………………砲撃音とか書くのやっぱり難しい
翔太がまほと再会している頃
「アレは………ケイさんどうして………」
「りくりく?どうして無線切ったの?」
「無線傍受機が打ち上げられてる……ケイさんなんでだよ……」
「なんだと!?」
38tにいるりくは他の人より早く無線傍受機に気が付き、自分が乗っている戦車の無線を一度切った。そしてみほにメールで傍受機のことを伝えた。
「審判に抗議だ!!」
「かぁしま〜落ち着け」
「落ち着いてなのいられませんよ!」
「ルールで禁止とは書かれていないんだからさ〜抗議してもおそらく無駄だよ」
「というか無線傍受機を使うことなんて運営も想定してないだろうな」
河島が抗議すると言い出したが会長がそれを止めた。抗議してもルールで禁止されていないから無駄だと思っているからだ。そもそも大会の運営者もまさか無線傍受機を使う人がいるだなんて考えがまずない。
「ケイさんがこんなことする人じゃないし認める人じゃない……となるとやっぱり別の人が独断で……」
「りくりくはおケイのこと信じてるんだね」
「最初はショックを受けましたけど……でもあの人はフェアプレーに戦いたい人。だからケイさんじゃないって信じたいだけです」
「りく君相手の隊長のことよく知ってるんだね」
「よくでもないですけどね。それじゃあ対策を…………もしかしたら沙織なら」
ケイじゃないと信じたりくだが、対策として1つの案を思いついた。それを確認するために隊長をやっている妹のみほと同乗者の沙織宛にメールを打っている。
『みほ、沙織!無線傍受機が打ち上げられてる、無線で嘘の情報を流してメールで本当の作戦を伝え合うようにしたい。沙織、翔太以外全員分のメアド分かるか?』
速攻で文字を打ち2人に送信した。その頃IV号の方でも……
「たしかにルールには禁止と指定されていませんね」
「いくらお金があるからって酷い!」
「抗議しましょう!」
一度身を隠したIV号のキューポラから、IV号の乗員であるみほ、優花里、華、沙織、麻子の5人は顔を出しルールブックを確認している。そこにはたしかに無線傍受機を使ってはいけないとは書かれていない。
「抗議するよりここは相手の策を利用します。無線で嘘の情報つつ、メールで本当の作戦を伝えたいですが全員分のメールアドレス知ってる人いますか?翔太君は参加していないのでその他で構いません」
「あ、みぽりん!私知ってるよ!」
「それでは全員にそのことを通達……」
ピロリン
「メール?」
「私もだ」
「同時にか、となるとりくじゃないか?無線傍受機に気付いたりくが西住さんと沙織にメールを送ったってところだろう」
「麻子さん凄い……」
「しかも作戦もみぽりんと同じ……」
全員分のメアドを知っている人いるか確認したところ、沙織が名乗り出た。しかもタイミングよくりくから送られたメールの内容は、先程みほが考えた作戦と同じ。そして沙織なら全員分のメアドを知っていると思い、みほだけでなく沙織にも送ったのだろう。
「私がお兄ちゃんに返信………いえ、沙織さんが一斉に送信してもらっていいかな?そうすればお兄ちゃんにも伝わるから」
「もちろん!」
「おっ、みほか沙織どっちかから返信かな?」
「私にも来たぞ」
「私のところにも来ました」
「私のところもだよ〜」
「3人も?となると一斉メールの可能性が高い……つーかもしかして同じこと考えてた?」
38tに乗っているりくの携帯が鳴ったと思ったら他の3人の携帯も鳴った。メールのタイミングや早さ、一斉メールが送られたことから同じことを考えた可能性が高いと即座に考えついた。実際にそのメールには
『あんこうチームの武部沙織です。この試合これからはみぽりんが無線で嘘の情報を流して私が本当の作戦をメールで伝えていきます。携帯を確認できるようにしていてください。メール読みましたら各車長返信お願いします』
と書かれていた。
「さっきりくりくがメールで送った内容だね〜返信するよ〜」
沙織から送られたメールの内容はりくがみほと沙織に送った内容と同じ。だからすぐに返信できた。そのすぐ後に他の車長からも返信が入り準備が整った。
『全車ジャンクションに集まってください!一度立て直します!』
大洗の無線で指示が入るとサンダースも動きだした。傍受してる人が隊長のケイに指示を出したからだ。
だがそれはみほの嘘の指示である。
『見つかった!退却してください!』
見つかったから退却……傍受してる人は実際にそう思ったのだろう。でも実際にそこにいたのはアヒルさんチームだけ、木や枝で作った箒を使い土煙を立てて全車で逃げているように見せている。
追いかけようとしたサンダース2両の近くに待ち伏せていた三突が砲塔を向けている。
「ジーザス!?」
「撃てー!」
ダーンッ………シュパ
「1両撃破!だがもう1両には逃げられた!」
『了解です。深追いはしないでください』
見事に1両倒すことができ、大洗が先に倒す形となった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『1両撃破されました!』
「WHY!?やるわね!」
「そ、そんな馬鹿な!?くっ、いい気にならないでよ」
サンダースの方では1両やられたことに驚いている。その中でも通信を傍受していた生徒……アリサは特に驚いている。自分が聞いた内容と違ったからだ。それでも懲りずに通信傍受を続けている。やめればいいものを……
『全車128高地に集合してください!フラッグ戦とはいえファイアフライがいる限り私たちに勝ち目は薄いです!危険ですがまずはファイアフライを叩きましょう!』
「ふっふっふ、あーはっはっは、勝負に出たわね!丘に上がったらいい的にしかならないわ!128高地に進んでください!敵の全車両が集結します!」
「どういうこと?なんでそんなことがわかるの?」
「女の勘です!そして私の情報は正確です」
「アッハハ!了解!フラッグ車以外全車128高地集まるよ!ここで決めるよ!」
サンダースはアリサからの情報を元にしてケイが指示を出す。しかしサンダースが向かっている場所は大洗が嘘の情報を流した場所、つまりそこに到着しても見つけることはできない。
「何もないよー!!」
「何ですって!?」
128高地に到着したケイたちだが、嘘の情報だったので当然そこには大洗はいない。それなら大洗の車両はどこにとアリサが思い始めたその時
「「あっ……」」
サンダースのフラッグ車のところに、大洗のアヒルチームが偶然やってきた。
そしてほんの数秒静寂が訪れた………
「右に転換!急げ!」
「追いなさい!」
キューポラから顔を出しているアヒルチームの車長の磯部が指示を出してその場を離れると、サンダースフラッグ車も追い出した。
「報告しなくていいんですか?」
「するまでもないわ!」
「敵フラッグ車0765地点で発見しました!でもこちらも見つかりました!」
「0765地点ですね?それでは逃げ回って引きつけてください!全車0615地点に移動!武部さんメールお願いします!」
サンダースフラッグ車は、見つかったことを隊長のケイに報告しないでアヒルチームを追っている。逆にアヒルチームは報告をして0615地点に引きつけるため走っている。
「フラッグ車見つけたみたいだね〜」
「みたいっすね、ここはアヒルチームが上手く逃げられることを信じて0615地点に向かいましょうか」
「そうしたら私の手で……」
「桃ちゃん落ち着いて。私たちはフラッグ車だから前に出過ぎないようにするからね」
「なんだと!?」
「いやなんだとじゃねぇよ……」
沙織からのメールを見た大洗のみんなは0615地点に向かい出した。アヒルチームは発煙筒を使ったりして相手の視界を奪いながら逃げている。そしてサンダースフラッグ車の視界を奪っていた煙幕が晴れると、開けた場所に出ることとなった。そこには大洗の戦車が砲塔を向けている。
「はっ!?ストップストップ!?」
「撃て!!」
ダーンッ!!
フラッグ車に向けて撃たれた砲撃は当たらなかった。煙幕が晴れた一瞬で周りの状況を見たアリサが慌てて止まるように指示を出したため、ギリギリで避けることができた。だが今度はサンダースのフラッグ車は大洗の戦車に追われることとなった。
「撤退!急いで撤退しなさい!」
「全車追ってください!ただしカバさんチームとウサギさんチームは、フラッグ車であるカメさんチームを守りながらお願いします!」
「こちらウサギチーム、了解しました!」
「こちらも了解だ」
「サンダースの応援が戻って来る前に決められたらベストだな。今のうちに決めるぞ!」
大洗のフラッグ車であるカメチームはウサギとカバチームに守られながら走っている。ここでようやくサンダースフラッグ車車長のアリサは、隊長であるケイに通信を入れた。
「大洗全車はこちらを追っています!」
「ちょっとどういうこと?」
「はい……お、おそらく通信傍受機を逆手に取られて……」
「ばっかもーん!戦いはいつもフェアプレーでって言ってるでしょ!」
「す、すみません!?」
「いいから早く逃げなさい!ハリーアップ!」
「イエスマム!」
「う〜ん……無線傍受しておいて全車両で反撃っていうのもアンフェアね〜ここは同数で行こうか、3両だけついてきて!ナオミ、お願いできる?」
「了解」
ケイに報告したアリサは、案の定通信傍受機を使っていたことについて怒られたら。ただ今は試合中。必要最低限の説教だけをして試合に戻った。全車で行くのもありかと思ったが、ケイの性格上同数でいきたかったのか、3両だけを引き連れてアリサや大洗がいる場所へと向かい出した。
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「こんな展開になるとは……ある意味予想外です」
「……」
「戦車道ってこんな展開あんまないのか?」
「そうね、蝶野さんなら新鮮でいいとか言ってるんじゃないかしら?」
「えぇ……」
「アッハッハ!新鮮でいいわ!」
黒森峰の2人と未だに一緒にいる戦車道にそこまで詳しくない翔太は、今の追いかけっこのような状況について聞いている。そして戦車に座って試合を見ている蝶野さんは、エリカの予想通り笑っている。
しばらくその状況が続いていると
ドゴォォォーン!!
と大きな音が聞こえた。サンダースの戦車4両が追いかけっこをしている場所へと到着し、ファイアフライ17ポンド砲が撃った音だ。
「今のは……」
「ファイアフライ17ポンド砲ですね」
「来たー!」
砲撃音が鳴って数秒後、みほと優花里はキューポラから顔を出してサンダースの増援の姿を見つけた。今の距離は5000m、ファイアフライの有効射程は3000mのためまだ大丈夫と呟いた。でも油断はできない。一方サンダースのフラッグ車内では喜んでハイタッチをしている。勝った気になっているのだろう。
「距離はまだ少しだけ余裕ある。でもそのうちその余裕もなくなるぞ」
「わかってる!アヒルさんとウサギさんはカメさんの後方をお願いします」
「河島先輩、装填お願いできますか?」
「わかった、砲手は頼んだぞ」
「了解!」
走りながらアヒルチームとウサギチームはフラッグ車であるカメチームの後ろへと回り護衛に、フラッグ車内ではりくが砲手に、河島が装填手と役割を変更していた。
ドカーン!
…………シュポ
その数秒後、大きな音とともにアヒルチームがやられてしまい火が出てしまった。
「アヒルさんチーム怪我人は!?」
「大丈夫です!」
「すみません!戦闘不能です!」
どうやら怪我人はいないらしい。ただ行動不能になり、火が出ているため消化作業を行なっている。そしてそのすぐ後に……
「すみません!鼻が長いのにやられました!」
ウサギチームまでやられてしまった。そして飛んでくる砲撃のうち1つが、大洗フラッグ車に向かって飛んでいる。カメチームでそれに気付いているのは会長とりくだけ。でも2人とも全く動じていない。
「よし捉えた!」
「おそらくまだよ」
「隊長?どういう……」
ダーンッ!
「……えっ」
「出たわね〜悪魔の砲撃」
「そんな……」
りくがグロリアーナ戦で見せた砲撃の撃ち落とし……悪魔の砲撃と呼ばれている砲撃をしてフラッグ車に当たるのを防ぐことに成功した。念のため砲手を交代しておいたのがよかった。
「河島先輩装填急いで!」
「もう無理だー」
「河島先輩!!」
「かぁしま!」
「桃ちゃん!」
まだ試合中だと言うのに、河島はもう諦め始めてしまった。フラッグ車にいる河島だけじゃない。前を走っているカバチームも辞世の句を詠み始めたし、隊長であるみほも諦めかけている。
「ちっ、会長頼む!」
「重っ……持ち上げるのに一苦労だね」
「俺の左の手の平に当ててくれればいい。俺が掴んでそのまま装填する……はっ、左に転換!」
「「わかった!」」
「ひっ!?」
途中から装填手をやることとなった河島は諦めているためか、同じ戦車に乗っている3人の声が届いていない。そのため会長に装填を手伝ってもらっている。その最中照準器から相手を見ていたりくが指示を出し、フラッグ車が狙われた砲撃は戦車を掠めただけとなった。
「なぁみ……いや隊長、さっきから隊長の指示が聞こえないけどもう諦めたとか言わないよな?」
「お兄ちゃん……」
「まだ俺たちは負けてねぇぞ!なのにまさか諦めたとか言わないよな?」
「そう………だよね、ごめん。諦めかけてた。でも諦めたらそこで終わりだよね、当てさえすれば……フラッグ車を倒すだけで勝てるんです!最後まで全力でやりましょう!」
「諦めたらそこで終わり……その通りだな」
「そうぜよ。諦めるのは早いぜよ」
「全く……」
「いやもう無理だよ柚子ちゃぁぁん」
「諦めんな!何のために砲手交代したと思ってるんだよ!諦めるつもりなら交代しねぇよ!だから河島先輩装填しっかり頼みます!」
「りく……わかった」
「この状況で相手フラッグ車を倒せるのはIV号だけだろうし、俺たちは援護するぞ!会長はIV号の動きを見てくれ!サンダースの車両は照準器から見る!」
「了解、任せて!」
「小山先輩、さっきみたく急な指示が多くなるかもしれない。難しいかもしれないけど反応して動いてくれ」
「了解です」
諦めかけてた大洗のみんなだが、りくの言葉でみんなに闘志が戻った。それでもフラッグ車である38tの後ろを守る戦車はいないからピンチなことには変わりない。そこはりくの悪魔の砲撃と照準器を覗きながらの操縦指示に頼るしかない。
「麻子さん、坂を上ってもらえますか?上から狙います」
「わかった」
「稜線射撃は危険ではあるけど有利ではある。それでいこう」
「あんこうチームは上から狙うみたいだよ?」
「マジか、となると援護は厳しいな…………みほ聞こえるか?」
『聞こえてるよ』
「会長から聞いたけど上から狙うんだろ?」
『うん』
「さすがに下からだと俺の砲撃でも撃ち落とすのは無理だ。だからみほがしっかり指示出せよ」
『わかってる。こっちは任せて!お兄ちゃんもやられないでね?』
「おう!」
隊長車であるIV号が上から狙うためなのか坂を上っていった。それを見た会長がりくに伝えると、すぐさま無線を送って通信していた。さすがのりくでも下から砲撃を撃ち落とすことはできない、つまり援護できない状況になったからやられないようにとみほに伝えるためだ。
見ていたのはサンダースの隊長であるケイも同じ、フラッグ車車長であるアリサに上から狙うことを伝えると、今度はファイアフライの砲手であるナオミにIV号をお願いした。
「はっ!?停止!!」
ダーンッ!!
「ちっ」
ファイアフライからの砲撃は、みほの停止という指示のおかげでギリギリIV号には当たらなかった。停止していなかったら危なかっただろうが……
思わず舌打ちをしたナオミだがすぐさま次の砲撃の準備をしている。IV号がフラッグ車を仕留めるのが先か、ファイアフライがIV号を仕留めるのが先かの勝負となった。
「華さんお願い」
「花をいける時のように集中して……」
「くっ」
ダーンッ!ダーンッ!
2つの砲撃音が鳴り響く。IV号とファイアフライの砲撃だ。この砲撃音のすぐ後に
ドカーン!ドカーン!
…………シュポ、シュポ
2両の戦車に当たりどちらも撃破判定が出た。2両のうちの1両は大洗学園のIV号。主力戦車がやられてしまったが……
「サンダース大付属高校フラッグ車、行動不能!!よって、大洗学園の勝利!!」
最後に放った華の一撃がサンダースのフラッグ車を撃破した。
これにより大洗学園の勝利が決まった。
今回はここで終わりです。試合後については次回に回します。
何かあれば感想等いつでもどうぞ。評価もしてくれるとやる気が上がります。投稿間隔があいてしまうとしても……
それでは次回もお楽しみに