男子も戦車道に参加できる世界   作:カット

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9、再会と約束

「ごめんね……いきなり強豪校と当たっちゃって……」

 

 

抽選会が終わり、Aチーム+りくは近くにあるルクレールという店に来ている。そんな中みほはいきなり強豪校と当たったことについて申し訳なく思っている。

 

 

「サンダースってそんなに強いの?」

 

「戦車の保有数は日本一です!」

 

「ひぇ〜」

 

「でも1回戦のレギュレーションでは10両までとなっています」

 

「それでも2倍の戦力だよ〜」

 

「ごめんね……」

 

 

沙織がサンダースについて聞くと優花里が軽く説明した。

みほはまだ落ち込んでいる。

 

 

「いつまで落ち込んでるんだみほ」

 

「だって……私の酷いクジ運のせいでいきなり強豪校と……」

 

「トーナメントで勝ち進めば結局は強豪校と当たるんだ。それに戦車の保有数が凄いサンダースと初戦で当たるならむしろラッキーだろ。全然クジ運悪くねぇよ!」

 

「りくの言う通りですよみほさん」

 

「りくもたまには良いこと言うな」

 

「おい麻子!?たまにはってどういうことだ!?」

 

「冗談だ」

 

「おい!?」

 

「クスクス」

 

「みほも笑うな!!」

 

 

トーナメントでは勝ち進めば進むほど戦車の使用可能な台数が増えていく。だから戦車の保有数が凄いサンダースと初戦で当たるのはむしろラッキーだとりくは考えている。そのことを言うと麻子が冗談を言い周りを笑わせ、みほも一緒に笑っている。

 

そこへ……

 

 

「………副隊長?あぁ元でしたね。それにりくも」

 

「エリカ……」

 

「お姉ちゃん……」

 

 

黒森峰の隊長と副隊長である西住まほと逸見エリカがやってきた。

 

 

「まだ戦車道をやっていたとはな」

 

「なんか文句あるか?」

 

「……別にいいさ、続けるも続けないもお前たちの自由だ」

 

「隊長!?ですが!?」

 

「お言葉ですが去年の西住殿たちの行動は間違っていないと思います!りく殿は少し危険でしたが…」

 

「部外者が口を挟まないで!」

 

「す、すみません…」

 

「まぁりくの行動が危険ってところは私も隊長も同意見だけど……」

 

「それは言うな……俺もわかってるから」

 

 

今優花里が言った"去年の行動"というのは全国大会決勝での行動のことだ。去年は黒森峰だったみほは、崖から落ちてしまった戦車の乗員を助けるため、命綱無しで駆け下りて助けにいった。りくはというと命綱はしたが飛び降りるように助けに行ったのだ。優花里はりくの行動は少し危険と言ったが、実際は少しではないだろう。みほもりくも……

 

 

「大体、なんで貴方たちのような無名校が出てきてるのよ!?元副隊長やりくは知ってるでしょ!?この大会は戦車道の評判を落とさないように、無名校は出場しないのが暗黙のルールだってこと!それなのになんで!?」

 

「エリカが知る必要はない。暗黙のルールだろうが大会ルールに記されてるわけでもない。つーか俺たちは勝ち進むし問題ないさ」

 

「エリカもう行くぞ、これ以上は店の迷惑になりかねない」

 

「わかりました」

 

「あとりくは来い。聞きたいことがある」

 

「ケーキ食ってからでいいだろ?」

 

「問題ない。もう食べた」

 

「えっ……麻子いつの間に!?別の意味で問題だろ!?はぁ……まぁいいや」

 

 

店の中でエリカと口論になったが、すぐさままほがそれを止めて外に出るように促した。りくに聞きたいことがあると言い、注文したケーキ食べてからと思ったら、エリカと口論してる間に麻子に食べられていたらしい。そのためすぐに外へ出ることになった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「まったく……2人とも店の中であんな風にして……迷惑だろ」

 

「悪かったよ姉ちゃん」

 

「すみません隊長」

 

「わかればいい…りく」

 

「うわっ!?どうした姉ちゃん!?」

 

「なっ!?」

 

 

店の外に出ると先程の口論についてまほは怒った。店の迷惑になるという理由で。

その後、いきなりりくのことを抱きしめたためりくとエリカは驚いている。

 

 

「よく続けてくれた。りくもみほも完全に戦車道を辞めてしまうんじゃないかと思っていたぞ。だから続けてくれていて本当に嬉しく思う」

 

「聞きたいことってのはやっぱり嘘か。つーか大袈裟だよ姉ちゃん…」

 

「何処が大袈裟なのよ!?私も隊長もどれだけ心配したかわかってるの!?」

 

「それは……悪かったよ。でも俺は西住流の考えではもうできない。家を出る前、母さんと話した時にそう思った。姉ちゃんはその場にいたから俺の考えは聞いてたと思うけどさ」

 

「私は貴方たちともっとやりたかった!去年のことだって助けに行ったのを怒ったわけじゃないでしょ!危険な助け方をしたからみんな怒ったんじゃない!それなのになんで2人とも転校しちゃったのよ!しかも復活したとはいえ、戦車道がない高校に転校するのよ!?」

 

「俺はともかくみほはもう戦車道をやりたくないくらい嫌いになってた。俺は正直どっちでもよくなってたしさ。まぁ結局今はやってるけどな」

 

「エリカ、私たちはよくても上の人はそういうわけにいかないんだ。私たちが普通の学校ならともかく、10連覇がかかっていた試合だったから尚更な」

 

「それでも!」

 

「エリカ、本当に悪かったな。いきなりいなくなって……でも俺は黒森峰にいたくなくなった。まぁ母さんと話した結果そうなったんだけどさ。それにみほも……」

 

 

エリカもりくも、まほがいきなりりくを抱きしめたことに驚いたが、すぐさまエリカは自分の思ってることをりくに言った。りくもりくで自分の思ってることを言っている。お互いに本音だ。

 

 

「いきなりいなくなったことは本当に悪かった。でもエリカ、それに姉ちゃん、この大会に優勝して、俺たちの戦車道を見つけるって約束するよ。それを2人に……いや、黒森峰や母さんにも見せる。約束だ」

 

「りく……約束守りなさいよ!」

 

「りく、それにエリカも何を言っている。これではりくは約束を守れないぞ」

 

「なんで?」

 

「りく、私たちに勝つつもりか?」

 

「はっ!?そうよ!私たちに勝つつもりなの!?」

 

「当然!」

 

「いい度胸だ」

 

「なら決勝まで勝ち進んで来なさい!」

 

「言われるまでもねぇよ!つーかすぐに気付かなかったエリカに言われたくねぇな。というかさっきみほにあんな風に言う必要なかったんじゃないか?」

 

「っ!?そ、それは……」

 

「そう言うなりく、エリカが素直じゃないのは知ってるだろ」

 

「隊長!?」

 

「知ってるって、わざとだ」

 

「りくまで!?」

 

「「何か間違ったこと言ったか?」」

 

「…………」

 

 

りくは大会に優勝して……つまり黒森峰にも勝つつもりでいる。そこにすぐさま気付いたまほが指摘したが、りくは動じない。大洗で優勝したいという気持ちが強いからだ。

ついでに姉弟で少しエリカをからかった。

 

 

「なら私たちはそろそろ行くとしよう。りく、まずは決勝まで上がってこい!そこで私たちが倒す。約束しろ」

 

「決勝まで上がるってところは約束する。でも勝つのは俺たちだ」

 

「途中で負けるんじゃないわよ?」

 

「お前らもな。俺たちは勝ち進む」

 

 

最後にお互い決勝で戦うことを約束すると、まほとエリカの2人はすぐに去っていった。だから

 

 

「負けられない理由もあるしな」

 

 

とりくが呟いたことを知ることはなかった。

 

 

ちなみに……

 

 

「お兄ちゃん大丈夫?何もされなかった?」

 

「問題ない」

 

「じゃあ帰るぞ」

 

「…………えっ」

 

 

りくが席に戻るとすぐに待っていたみほたちも帰ることもなったため、りくは店で何も食べることができずに帰ることとなった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ゆかりん今日どうしたのかな?」

 

「連絡なしだと心配だな」

 

 

今日の練習に優花里は参加していなかった。連絡があればまだよかったが、優花里から特に連絡は入っていないため心配している。

 

 

「寝すぎて来ないとかか?」

 

「それ麻子だろ?」

 

「私でもちゃんと学校には行くぞ」

 

「冗談だ」

 

「お兄ちゃんも麻子さんもこんな時にふざけないでよ」

 

「悪い悪い」

 

「みほさんにも連絡入ってないんですよね?」

 

「うん…」

 

 

麻子とりくは冗談を言い合っているがそこはみほに怒られた。りくだけでなくみほ、それに他のみんなにも連絡は入っていない。

 

そこで

 

 

「じゃあ今からゆかりんの家行ってみない?」

 

「家の場所わかるのか?」

 

「わかるよ!」

 

「なら行くか」

 

 

みほ、華、麻子、沙織、りくの5人は優花里の家に行くこととなった。少しすると"秋山理髪店"に到着した。

 

 

「ゆかりんの家って床屋さんだったんだ」

 

「それは知らなかったんか、とりあえず入るか」

 

「そうだね」

 

 

カランカラン

 

 

「いらっしゃ〜い」

 

「あの…優花里さんいますか?」

 

「君たちは?」

 

 

店に入るとおそらく夫婦だろう。2人で入ってきたりくたちを出迎えた。おそらくお客さんだと思ったのだろう。ただりくが優花里がいるかどうか尋ねると客じゃないことに気が付いたみたいだ。

 

 

「俺たちは優花里さんの友達です」

 

「ととと友達!?優花里に家に連れてくる友達が!?」

 

「あなた落ち着いて、ごめんなさいね。優花里が家に友達を連れてくるだなんて初めてだったから。それと優花里朝早く学校に行ってからまだ帰ってないのよ。もしよかったら部屋で待つ?」

 

「それじゃあお言葉に甘えてそうさせてもらいます。みんなもいいよな?」

 

「「「「もちろん!」」」」

 

 

みんなは優花里の母親に部屋で待たせてもらうこととなった。少しの間待ってると……

 

 

ガラガラ

 

 

「あれ?みなさんお揃いでどうしたんですか?」

 

 

優花里が窓から部屋に入ってきた。何故かコンビニの制服を着て。

 

 

「いやゆかりんこそ……何その格好……それになんで窓から」

 

「この格好で玄関から入ったら親に心配されますから」

 

「そ、それはそうかも……」

 

「へぇ〜じゃあ俺たちには何も連絡しないで心配させてもいいってわけか〜」

 

「ひっ!?り、りく殿顔が怖いです……」

 

「お兄ちゃんの言う通りだよ優花里さん。連絡なくてみんな心配したんだから……」

 

「す、すみませんでした…」

 

「ま、まぁまぁ、ゆかりん無事なんだから2人ともそれくらいにしてあげて」

 

「ほんと沙織は優しいな」

 

「やだも〜そんなこと言っても何も出ないんだからね」

 

「いや……特に期待してないが」

 

 

何も連絡なかったためか、りくが怒りみほも心配していたことを伝えるが、沙織が気にしないような発言をしたためか、2人がこれ以上責めるように言うことはなくなった。

 

 

「それよりもこれを見てください!」

 

「「それよりも?」」

 

「はっ!?心配させてしまい申し訳ありません。これを見てください」

 

 

優花里が見てくれと言って差し出したのはUSBメモリーのようだ。それを見てりくは

 

 

「まさか優花里……サンダースに……」

 

 

と偵察に行ったと察した。

 

 

「その通りであります!」

 

「まじかよ……まぁとりあえず見てみよう」

 

「待ってりく!偵察なんてしていいの?」

 

「ルール上は認められてるから問題ない」

 

「でも実際にする人見たの初めて」

 

 

見てみようとしたら沙織が大丈夫なのかどうか心配した。偵察行為はルール上でも認められているため問題はない。ただみほの言う通り実際にする人は聞いたことはない。

 

 

「まっ、ルール上は問題ないんだ。見ようぜ」

 

 

そう言いみんなで偵察の様子を見始めた。映像を見る限り優花里がサンダースの生徒じゃないということは最初はばれなかった。むしろ何故制服を持っているのかが気になるくらいだ。だが戦車道受講者のミーティングでバレた。情報を得るためだったのだろうが質問しすぎて、隊長の隣にいた人にバレたのだ。挙げ句の果てに名前を聞かれた時に

 

 

「オッドボール三等軍曹であります!」

 

 

とバレバレの名前を使ってサンダースの戦車道受講者に追いかけ回されることとなった。ここにいるということはなんとか逃げ切ったみたいだ。

 

 

「バレてんじゃねぇか!?」

 

「ごめんなさい……」

 

「お兄ちゃん落ち着いて」

 

 

偵察中にバレたことにやはりりくは怒った。妹のみほがなんとか落ち着かせようとしている……

 

 

「なんという無茶を……」

 

「無事でなによりです」

 

「本当に無事だったんだろうな?」

 

「だからここにいるであります!」

 

 

prrrrr

 

 

「誰だ?…………」

 

「な、なんでありますか?」

 

 

話しているとりくの携帯に着信が入る。携帯に表示されている名前を見て、りくは優花里の方を睨むように見た。

 

 

「もしもし?」

 

「ハローりっくー!久しぶりー!オッドボールはちゃんと無事に帰れてる?」

 

「お久しぶりっすねケイさん、よく俺が大洗にいるってわかりましたね」

 

「ダージリンに教えてもらったのよ〜」

 

「あの口軽女……まぁいいや、ちゃんとオッドボールは帰れてますよ。というか今一緒です」

 

「それならよかったわ!それと作戦だけどオッドボールが聞いたのと変わらないからよろしく!」

 

「まじかよ……まぁケイさんがそう言うならそうなんだろうな。じゃあ存分に対策立てさせてもらうわ」

 

「ふふっ、楽しみにしてるわ!正々堂々といい試合にしましょう!」

 

「もちろんだ!」

 

 

電話の相手はサンダースの隊長であるケイだった。オッドボールこと優花里が無事帰れたか心配したらしい。それと作戦も優花里が聞いた内容と変わらない。ケイの性格を知っているりくだからこそケイの言ったことを信じた。

 

 

「相手の隊長の番号入ってるのか?」

 

「まぁな、黒森峰にいた頃色々あってな。それはともかくケイさん優花里がちゃんと帰れたか心配してたぞ」

 

「そうなんですか?」

 

「あぁ、それと作戦もお前が聞いたのと同じだってさ。存分に作戦立ててやろうぜ」

 

「ケイさんが……なら信用できるね。優花里さんありがとね。頑張って作戦考えてみる」

 

「西住殿にありがとうって言ってもらえました!」

 

「「大袈裟すぎ……」」

 

 

黒森峰にいた頃にあった出来事の名残でケイの番号を知っていたりく。電話の内容を一緒にいるみんなに伝えたら、みほが優花里にお礼を言った。するとそれだけで優花里がものすごく喜んだ。

 

翌日から基本練習に加え、サンダース戦に向けての練習を開始し、それぞれ練度を上げていった。

 

そしてサンダースの当日を迎えた。

 




今回はここで終わります。次回はサンダース戦に入るつもりです。

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