男子も戦車道に参加できる世界   作:カット

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17、準決勝 〜プラウダの罠〜

 

「さっむい!?ほんとさっむい!?」

 

「沙織大丈夫か?できるだけ暖かい格好しとけ?」

 

「う、うん…やっぱり男の子だね〜」

 

 

大洗学園は今日、戦車道大会の準決勝の日だ。試合の準備をしているが、沙織は寒そうにしている。りくも気にかけてはいるが……

 

ちなみに他のチームはというと……

 

ウサギさんチームは雪合戦、カバさんチームは像を作っている。

 

その中でりくはある1チームが目に止まった。

 

 

「そど子さん、大丈夫ですか?」

 

「だだだ、大丈夫よ!?」

 

「いやどう見ても大丈夫じゃないだろ……まぁでも、いきなり試合だからな、緊張するなっていう方が無理あるか」

 

「だだだ、誰が緊張なんか!?」

 

「すみません、入って間もないのに試合になってしまって…」

 

「みほ」

 

 

カモさんチームこと風紀委員のメンバーが緊張しているようだ。それに気付いたりくが声をかけにいき、そこに隊長であるみほもやってきた。

 

 

「に、西住さんが謝ることじゃないわ!悪いのは会長よ!」

 

「まぁもっと早く言ってくれれば練習に参加させてもっと精度を上げることもできたからな〜そこはそど子さんに同意」

 

「あ、たしかに…」

 

「そうね……ってそど子って呼ばないで!?」

 

「ははっ、やっといつもの状態になったな。頑張りましょう!」

 

「もちろん!」

 

「さすがお兄ちゃん!私たちも頑張らないとね!」

 

 

そど子と話した後他の2人にも声をかけて、カモさんチームの緊張を見事に解くことができた。

 

ちょうどその時プラウダから2人の生徒がやってきた。

 

 

「誰あれ?」

 

「プラウダ高校の隊長と副隊長だよ」

 

「隊長地吹雪のカチューシャさんに、副隊長ブリザードのノンナさんだな」

 

 

隊長のカチューシャと副隊長のノンナがやってきたのだ。おそらく挨拶だろうが……

 

 

「ぷっ、あっはっは!このカチューシャを笑わせるためにこんな戦車を用意したの?」

 

「やぁカチューシャ、今日はよろしく〜」

 

「むぅ〜ノンナ!」

 

「はい」

 

 

笑ったカチューシャを無視するように会長が握手を求めると、いきなりノンナを呼び肩車をし始めた。

 

 

「貴方たちは全てにおいてこのカチューシャより下なのよ。実力も身長もね!」

 

「肩車してるじゃないか……」

 

「よくもカチューシャを侮辱したわね!」

 

「(いやいや、桃さんは珍しく事実を言っただけで侮辱したのはそっちじゃん)」

 

「行くわよノンナ!あら?あなたたち西住流の……去年はありがと。今年もよろしくね…………えっ、ちょっとノンナ!?なんで降ろすのよ!?」

 

「ん?」

 

 

事実を言われて逆に怒り出したカチューシャ、自分たちの方へ戻るように指示をして、りくやみほを煽るように言ってそのまま戻ると思ったら、いきなりノンナがカチューシャを降ろしてりくの前まできた。

 

 

「りくさん、私は貴方と勝負できるのを楽しみにしていました」

 

「へぇ〜ノンナさんにそう言ってもらえるのは光栄ですよ。でもね、楽しみにしてたのは俺も同じなんですよ」

 

「神…いえ、この場合は悪魔と言った方がよろしいですね。そのりくさんにそう言ってもらえるとこちらも光栄です。是非撃ち合いたいですね」

 

「俺もですよ、その時はよろしくお願いします」

 

「えぇ、こちらこそ」

 

 

優れた砲手同士の挨拶が終わると、カチューシャとノンナは自分たちの高校の方へ戻っていった。

 

カチューシャが不機嫌になっていたのは置いておこう。

 

 

「それでは事前の作戦通りゆっくりと慎重に……」

 

「慎重もいいが、ここは速攻で攻めるのはどうだろうか?」

 

「先手必勝というわけだな」

 

「(カバさんチーム何言い出すんだ!?)」

 

「賛成です!」

 

「それいいと思います!」

 

「勢いも大事ですもんね」

 

「(柚子さんまで!?)」

 

 

プラウダの2人が戻った後、作戦の確認をしている大洗学園、みほは当初の予定通り慎重に行こうとしていた。だがカバさんチームが速攻で行きたいと言い出すと、他のみんなもそこに同意して言ってきている。

 

 

「それでは作戦をへ…「ちょっと待った!」……え?」

 

『!?』

 

 

当然そこは、みほの言うことを遮ってでもりくが待つように声を出した。

 

 

「みんなのやる気は充分伝わったよ。たしかに柚子さんが言うように勢いも大事だ。でもさ、俺たちは今回のような雪原のフィールドでは練習がまったくできていない。逆にプラウダは得意としているフィールドだ。それでも速攻で行きたいか?最終的な判断は隊長に従うけど、俺は反対だ」

 

『…………』

 

りくの意見にみんな黙ってしまっていた。たしかにみんなの言う通り勢いも大事だろう。だが、雪源を練習もしたことない大洗と違い、得意とするプラウダと比べたら明らかに不利、そう思いりくは反対したのだ。

 

 

「そうだよね、隊長ならちゃんと言わないとダメだね」

 

「意見踏まえてな、それでどうする?」

 

「みんなごめん。やっぱり慎重にいきましょう」

 

『はい!』

 

 

反対する人はいないみたいだ。これで大洗は当初の予定通りの作戦となった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

試合が始まり大洗学園は、みんなで順調に進んでいた。だが、途中でカモさんチームのルノーにトラブルが発生した。前に進もうとしても下がってしまっている。

 

 

「あれ…あれれ?」

 

「どうしたのゴモヨ!?前に進むのよ!?

 

「わかってるけど……」

 

 

みんなで坂を登っていると、この試合から入っているカモさんチームが登れなくて苦労しているのだ。

 

 

「ちょっと行ってくるから桃さん、装填も兼任してくれ」

 

「了解だ、できるだけ早くな」

 

「おう」

 

『お兄ちゃん!麻子さんが行ってくれるから大丈夫!』

 

「ん?そうか?なら任せる」

 

 

苦労しているのを見てりくがカモさんチームのところまで行こうとしたら、みほから通信が入り、麻子が行くということが伝えられた。りくは無線を飛ばしていなかったのに、みほはりくが行こうとしていることがわかっていた。それで無線を入れたのだろう。

 

麻子が操縦を一時交代し、無事にカモさんチームはみんなと進み始めることができた。

 

 

『カチューシャ隊長、大洗の戦車はまっすぐ向かっていますけどゆっくり進んでいます』

 

「そう、あれだけ煽れば速攻仕掛けてくると思ったけど慎重に来たのね」

 

「相手にはりくさんがいますからね、そのような意見が出ても止めたのでしょう」

 

「そうね、でもこちらに向かっているから当初の予定通りに行くわよ!」

 

 

大洗の戦車が隊列を組んで進んでいるところを、プラウダの偵察部隊がそれを見て報告している。カチューシャは速攻を仕掛けてくると思っていたが、相手にはりくがいることから驚きは大きくなかった。

 

 

「敵車両発見!」

 

「カバさんチーム撃ってください!」

 

 

プラウダの偵察部隊が大洗の戦車を見つけた後、大洗はそのまま進んでいっていった。そしてプラウダの戦車を3両発見し、カバさんチームに撃つように指示を出した。見事に1両行動不能にし、もう1両はあんこうチームが攻撃して行動不能にした。

 

 

「みぽりんやったね!」

 

「西住殿?」

 

「上手くいきすぎてる……」

 

 

しかし、あまりにも上手くいきすぎているためか、みほの表情は険しかった。そしてそれは別の戦車に乗っているりくも、同じような表情をしていた。

 

 

「とにかく今は残りの1両を追いましょう!深追いしすぎないようにお願いします!」

 

『了解!』

 

 

上手くいきすぎて心配しているみほとりくだが、今は残りの1両を追うことにした。そしてプラウダのフラッグ車を見つけたが、これが良くなかったかもしれない。

 

なぜなら

 

 

「フラッグ車発見!」

 

「今がチャンスだ!」

 

「よし!一気にいくぞ!」

 

 

フラッグ車を見つけた途端あんこうチーム以外がみほの指示を聞かずに前進してしまったのだ。罠かもしれないのに……

 

 

「みんな待ってください!?」

 

「みんなちょっと待て!?柚子さんも止まってくれ!?」

 

 

みほやりくが必死にとめるが、みんなはそれを聞かずに倒しに行こうとしていた。

 

だがやはりそれはプラウダの罠、みんなが撃ってる間に周りを囲い始めた。

 

 

「全車急いで東に移動してください!!」

 

「えっ!?なに!?」

 

「今は急げ!!っ!?東はもうダメだみほ!!」

 

「っ!?南南西に……そっちも!?」

 

「ダメだ囲まれてる!」

 

 

プラウダが囲い始めているのを見て急いで指示を出したみほだったがもう遅かった。移動しようとしたが既に囲まれているため、その場から逃げられなくなってしまった。

 

なんとか近くの建物に逃げ込んだがやられるのは時間の問題、そう思って覚悟を決めたと思ったら、突然砲撃が止んだ。

 

外に出るとプラウダの生徒が2人やってきていた。

 

 

「カチューシャ様より伝言です。降伏しなさい。土下座するなら許してあげるとのことです」

 

「土下座だと!?」

 

「全員自分より低くしたいんだ!」

 

 

カチューシャの伝言にはさすがのりくも怒りをあらわにした。河島は自分より低くしたいと言ったがそれが正解なのかどうかはどうでもいい……

 

 

「カチューシャ様は寛大な方、3時間は待つとのことです。それでは3時間後にまた来ます」

 

 

そう言って2人は戻っていった。みんなはどうするか集まって話しているが、りくだけはその話し合いに参加していない。1人で故障した箇所の修理に取り掛かっているためだ。

 

 

「みぽりんどうする?」

 

「諦めたくはないけど…このまま続けたら怪我人も出るかも…」

 

「私はみほさんに従います」

 

「私も土下座くらい構いません!」

 

「準決勝まで来ただけで上出来だ、無理をするな」

 

 

みほは諦めたくないという気持ちはある。だが怪我をする可能性があることを考え、続けることに迷いが出ている。あんこうチームはここで負けを認めても仕方ないという雰囲気を出し、他のみんなも同じような雰囲気となっている。ある3人と話し合いに参加していないりくを除いて。

 

 

「降伏はダメだ!徹底抗戦だ!」

 

「なんでですか?勝ち負けより大事なこともあると思います」

 

「勝ち負けより大事なものがあるものか!」

 

「私は…戦車道が嫌いになってお兄ちゃんと一緒に大洗に転校してきました。でも大洗のみんなと戦車道をしていくうちに、戦車道を楽しいって思えたんです。それはお兄ちゃんも一緒だも思います。だから私はこの気持ちを大事にしたまま大会を終わりたいんです」

 

 

みんながここで降伏を決めようとしているところに、河島が反対意見を出した。建前では勝ち負けより大事なことがあるのかと言うが、実際反対の理由はそうではない。

 

理由は……

 

 

「何を言ってるんだ…負けたら大洗学園は廃校になるんだぞ!!」

 

「……えっ」

 

 

大会に負けたら学園が廃校になるからだった。そのことを言ったら、みんなが驚いて固まってしまった……

 




誤字あったらすみません。
次回もいつになるかわかりませんがお楽しみに…

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