The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題) 作:十五夜の月
けど、まだ活躍はしません!!
それから都合上、青山と発目は第二種目に進出が出来てませんのでご了承ください!
「予選通過の42名が出揃ったわね!
まだ見せ場もあるから、落ちちゃった人も安心なさい!」
会場のざわつきからして、恐らくはここからがメインになってくるだろう。全員の前に立ったミッドナイトが声を張り上げながら説明を始める。次に行われる種目が何になるのか、殆どの者が緊張した面持ちだ。
「次からいよいよ本戦よ!!
ここからは取材陣も白熱してくるよ!キバリなさい!!」
確かに観客席の方を見てみれば決まった所にカメラや機材を担いだ集団が居る。相澤が言っていた通り相当な数のマスコミが来ているらしい。プロのヒーローになる前から自分自身の手の内を晒す事になるかもしれないと、ガロウは軽くため息を吐く。
こういう所の危機管理は相澤の様に固くはないらしい。
「さーて、第二種目よ!!
言ってるそばから、コレよ!!」
ディスプレイに映されたのは騎馬戦の文字。
二、三人でチームを組み、先程の第一種目での順位に応じたポイントの合計を奪い合うらしい。順位が高いものになるほどポイントが多くなる。
そして第一種目で一位になった緑谷に与えられたポイントが破格の、1000万ポイント。
「い、1000万ポイント・・・」
「うわぁ・・・災難だな、緑谷」
取り敢えず頑張れよ、と肩を叩いてやったが反応がない。まるで屍の様だ。
周りには緑谷を獲物の様に見つめるクラスメイト達。いや、クラスメイトに留まらず第二種目に進出した全員が緑谷に視線を注いでる。当たり前のことだが、狙われるだろう。
「上を行くものには更なる受難を。Plus ultraの精神よ!!気張りなさいな!」
告げられると同時に各々が動き出す。と言っても第二種目に残っている生徒達はその殆どがA組とB組のみなので、基本的にはクラスメイト同士で組む者達ばかりだ。
どうやら早め早めに行動しなければ、組みたいものとは組めなくなりそうだ。ならば、行動するのであれば早くするしかない。
「つー訳で、どうだ常闇?」
「拳獣か・・・俺は構わん。理由がしっかりとしてるのであれば」
「なら、問題ねぇな」
互いの目標を確認するかのように、固く握手を交わす。常闇の個性であれば、一人であったとしても広範囲の攻防、索敵も可能。
「あと最低でも一人は必要だが、宛はあるのか?」
「考えてはある」
目的の人物に指を向ければ、常闇もその指先を追うように向け二人のクラスメイトを確認した。
「麗日、緑谷、組まないか?」
「え?」
「け、拳獣くんと、常闇くん!?」
急に声を掛けられた麗日と緑谷の二人は、明らかに驚いていた。まさか、声を掛けられるとは思ってなかったのだろう。
「もしかして嫌か?」
「い、嫌じゃないよ!というか、願ったり叶ったりというか・・・」
一瞬だけ断られるかと思ったが、その心配も杞憂だった。しかし、緑谷は何故自身なのかと疑問を口にした。
「ハッキリ言えば麗日の個性で機動力を底上げしようと思っててな。まぁ、緑谷のポイントを保持し続けて勝つってのもありだと思ってな」
「な、なるほど」
「策士だな」
全員から狙われるとしても、とにかく合計のポイントとしては緑谷のお陰で有利。麗日を加えた事で機動力の確保も、常闇を加えた事で中、遠距離の対応も索敵も出来る。
完璧とは言えずとも、布陣は整った。後は勝つのみである。
◎
『さぁ起きろイレイザー!15分の作戦タイムを経て、12組の騎馬が並び立った!!』
『・・・面白ぇ組が揃ってるな』
緑谷チーム
・拳獣・緑谷・麗日・常闇
爆豪チーム
・爆豪・切島・芦戸・瀬呂
轟チーム
・轟・飯田・八百万・上鳴
葉隠チーム
・葉隠・耳郎・口田・砂藤
峰田チーム
・峰田・蛙吹・障子
鉄哲チーム
・鉄哲・骨抜・泡瀬・塩崎
物間チーム
・物間・円場・回原・黒色
拳藤チーム
・拳藤・小森・取蔭・柳
鱗チーム
・鱗・宍田
小大チーム
・小大・凡戸・吹出
角取チーム
・角取・鎌切
心操チーム
・心操・庄田・尾白・
『よォーし組み終わったな!!?いくぜ!!
残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』
プレゼントマイクの声がスピーカーを通してカウントを進めていく度に、ステージ上の熱気が高まってゆく。
やはりと言うべきか殆どの視線が此方に向けられている。速攻で此方に攻めてくるつもりだろう。
「準備はいいか?緑谷」
騎手となった緑谷に問いかけてみれば、僅かに緊張しているのが伝わってくるが気合いの入った良い返事が返ってきた。
「何時でも行けるよ、拳獣くん!」
「ならやるか・・・勝ち上がるぞ!!」
「よろしく!!」
いよいよ、合戦の火蓋が切られる。
『START!!!!』
声と同時にいきなり二組の騎馬が迫ってくるが、予想していたことである。焦る必要すらない。
「頼むぞ、麗日」
「うん!!」
重力による枷が消失し、全力で跳躍した。地にクモの巣上のヒビを入れる程のガロウの脚力は麗日一人分の体重など感じさせぬ、誰の手も届かない大跳躍で迫っていた騎馬を跳び越えた。
やがて重力に従い落下していく中、ガロウは眼下に居る爆豪チームの騎馬を見据えた。
「肩借りるぜ、爆豪」
「あ?うごっ!?」
地面に着地することなく爆豪の肩に短く着地し再び跳び、他の騎馬から離れた場所に今度こそ着地した。
「あの、割れ髪ヤロォォオオ!!!!」
「落ち着け爆豪!って、来てるぞ騎馬!」
「GAAHHHH!!」
「聞けよ!!」
後ろから聞こえる怒りに震える爆豪の声など気にしない。怒るだけ怒って、冷静さを欠けばいい。足元を掬われればそれだけでライバルが減る。
「な、なんだろう。拳獣くんが凄く悪い顔をしている気がする」
「黒き笑み」
横目でディスプレイに映る現在のランクを見てみれば、意外な驚きが起こった。上位のほとんどをB組が占めている。
しかも、案の定ではあるが爆豪は足元を掬われた様で物間にポイントを奪われていた。
周囲の様子を一瞥してから少し気を引き締めた。ここからが本番である。
「よう轟、そろそろ来ると思ってたぜ?」
「あぁ・・・そろそろ、奪るぞ」
頂点を取りに、覚悟を持った者が立ち塞がった。