過去の話1
突然だが俺は荷造りをしている。旅行に行くわけではない。引っ越しのための荷造りだ。
とにかくあいつが来る前に急がなくてはならない。
事の発端はこれだ。
俺の名は東雲冴和(しののめさお)という。自分的にも他人的にもとても訳の分からん名前だ。そして俺に幼馴染みがいる。そいつの名は丸山彩という。ピンク色の髪をしていて、身長は俺よりも少し小さい。アイドル並みに美しいため、現在はアイドル事務所でアイドル研究生をやっている。そして事務所の意向で結成されたアイドルバンド「Pastel*Palettes」でボーカルをやっている。めっちゃ順風満帆な彼女に見えるが実は欠点が多い。アガリ症でアドリブが全くできないというアイドルにとっては致命的なわけだが、それよりももっとヤバい欠点がある。それは、「俺を溺愛していること」。
なにいってんだこのおっさんみたいな顔しないでくれ。本当なんだって。
まず俺と丸山が出会ったのは幼稚園のとき。そのころからアニメやゲームに没頭する生粋のオタクであったが、普通に友達と遊んでいた。ある日、丸山が「いっしょにあそぼ!」と誘ってきたため、おままごとで遊んだ。そこから仲良くなり、さらに家も向かい同士だった事が分かった。それから幼稚園の時だけでなく、休みの日も毎日遊び、どんどん親しくなっていった。
そして幼馴染みあるあるの会話がついに来た。ある日丸山があるドラマをみて「結婚」という事を知ったらしい。
「ねぇねぇさーくん!あやとけっこんしてくれる?」
「うん!もちろんさぁ!」
「やったぁ!!じゃあずっといっしょだね!!」
と抱きついて、キスをしてきた。思えばこれが俺のファーストキスだった。それからというもの、「本当に幼稚園児か?」というような激しいスキンシップがなされるようになった。
これが中学まで続いたのだ。小学低学年まではまだ俺もこのスキンシップを受け入れており、むしろ嬉しかったため、全く恥ずかしい事なんてなかった。だが高学年から、恥ずかしい気持ちが大きくなってきて、「そういえばなんで丸山がこんなに俺の事を?」と思うようになってきて、それからはなるべく距離を置くようにした。
そんで初めて事件が起きた。距離を置き始めた翌日、下駄箱に手紙が入っていた。丸山からだった。「今日の放課後昇降口で待ってるから、一緒に帰りながら話したい事があるからきて」という手紙だった。その日の授業はずっと丸山が俺の事を見てきて、もしかして距離置いてる事がもうバレたのかと察したくらいだった。
放課後になり、必然的に昇降口に向かう。約束通り、丸山が昇降口で待っていた。俺に気づくと、こちらに向かってきた。そして「手つないで帰ろ?」といってきて、断ろうとすると「いいからいいから」と勝手に手をつないできた。柔らかかったなぁ。それで一緒に帰るわけだが、なかなか本題の話がされて来ない。俺は「話って何」と話題を振った。すると丸山は
「なんで私の事を避けるの?」
とハイライトが無い目でそう言ってきた。
「別に避けてないって」
「嘘。だって昨日だって一緒に帰ってくれなかったし。メールの返事だっていつも以上に遅かったし。挙げ句の果てに私の事を全く見てくれなくなった。おかしいよ。私なんかした?」
と今に泣きそうな目で見て言った。
「いや言わせてもらうけどお前こそおかしいよ。俺たち付き合ってないのに抱きついてきたり、いまだってこうやって手をつないで帰ってるし。マジでおかしいだろ」
と言った。すると丸山は信じられない事を言った。
「さーくんこそ何言ってるの?私たち付き合ってるでしょ?」
は?
「いや意味分からん」
「だって私たち結婚を誓い合ったじゃない。その時からずっと付き合ってるんでしょ?」
「結婚を誓い合った?、、、あ〜、あの事か。いやあれは違うだろ。だってお前と俺小さい時だったしそんな会話ありがちだろ」
「え?じゃ私達付き合ってないの?」
「せやな」
「いや!そんなことない!!私たちは付き合ってる!相思相愛なの!!さーくんがおかしいだけ!!」
と、突然態度を豹変した丸山がいた。その時手は離されていたため、怖くなった俺は一目散に逃げてしまった。
家の自分の部屋に着くとものすごくほっとしたのを今でも覚えている。
「どうしちまったんだあいつ...」
何気なく窓をみると、とんでもないものを見てしまった。家の前でハイライトをなくした目でこちらを見つめる丸山がいた。
「うわ。まじかよ」
やべぇと思ったが、家の中だし大丈夫やろと油断していた。そう、油断していたのだ。
俺の過去の話はまだ続く。
お見苦しい文章ですみません。でもこんな調子で更新続けていくのでどうかお許し下さい。