色んな意見を聞いてみたく、こっちにも投稿。
再投稿&完結作品なので、ぱっぱと読み進めたい方はそっちでも読めます。
チラリズム・小出しが好きな方はどうぞお付き合いください笑
プロフという名のあらすじ
比企谷 八幡 男 22歳
大学の先輩に美味しいバイトだと唆され付いてった先が346プロだった。逃げようとするが時給の良さとチッヒの甘言に唆され隷属させられた。ちょろい。丁度、シンデレラプロジェクトによるアイドル部門立ち上げの事務処理などをしている時に武内Pに効率の良さを認められ、引き抜かれる。
最初は何人かいた社員・バイトは激務に耐えかねて徐々に消えていき、その度に便乗しようとしてチッヒに(社会的に)殺されかけている。気付けば、プロジェクト初期メンバーとして芸能関係のあらゆる事に精通して普通の社員より働かざる得なくなった。
送迎(バイク&ハイエース)・発注・スケ管理・人員配置などなど上司二人の補助がメインだったが年数を増すたび丸投げされるようになった。やだ、優秀。
チッヒに組まれた地獄のカリキュラムにより単位も就活もギリギリだった(チッヒ的には就活は失敗するように組んでた)。それにより、無事に今春から社会人に。
アイドルからは最初は腐った目のせいで引かれるが、予想の斜め下ばかり着いてくる会話と根は真面目で誠実であることが伝わると徐々に心は開かれる様だ(ちなみに小梅嬢は初期から好感度MAX)。また、前向きで頑張り過ぎなアイドルにとっては彼のやる気のない反応が程良い息抜きになる事もあるらしい(だいたい怒られてるが)。
ただ、将来のユメが専業主婦と言って憚らないのでよく女の敵だのクズだの呼ばれている。
武内P
真面目で紳士。よく逮捕される。比企谷と一緒にいると囲んでる奴だいたい警察。
仕事しすぎのワーカーホリック。好物はハンバーグ。
チッヒ
「鬼、悪魔、ちひろ」で有名なあの方。武内Pと八幡と同じ大学のOG。その経験を生かした魔のカリキュラムで八幡をバイト漬にした諸悪の根源。
シンデレラプロジェクトのやべー方。
ーーーーーーーーー
武P「皆さん、大切な話があるのでご注目願います」
低く呟くような声。それでも、その声を聞き逃す者はこの部屋には誰もいない。ガヤガヤと明るく声を交わしていた乙女たちはたったその一言で佇まいを直し、声の主に視線を向ける。
その目に宿るのは強い信頼と、熱意。この男が命じるならば、全力でそれに取り組んで見せると雄弁に語っている。
見られる方が焦げ付いてしまいそうな眼差しを受けるのは、大柄な鋭い視線の大男であった。その視線に値するだけの成果を、結果を彼は彼女達に示し続けて来た。
彼が起こした伝説的な企画にちなみ、”魔法使い”と呼ばれるほどに。
その彼が、向けられた熱すぎる視線をゆっくり見まわし、重々しく口を開く。
「皆さんお忙しい中でお時間を頂きありがとうございます。こうしてお会いできる時間が滅多に無くなってしまいましたが、それぞれの活躍を聞くたびに、嬉しく思っています」
その言葉に乙女達が浮かべた表情は、本当にそれぞれだった。
ココに集った誰もが今をときめくトップアイドル。こうやって時間を合わせて顔を合わせる事なんて本当に難しく、彼女達が昔のように集い、談笑する機会は全くという程なくなってしまっていたのだ。
その喜びと哀愁、そして不器用なプロデューサーの気遣いに最後はみんな苦笑いで答える。
楓「あらあら、なんだか久しぶりの集合は湿っぽくて駄目ですね。これからは”週5回”で”集合”しましょー!」
川島「……楓ちゃん?」
しんみりとした雰囲気をぶち壊すような陽気な声がお決まりのお叱りを受けた事で室内の湿っぽい空気は笑いへと変わって行く。
きらり「にょわー、でも楓ちゃんの言う事に大賛成だにー。きらり、みんなのお顔みたらもっーとハピハピでがんばれるにー!!」
杏「き、きらりはもうこれ以上元気出さなくて大丈夫じゃないかな・・・。く、苦し、い」
茜「うお―――!なんだか熱い展開ですね!!新旧シンデレラ集めてやっちゃいます!?なんかやっちゃいます!!?」
ナナ「…新旧って深い意味はありませんよね?旧は最初にデビューした組の総称ですよね?ね!?」
夏樹「私はナナさんの生き方、ロックだと思ってるぜ!!」
~ガヤガヤ~
静かだった部屋に活気が再び広がり、各々がやりたい事や展望を語り始める。この眩い輝きこそが彼女達をその地位に立たせているのだと、改めて認識させらる。
凛「で、プロデューサー。今日の話ってなに?その、ホントにそうゆう企画があるなら嬉しいんだけど…」
明るく未来を語っている彼女達の中から、黒髪ロングの女の子”渋谷 凛”が控え目に話を切り出して来た。無愛想だった昔とは違い、自然な笑顔で問いかけてくるのだから感慨深いものがある。ただ、惜しむらくは彼女の淡い期待に答えられるような報告では無い事に胃が痛む。
そんな俺の憂鬱さが移った訳でもないだろうが、武内さんが気まずげに首元を抑えるいつもの仕草をしながら言葉を紡いでいく。
「いえ、将来的にはその企画もやってみたい企画ではあるのですが……今日は残念なお知らせをしなければなりません」
その一言に、部屋の空気が固まった。姦しくも温かかったその空間に緊張が満ちてゆく。
重苦しい重圧に俺の胃がきつく締めあげられる。次に武内さんが発する言葉を今からでも取り消したい衝動に駆られるが、そんなことはいまさら出来ない。
自分はサイを投げ、もう目は出てしまったのだから。
「”シンデレラプロジェクト”発足時から皆さんや自分を支えてくれていた比企谷君が大学の卒業と共に就職し、この役職を離れる事となりました」
「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」
小さく息を整えた武内さんがそう言い切り、しばしの時間が流れる。
言われた意味が実感を持って伴わないのか、彼女達はゆっくりと武内さんの隣に立つ俺へ視線を移して行く。
どいつもこいつも一癖二癖ある変人と言って差し支えない奴らではあったが、素人から駆けあがって行くこいつ等を支えて、昇り詰めていく彼女らは間違いなく尊いものだと思った。
だからこそ全力で応援して来たつもりではあるが、この会社を去る自分にはもうそれは叶わない。
そんな自分に彼女達がどんな言葉を投げかけてくるのか、恐くてたまらない。だが、それすら受け取らずに逃げ出す事だけはしたくなかった。そのために武内さんに無理を言って彼女達と最後の機会を設けて貰ったのだ。
続く沈黙に、なにか言うべきかと口を開けかけた瞬間に微かな掠れた音に口をつぐむ。
それは、ほんの少しずつ数を増し、遂には大きく、弾けた。
「「「「「「wwwwwwwwwwwwww」」」」」」」」
『どわはっはっはー』と吹き出しが入りそうな程の大爆笑である。なに?妖怪の仕業なの?
え、なにこれ?八幡急な展開の変化についてけない。シリアスパートじゃないの?これ?
唐突なアイドル達の反応に俺も、武内さんも戸惑いを隠せず困惑していると彼女から次々と言葉が飛んでくる。
星「ふふふふひひひひひ!!し、親友が、しゅ、しゅうしょくWWWWW!!」
周子「あっはっはっはっは!!マジで!!てか、留年じゃないんだ!!単位この間までギリギリだったのにWWW!!」
杏「ねえねえ。就職先はどこー?養ってくれるププッ、奥さん見つかったのWWW!!杏にも紹介してよー」
蘭子「折れし翼を休め再び羽ばたかんことを!!(また、がんばりましょう!!)」
・・・・・・こ、コイツら。てか、誰のせいでギリギリになったと…チッヒのせいだったわ
奈緒「しっかし、あんたらも人が悪いよな。大層な話かと思えば比企谷のドッキリかよ~。一瞬、ビビっちまったぜえ!!」
みく「ホントにゃ!!悪ふざけも度が過ぎると悪質にや!!」
リーナ「ちょっとWW就職しましたの報告がわるふざけて言い過ぎWW!!」
・・・・・いや、マジで受かったんですけd
新田「比企谷君、失敗は決して恥ずかしい事なんかじゃないわ?そこから新しい自分を見つける事だって出来るわ?」
アニャ「ダ―!!これからも、がんばりましょう!!」
紗枝「ほんに、いけずやわー。万年就職希望が”専業主夫”の人が何をゆうとんのやらww」
文香「その目、私は好きですけど…」
・・・・・・・大笑いされるよりもしんみり言われる方が傷つくな。
幸子「まー、しょうがないですから?もう一年くらい世界一可愛い僕の面倒みさせて上げてもいいですよ!!」
まゆ「もうちょっとしたら養って上げますから、そんなに焦らなくて大丈夫ですよ!!」
拓海「まあ、他で内定貰えなかった事くらい気にすんなよ。幸いココで仕事は続けられんだから自暴自棄になんなって」
楓「採用、さいよう・・・さい、ハッ!即採用なんて、うそくさいよう!!」
~どわっはっはっはっは!!~
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・プツン。
武内P「あ、あの、皆さん。今回の件はドッキリとかで「うっせーーー!!てめえら俺が就職すんのが、んなに滑稽か!!!」」
武内さんが気まずげに何かを喋りかけていたが、思わず俺の怒髪天が天をついてしまった。
八幡、…久々にプッツンきちまったぜ。
「もーいい!!ちくしょう!!人がせっかくシリアスにお別れの席を設けたのに!!お前らあとで泣いてもしらね―かんなー!!俺が居なくなったら誰がロケ弁発注すると思ってんだ!!言っとくけど、あそこまで鬼チッヒ予算で最上級の物なんか用意できる奴なんかいねーかんな!!」
ちひろ「…ほほう、もっと削ってもいけたみたいですね」
なんか背筋が冷えたがもうここまできたらいい逃げだ!!い、いったれ!!
「てか、誰のせいでこんなギリギリまで単位と就活遅れたと思ってんだ!OBだっていう武内さんとちひろさんにカリキュラム聞いたらほぼココのバイト一色になる様なスケジュールなってたんすけど!!おかしいでしょ、夜間部の授業単位まで受けてギリギリってのは!!」
あ、チッヒと武内さんが目をそらしやがった。コイツら。なんか「いや、ちょっと興が乗りすぎまして…」とかいってっけどぜっ許。あーもう、ココまできたら今日は言いたい事全部吐きだして行ってやる。大学四年間でために溜めた俺の愚痴を受けてみろ。
そっからは何を言ったかあやふやだが、なんか日頃おもってた事を一人一人になんか言ってた気がする。みりあはいい子過ぎるだの、森久保はもっと自信もてとか、なんか勿体ないんだけどバイトとして口挟むのもな~的な奴を全部ぶちまけた気がする。あと、なんか最後に酸欠気味に何かを叫んだ気がするが頭が痛いので思い出せない。
怒りが醒めて、気がついたらみんな顔真っ赤で相当怒ってるぽかったからヤバい事だけは分かった。久々の黒歴史殿堂入り事件入荷である。ちなみに八幡は真っ青になってた。低血圧を疑うレベル。べー。マジベーわ。
4年間それなりに必死に努めて来たバイトの最後がこれとはなかなかな結末だけど、まあ、下手にお涙ちょうだいとならず丁度よかったかも知れん。笑って、怒ってくれたならこっちも飛び立ちやすいってもんだ。
美少女達に泣く泣く引きとめられでもしてみろ。常務が投げつけて来た契約書に印鑑とサインしてしまうまであるボッチのちょろさ舐めんな。
そんな結論で自分を納得させ、ちょっとの寂しさと笑いをかみ殺して俺は部屋を出た。
なんか、武内さんが呼び止めたそうにしてたけど何だろうか?まあ、真面目な人だから段取り的な物を最後までしたかったんだろうが俺らにはこれくらいがちょうどよさそうなので勘弁して頂こう。
記憶があいまいなままだが色々ぶちまけたせいか気分がよくグッと背を伸ばし、窓から覗く桜のつぼみを見つめ、新春からの新しい生活と彼女らの活躍に思いをはせた。
社畜とアイドルに幸あれ!!
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―――とあるお好み焼屋――――
加蓮「いやー、今日は面白かったわ―。まさか武内Pまであんな悪ふざけに乗ると思わなかったもの」
奏「意外ではあったわね。まあ普段はふざけた事しか言わなくてもやっぱり比企谷君にも意地はあったんでしょう?」
奈緒「アイツにそんなんあった方が驚きだよなー。逆に安心したよ」
周子「まあ、私もニートしてたから分かるけどなかなかしんどいンよ?そら卒業式二週間前に単位ギリギリ取った男をとる会社なんかあらへんやろけど、大手を振って他に内定無しとは言いづらいもんやって」
ま、私はそれで大手振っとったから勘当されたんやけどー、と笑う彼女に苦笑が走る。
卯月「んー、皆さん笑ってましたからてっきり冗談なのかと思ってましたけど、ホントだった場合どうなるんでしょうか?」
未央「ちっちっちー、甘いなー。甘いよしまむー。武内Pは言ってたじゃん?”この役職を離れる”って」
卯月「どういう事ですか?」
未央「つーまーり、会社からいなくなるとは言ってないんだよ!!」
卯月「……あ、そういう事です、か!?」
その場に居るアイドルが一様に大きく頷く。
美優「まあ、そんなギリギリの学生を雇う会社なんて普通ないし、この業界だと新入生は顔合わせを兼ねて色んな部署を回る事になりますからね。まあ、少し寂しい気もしますけど戻ってくるまでの我慢ですね!!」
みく「ホーンと悪質な冗談にゃ。自分が一般企業の内定取れない恥ずかしさを誤魔化すためにあんなドッキリ仕掛けるなんて!!ミク達が真に受けたらどうするつもりだったのよ!!」
卯月「みくちゃん素が出ちゃってるよ…。で、でもでも、それはいい方の問題でホントに辞めちゃってたら!?」
拓海「うーん、むしろそっちの方が難しんじゃねぇか?普通、あそこまで食い込んじまったら逃がさねえだろうし、大体、常務とちひろさん、武内Pのお気に入りだろアイツ。業界大手の大御所三人に気に入られてる人間を引っこ抜くなんて相当気合いがいるぜ?それが他業種だとしてもな?」
卯月「な、なんかそう言われてみると比企谷さんにそれ以外の選択肢がなさそうに思えてきますね」
凛「それに、卯月だって聞いたでしょ?最後にアイツが言ってた言葉」
卯月「う、ううホントにあんなストレートに言われて恥ずかしくなっちゃいましたよ」
杏「全員の痛いところ。いいとこも悪いとこも、ぜーんぶ指摘してって最後に”俺はお前らの全員のファンだぞ!!頑張れ!!”だもん。ホント恥ずかしいよね」
凛「あんな恥ずかしい事を宣言する奴がこの会社辞められる訳ないじゃん?」
楓「あんな事言われたら、アイドルも愛取られちゃいますね?」
~どわっはっはっはっは!!~
文香「新入生の入社式は4月1日らしいですね」
ありす「じゃあ、その日にあのマダオをみんなで笑いに行ってやりましょう!!顔真っ赤にして恥ずかしがりますよ!!」
夏樹「お、いいね!その案私も乗ったぜ。みんなはどうする?」
その他「さんせ―!!!」
やんややんやと姦しく、騒がしく、そして楽しく笑う私たちは意気揚々とその日を待ち望み、せわしなくも過ごすうちにその日を、迎えました。
ただ、どんなに見直しても新入生の一覧に、彼の名前が見つかる事はありませんでした。