The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題) 作:十五夜の月
桜も咲き始め、春らしくなってきたこの頃です。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
取り敢えず、本編どうぞ!
通路を歩く足取りは軽やかだ。
つい先程までの不機嫌が嘘のように、僅かな笑みを浮かべてガロウは歩く。
スカッと爽やかな、いい気分である。
だが、その気分も早々に害される事になるとは思ってもいなかった。
「ここにいたのか!探していたぞ!」
「・・・アンタ」
「試合を見ていた。一撃で勝負を決める、見事な強さだ」
「それで、有名なアンタが俺をただ褒めに来た訳ではないよな?」
「察しが良いな」
曲がり角より現れたのは、No.2ヒーロー・エンデヴァー。燃える炎が、荒々しい彼の性格を表しているようにも思える。
「轟焦凍、アイツは俺の息子だ」
「知ってる」
「反抗期でな、先の試合でようやく俺の力を使うように成ったのだが、まだまだ未熟」
「つまり俺をアイツの踏み台にしたいと?」
「ふむ、やはり察しがいい」
エンデヴァーは笑みを浮かべて、応えるかのようにガロウも笑みを浮かべる。この男は余程、轟焦凍という男に期待しているらしい。
だからといって、ガロウがする事は変わらない。
「大人しく踏み台になる気は無いぞ?と言うより、容赦なく叩きのめしてやるつもりだ」
「構わん!君の働きに期待している」
「アンタの期待通りにはならないさ」
本気で来るなら、それ相応の力で迎え撃つだけだ。
◎
『いよいよ、準決勝に進出する奴等が決まったぞ!!やっぱりヒーロー科が出揃った!一気に紹介するぜ!!
準決勝第一試合!轟焦凍vs拳獣ガロウ!!
準決勝第二試合!常闇踏陰vs爆豪勝己!!』
プレゼントマイクのアナウンスにより会場のボルテージは、一瞬にして最高潮に達する。既に轟とガロウの両名は、舞台の上で相対していた。
「ついさっきなんだけどな、エンデヴァーに会ったぜ」
「っ!?お前も親父に何か言われたのか?」
「言われたな、けど関係ないだろ?」
「なにがっ!」
「ここに居るのは、お前と、俺だ。
どんな戦いにしたいのか、お前が決めろ」
二人の間の空気が変容する。
ガロウは少しでも楽しい戦いになるように願い、轟は未だ晴れぬモヤを抱えながらこれから起こるであろう激戦に備えた。
『んじゃ、サッサと始めようか!準決勝第一試合、START!!』
開始の号令。しかし、二人は動かない。
ガロウは兎も角、全ての試合で氷結を放っていた轟に対しては大勢の者達が疑問に思った。
『なんで二人共動かないんだ?』
『ガロウは出方を窺ってるだけだろうな。轟は下手に氷結を撃てないんだろう。避けられた場合のリスクがデカい。
さっきの試合を見る限り、氷結を使いすぎると身体能力が低下する副作用も有るだろうしな』
『よく見てるんだなぁ、流石担任のイレイザー』
『お前が見てないだけだろ』
相澤の言う通り轟はガロウを警戒している。避けきれない間合いに入った瞬間に最大の氷結を放って動きを止める。
動きの一つとて見落とすつもりは無い。
そして遂にガロウが動いた。
だが、轟の予想した動きではない。前進することなく、一歩だけ後方に下がるとその場にしゃがみ込んでしまった。
「なにをーーーっ!?」
身構えた時にはガロウの姿は消えていた。
正しく言い表すならば、消えたのではなく見えなくなったのだ、巨大な壁によって。
『んなっ!!コンクリ引き剥がしやがった!?』
プレゼントマイクの声で状況を無理やり理解した轟の行動は素早かった。此方に向かって倒れてくるコンクリート壁を氷結で止める。焦る気持ちを落ち着かせ心を冷静に保とうと努めるが、残念ながらそんな余裕はない。
舞台を分断したコンクリートと氷の壁に亀裂が入る。そこで漸く、自分の行動が悪手であったことを理解した。
破砕音と同時に壁が砕け、大小様々な破片が飛んでくる。躱し、凍らせ、向かって来る脅威から身を守る。
「・・・どこだ、アイツは?」
「コッチだ」
探した時には既に遅い。声に気付き振り返った時には、頬に強烈な痛みが走り殴り飛ばされていた。
追撃はない。体勢を立て直し、再び構える。
一撃で実力差を見せ付けられた。
「・・・場外に落とすチャンスだったぞ?」
「チャンスなら幾らでもある。力の半分しか使ってないお前ならな」
「なんだ・・・お前も緑谷と同じかよ」
「緑谷と一緒にするな。俺はアイツよりも確実に強いぞ」
「・・・・・・後悔するなよ」
小さな赤い光が、一瞬にして豪火に変わる。身体を覆っていた霜が溶け、低下していた身体能力も元に戻った事だろう。
「まだ、加減は出来ないぞ?」
「気にするな、全力で来な」
先に動いたのは轟だった。
地を這うように氷結を全体に放ち、跳んで避けたガロウに向かい炎を放つ。
腕を振るって風圧を生み出し炎を散らす。
着地に合わせた回し蹴りを繰り出すが、ギリギリの所で避けられた。
「ちょっと熱いぞ、火傷しないように気をつけろ」
「ーーーっ!」
蹴りを放った後の僅かな硬直時に合わせた広範囲の火炎に対するガロウの応答は、防御でも回避でもなく前進することであった。
後方に回避したと思っていた轟は、炎の壁を突き破って出てきたガロウに目を見開いて驚く。僅かに回避が遅れた轟の服を掴み、地面に向けて勢いよく投げつけた。
「いやぁ、温まったわ」
焼き焦げたジャージのトップスを破り捨て、ぬけぬけと言うガロウの姿は未だ無傷で、息すら上がっていない。反対に轟はかなり追い込まれていた。体力的にも余り戦いを長引かせることは出来ない。
ガロウも察していた。
「決着、早めた方が良いか?」
「元から長引かせるつもりは無い」
「そうかい、ならさっさとどうぞ」
「どうなっても知らねえぞ?」
「今更だ」
動き始めたのはやはり轟、氷結を放つが先程とは違いガロウの左右に巨大な氷壁を築き上げた。
ガロウはそれを眺めるだけだ。
「逃げ道を塞ぐ、だけな訳ないよな?」
「あぁ、次で最後だ」
この状況から避ける事は難しくない。それでもガロウは避けるつもりはなく、真っ向から轟の全力を打ち破るつもりでいる。
審判のミッドナイトやセメントスの動きが慌ただしくなるが、もう誰にも止められない。
唸り声を上げながら放たれた灼熱の獣は、ガロウという獲物に目掛けて一直線に駆け込む。
「いけぇぇええええええ!!」
炎に阻まれ姿を確認することは出来ないが、聞こえた轟の雄叫び。
ガロウはそれに応えることにした。
炎が直撃するまでの僅かしかない瞬間に、身体のバネを縮み込ませて力を溜め込む。
身体が熱気を感知した瞬間に、溜め込んだ力を正面へと単純に、正拳突きの形で解放した。
「りゃっ!!」
最初に起こったのは爆炎。緑谷と轟が戦った時と同様の爆発が起こる。
しかし、ガロウの打ち出した拳圧が爆炎諸共、轟へと伸びて行き身体を場外へと叩き出し意識を断ち切った。ガロウを中心とした衝撃波は氷壁も打ち壊し、舞台に残ったのはガロウ、ただ一人。
「勝負あり!!拳獣くん、決勝進出!!」
今日一番、肝を冷やしたであろうミッドナイトの声が勝敗を告げる。ミッドナイトもセメントスも安堵の感情を顔に浮かべた。
特にセメントスは舞台が凍りついたせいで、セメントの壁を作ることが出来ず本気で焦っていた。
圧倒されていた観客達から一つ、二つと歓声や拍手の音がなり、やがて巨大な音となってガロウと轟を包む。音の中に居ながら轟はロボットに運ばれて行き、それを見送ったガロウも舞台を後にする。
「思ってたよりは、ましな試合だったな」
誰かに伝える様に零れた小さな声。
誰に聞かれることも無く、巨大な音の波に飲まれて消える。
残るはあと一試合、決勝戦のみ。
喜ぶことはない。最後の試合を楽しむだけだ。
ガロウ、流水岩砕拳を使うこと無く圧勝!
轟相手に流水岩砕拳を使わせるかどうか少し悩みましたが、
今回は使わすことなく終わらせてみました。
真っ向勝負して勝つ描写を書きたかったからです!
この次は決勝戦の話になると思いますので、
楽しみにしておいて下さい。
さて、次の話に参りましょう。
まずは何よりも感謝の言葉から!
お気に入りが2800を超えました!!
投稿が遅くなったり不安定なこの作品を何時も読んで下さっている皆々様、本当に有難うございます。
これからも拙い文章ながら頑張らせて頂きますので、応援よろしくお願いします。
前回の感想を見ていると闘千についての感想が幾つかありました。
自分の考えたオリキャラについて書いて貰えると嬉しいですね。
作者の考えた通りの印象を残せたようなので、小さくガッツポーズしました。嬉しいです!この後の物語で闘千くんがどのように絡んで来るか楽しみにして下さい。
場合によってはオリキャラが一人二人増えるかもしれないですが・・・。
最後になります。
何時も読んで下さっている方も、初めてこの作品を読んで下さった方も、有難うございます。出せる限りのスピードで頑張って投稿していきますので、これからも読んで下されば嬉しいです。
なにか思った事が御座いました、気軽に感想やメッセージを送って下さい。
励みにもなりますので!励みにもなりますので!!!!