以前ラブプロデューサーを書いていた時に、酷いスランプに陥り書けなくなったものを、リメイクとして書いているんですが、久しぶりに書いたら物凄い書き方が変わっていて、なんとも時間の経過を感じました。
さて、あらすじにも書いてありますが、今一度お願いを申し上げます。
ラブライバーの方も、アイマスPの方も、どちらも喧嘩をなさらないようにお願いします。
私はどちらの作品も好きなので、どちらの良さも分かっているつもりです。皆様がのんびりと、楽しく見てくれてくれると幸いです。
さて、前置きはここまでにしましょう。それでは、皆様本編を楽しんでくださいませ。
きっと、決まってたんだろう。彼奴が最後に残した言葉から。こうなる運命だったんだって。
「プロデューサー。なんで……!」
「響はやめて欲しくないんだぞ!」
「やよい。響。……わかってくれとは言わないさ」
決まった事だ。僕の口からはその言葉しか出せない。自分は理解しているが、周りはしないだろう。
それもそうだろう。いきなりの事だから。みんなで頑張ろう。そう決めた矢先のことで、多分。混乱もしているかもしれない。
「どうしてですか、プロデューサーさん!」
「春香、仕方ない事なんだ」
「私の歌を、貴方は聞いてくれるんでしたよね? なのに、なんで……」
「……すまない、千早。確かに、もっと聞いていたかったな」
だから、ひとりずつ。僕は最後の挨拶をしていく。貴音も、雪歩も。双葉真美亜美姉妹も。律子さんも。
「プロデューサー!」
「プロデューサーさん!」
「……どうしてもと言うのね?」
「あぁ、伊織。僕は決めたよ」
伊織は、僕の事をじっと見つめる。真剣さながらのその表情は、嘘を許さないと言った顔だ。
勿論、僕は嘘をついている訳じゃない。けど、僕は少しだけ揺らぎそうになる。
”でも”
「ハニー、本当に辞めちゃうの? 美希は……!」
「これは、美希の為でもあるんだ。俺のミスでもあるけどね」
きっと、これが正解なんだろう。だって、彼女を守るためなのだから。
「高木順一朗会長。順二朗社長。音無さん。あとは頼みます」
「……キラ君。君が大人達の犠牲になる必要は無いというのに」
「私達も、出来ることがあればもっとしてあげたいんだ!」
「私だって、貴方ともっと話したかったのに!」
だから、皆してそんな悲しそうな顔をしないでほしい。
最後くらい、笑って別れたいものだから。皆との大切な思い出を抱えながら、僕は、この場所を去りたい。
「それじゃあ皆さん……さようなら。今日をもって、伝説のプロデューサーは幕を閉じます。それでは」
僕はそのまま、大きくなった自分の務めていた会社である765プロから出ていく。これ以上居たら、決心が変わってしまうから。
■■ラブプロデューサー!■■
「……夢か」
朝六時。ふと目覚ましの音で意識が覚醒した僕は、目を擦りながらも起き上がる。随分と懐かしい夢を見ていたようだ。
丁度一年前の春だろうか。出会いと別れの季節なために、感傷的になり思い出してしまったのだろうと考えることにする。
「今日から、音ノ木坂に通うんだっけか」
朧気な頭を覚醒させるために僕は水で顔を洗う。頭に真っ先に浮かぶのは、自分が転入する学校の事だった。
そもそも、中学生時代から働いていた自分が学校とは不思議なものだと思いながらもトーストを食べる事にした。
「うん。今日もいい焼き加減」
決まって三分間同じパンを同じバターを置いて焼く。自分の中で密かなこだわりを僕は貫いているのだが、昔からの癖なのかこの食べ方じゃないと満足しないのかもしれない。
そんなこんながありながら。僕は学校に向かって歩き出す。学校は僕に刺激をくれるのか、少しばかり楽しみだ。
音ノ木坂は元々女子校なのだが、毎年入学者が減っていき、今回のような男子生徒を試験的に転入させるという試みをしてみたようだ。
その白羽の矢が立ったのはこの僕。どこから目を付けたのかは分からないけど、まぁいいか。と何時も癖で持ち歩く傘をくるくると回す。
さぁ。目的の学校は目の前だ。少しは気分が変わるだろう。
「なんて、朝からなんでこんな事考えてるんだか」
全ては夢が悪い。夢に押し付けながらも僕は学校に足を踏み入れた。
奇怪な。或いは怪訝なものを見る目。慣れてはいるけど良いものではない。
とはいえ、だ。ここでは僕がイレギュラーなのだから、仕方ないと割り切った。
「どいてどいてー!」
「ん?」
そんな時に聞こえてきた、なんだか懐かしいような声は僕の横を通り過ぎていく。まだ遅刻にはならないような時間なのに、何故焦っているのだろうか。
まぁ、そんな事を気にするよりも、早く理事長室に行こうと決める。案外、自分もブレないものだな。と自嘲しながら。
「それで、貴方が神田キラ君ね。ようこそ、歓迎するわ」
「今日から宜しくお願いします。南理事長」
理事長の第一印象は、穏やかな人。僕の中でのイメージがどれ程合っているかは分からないが、それは一旦片隅に置いておく。
「それにしても、貴方が試験生となってくれて良かったわ。じっくりと選んだ候補だから」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます」
「勿論貴方一人に責任を背負わせるつもりはないわ。ただ、普通の学生として過ごしてちょうだい。表向きは、廃校確定になっているようなものだし」
「はい。分かりました」
と、そこで南理事長は僕に何かを差し出した。何だろうか。訝しげにその差し出されたものを見た僕は絶句する。
「スクール、アイドル……?」
「そうよ。私の娘とその友人が始めたの。娘達だけでは不安だし、機材の運搬とかもあるから、手伝ってほしいの」
「……すいません。その話はお受けできません」
僕が断ったことに南理事長はキョトンとする。大方受けると踏んでいたのかもしれない。
けど、こればかりは僕が受けていい仕事じゃないんだ。僕はもう。
「まぁ、無理にとは言わないわ。じっくり娘達と話してから決めてみて」
だから、その言葉には頷くけど、断わる事しか考えられなかった。
■■ラブライブ! (高坂穂乃果)■■
「男の子の試験生が来るのって今日なのかな? 海未ちゃん」
「そうみたいですね。穂乃果。この時期に珍しいと思います」
夏に入る前のこの時期に、転入生なんてそうそう来ない。それが世間一般的な常識である事は何処に行ってもそうそう変わらない。
だが、この音ノ木坂は先日程廃校がほぼ確定的とされている中で、それを打破する試みとして試験生を一人入学させることにしたのだ。
その生徒は今日転入してくるというものだから、これは話題に上がり今や全校生徒の注目の的となっていた。
そして、教壇に先生が上がれば必然とそちらを全員が向く。
「さて、今日は皆のお待ちかね。新たな転入生が来たぞ。入ってきてくれ!」
「どんな子かな……!」
先程穂乃果と呼ばれた少女はワクワクが止まらないといった様子で扉を見つめる。
高坂穂乃果。彼女はこの高校において有名な人物の一人だ。何故有名なのか。それはスクールアイドルという今流行りの風潮によるものなのだが、実質リーダーは彼女なのだ。
そんな彼女も転校生にはそれはもう興味津々。今か今かと待ち続けた時に、彼は入ってきた。
茶髪にアメジストのような瞳。顔は良さげで体格も悪くない。そして「興味津々だな」と漏らした声から分かる、高すぎず。されど低すぎない声。それが彼だった。
「えっと、神田キラです。趣味はスポーツに歌にちょっとした格闘技に小説に……色々あります。よろしくお願いします」
「おおっ」
「なかなかのイケメン……」
「我世の春が来た!」
「ちょっと待って今の御大将誰!?」
キラが自己紹介をすると、一気に沸き立つ。様々な反応が、彼に襲いかかった。
そのクラスの反応に驚いているのを見ながら、穂乃果は値踏みする様に……というよりは、彼女の性格が性格な為そうとは言えないが、少なくとも、勧誘するのが幼馴染みの園田海未の目に見えた。
「穂乃果」
「うんうん、海未ちゃん。キラ君をマネージャーかプロデューサーにしようよっ」
「……聞く耳無しですね。全く穂乃果は。そう言いそうだから声をかけたというのに」
どうにも一直線な穂乃果に海未は、いつもの事が始まったか。という顔つきで眺める。
その様子を、もう一人の幼なじみ。南ことりは見ていて苦笑いを浮かべていた。
「うーん。まぁ、キラ君に話を聞いてから。じゃないかな~」
「ぇえっ、普通にOKしてくれると思うんだけどなぁ」
穂乃果が確信しているのを見て、海未とことりはどうしよう。と顔を見合わせる。
まぁ、授業が終われば忘れているだろう。そんな長年の付き合いにおける考えの元、二人は前を向いた。
「全く、プロデューサーやマネージャーというのは簡単ではないのに……」
「うん。でも~、居たら嬉しいなぁっていうのは思うけどね~」
ことりも海未も、そういう人物がいたら。ということは考えたことがある。でも、いきなり頼んでいいものか。と悩む。
そんな二人の様子に気づかない穂乃果は、質問タイムに移った為にとある質問をしていた。
「歌とダンスは好きですか?」
「えっと……好きですよ」
穂乃果の質問に答えたことにより、周りはちょっとしたどよめきを見せた。
「見てみたい!」
「聞いてみたいかも!」
そんな声が上がりだして、キラは思案した後に、「分かりました」と一言だけ言うと、少しばかり目を閉じる。
そして、次に目を開いた時には雰囲気がかなり違っている事に、穂乃果や海未。ことりは気が付いた。
「流石にこの幅でダンスは厳しいし、今回は歌だけで。……蒼い鳥」
その歌は、とあるアイドルの曲だったか。と、クラスの面々は思い出す。
その後すぐだ。歌が響きだした時には、皆が聞き惚れていた。
男性にしては澄んでいる、力んでいない自然体な声で歌うそれは、正に本物だった。
穂乃果はその時確信した。この人なら、色々教えてくれるはず。と。
海未は驚いた。ここまで実力がある人が、何故出てこなかったのか。と。
ことりは感じた。こんなにも綺麗な歌声の男の人が、本当に居るんだな。と。
「……聞いてくれて、ありがとうございます」
そして、歌が終わるとともに、拍手は鳴り響く。ことりも海未も、穂乃果も。三人とも拍手をしながら、三者三様の心境を抱えつつも、キラに迫りたい。そう思っていた。
この人となら、高い所に登れるんじゃないか。そんな気がして、三人は顔を見合わせる。
「……そうですね、誘ってみましょう」
「放課後。だね〜」
「うん、言ってみよう!」
そんな三人に気付かずに、キラは席へと座る。注目されていることに苦笑いしながらも、朝のホームルームや授業の時間はあっという間に過ぎていった。
■■ラブライブ! (園田海未)■■
放課後。授業などが終わったあとで、キラさんは部活の勧誘などに引っ張りだこになった後、漸く解放されたみたいです。
そんな疲れているところに行っていいのか、私は少しほど疑問に思いましたが、穂乃果の鶴の一声で、私たち三人で向かうことになりました。
「あ、あそこに居るよ! 早速声をかけようよっ」
「待ってよ〜。そんな焦っても逃げないかも?」
「そうですよ、穂乃果! 走ったら危ないですよ!」
穂乃果が走ってキラさんのもとに向かうから、私達もつられて走る。
その足音に気づいたキラさんが、こちらを振り返ります。って……あっ!?
「きゃっ!?」
「危ない!」
私がなにかに躓いて転びそうになった所を、キラさんに受け止められる。
男性に抱きとめられるのは初めてだから、なんとも顔を赤くしているだろう。と思いつつも「すいません」と声をかけて離れます。
「なにか急いでいたみたいだね。……確か同じクラスの高坂穂乃果さん。園田海未さん。南ことりさんかな」
「うんっ、そうだよ!」
「はい。そうです」
「覚えてくれたんだね〜」
名前を覚えられている事はとても驚きでしたが、そこでキラさんに本題を伝える事にしました。
「あの、キラさんはスクールアイドルって知ってますか?」
「あぁ、最近人気のあれだね。それがどうしたの?」
スクールアイドルという単語を出した時、少しばかり陰りが見えた気がしましたが、その後に穂乃果が前に出てキラさんの手を取ります。
「私達の、プロデューサーになってほしいの!」
「……え?」
すると、少し前までの穏やかな雰囲気が、キラさんから消えました。その顔は驚きと、とても深い悲哀に満ちている。そんな気がして……?
「……ごめん。プロデューサーは、もう辞めたんだ」
それだけ言うと、優しく穂乃果から手を解いて歩きだします。ものすごく悲しそうな顔をした彼は、とても寂しそうな。そんな背中を見せたまま、歩いていきました。
「……もう辞めた?」
その中で、そんな言葉が私の中に引っかかった。何かあるような、そんな気がして。