The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題) 作:十五夜の月
今回は戦闘回です!
頑張って書きます!
プレゼント・マイクの説明も終わり、それぞれの受験者が自分に当てがわれた試験会場に移動していく。
ガロウの姿もその中にあった。
「まさか学校の敷地内にこんなもんまであるとはな・・・」
着いた模擬市街地は予想以上に大きかった。こんな物が敷地内に幾つもあると言うのだから驚きである。
【Plus ultra】、ガロウは先程聞いたプレゼント・マイクの言葉を思い出す。更に向こうへ、なるほど良い言葉だ。
ならこの試験、楽々と乗り越えてやるか。
『そんじゃあ、スタート!』
何処からともなく聞こえるプレゼント・マイクの声が試験開始を知らせる。
その音が聞こえた瞬間にガロウは駆け出した。
ーーー他が来ねぇな、急な事に驚いてんのか?
チラリと後ろを見ればやっと他の受験生たちが動き出した。しかし、既にガロウとの差は開きすぎている。
ガロウは笑みを浮かべた。
耳と鼻に意識を集中させる。
感覚が鋭敏になり、機械の駆動音を耳が察知しオイルの匂いを鼻が察知する。
さながら人間レーダーである。
角を曲がると予想通り敵が一体そこに居る。
ーーー旋風鉄斬拳。
ガロウを察知する間も無くその敵は切り刻まれた。
「へっ!脆い脆い!」
脚の動きを止めることなくより中心部へと向かっていく。
だがそこでガロウは急に横に飛び退いた。
建物の壁が爆砕されて鉄の腕がガロウに向かって伸びてきたからだ。コンクリートの壁を容易く破壊する威力は生半可な物では無いだろうが、ガロウは慌てない。
「音と匂いでバレバレだっての」
ーーー流水岩砕拳。
攻撃を受け流し、拳を思いっきり叩きつける。それだけで敵は沈黙した。
撃破した事を確認してから更にガロウは中心部にと走る。そろそろ他の受験生たちも戦闘を始めている頃だ。
ならば出来るだけ敵の多くを撃破するには敵が固まってる所に行くのが最善。
「ガラクタじゃ相手にならねぇ」
動きながら旋風鉄斬拳で切り刻み、流水岩砕拳で攻撃を流しながら敵を殴り沈黙させる。
これらの動作を軽くとは言えどかなりのスピードで走りながら行うガロウに追従出来る受験生などこの場に居ない。
だが、どうやら移動に特化した個性持ちも居るらしくぼちぼち他の受験生の数も増えだした。
「混戦状態だな・・・」
姿勢を変える。
両の手を軽く地面に触れさせてまるで獣の様に動く。かつて、S級ヒーローの番犬マンと戦いそこから編み出したこの姿勢。
敵と受験生、そして建物が壊れたガレキが障害物になっているこの状況なら、この姿勢が最適。
「いっきに片付ける」
敵に飛びつき頭部をねじ切り、その部品を一番近くに居た敵に叩きつけて粉砕。
壁に両手両足をつき、バネのように飛び出しながら三、四体程の敵を一瞬で破壊する。
同じように複数体の敵を倒した所で、倒れてピンチになっている受験生が目に入った。
「ボサっとしてんじゃねぇよ」
振り下ろされる腕を流し、頭部を破壊。
「すまない、助かった!」
「・・・・・・」
礼には応えず、直ぐに動く。
見ればチラホラと怪我をしたり危うい状況の受験生が何人か居る。その近くに居る敵全てをガロウは一瞬で破壊し尽くした。
動きを止めない。正しく言えば久しぶりの戦闘による高揚で動きを止めることを身体が拒否している。
そして自分が何体の敵を倒したか分からなくなってきた時だった。
「っーーー!?」
突如地面が、試験会場全体を揺らすほどの衝撃が走り、足を止める。ビルとビルの間から超巨大なロボットが姿を現した。
ポイント0のお邪魔虫、そうプレゼントマイクは言っていたがはっきり言ってお邪魔虫レベルではない。
「・・・はは」
乾いた笑いが口から出た。歩く度に地面を揺らすのは良く怪獣映画で見るそれと同じ。
受験生たちもパニックになりながら、叫び声を上げて逃げ回る。
しかし、ガロウは笑みを浮かべて心を奮い立たせる。
「脅威に立ち向かってこそ、ヒーローだろ!」
地面を蹴って道を全力で走る。
周りを見れば逃げ遅れたり怪我をして動けないでいる受験生が何人か居る。
そちらに意識が向かないように近くにあった瓦礫を蹴飛ばして、意識をこちらに向けた。巨大な鉄の塊がこちらに向けて上から降ってくる。
僅かな不安を振り払い構えをとった。
ーーー流水岩砕拳!
両足が地面に陥没し骨が軋む。
「ーーーーーーだりゃ!!」
気合いの声とそれをかき消す轟音。砂塵が舞い上がりガロウの姿を完全に覆った。
周りの受験生達は青ざめる。目の前で一人の少年が圧倒的な大質量に潰されたのだ。
無事なわけが無い。
誰もがそう思っていた。
「あ、あれ!」
誰が言ったかは分からない。しかし、皆が向ける視線の先、砂塵の中から何かが飛び出し敵の腕を駆け上っていく。
何かとは勿論、ガロウのこと。
流水岩砕拳は成功していた。
その体に傷はなく多少砂で汚れている程度にしか見えない。
「デカい分、動きが遅せぇよ」
一息に駆け上がり、人体で言うのなら肩の部分に到達した。
息を吸い込み、思いっきり踏み込む。金属の装甲板に穴が空くほどに。
ーーー踏み込みが強ければ強い程、パンチ力は上がる。
誰かがそう言っていた。
そんな事を思い出しながらガロウは拳を振りかぶる。
ーーー
天才武闘家、スイリューが使う冥躰拳。見た事しか無かったがガロウの使った技は正しくそれだった。
しかし、威力はスイリューが使うものとは比べ物にならない。装甲が破壊され巨体が揺らぐ。
「更にダメ押し!」
ーーー
回転する拳が頭部をバラバラに粉砕した。
巨大仮想敵は倒れ込み、完全に沈黙した。
「「「ーーーーーーーー!!」」」
巨大な歓声と称賛の声がガロウに叩きつけられる。
この場に居る受験生達の目にはガロウの事がヒーローの様に映っていた。
◎
雄英高校ヒーロー科の会議室には、校長やプロヒーローの教師陣達が重要会議を開いていた。
「いんや〜、今年も中々粒ぞろいだな」
「救助ポイント0で、2位とはな」
「対照的に、敵ポイント0で8位か」
「久しく見てなかったなぁ、アレをぶっ飛ばしちゃうの」
騒ぎながら真面目に話をする教師陣たち。
そして話題が切り替わる。
「そして圧倒的な実力を見せた、
「救助ポイント、敵ポイントそれぞれ合わせてまさかの150ポイントオーバー」
「スタートから迷わず仮想敵の場所に行く判断力の高さ、敵を切り刻んだり粉砕する戦闘力の高さ、怪我をした受験生を見つける視野の広さ・・・。どれをとってもピカイチだ」
画面に映し出されるガロウの姿に教師陣は時に驚き、簡単の声を漏らす。
「コイツの個性って増強型か?」
「書類には一応そう書かれてるな」
「戦闘センスと相まって素晴らしい効果が出てやがるな」
「しかも、巨大仮想敵に潰されたと思ったのに無傷で飛び出して、最終的にぶっ飛ばしちゃったもんな」
そして、画面はガロウに向けて他の受験生が称賛を送っているところを移す。
「ふむ、ヒーローとしての素質は十分に持ってるのかもしれないね」
「それでは、決定ですね?」
「勿論さ!寧ろ、落とす理由が見当たらないよ!」
「それじゃ、次の生徒に移りましょうか」
教師陣の会議はまだまだ続いた。
◎
散歩から家に帰るとポストに封筒が入っているのにガロウは気付いた。
「雄英高校・・・合格通知か?」
封を切り開けると数枚の資料と一緒に、手のひらサイズの機械が入っていた。
「映像投影装置、か」
椅子に座って説明書を読みながらスイッチを押すと、起動音と共に映像が浮かび上がった。
『私が投影された!!』
「このおっさん・・・ランキング一位のオールマイト」
タンクトップマスターや超合金クロビカリにも負けない筋骨隆々の身体、堂々とした佇まい。
現在のヒーローの頂が映像で映されていた。
『はじめまして拳獣牙狼くん!私はオールマイトだ!この度、雄英高校で教師をすることになった!』
「・・・うるせぇな、このオッサン」
NO.1ヒーローであるオールマイトが教師をすると言うのに喜ばないのはガロウ位である。
『さて、君の合否だが・・・。
文句なしの合格だ!筆記試験が少しイマイチだったがそれをカバーする程の戦闘センスだった!合格者トップだぞ!
改めておめでとう!雄英で待ってるぜ!』
そして映像は終わる。ガロウは拳を握りしめた。
無意識に口角が上がるのが分かった。
「合格祝に、肉でも食いに行くかな」