The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題) 作:十五夜の月
「・・・遅い」
「我慢しろ、行動の結果だ」
ヒーロー殺し、ステインとの攻防の後に助けたヒーローを救急隊員に預け帰ろうとしたがそう出来るはずが無かった。
言い訳を考えている間にパトカーに乗せられ警察署に連れていかれ、どうにかして帰ろうかと考えていた所に相澤と根津校長が到着。
大人しくする以外に選択肢はない。
「体育祭が終わって学校が始まるよりも早く問題を起こす。こんなの僕も初めてサ!!」
「態々来なくても良かったんですよ?」
「そうもいかないサ!生徒がヒーロー殺しに襲われたって聞かされたらね」
「実際に着いてみれば外傷も無いようだが、余り厄介事に首を突っ込むな」
「分かってる」
ため息を吐きながら、頭が痛むのだろうか額を手で抑える相澤。根津校長は何を言うことも無く静かにお茶を飲んでいる。
「失礼するワン!」
「・・・犬?」
「保須警察署署長の面構犬嗣だワン!」
人間が犬のマスクを被ったような男が室内に入ってきた。
「早速本題に入るワン。君がステインから救ってくれたヒーロー、幾つ物刃物による身体中の裂傷で出血多量でかなり危ない所だったワン。そして、君がそうなっていた可能性もあったワン」
「それで、俺の処遇はどうなるんですか?」
「ふむ・・・要点を省き結果だけを話すならばお咎めなしだワン」
書類を後ろの人物から受け取り、何枚か捲りながら確認していく。
「今回の事で個性を使った証拠が無いので、君が個性不正使用の件で問われることはないワン。よって、君がステインからヒーローを救ったと言う事実しか残らなかったワン」
「なら、もう帰っても良いんですか?」
「聴くべきことは全て聴いた、君に怪我は全くないから帰っても大丈夫だワン」
そう聞いてガロウは立ち上がり、相澤と根津の二人も立ち上がる。部屋を出ようとして呼び止められた。
「本当ならここで感謝状を送りたいのだが」
「要らね。紙切れなんかで何かが変わる訳じゃないだろ」
「はぁ・・・言うと思ったワン」
「うちの生徒がお世話になりました」
この後、一人で帰ろうとした所を相澤の捕縛布でぐるぐる巻きにされて車に乗せられた。
なんでも、一人で帰られせてまた厄介事に巻き込まれては堪ったものではないらしい。
◎
「はい、おはよう。体育祭も終わってゆっくり休めたとは思うが・・・・・・約一名、馬鹿な面倒事を起こした奴も居たが・・・」
「何見てやがんだ、俺じゃねえわ!!」
ため息と一緒に吐かれた言葉に生徒の殆どの視線が何故か注がれた、爆豪に。
「爆豪落ち着け。
漸く体育祭も終わったが、やる事がある。とても重要なことだ・・・」
クラスの殆どが固まる。
「コードネーム、ヒーロー名を決める」
「「胸膨らむヤツきたァァァ!!」」
「静かにしろ」
大きくない一言だが、一瞬にしてクラスを黙らせた言葉には何か特別な力でも篭っているのだろうか。
「これから君たちは職場体験に行くことになる訳だが、その上でヒーロー名が必要になるという事だ。
体験に行く職場についてだが、ここで先日話したドラフト指名が関わってくる」
モニターにグラフが映し出される。
「今回の指名は将来性に対する興味によるものが殆どだ。興味が削がれた時点で、一方的にキャンセルされる事なんてよくある事だと思っておけ」
「大人は勝手だ!!」
「それが大人だ。
でだ、例年は指名がバラけるもんなんだが今年はグラフの通り偏ってる」
改めて確認すればガロウ、轟、爆豪の順に殆どの数を独占している。この中からどの職場に行くのか決めるとなると大変な作業になりそうだ。
「うお・・・やっぱり上位三人凄いな」
「大暴れしてたもんな三人共」
「爆豪の自爆はちょっと引いたわー」
「引いてんじゃねぇよ!!」
グラフを見て男子も女子もワイワイと騒ぎ出す。
「喧しい。とにかくお前達にはこれからヒーロー名を決めてもらうことになる訳なんだが、適当なものなんかを付けるとーーー」
「地獄を見ちゃうよ!!!!」
いきなり教室に入ってきたのは18禁ヒーローミッドナイト。いつも思っているのだが、教師としてあの格好は如何なものだろうか。
約一名は鼻息を荒くして大喜びしているが。
「この時につけた名前が認知されちゃって、そのままプロ名になってる人も居るから!」
「そういう事だ・・・俺にはその辺の事は無理なんでな、ミッドナイトさんに頼んだ」
「因みにイレイザーのヒーロー名はマイクに決めてもらったらしいわよ!」
「・・・言わないで貰えますかね?」
相澤の事はともかく、ミッドナイトの言うことは正しい。名は体をあらわすとも言うのだから、それなりの物を付けなければならないだろう。
だが、ガロウは特別にこだわろうとも思ってはいなかった。ガロウが求めるものは名前などではなく、その内にある中身にあった。
「それじゃ、決まった人から発表してもらいましょうか!」
「「「まさかの発表形式!?」」」
全員が驚き声を上げる。これにはガロウも少し驚いた。
そんな中で真っ先に手を挙げたのは、見た目に対して影の薄い青山だった。
「僕は輝きヒーロー!―“I can not stop twinkling”さ!!」
「これなら、省略して読みやすくなさい」
「「「アリなのかよこれ!!?」」」
とんでもないヒーロー名が初手で飛び出した事にクラスの誰もが驚いた。
だが、これを切っ掛けに勢い付いたのか発表は加速していく。
「エイリアンクイーン!!」
「2のやつ!!?やめときな!」
「フロッピー。ずっと考えてたの」
「親しみやすいし、可愛いじゃない!」
「烈怒頼雄斗!!」
「うん!リスペクトに溢れてる名前ね!」
リスペクトと言う言葉に僅かではあるが、ガロウの耳が反応した。
ヒーローと聞いて思い浮かぶ姿は幾つもある。多くのヒーローを叩きのめしたガロウであるが、その中でも大きな存在が二つあった。
「爆殺王!」
「そういうのはやめた方がいいわ」
「爆発さん太郎にしろよ!」
「黙ってろアホ髪!!」
「ダサい」
「んだと割れ髪!だったらテメェのも聞かせてみろや!」
そう言われたガロウはボードを持って立ち上がる。
名前で何かが決まる訳では無い。
だが、付けるとするならこの名前で始めようと、ガロウは思い至った。
「俺のヒーロー名は、【ファング】」
「へぇ、格好良いじゃない!それに言いやすいわ!何か参考にしたの?」
「いや・・・・・・」
ヒーローと聞いて先に思い浮かんだのはやはり、二度と会えないかもしれないかつての師匠であり、S級ヒーローであったシルバーファングの姿であった。
負けたつもりは無いが、勝った事は一度もなかった。癪ではあるが、認めていた。
あれは自分の求めるヒーロー像の一つだ。
「別になんでもねぇよ」
だが、声に出してそれを認めるには自身のプライドが少し邪魔をしたのだった。
バングがこの小説のガロウを見たら果たしてどう思うのでしょう?
・・・・・・すっごく気になる!
ワンパンマンのアニメ二期も面白いですね
ガロウがカッコイイ!!