The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題)   作:十五夜の月

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皆さんヒロアカのキャラで誰が好きですか?
私は波動ねじれと虎が好きです!!



体力測定 下

 

 

 

 

 

その場で軽く、何度か跳ねる。

最初の種目は50m走。身体は、今朝の登校のおかげである程度温まっている。

何も問題ない。

 

「オレの番だな・・・」

 

今までで一番の記録は、真面目君ーーー飯田天哉と言うらしいーーーの3秒04。

男子生徒と一緒にスタート位置につく。

 

ーーー脱力だ、思いっきり力を抜く。

 

クラウチングスタートの形を取り、姿勢を保ちながら全身を緩める。

計測の機械からスタートの合図が出された瞬間、全身に力が込められる。

 

極限まで緩められた肉体が一瞬で緊張する事により生み出される、圧倒的な爆発力。それに巨大仮想敵を粉々にする程の威力を生み出す脚力が合わさればーーー

 

「余裕、余裕ー」

 

ーーー2秒53!!

 

後ろを見ればガロウがスタートした位置はひび割れて陥没している。

 

「超速ぇーな、お前!」

「ほんとに凄いよ、君!」

 

葉隠と瀬呂がテンションを上げながらガロウに賞賛を送る。しかし、ガロウにとっては当然の結果なので、特に何も言わない。

 

「この競技は飯田の奴が圧勝と思ってたんだけどなぁ」

「君ってなんの個性なの?」

 

そう聞かれて一瞬、ガロウは戸惑った。果たして特に個性を使って無いことを正直に話すべきかどうか。

だが、これと言って不味い訳も無いので正直に口を開く。

 

「特に使ってねぇよ。こんなもん、ただ走れば良いだけだ」

 

ポカン、と(恐らく葉隠も)した表情の二人の間を通り過ぎガロウは少し離れた場所に腰を下ろして様子を観察する。

 

個性があるからと言ってズバ抜ける訳ではない。逆を言えば個性を使えないから落ちぶれる訳では無い。

50mを必死に走っている緑髪の地味目な男子生徒を見ながら思う。もし、あの少年が個性を持っていようが、無かろうが、個性を活かせないのなら身体能力が物を言う。

 

ーーー個性というものに頼ろうとするから、諦めるからそうなる訳だ。

 

心の中でそう呟いて、興味を失った様に少年から目線を逸らした。

 

 

 

 

 

 

その後行われた測定も特に大した事は無かった。

持久走の時に女子生徒がバイクを使っていた時には反則だろうと思ったが、個性で作った物であるためよしとの事だった。

しかし、特に脅威では無かった。

 

「次は握力か・・」

 

自分の番が回ってきて握力計を渡される。

 

「おい、ガロウ。思いっきりな思いっきり!」

 

コチラに向けて声を掛けてくる瀬呂の事を無視して、少し足を開く。万力を持ち出す生徒もいるのだ、体勢がどうのこうの言われはしないだろう。

 

腰を落として息を大きく吸い込む。

さて、ここで質問。

パンチの強さを決める要素は何だと思うだろうか。

それは、体重・スピード・そしてーーー

 

「っーーー!!」

 

握力。

バキンッ、という音を立て握力計は無残にも破壊された。超絶な威力を誇るガロウのパンチ、それを生み出す一瞬の握力に中の機器が耐えれなかったのだ。

 

「やべ・・・壊しちまった」

「・・・気にするな、そこに置いとけ。記録は一応、測定不能の最高にしておくよ」

「そっすか、ありがとうございます」

 

体育館での測定も終わり残りはハンドボール投げとなっていた。唯一、ガロウにとってイマイチだったのは長座体前屈のみである。

 

次の種目はハンドボール投げ。

他の生徒が投げるのを見ながらガロウはどうするべきか考える。

普通に投げてもかなりの速さで飛ぶとは思うが、遠くに飛ばすとなると話は違ってくる。

 

「野球なら簡単なんだがなぁ・・・」

 

呟いてふと思う。

少し考えた後にガロウは口角を僅かに持ち上げた。

 

「次、拳獣」

 

名前を呼ばれて円の中に入る。

すると何を思ったのか、ガロウはボールを真上に投げて身体を後ろに捻り沈みこませる。

周りの生徒がざわつく中、ボールがゆっくりと落ちてきて丁度地面まで2mを切った時。

 

ーーー冥躰鳳昇拳(めいていほうしょうけん)

 

辺りに響く破裂音と共に拳が突き出されソフトボールを殴り飛ばす。更に加えられた拳の回転がボールに回転を起こし、安定したボールは一直線に飛んでいった。

暫くして出た記録はーーー

 

ーーー964m。

 

「だァ〜クソっ!四桁行かなかったか」

 

悔しそうにするガロウ。

落ちてくるボールを捉えて殴り飛ばす。言ってしまえば簡単だが、いざ実行するとなれば至難の業。果たしてそれを理解している者は何人いるだろうか。

 

「・・・・・・」

 

ただ一人、担任の相澤だけはガロウを鋭い目で見ていた。ボールを殴り飛ばすという発想力、落ちてくるボールを捉えて殴り飛ばす技術力。

それも恐ろしかったが、何より脅威に感じたのはそんな事を練習無しで試す度胸、自分に対する絶対なる自信。

これからの成長への期待と少しの警戒を込めた視線で眺めつつ、相澤は次の生徒の名を呼ぶ。

 

「次、緑谷」

 

ガロウは目線を向ける。

明らかにその雰囲気は沈みこんでいた。そう言えば、あの少年が個性を使った所を見たことなかった。どうやら、個性がない。若しくは使えない理由があるようだ。

 

しかし、どうやらその表情は何かを決心したような感情を見せている。

大きく腕を振りかぶった。

 

「・・・なんだ?」

 

しかし、結果は46m。

おかしい・・・明らかに緑谷は何かをしようとしたはず、恐らく他の生徒もそう思っている。

何より緑谷自身が見るからに驚いてるのがその理由だ。

その疑問は意外とすぐに晴れた。

 

「個性を消した」

 

特に何も言わなかった相澤がそう言って緑谷に近付く。

個性を消す能力。なるほど、個性が発現しまくってるこの社会にとってはかなりの抑止力になるのかもしれない。

 

ガロウ自身に取っては大した脅威にはならないだろうが。

 

「個性を消す・・・抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!」

 

緑谷が叫んだヒーロー名に聞き覚えはない。今までで調べまくったヒーローの中には無かった筈だ。

もしかしたら、メディアなどに露出するのを避けているのかもしれない。だとしたら正しい判断だ。自らの能力を晒すなんて愚の骨頂。

 

相澤は緑谷を近くに引き寄せると何やら小さな声で話している。

ガロウの聴覚からすれば聞き取る事は可能だが、あえてそうしない。知ってしまえば、起こった時の楽しみが薄れるから。

 

「・・・やっと、終わったか」

 

暫く話し合っていたようだがようやく緑谷が円の中に入る。下を向き何やらブツブツと呟いているのは単に不安だけかそれとも何か策があるのか。

どっちにしろ、次で分かる。

 

ボールを掴んで軽く助走して、大きく後に振りかぶる。腕が勢いよく振り抜かれていく中、ガロウはハッキリと見ていた。

ボールが離れる瞬間、最後まで触れていた指先がバリッと光ったことに。

ボールは空高く飛んでいき、暫くしてから計測の音が聞こえた。しかし、緑谷の指はボロボロになっている。

 

「・・・個性に身体が付いてきてないな」

 

だが、それを差し引いてもお釣りが来るぐらいにあの個性は強力だ。指一本分であそこまでボールを飛ばせるパワー。もしあのパワーで殴られたと想像するとゾッとする。

 

「まだ・・・動けます!」

 

目に涙を溜めながら相澤にそう訴える。

確かに指一本の怪我だけなら動ける。もしも、片腕で個性を使っていたなら他の競技が出来たかは怪しかっただろう。

 

指だけ犠牲にする発想に感心していた時、何故だか爆豪が叫びながら飛び出した。

何にキレているのか分からないが止めるべきかどうするか悩んでいると相澤の布が爆豪に巻き付き、その動きを止めた。

 

「あまり個性使わせんな・・・オレはドライアイなんだ!」

 

それであんなに目が充血してるのか。そこだけは残念だが、個性を消す個性とあれだけの縛法の技術力、かなり相性はいいのかもしれない。

 

 

 

残った種目もガロウは楽々と圧倒的な記録をたたき出した。最後の結果発表の時に

 

「除籍は最大限を引き出す為の合理的配慮虚偽」

 

と言われ何名かは驚き、何名かは分かりきっていたと言ったが、あの時の先生の言葉に嘘は無かった筈だ。

つまり、全員がお眼鏡に適ったという訳だろう。

 

発表されたガロウの結果は圧倒的な一位。

次いで二位には創造の個性をもつ八百万という少女が入っていた。

 

「・・・意外と退屈しないでいいかも知れないな」

 

中々に面白そうな奴らも多い。

自分の結果に満足しながら、ガロウは一足先に校舎に戻った。

 

 

 

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