The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題)   作:十五夜の月

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さーて、今回で第二種目は終わります。
ん〜、三千文字位で終わらすつもりが四千文字になっちゃいました。
の〜んびりと、ゆっくり読んでください。
今度からは三千文字くらいに纏められるかな?
頑張ろう!!



第二種目【後編】

 

 

 

 

 

「そろそろ、奪るぞ」

 

 ご親切な事にわざわざ口に出しながら騎手の緑谷とガロウ自身を睨むように見る轟。

 轟を支える騎馬は、飯田と八百万、そして上鳴の三人。機動力、攻撃力、防御力の三つがそろったバランスのいいチームとも言える。

 

「どーする緑谷?俺は相手しても良いと思うが、ちょっと面倒くさいぞ?」

「うん、この種目で轟くんの個性は動きを止められるから脅威だし、下手に空中に逃げても恐らく八百万さんに対応される」

「じゃあどうするん、デクくん?」

「位置取りを意識しながら、時間を稼ぐ。拳獣くん、頼める?」

「任せろ」

 

 轟チームだけを警戒する訳にもいかない、他にも脅威になりそうなチームはいる。上手く誘導、もしくはそう出来るように轟チームの隙を作れば他のチームが轟達を潰してくれるかもしれない。実際、何チームかは轟チームを後から狙おうとしている。

 だが、やはりことはそう上手く運んでくれない。

 

「飯田、前進。八百万、上鳴」

「しっかり防げよ!!」

 

 短な合図と一緒に、周囲に放たれた無差別の大放電。距離を取る事で感電は逃れたが、他のチームは避けることも出来ずに感電。

 轟の氷結で完全に動きを止められて、あっさりとハチマキを奪われていた。

 まずいかもしれない。

 ほんの僅かだが、そんな考えが心の奥底でチラついた。一人でなら問題ない。しかし、荷物を抱えているこの状況では万が一もあるやもしれない。明らかなるハンデを現状、抱えている。

 が、だからこそだ。だからこそ、面白い。

 

「常闇、通じなくていい。攻撃し続けて牽制しろ。緑谷、踏ん張れよ。隙が生まれたら速攻で行動するぞ」

「分かった」

「っ、うん!」

 

 奪い掛かろうとして来る轟達に対し、常闇はダークシャドウで攻撃を続ける。伸びていく黒い腕が轟のハチマキに伸びるが、素早く創造された盾によって簡単に防がれた。

 反撃に何度も放電が飛ばされてくるが、それに合わせて距離を空ける、出来なければダークシャドウでガードをさせる。

 上鳴の電撃は無限に連発出来るものでは無い上に、使用を続ければ能力の低下を招く。ならばやはりここで注意すべきは、轟の広範囲の氷結。

 

「なあ、緑谷。轟が逆側の個性を使うの見た事あるか?」

「いや、僕は見た事ないし。多分だけど轟くんは炎の方は使う気はないんだと思う。この前の模擬戦だって炎の個性は使ってなかったし」

「あ〜、そう言えばそうだったか・・・」

「うん、だからガロウくん。常に僕達と轟くんの間に、飯田くんを挟むように位置取りして欲しい」

「おっけー分かった。やっぱり、お前は余り実力ないけど頭が回るな」

「え、う、うん・・・あ、ありがとう・・・」

 

 轟達が距離を詰めて来れば遠のき、横に動けばそれに合わせて飯田を壁にするように位置を取る。

 分からない人には全く分からないだろうが、戦い慣れているもの、それこそ百戦錬磨のプロヒーロー等は見抜いているだろう。

 もちろん轟も分かっている。分かっていながら、対処が出来ずにいる。

 完全な手詰まり。

 刻一刻と、時間が進む事にポイントの少ない轟達は不利に、逆にガロウ達は有利になって行く。状況は膠着状態のまま時間だけが過ぎていき、残り時間が一分を過ぎようとしていた。

 そんな中でまた、一人の男が覚悟を決めていた。

 

「轟くん、皆・・・。

 この後、俺は使えなくなるから・・・とれよ!轟くん!!」

「・・・飯田?」

「トルクオーバー!レシプロバースト!!」

 

 刹那の瞬速。

 充分に空けていた筈の安全領域が、瞬間にして塗りつぶされる。緑谷、常闇と麗日は反応できない。ガロウですら一瞬であるが驚愕に目を見開いたのだから。特別に脅威を感じた訳では無い、言うなれば意外だと思ったのだろう。本来、出せるはずの無いものを出してきた、そんな感じだ。

 緑谷に轟の手が伸ばされる。

 しかし、触れる数瞬前にガロウは常闇と麗日を押し退ける様にして斜め後ろに下がった。僅かにハチマキを掠めたものの、轟の手は虚空を掴むだけに終わる。

 

『なんだ今のスピード!何が起きた!!?速いなんてもんじゃねぇ!!そんな加速あるなら予選で見せろよ!!』

『アホか、奥の手は隠すもんだろ。

  しかしーーー』

『けど拳獣も拳獣で反応しやがった!マジかよアイツ、スゲーな!?』

『お前・・・俺のセリフ・・・』

 

 プレゼントマイクの言葉は、会場に居る観客全員の気持ちを代弁した物であった。

 

「っ、くそ!?躱された!!」

「ご、ごめん!拳獣くん、助かった!!」

 

 あれだけの加速を残り時間僅かのタイミングで使ったということは、何かしらの制限があるという事を公言しているようなものだ。

 残り時間も少ない中、ガロウは更に念を入れに掛かる。

 

「くっ・・・すまん!もう一度、取りに行く」

「あぁ、次でやろう」

 

 体勢を立て直して、此方を正面に見据えた轟チーム。再び超スピードで取りに来ようとしているのだろうが、体勢を立て直す僅かな時間、それだけでガロウにとっては充分だった。

 足を上げると飯田が駆け出すよりほんの少し早く、思いっきり地面に振り下ろした。地面がひび割れて激しく隆起する。飯田は脚を止めるしかなくなり、更に行動範囲を制限していた氷壁もバラバラに砕け散った。

 

『ハァッ!?拳獣のやつ舞台を叩き割った!!轟チーム、足を止めざるを得ない!まさかのこのタイミングでの大妨害!!』

『合わせて緑谷チームの障害にもなっていた氷壁を壊したか』

 

 不安定な足場と揺れによって足を止めている轟チームは格好のポイント。狙わない意味がない。

 

「拳獣くん、取りに行こう!!」

「おっけー、任せろ」

 

 飯田と違い、ガロウは足場の善し悪しに関係なく動き回ることが出来る上に、支えないといけない重量は麗日一人分のみ。細かな跳躍と着地を繰り返し、ハチマキを奪える射程圏に入った。

 

「「うぉぉぉおおおおおお!!」」

 

 緑谷と轟が互いに手を伸ばす。

 

『しゅーーーりょーーーう!!』

 

 互いの腕が交差しあったタイミングで、制限時間終了が知らされる。そこで緑谷と轟の二人は、ガロウの足が轟の腕に添えられている事に気付いた。それは僅かに時間的な余裕があったとしても、轟はハチマキを奪えずに終わっていたことを示している。

 危ない橋は渡らない。

 経験の少ない者、それこそ緑谷や轟達には分からないだろうが、経験量の違いを物語っている。

 

「っ・・・拳獣!」

 

 ただ一言、振り絞るようにしてガロウの名を呼ぶことしか轟には出来なかった。

 

『早速、上位四チームを見てみよか!!

  一位、見事な逃げ切り緑谷チーム!!

  二位、轟チーム!!三位、爆豪チーム!!

  四位、鉄てっ・・・アレ!?心操チーム!!?』

 

 意外そうな発表に会場がざわついたがその元に目を向ければ、あの先制布告をして来た普通科の心操という生徒のチームだ。もう一人見覚えのないーーーいや、第二種目の時に心操をおんぶしていた、確か闘千とかいった普通科の生徒もいる。

 どうやら、生き残っていたらしい。

 

「ありがとう、拳獣くんのおかげだよ!」

「・・・いや、そうでも無い」

 

 轟と爆豪は発表が終わっているのに沈んだ表情のままだ。

 

「くそっ!負けたよ緑谷くん、拳獣くん」

「そ、そんな事ないよ」

「緑谷のその判断力は中々のものだったぞ」

「拳獣くん・・・」

 

 思いもよらぬ賞賛に、緑谷は喜びとも悔しさとも言えない表情を浮かべていた。

 

 

 ◎

 

 

 

 休憩時間になりトイレを済ませ廊下を歩いていると、人の気配を感じた。それに合わせるように、話し声が聞こえる。

 

「母は・・・・・・煮え湯を浴びせた」

 

 聞こえて来たのは轟の声。

 僅かだが興味を惹かれて声の元に歩いていると、角を曲がったところで壁にもたれかかって居た爆豪と目があった。

 

「何しーーー」

 

 てるんだ、と聞こうとして口を閉じる。黙っていろとジェスチャーで伝えてきたからだ。

 

(何してんだ爆豪?)

(うっせぇっ!ちょっと黙ってろ割れ髪!)

 

 小声で怒鳴るというちょっと器用な事をしながら、爆豪はガロウと一緒に再び話し声に耳を傾ける。

 

「俺は、クソ親父の個性を使わずに一番になる。それで、アイツを完全に否定してやる」

 

 全てを聞いてなくとも、ガロウは短い言葉で轟がどうのような内容の話をしていたのか察した。横を見れば、爆豪が珍しいことに圧倒された様子の表情をしている。

 無理もないのかもしれない。普通の生活を送っていれば、まして学生が負えるような生活では無いだろう。

 ガロウには関係ないが。

 

「俺は右の、母さんの個性だけで上に行く。時間取らせて悪かったな」

「僕は・・・」

 

 聞こえてきた声は緑谷の声。

 轟がさっきから話していた相手は緑谷だったようだ。

 

「誰かに助けられてここにいるんだ。だからこそ、オールマイトみたいになる為にも僕だって負けられない。

 だから僕からも・・・僕も、君に勝つ!!」

 

 宣言が終わると、二つの足音は遠ざかっていく。離れていく二人の事を確認してから、爆豪はストンと腰を下ろす。

 

「盗み聞きなんて趣味、あったんだな爆豪」

「あぁ!?ンなもん無ぇわ、クソ割れ髪が!!」

 

 ちょっとした冗談を掛けてやればいつもの様にキレて返事を返してくるが、その表情はやはりと言うべきか少し暗い。

 

「・・・関係ないだろ」

「あ?」

「お前がアイツの事を気にして、何か変わるのか?」

 

 爆豪の返答は沈黙だった。答えられるはずが無かった。

 

「だったら、やることは多く無いはずだ」

「・・・・・・・・・」

「お前はいつもみたいに、馬鹿みたいに爆発してた方が似合ってるぜ」

「うるせぇよ・・・クソ割れ髪が」

 

 腰を上げて歩き出す。確かにこんなのは自分に似合わない。ぶち当たったら思いっきり、ぶちのめす。紅白頭も、舐め腐っている割れ髪も、全員をぶち倒して頂点にと立つ。

 あと少しで、正真正銘の一位だ。

 

「てか、俺の前を歩いてんじゃねぇよ!!」

「方向が同じなんだから仕方ないだろ、やっぱり馬鹿か?」

「誰が馬鹿だ!後ろ歩けや!!」

「俺に勝てたらそうしてやるよ。・・・・・・無理だと思うけど」

「ぶっ殺すぞ、クソ野郎!!!!」

 

 

 

 

 

 






もーちょい上手く色んな状況を文字で表せるようになりたい。
誤字脱字してる場合じゃないですね・・・・・・。
トーナメント戦、頑張って書くぞ!!
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