボゥッ、とモニターの光が朧気に照らす暗い部屋に死柄木の怒声が響く。

 しかし、モニターの中から帰ってきた言葉は死柄木の怒りなど知りもしない様な声だった。

 

『ふふふ、失敗は成功の母だよ?弔』

 

「失敗以前の問題だ!あんたが寄越した脳無だって糞の役にもたたなかった!!」

 

『なに?ワシと先生の共同で作った対オールマイトの脳無だぞ?』

 

「何が対オールマイトだ!?

  ガキ一人にやられたんだぞ!?」

 

『ガキ・・・雄英高校の生徒にやられたということかい?』

 

「そうだ、あのガキ!アイツさえ居なけりゃ・・・」

 

 クソがぁ!!と再度、死柄木は自分と黒霧しか居ない部屋に怒声を響かせる。

 モニター越しに男は死柄木の言葉に対して少しばかりの驚きを感じた。

 ドクターの言う通り、アレは対オールマイト用に作った一級品だ。例え相性が良かろうが悪かろうが生徒などに倒される程に弱いはずがない。

 

『それも含めてだよ、弔。今回は僕らの考えが甘かったようだ。

 

 だが、この程度でめげてはいけないよ。君には才能がある。それこそ、僕を超えるほどのね』

 

 優しく言い聞かせるように語る。

 

『今は牙を磨く時だ。近い将来、平和の象徴を打ち倒すためにね』

 

 言葉を区切り、ニヤリと笑んだ。

 

 

 

 

 

 ◎

 

 

 

「どう思う?ドクター」

 

「有り得ん・・・と言いたいのが山々だが・・・」

 

「つまり、あの話を信用すると?」

 

 男は楽しそうに意地の悪い笑みを浮かべながら話しかける。

 

「そういう言い方は止してくれ先生。返答に困る」

 

「ふふふ、済まない。この性格はどうしようもなくてね」

 

 目や鼻といった通常の人間なら持っている顔面のパーツが欠陥している男は、残っている口だけで喜びに似た気持ちを表す。

 

「ワシと先生の共同制作。・・・一介の生徒に壊されたと聞けば否定したくなる気持ちも分かると思うが?」

 

「確かに、ドクターの言う通りだ。僕もアレを甘く作ったつもりは欠片もなかった」

 

 だとするならば、死柄木の言っていた生徒の個性が余程素晴らしかったのか、はたまた地力が抜きん出ていたのか。若しくは、その両方か。

 前者なら非常に欲しいものだ。

 

「どちらにせよ、非常に興味を唆られる」

 

「はぁ、また悪い癖だな。先生」

 

「仕方が無いさ、そういう個性なんだから」

 

 

 巨悪は笑む。闇の中で。

 

 

 

 

 

 

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