The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題) 作:十五夜の月
オリジナル要素ある話を書きたい
「2対2で屋内戦をしてもらう!!」
「基礎訓練もなしに行うのですか?」
オールマイトの言葉に一人の少女(確か蛙吹梅雨て言ったか)が手を上げて質問する。それに対してオールマイトはグッと拳を握りしめながら説明する。
「その基礎を知るための訓練さ!
ただし、今度はぶっ壊せば良いだけのロボットでは無いのがミソ!」
「勝敗のシステムはどうなるんですか!」
「相澤先生みたいに除籍はあるんですか?」
「どのように分かれれば良いのでしょうか?」
「ねぇ、このマントヤバくない?」
一人の質問をきっかけに多くの手が上がりオールマイトに質問が投げ掛けられるが、いっぺんに言われて答えられるわけがない。
「ん〜・・・・・・聖徳太子!!」
ほら、やっぱりな。
全部の言葉を聞き取れなかったオールマイトはポケットから紙を取り出してそれを見ながら話し始める。
ーーーカンペかよ・・・・・・。
だが、今年初めて雄英高校の教師についたのだ。いかにNO.1ヒーローと言っても新人教師なら仕方がないのかもしれない。
「状況設定としては[敵]がアジトに[核兵器]を隠しており、[ヒーロー]は核を回収しなければ行けない。
ヒーローは制限時間以内に核兵器を回収するか、敵を捕まえれば勝利。敵はその逆で、時間いっぱい核兵器を守りきるかヒーローを捕まえれば勝利!」
どこかのゲームみたいな設定だとガロウは思う。
「因みにコンビと対戦相手はクジで決めるからな!」
「先生、クラスの人数は奇数でそれだと一人余ることになるのですがどうするんですか?」
「その事についてだが・・・・・・」
オールマイトはそこで言葉を区切ると何故かガロウに近付き、その肩に手をポンと置いた。
「拳獣少年には一人で戦ってもらおうと思う。行けるかい?」
「まぁ・・・大丈夫っす」
思いもよらぬ言葉に少し驚きはしたが、特に問題は無いのでオールマイトの提案をガロウは簡単に了承した。
「という訳で、拳獣少年の相手はーーー」
「先生!何故、ガロウ君だけひとりなのでしょうか?この場合はどこかのチームに入れて3対2とした方が良いのでは?」
ーーーまぁ、そう思うよな。
飯田がオールマイトの提案に疑問を示す。飯田以外も何故、という風な顔でオールマイトのことを見ている。
「うむうむ!飯田少年の言うことももっともだ!生徒一人を特別扱いする訳では無いが、拳獣少年の入試と個性把握の結果から見てこうしても大丈夫だと判断した!」
「それでは、ガロウ君の相手はどうなるんですか?」
「うむ!拳獣少年の相手は今からやる組とは関係なく、二回やってもらう者をーーー」
「オレにやらせろや!オールマイト!」
突然、オールマイトの言葉を遮るようにして誰かが叫びながら一歩前に出る。
爆発したような髪の毛に、凶悪な目付き、パッと見た感じはヴィランにも見えなくもない爆豪が自ら前に出た。
「いいよな、割れ髪野郎?」
ーーー割れ髪・・・?
こちらを睨んでそう言ってくる爆豪。
ガロウにとっては別に問題無いので承諾しようとした時、別の人物が前に出た。
「オレにもやらせろ」
身体の半分を氷に覆われた少年ーーー確か轟とか言ったはずーーーが爆豪より一歩前に出てそう言う。
「おいテメェ!俺より前に出るんじゃねぇよ、半分野郎!!」
「・・・・・・・・・」
「無視してんじゃねぇ!!」
険悪、それが二人の印象だった。
こんな二人がチームプレー等、果たして出来るのであろうかという疑問が真っ先に浮かぶ。
だが、そんな事はガロウにとって関係ない。戦う以上は叩き潰すだけ。
「よし、ならば全ての組が終わったあとに拳獣少年には爆豪少年と轟少年のチームと戦ってもらおう!」
「・・・うっす」
「全力でぶっ殺す!」
ヒーローらしからぬ発言と共に爆豪は掌で小さな爆発を起こす。轟はただ静かにたっている。
対照的な二人だ。
「それではチームと対戦相手を決めよう!」
オールマイトは何処からか箱を取り出して皆にクジを引かせていく。そして全員がクジを引き終わってから別の二つの箱を取り出し、それに両手を突っ込んだ。
「最初の対戦は・・・・・・こいつらだ!!Aチームがヒーロー、Dチームが敵だ!!」
オールマイトによって引き当てられたのは、緑谷と麗日のAチームと爆豪と飯田のDチーム。
さてさて、この勝負はどうなるのか。
爆豪は何を思っているのかは知らないが緑谷を睨みつけているし、緑谷はそれに対して何処かオドオドしていた。
「よし!それでは準備と移動をしようか!!」
まずビルに入るのは敵側。核の位置をセッティングしたり作戦を話し合ったりする。暫く時間が経った後、ヒーロー側が建物に突入。核の回収に向かい、敵はそれを阻止する。
非常に分かりやすくていい。
そして、戦闘訓練をしない生徒達は別室のモニターで訓練の様子を観察する。
ーーー実力はどんなもんか・・・・・・。
はじまりの合図と共にヒーローは慎重に建物に入り、核のある場所を探し始める。
定石にそった動きを見せる、悪くは無い。
対する敵チームは対照的で爆豪が飯田の静止を振り切り一人で部屋を飛び出ししたの階層に向かう。
どうやら奇襲をするつもりらしい。
「なぁ、ガロウ。どっちが勝つと思う?」
いつの間に隣に来たのか瀬呂が画面に向けていた視線をこちらに向けて訪ねてきた。
自分で考えるべきだろうに。
「実力で見れば敵チームだろ。麗日の個性についてはあんま知らないけど、緑谷の個性は諸刃の剣で使いにくい。
だが、爆豪の虚を上手くつけば勝つことだって出来るだろうな」
「流石の観察眼で」
感心したように瀬呂は呟くがガロウにとって瀬呂の評価など興味が無い。
いま興味があるのは行われている戦闘訓練だけだ。
「あぁ!爆豪のヤツ、奇襲とかズッケェ!!」
画面に目線を戻すと丁度爆豪が緑谷に奇襲を仕掛けたところだった。緑谷はギリギリの所で避けたようだが、爆炎が掠めたマスクの片側が焼け焦げて無くなってる。
奇襲がずるい・・・・・・その言葉で程度が知れる。
「奇襲も戦略さ!彼等は今、実戦の真っ最中なんだぜ?」
オールマイトの言葉はもっともだ。
まぁ、恐らくあの爆豪の奇襲は考えて行ったものとは言えないのかもしれないが。
飯田に言ってない時点で、それは一個人による勝手な行動。成功すればいいものの、こうして奇襲して誰も倒せてないのだから目も当てられない。
その場を離れて核に向かう麗日など気にもせずただひたすら緑谷を狙おうとする。
何か理由があるのかも知れないが、ハッキリ言って馬鹿だ。そうこうしている間にも麗日は核の方に向かってるというのに。
「うおっ、すっげえ!」
「やるなぁ、緑谷」
ワァッ、と歓声が上がった。緑谷が爆豪の腕をつかみ綺麗な一本背負いを決めた所だった。
焦り、手を爆発させながら振るった攻撃を緑谷は冷静に避けてその場から離脱する。そして、爆豪はそれを追う。
ーーー核の所に戻れば麗日を挟めるのに。
才能は確かにある。しかし、冷静に動けないその性格が爆豪の全てを台無しにしている。
そう感じたガロウは短くため息をついた。
だがその後は冷静さを取り戻したのか中々にセンスのある戦いを見せてくれている。
一回だけ見せた超高威力広範囲の爆破には特に驚いた。だが、オールマイトに注意されて今後は使えないようだが特に問題は無いだろう。
「目くらましを兼ねた爆破で軌道を変更している・・・。考えるタイプには見えないが意外と繊細な動きをしてるな」
「左右での爆破の微調整も必要ですしね」
「緑谷君がカウンター狙っても即座に反応」
「才能マンだ才能マン、ヤダヤダ・・・」
感嘆の声を上げるのは構わないが、ボヤくのなら他所でやってほしいと声に出さぬように心の内で思う。
実力を理解しようとしない奴は、その実力を得ることは出来ない。
「・・・・・・そろそろ、終わりか?」
呟きとともにモニターをじっと見つめる。じりじりと緑谷が爆豪に追い詰められていた。このまま行けば緑谷の負けは決定的、しかし、緑谷はまだ個性を使っていない。
恐らく、怪我の事を考えてギリギリまで使わない腹積もりなのだろう。
やがて、決心したのか緑谷が爆豪に向かって駆け出し、それに合わせるように爆豪も緑谷に肉薄する。互いに拳を振り上げながら、やがて射程圏に入った。
「ーーーっ!」
そこでガロウはハッキリ見た。緑谷は構えを既のところでアッパーをするように変える。
何故ーーー。
その答えは直ぐに出た。
「・・・・・・なるほどな」
緑屋が放った個性による一撃は建物の天井を何枚もぶち抜き、やがて麗日と飯田が対峙している部屋、つまり核のある部屋まで達した。
突如のことに飯田は対応出来ず、その隙を突いた麗日が核を回収。
「ヒーローチーム、WIN!!」
オールマイトがヒーローチームの勝利を知らせて、彼等を呼び戻しに出ていく。
演習の内容からしたら緑谷も爆豪もとても褒められたものではない。
しかし、爆豪の戦闘センス、緑谷の機転の良さ。意外とこの二人はいいコンビになるかもしれない。
そう思いながらガロウは欠伸をした。