The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題)   作:十五夜の月

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うわぁ・・・すっごい久しぶりに投稿した気がする。
気付かないうちに色んな人に読んで貰えてて、感想も貰えて、頑張らないとな!
よし、新刊も発売されたし早速買いに行ってこよ。


第一種目!!

 

 

 

『群がれマスメディア!!今年もお前らが大好きな催し物!

  雄英体育祭が始まるぞ!!』

 

 プレゼント・マイクのアナウンスが響き、次いで観客達の熱狂的な歓声。

 本日は雄英体育祭。

 天気は晴れ、絶好の体育祭日和である。

 開会前から熱気溢れる会場の裏ではこのビッグイベントに挑む生徒達が緊張と共にまだかまだか、と待ち構えている。

 

「みんなぁ!しっかり整列するんだ!!」

 

「飯田の奴はいつも通りだな」

 

「いや、若干緊張してるみたいだぞ?声がちょっと上擦ってた」

 

「ほんとかよガロウ?耳いいな!」

 

 緊張を隠すように話す上鳴にそもそも緊張していないガロウが返す。無駄口を叩いてるのがバレて飯田の声が直ぐに飛んできた。

 

『どうせテメーらこいつらだろ!?

  一年にしてヴィランの襲撃を乗り超えた奇跡の新星!』

 

 さぁ、入場だ。

 

『一年!!ヒーロー科だろぉ!!?』

 

 紹介と共に入場、瞬間、けたたましい歓声とカメラのフラッシュが入場した生徒達を叩く。殆どの生徒がそれに呑まれている。

 

「鬱陶しい・・・」

 

 ただ一人、ガロウだけは誰とも違い煩わしげだった。

 暫くして生徒全員が整列し、満を持して壇上に上がったのはなんと18禁ヒーロー、ミッドナイト。

 

「18禁ヒーローが高校に居ていいのか?」

 

「いいに決まってんだろ、常闇!!」

 

「峰田くん!開会式中だぞ、静かにしたまえ!!」

 

「A組、そこ。煩いわよ!」

 

 常闇の呟きに叫ぶように否定する峰田、それに注意する飯田達を一喝しつつも壇上に立つミッドナイトは開会式を進める。

 

「選手宣誓!一年A組、拳獣 ガロウ!!」

 

 名を呼ばれて壇上に向かう。

 普通なら選手宣誓などある程度決まっている文をつらつらと読み上げるだけで終わるのだが、ガロウにそんな事をするつもりは毛程もない。

 

「今日、一学年の頂点が決まる。

  が、誰もそこにたどり着けはしない」

 

 一拍。

 

「俺が立っている、弱いやつに興味はねぇ。覚悟のある奴だけ取りに来い、頂点を!」

 

「「何で煽ってんだよ!!」」

 

 切島と上鳴、二人の突っ込みに続く様に整列している生徒達からブーイングの嵐が飛び交うが、ガロウは挑発が上手くいったことに笑みを浮かべる。

 

「拳獣くん!!選手宣誓であんなこと言うなんて、何を考えてるんだ君は!!」

 

「別にいいだろ?周りを見ろよ、一層やる気が深まったみたいだぜ?」

 

「な、成程、皆のやる気を出させる為か」

 

 列に戻る時に叱責して来る飯田のことは適当に丸め込む。相変わらず、ちょろい。

 が、約一名涙目になりながら訴えて来た、峰田が。

 

「どーすんだよ拳獣!!お前だけじゃなくて、A組自体にヘイト集まりまくりじゃんかよ!!」

 

「気にすんな、勝てばいいんだよ」

 

「・・・ふん」

 

 もはや悲痛とも言えなくも無い峰田の叫びを、当たり前であるかのように切って捨てたガロウ。その言葉を聞き、同意するかのように爆豪が小さく鼻を鳴らした。

 

「さーて、それじゃあ早速第一種目の発表と行きましょうか!毎年、ここで多くの者が涙を飲むわ!

 私は知ってるけど、第一種目は何かしら?

 言ってる傍から・・・今年はこれよ!!」

 

 ミッドナイトが示したディスプレイに映っていたのは障害物競走の文字。

 

「スタジアムの外周、約4キロのコースを一年全員で競う大規模障害物競走よ!コースを守っていれば何をしてもOK!!

 早速始めるから、生徒達は準備をなさい!!」

 

 

 

 ◎

 

 

 

 

 スタート位置に向かう中、ガロウは呼び止められた。振り返って見るとそこには轟が何か決意をした顔で立っていた。

 

「どした轟?」

 

「・・・緑谷にも言ったんだが、俺はお前に勝つぞ、拳獣。

 だから、全力で戦えよ」

 

 短く言い切るとガロウを置いてスタート位置に向かってゆく。

 しかし、その清々しい決意とは違い、余裕のない目をしているのをガロウは見逃さなかった。

 

「・・・全力、ね」

 

 一年全員がスタート位置につく。

 

「出すとしても、それは最終種目だ」

 

 スタートのランプが灯った。

 

『スタァーーートォ!!!!』

 

 生徒全体が動き出す。

 しかし、スタートの出口は狭いので必然的に起こる、押し合い。

 人混みで詰まっているのを呆れ返って見つめていたガロウは前方から自身が居る後方へと流れてくる冷気を感じ、ある確信とともに跳び上がった。

 

「冷たっ!!」

「なんだよこれ!?」

「動けねぇ!」

 

 天井に指をめり込ませながら下を見れば多くの生徒の足が氷漬けにされていた。

 確認しなくてもこれが誰の仕業なのかなどすぐに分かる。最初から有象無象をふるい落としに来たようだ。

 

「こっちとしてもそれは願ったり叶ったりだ」

 

 急ぐことなく動くことの出来ない人の合間を縫い歩き、スタートラインを越える。もう既に動ける生徒達は遥か前方を走ってるようだ。

 

『こいつは意外!拳獣、まだスタートしてなかったのかよ!?全員もう第一関門に差し掛かってんぞ?』

 

『何を企んでる?』

 

 ガロウの取れる選択肢は幾つかある。

 全員をごぼう抜きにして一位に出るのも良いし、適当に流して次の種目に進出するのも良い。

 どうするか考えつつ、暫く走ると直ぐに第一関門らしきものが見えて来た。入試の時に壊しまくった大量のロボット、大きいのも小さいのも居る。

 

「・・・何人かはもう通り過ぎてるな」

 

 頭上から振り下ろされる巨大ロボットの腕を避け、駆け登る。頭部部分に到着すると思いっきり殴りつけ、一撃で沈黙させながら第二関門に向かう。

 ここで躓いている程度ならば観察する意味もないだろう。既に半数以上の生徒は先に進んでいるのだから。

 

『流石の拳獣!あっという間に巨大仮想敵を無力化しちまいやがった!!』

 

『相変わらずの戦闘センスだな』

 

『てかなんであの高さから飛び降りて大丈夫なんだ?普通なら足の骨砕けるぞ?』

 

『グロいこと言うんじゃねえよ』

 

 聞こえてくるプレゼントマイクと相澤の声を完全に無視して走れば第二関門である綱渡りが直ぐに見えて来た。

 

「あれ?何でガロウ?」

 

「見当たらないと思ってたら、先頭グループに居たんじゃなくって後ろにいたのかよ!?」

 

 瀬呂と上鳴が驚きの声を上げる。それに反応するかの様に何人かがガロウに視線を向けたが本人は気にしない。

 

「観察してた」

 

「「タチわりぃ!?」」

 

「ばーか、情報収集は知らない奴と戦う時の常識だ」

 

 恐らく現在第二関門にいるもの達の何人かが次の種目に進める最終ラインだろう。

 

「まぁ、観察はここからがメインだけどな」

 

「どういう事だ?」

 

「第一関門で実力のない奴らが殆ど落ちてるだろ?ここからは粒揃いだ、ある程度な」

 

「・・・言い方、容赦ないな」

 

「事実だ、先行くぞ」

 

 走り、そして跳ぶ。

 暫く宙を舞っていたガロウは数秒の後、何人かが慎重に渡っている綱の上に立って着地。

 人ひとりが突然一本しかない綱に着地したのだから当然揺れる。結果、着地した綱に残っているのはガロウ一人。

 更に綱の張力を利用してより一層高く跳躍、一気に広い足場にと降り立った。

 

『WOW!!なんつーこった、拳獣のヤロー一瞬で中間ポイントまで到達しやがった!

  あ、けど何人かが巻き添えに・・・』

 

『仕方ないな・・・』

 

 少しでも余裕があれば綱にしがみついてガロウの巻き添えを食わずとも良かったであろう。だがもちろん彼らにそんな余裕などあるはずも無い。

 不安定な一本の綱を渡るのに精一杯の集中力を使っていたのだ。

 着地したガロウの体全体に再び視線が打ち付けられる。驚き、戸惑い、そういった感情が込められている。

 

「あれ、拳獣!?」

 

 呆気にとられた様な表情で、拳藤も此方を見てるのにガロウは気付いた。

 

「あぁ、お前もここに居たのか」

 

「随分なことしたみたいだね」

 

「そうでも無ぇ、先行くぞ」

 

 再び駆け出し、再び跳ぶ。

 綱の上を走り、そして跳ぶ。

 後ろや横に意識を傾けて見れば、空中を動くことができる個性を持つ者や、立体的な起動が可能な個性を持つ瀬呂などは追いつき、追い越そうと食らいついてくる。

 ガロウは笑みを深めた。退屈しのぎになるかどうかも心配だったが、なかなか楽しくなってきそうだ。

 その中で一際目を引く存在が居た。あの日、教室まで来て宣戦布告をしてきた普通科の生徒ーーーがおんぶをされながら綱を渡っている。おんぶをしてる奴を殴りながら。

 

「・・・面白いな」

 

 最後の綱を渡りきり第二の関門を突破。

 僅かに進んだ所で微かな音が聞こえてきた。何かが爆発する音が連続的に聞こえる。それと同時に開けた道と立ち上る砂塵、そしてかなり前方に、ゴールがある。

 

『さぁ!後続も続々と地雷原の怒りのアフガンに集まってきたな!!

 轟と爆豪は結構前で争ってるけど、一位目指して気張れや!たまご共!!』

 

 確かにかなり前には爆炎と砕ける氷が見える。あそこに爆豪と轟が居る。

 

「取り敢えず、三、四位くらいでいいか」

 

 僅かな起伏や土の色の違いで地面のどこに地雷が埋められてるか、観察眼の優れているガロウに取ってそれを見つけるのは難しいことではない。

 地雷を踏まぬように慎重に進む者がほとんどの中で、全くスピードを落とすことなく、一切の地雷を爆発させることなく進んでいくその姿は目立つ。

 それを真似して地雷を気にせずに駆け抜けようとする者達もいるが、いくらか進んだところで体勢が崩れて失速。

 

『拳獣の奴スゲーな!ここ地雷原だぜ!?』

『一瞬でよく地雷の場所を見極めてるな』

『つーか、ごぼう抜きで三位まで上がってきてるし!?』

 

 特に障害もなく爆豪と轟から少し離れた後方、三位の位置へと着く。ゴールまでは100メートルを切った時だった。

 突然、爆音と爆風が自身の背を強く叩いた。

 反射的に後ろを見れば、爆煙、そして爆風でゴールに向かって飛んで行く金属片とそれに乗っかっている緑谷が居る。

 

「へぇ、面白い事を考える」

 

 しかし、頭上を飛んでいった緑谷は一瞬だけ爆豪と轟を追い抜くも、失速し再び追い抜かれそうになる。が、三人の間でもう一度爆発が起こった。

 妨害と加速。

 この二つの出来事が同時に起きた時点で、もはや確定した。

 

『さァさァ!序盤の展開から誰がコレを予想できた!?

 今一番にスタジアムに帰ってきたその男・・・

 緑谷出久の存在を!!』

 

 歓声で溢れる中を緑谷に続き、轟、爆豪、そしてガロウがゴールをくぐる。

 

「っく・・・・・・」

「・・・くそ・・・!!くそがっ・・・!!」

 

 悔しそうな表情をする二人の横を首を回しながらガロウは通り過ぎる。

 

「いやぁ、良い準備運動にはなったな」

 

 ここで一位を狙うのも良かったが、思っていた以上に先頭争いを眺めているのが楽しかった為、水を差す行為は控えた。

 後続が続々と帰って来ており、ある程度の順位が分かってくる。次の種目に何名進むかは分からないが、四位ならば問題無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






まだ先にはなるけど、ガロウとステインの出会う所を考えてニヤやけつつも書いてます。
・・・うん、頑張ろう。
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