The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題)   作:十五夜の月

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取り敢えず、ゆっくり本編どうぞ



決勝戦

 

 

 

 

 

 試合終わり誰かに呼び止められる呪いでもかかっているらしい。

 初老の男性にガロウは呼び止められていた。

 エンデヴァーの時と同じ展開、デジャブ。

 

「いい試合をする。度胸もいい」

「・・・・・・・・・」

「もっと君の拳法を見れるかと思ったが、それを使わずにゴリ押し・・・見どころがある」

「褒めてくれるのは嬉しいんだけど、アンタ誰だ」

 

 まるで気付かなかったかの様な反応で、失態を恥ずかしむように笑う。

 

「自己紹介がまだだった、私はクロ。一応だがプロヒーローをしている。そして武術家の端くれだな」

「武術家?アンタがか?」

「なるほど、そっちに食いつくか。益々いい男だ」

 

 何が嬉しいのかウンウン、と頷く男にガロウはしびれを切らしそうになる。このままでは決勝の直前まで話が続きそうだ。

 話の続きを促す。

 

「インターンがある事は知ってるかな?まだ聞かされてないかもしれないが、簡単に言えば一定の期間だけヒーローの仕事をする。職場体験もあるが、あれはあくまでも体験だ」

「それで?」

「率直にいう、君を私の事務所に招待したい。早めにスカウト、と言った所だな」

「・・・メリットがないな。俺はもっとトップのヒーローの所に行くぞ」

 

 何が可笑しいのか、ガロウの返答を聞いて男は笑う。

 

「いやいや、期待通り期待通り。安心してほしい、私の所に舞い込む依頼はどれも一筋縄では行かないものだ。

 きっと、君を満足させることが出来るだろう。君に与えられる事もある」

 

 男の言葉はガロウの興味を引くのに、充分すぎる力を持っていた。詳しく聞いてみる価値はあるかもしれない。

 

「だが、まだ君を完全には見定めていない」

「・・・決勝戦で見定めようと?」

「ハッハッハ!察しが良いな、その通りだ。

 全部見せなくて良い、なにか一つだけでも良いんだ」

 

 言いながらポケットからメモ帳とペンを取り出し、何かを書くとそれをちぎって渡される。

 どうやら住所と電話番号だ。

 

「体育祭が終わってまだ興味が有れば、訪れてみて欲しい。そうだな、三日くらいは待とうか」

「翌日には行く」

「ハッハッハ!やはり君は面白い男だ。期待して待たせてもらおう」

 

 また会おう、言い残して去っていく。

 後ろ姿に隙はなく、綺麗な背筋をしている。武術家と言っていただけの事はある。

 渡されたメモの切れ端を確認してから折りたたみ、ズボンのポケットにしまう。

 

「真面目に試合しただけの価値はあったな」

 

 見た感じの印象からして、そこそこできそうな雰囲気はあった。立ち去っていく時の後ろ姿からも、エンデヴァーよりも隙を感じることもなかった。

 面白そうな男。そんな印象が残った出会いである。

 

『勝ったのは爆豪勝己!!常闇を打ち破って決勝に進出!!』

「チッ!結局見逃したか」

 

 聞こえてきたアナウンスで試合が終わった事に気付く。爆豪の試合は余り見ていなかったので見ようと思っていたのだが、遅かったみたいだ。どうやら自分で思っていた以上に、時間を使って話し込んでいたようだ。

 ガロウは仕方なく控え室に戻る事にした。

 

 

 

 ◎

 

 

 

『さぁ!いよいよこの瞬間がやってきた!準備は良いかリスナー共!撮り逃すなよマスメディア共!今からここで、雄英高校一年の最強の男がーーー』

『長い、煩い、さっさと始めろマイク』

『途中で止めないでくれよイレイザー!?んじゃあ気を取り直してーーー

  決勝戦を始めるぞ!お互い圧倒的な実力で勝ち抜いてきたのはコイツら!!

 拳獣ガロウvs爆豪勝己!!』

 

 紹介と同時に足を踏み出せば、何百もの声が唸り、叩く。

 そんなものを両者共に気にしては居ない。ガロウは歓声などに萎縮する事など当然なく、爆豪もこれからの戦いに対するやる気に満ち溢れているからだ。

 

「ようやくだ、ようやくてめぇをブッ飛ばすことが出来る」

「飛ばされるのはお前だろ?」

「言ってろ、割れ髪野郎!」

 

 小さな爆発を何度も起こす。

 ウォーミングアップを入念に行ったのだろうか、体は充分暖まっている様だ。

 

「いい?二人とも、後悔の無いように全力で戦いなさい!!あ、けど観客に被害が出ないようにしなさいよ、アンタら二人」

「言われるまでもねぇ」

「・・・・・・」

 

 ミッドナイトの言葉を聞き終え舞台を下りると両者が構え、火蓋が切られるのを今か今かと待ち構える。

 

『もう待ちきれないって感じだな!じゃあ行くぜ!本日最後の大勝負、START!!』

 

 爆音。爆発の煙が線となり、その先を爆豪が導いてる。行先は真っ直ぐとガロウに向かって。

 三度の爆発でガロウの頭上を飛び越えつつ、後ろに回り込み着地したが、勢いを制御できなかったのか僅かに距離が開きすぎている。

 

「死ねぇ!!」

 

 思わぬ暴言を受けたと同時に、視界いっぱいに赤い炎と黒い煙が広がっていた。

 距離を開けたのはミスでも何でもなく、確実にガロウを仕留めるための行動。開始早々で最大火力の爆発を起こしたのもそれが理由だ。

 

「まだだぁ!」

 

 一発では終わらない、煙が晴れないうちに一発、更に一発と計三発の最大爆撃を行った。

 僅かに肩で息をしている爆豪は確かな手応えに口角を上げるも、構えは解かない。ガロウがこんなにも簡単にやられるはずはないと、ある種の信頼を持っていたからだ。

 

「チッ!やっぱりか・・・」

 

 煙が晴れていくうちにガロウの姿がハッキリと見えてくる。腕をクロスする様にして顔面を守っているその立ち姿は、服はボロボロになっていてもダメージは特に無さそうだ。

 

「いやぁ、ビリビリ来るなぁ」

「・・・クソが、余裕こいてるんじゃねえぞ!」

「あぁ、そうだな。俺も見せないといけないもんがあるから、ちょっと真面目にやってみようか?」

「あ?ーーーっ!?」

 

 防御を解いたガロウに対して一層気を引き締めるまでの少しの間、一秒にも満たない時間。爆豪の前から、ガロウの姿が消える。

 咄嗟に動けたのは人間の、いや動物としての本能、危機察知の能力でも働いたとしか言えない。

 前に大きく飛び上がった時には、地面に巨大な亀裂が入っていた。

 

「ワオ、今の避けるか?」

「ッガ!?」

 

 楽しそうな声が、前方から聞こえた。焦って視線を前に向けるよりも先に、鋭い痛みが頬に走り、重い衝撃が身体を駆け巡る。

 場外に吹き飛びそうになる身体を咄嗟の判断による爆破で立て直した爆豪は、理解し難い真実を無理矢理に理解していた。

 

 飯田天哉に匹敵する所ではない。それを軽く超えるほどの超スピードを持っている。なおかつ、スピードに振り回されること無く回り込み攻撃してくる完璧な制御。

 認めたくはない。だが、目の前の男の事を改めて別格の存在だと認識させられる。

 

「なんだぁ、隠してたのか?」

「使う必要ないと思ってたんだけどな」

「やっぱり、舐めてやがんなテメェ!」

「まぁ、余裕だとは思ってる」

 

 爆豪の身体の中で何かが切れる音を、観客席に居る何人か、A組の生徒達はハッキリと聞いた。緑谷などはこれから起こるであろう展開を予想し、一人でオロオロとしている。

 

『爆豪のヤツめっちゃくちゃキレてない?大丈夫なのこれ?』

『・・・知らん』

 

 爆豪はこれまでに見た事の無いような、言葉にして表現する事が難しいぐらいに表情を歪ませた。

 

「オ、オ、オーーーッガア!!」

 

 飛び出してくるかと構えたガロウに対する行動は予想に反し、目の前で小規模の爆発を起こすだけに留まった。

 屈辱や怒り、その他全ての感情を無理矢理飲み込んだようにして、ガロウの目論見からはずれ少し冷静になった様だ。

 

「その余裕、直ぐにぶっ飛ばしてやる!」

「頑張れ」

「っーーー死ねぇ!!」

 

 冷静になったのは勘違いだったらしい。

 棒読みでエールを送れば、血走った目で本日四度目の最大火力爆撃を見舞ってきた。

 バカ正直に受けてやる理由もなく、超スピードで爆豪の頭上に移動したガロウは勢いそのまま踵を振り下ろそうとし、閃光に包まれた。

 

「っーーー」

 

 視界が塗り潰される。

 先の、爆豪と常闇の試合を見ていた者なら知っている。閃光弾(スタングレネード)

 初見のガロウからすれば思わぬ攻撃だった。

 

「くたばれ!!」

 

 爆豪はこれを勝機と捉えたのか、爆破を利用して距離を詰めると爆発と共に腕を顔面に突き出す。それをガロウは見えてるかのように、弾き流し逸らした。

 

 驚きつつも、爆豪は攻撃の手を緩めない。ここで引けば恐らくチャンスはもう無い、心のどこかでそう感じていた。

 だが、何度攻撃しても弾かれ流される。閃光の影響で眼を閉じているにも関わらずだ。

 

「そろそろ、限界じゃないのか?」

「黙れ!ぶっ飛ばす!」

「会話にならないな」

 

 接近しているにも関わらず、ガロウの蹴り上げが爆豪の顎を撃ち抜いた。僅かに体勢が崩れるが、爆豪は踏みとどまった。

 

「テメェに、勝つ!!」

「・・・・・・」

「勝って、俺が一番だ!!」

 

 ガロウの目は既に回復している。対する爆豪は最大火力の連続使用で限界が近付きつつある。

 最早、勝ち方を選んでは居られなかった。

 

「喰らいやがれ!」

 

 弾かれ外側に向いていた両の手を手首で曲げて、無理矢理にガロウの方に向ける。

 一瞬の発光、そして衝撃と爆煙。爆豪によるこの試合で最大の爆発が二人を包み込んだ。その衝撃波は会場全体を揺らす程だ。

 自身に降りかかるダメージを無視した、自爆とも取れる攻撃に会場が静まる。

 

『おいおい!?どうなった?二人は無事か!?』

『ミッドナイト、直ぐに確認を!』

 

 ミッドナイトが舞台に駆け寄るうちに、煙がゆっくり晴れて、二つの人影が見えてきた。片方は倒れ、片方は立っている。

 立っているのは、片腕を焼き、血に濡らしているガロウだ。

 

「爆豪くん、戦闘不能!!拳獣くんの勝利!

  よって優勝は、拳獣ガロウ!!」

 

 歓声を背に受けて歩き出す。

 喜びを表現すること無く、ガロウは舞台を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 






やっと決勝戦投稿できたぁ・・・
まぁ、ガロウの勝利です!圧倒的です!流石ガロウ!
もう少し圧倒的な感じを文書で出せればなぁ、て思いました。
頑張らないといけないね・・・。

さぁ、いよいよ体育祭も終わって次の話に入っていきます。
ここから、色々な展開が起こっていく予定です。
どんな話が巻き起こって行くのか、是非ぜひお楽しみにして頂ければとても嬉しいです!
感想もお待ちしてます!!読むの楽しみにしてるので!

ではまた次回でお会いしましょう!
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