異世界より生還した鈴木悟が手にしたあるアイテムを基に、再び異世界に舞い戻り異世界を手にするまでの単純な話。

 個人的にはネイア・バラハのssがもっと増えて欲しいので、久しぶりにssを書いてみました。


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 久しぶりにssを書き終えて若干気分が良いですが、この後は私が予測するに青評価になるだろうな、と思ってみたり。
 個人的には最近、太りすぎた所為で死にそうです。
若いのに脂肪肝に陥りフォアグラになり、気分が悪くなる一方です。 もし、この後の話を書くことになったらちら裏に書くと思います。
 まぁ、本音を書くならこんな感じのssはどんな感想がつくのか、気になるところですね。 


断章 誰の記録にも残らない1ページ

 救世の英雄×××・×××は自身が成し遂げてしまった戦果が引き起こした惨状を見て後悔をしていた。

 やはり、××××・×××・××××××に従わずに、自害をしていた方が世界の為になったのではないかと思わずにはいられなかった。幾度瞬きをしても、目の前に広がる地獄よりも酷い光景が広がっていた。

 あらゆる物質が壊れ、かの人物が作り出していた死の空間が時間を追うごとに増えていくのを、父×××・×××から授かり、かの人物に見出された事により強化された鋭敏な感覚が知覚していた。

 「ああ、やっと陛下と同じ世界に行けるかもしれません」

 誰もいない丘の上で、ふと独り言を呟いたのだが決して叶わぬ願いだと自分が一番知っていたからか、続きのセリフが口から出る事はなかった。例え陛下自身からの勅命だったとしても、自分のしたことは正当化する事は、自分がするわけにはいけない。だからこそ、自分の馬鹿さ加減を神棚に上げたとしても許せない、許してはいけない奴らがいた。

 陛下が陛下になる前の仲間と名乗る神々だ。

 奴らは何を思ったのか、ほかの神々と戦線を組み陛下討伐に向けて動き出していた。奴らを含む神々の持つ力は、天地を揺るがし容易に国々を滅ぼす事の出来るものだった。それに加えて、裏切りをしてはいけない陛下の庇護下にあった国々が、示し合わせたように裏切りの連鎖を笑顔で奏でていた。

 初めに手を挙げたのは、バハルス帝国のジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=二クスだった。

 ジルクニフは「これまで世界を支配していた異業種から大陸を人類の下に取り戻す為の聖戦である」と、宣言を世界中に公布後、陛下より支配権を付与されていたアンデットを使用して混乱を引き起こしながらも、人類のためにと涙を流す皇帝がそこにいた。

 もし、この時に皇帝の眉間に矢を打ち込めたら、陛下がこの大陸から逃げ出す時間が稼げたのかもしれない。私は、叛逆罪で処刑されるかもしれないが。ただ、これに関しては陛下にも落ち度があると感じる。

 まず、人間に限らずに裏切る可能性がある者に支配権を付与する失策、アンデットの過度な忠誠心からくる無知だな。いくら、数百年にわたり大陸の平和に貢献してきたとはいえ、信用するべきではなかった。皇帝が忠誠を誓っていたのは陛下を裏切るチャンスがなかっただけで、裏切るチャンスがあれば即座に行動をするにほかならない。高度な密偵は信頼を得るために数十年単位で忠義を尽くすと、陛下の保有する図書館にある「馬鹿にも理解させられる支配者テクニック」に記述されていた。

 また、アンデット達は異常なまでの忠誠を持ってしまい、皇帝の命令は裏を返せば陛下からの命令であると受け取り、自分たちが持ちうる能力をすべて使用して、陛下から他の神々の動向を隠す煙幕代わりとして十分以上に役にたってしまった。

 その結果として、陛下の保有していた数々の武器、防具、マジックアイテム、など様々な物が陛下のかつての仲間によって運び出されて、神々の準備を整える時間を与えてしまった。運び出された物の中にはワールドアイテムと呼ばれる、陛下から見てもとても貴重な物だった。陛下は世界と同等の価値があると言っていたが、心中では信じられていなかった。

 ワールドアイテムが引き起こした惨劇を目撃するまでは、大陸に存在していた無数のアンデットを消し去った物など常軌を逸した物しかなかった。

 そんな事を考えていると、ついに自分にも番がまわって来たようだ。神々の頭部を嬉しそうにも、恨めしそうにも感じる表情で体にぶら下げている少女がゆっくりと歩いてきた。  その少女は神々でさえ数十人単位挑まなければならないワールドエネミーの一人だった。

 

 少女の名は生命の樹(セフィロト)と呼ばれているらしい。

 神々の断末魔から憶測するに、一つ目は体力、魔力、能力の吸収と、自身の僕を無限に創造の二つらしい。

一つ目の効果範囲は自身に直接、間接に問わず触れる事であり、大陸に存在する限り防ぐ事はほとんど出来ない。

二つ目は吸収したモノが保有していたモノから再構築する為に、マジックアイテムを装備所持していた場合は、その効果がステイタスに装備しなくても反映される。その為に装備上限も無視してステイタス上げる事が出来る為、必中、多重ロックオン、攻撃力アップ、スキル無効などを組み合わせて、レベル100のカンストプレイヤーでさえ一撃で殺す事も簡単だが、全く弱点がない訳ではない。

例えば、生命の樹がレベル一の場合は駆け出しのプレイヤーでも難なく倒せる程度の能力でしかないが、成長を経て手の付けられない怪物に進化するだけなのだから。

敵対した神々にとって悪夢だったのは、その効果持つ僕を体力の続く限り量産出来る事だろう。

 

 少女はニコニコした表情で私にゆっくりとしたトーンで話かけてきた。

「あなたが私だけのお兄様を殺した愚か者で相違ないですかぁ」

「そうだけど、何か」

 少女は誰に分かるような嘘くさい泣きまねをしながら、目線を私に固定していた。目にあたる部分から涙などは流れ落ちる訳はなく、声は何処となく棒読みだ。

「てっきり他のあほおぉみたく助けてくださいと、何の脈絡もなく命乞いをすると思っていたのにぃ」

「私はあんな奴らとは違う」

「確かに違いますね」

 次の瞬間、少女から漂う何かがどす黒く変化したと知覚してしまった。その雰囲気は、はるか昔に体験したことのある魔導王陛下のモノに近しいモノを感じた。だからこそ、これから自分がたどり着く運命のイメージが、頭に作られる前に答えは目の前から飛んできた。

「私たちの主を殺した大罪人なんですからね」

「分かっている。だから拷問でも何でも始めなさ」

 少女は、彼女を以てしても認識出来ない神速の速さで彼女の口を塞ぎながら小声で呟いた。

「っふ。いえ、あなたには苦痛なき死を与えるようにと勅命を受けていますよぉ」

 

 彼女が知覚するよりも早く、彼女を構成するモノが煙のように消えてしまった。

 ただ、彼女を見送る少女の表情は酷く歪んでいたが、主を亡き者にしたからではなかった。自分には出来ない使命を成し遂げる権利を有している事を、心から羨んでいるからに他ならない。

「私はお兄様の復讐しかできなかったけど、貴女ならお兄様の運命を変えられるかもしれませんね、、、嫌がるかもしれませんが、お兄様にもアレを転送できましたし」

 誰に聞かせる訳でもない独り言を言い終えたところで、彼女の体は肢体の先から砂に姿を変えていった。痛みがない訳ではなかったが、自分の命じられてはいないお節介終えたことで満足しているからだった。

「私の命と数万を超える敵対プレイヤーとnpcを生贄にしても、たった二人しか戻せないとは命の価値も低いものね」

 

 とある階層から動く事がなかった彼女は、主が死んだことで暴走した僕により世界に放たれた怪物ではあるが、復讐心は薄かった。歪んだ正義の心を持った奴らが現れた時点で主を戻す事は決めていたし、私だけを見てくれないお兄様は一度くらい死んだ方がいいって思った。

「だからね、お兄様。復讐をするなら自分でやってね」

 世界が、神が、異世界の住人がお兄様に反逆をするなら、異世界の意思を束ねてまた遊びに来てね。その時こそが、本当の意味で世界を変え支配できるチャンスであり、私が復活する時でもあるのだから。

 

 さあ世界よ、我らが主を弑した者達よ、恐怖しろ、泣き叫べ、生き続け、苦しみ続けろ。

 




 在るかもしれない次回予告

 そこは、様々な種族の同志が集まる地下教会。
 彼らの信仰対象は、この世界を作り出した唯一神にして、至高の御方と呼ばれる存在だ。
 彼らを制御出来るのは、唯一神を除けば聖女以外に存在しない。
 しかし、聖女は能力は目を見張るモノがあるものの、武力に秀でている訳ではない。
 その為に、反逆の二つ名を持つ男が武力担当だったりする。
 その男の二つ名の由来は、自身が過去に起こしてしまった。否、これから起こすかもしれない事件からとったものだ。ある塗り替えられた過去からくるものだった。
 愚かにも、御方に対して暴言を吐いたに止まらず、攻撃を加えたという禁忌だった。
 だからこそと、思う。
 今度こそ、あの御方に心から尽くそう。

 そして、突然壊れたように赤い涙を流していた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ。神が降臨なされました。分かります、分かります、分かりますとも、貴女の悲願が叶いますとも」
 男は一人頭を抱えながら、嬉しさから身を震わせていた。だが、男は知らなかった。
 自身の狂信とも称される信仰は、聖女より誘導された結果だったことなんて。


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