『大洗学園38t、プラウダ高校T34走行不能!』
戦車道大会準決勝、大洗学園とプラウダ高校の試合の中、りくとノンナが相対し、2人の勝負は引き分けとなっていた。
「後は任せなさいノンナ!」
「はい」
「カメさんチームの皆さん、皆さんの頑張りは無駄にしません」
「頼んだぞみほ!」
「任せてお兄ちゃん」
みほとカチューシャの2人は、それぞれに労いを終わりにした。みほはこの場を脱出しようと、カチューシャは逆にここで決めようとしている。
りくたちが数両倒したおかげで脱出しやすくなっている。
「今が抜け出すチャンスです!全車10時方向に進んでください!」
「フェイント入って難易度高くなります!なんとかついてきてください!」
「「「「了解!」」」」
チャンスと見たか、みほは一気に抜け出すように指示を出し、見事に脱出した。
「くっ、この包囲網を抜け出せるなんて……悪魔を倒せたとはいえ、やっぱりノンナがやられたのは痛いわね」
追い込んでいたプラウダのカチューシャは、当然悔しがっている。
「カモさんチーム、後ろから追ってきている車両の中にフラッグ車はいますか?」
「いません!」
「わかりました。カバさんチーム、あんこうと一緒にあの坂を超えたらやり過ごしてください。ウサギさんとカモさんはフラッグ車のアヒルさんの護衛お願いします」
「「「了解!」」」
「それと優花里さん、やり過ごしたあとまた偵察に出てもらえますか?」
「了解であります!」
包囲網を突破した大洗学園、それを追っているプラウダ高校。追っている車両の中にフラッグ車がいないことを確認すると、みほは次の作戦の指示を出した。IV号と三突で決めるつもりだ。
「とおっ!!」
「お願いね」
「任せてください!……どこか高い所に」
予定通りにIV号と三突は敵車両をやり過ごして走ってきた道を戻り出した。少し進んだところで優花里は戦車から飛び降りて、高い所を目指し出した。上から見るためだ。
「西住殿!見つけました!」
「ありがとう優花里さん!そのまま報告お願い!」
「わかりました!」
「カバさんチームのみなさん!主力がいないうちに一気に倒しに行きます!」
「了解!」
大洗は一気に決めるつもりだ。それはプラウダも同じだ。だけどカチューシャは、追ってる最中にあることに気が付いた。
「2両いなくなってる……気付くの遅かったわね。フラッグ車聞こえる?」
『なんでしょうか?』
「IV号と三突がそっちに向かった可能性があるわ。逃げまくって時間を稼ぎなさい!私たちが大洗のフラッグ車を倒すまでよ!」
『了解しました!』
カチューシャはIV号と三突がいないことに気が付いて指示を出した。気が付くのが遅れたため、戻ることはせず、フラッグ車に逃げるように指示を出して…
「1秒でも早く倒すわよ!撃て!」
ダーンッ!……シュパッ!
『大洗学園M3リー行動不能!』
プラウダ高校が撃った砲撃は、見事に大洗のM3リーに命中して行動不能にした。主力部隊側から見えているのは残り2両。フラッグ車がやられる前に倒せるかが勝負だ。
「すみませんやられてしまいました!カモさんチーム後はお願いします!」
「了解しました!」
ウサギさんチームがやられ、残る護衛はカモさんチームだけとなった。しかし、その少し後にカモさんチームもやられてしまった……
「あと1両!フラッグ車を倒して勝つわよ!」
「こちらも急ぎましょう!」
「ですが相手は逃げることだけを考えているようです……」
「……ここはさっきも通った場所、カバさんチーム至急やってもらいたいことがあります!」
「……了解!」
「アヒルさんチームはなんとか逃げ切ってください!」
「了解しました!」
大洗のフラッグ車護衛はやられてしまい八十九式のみ、カチューシャは早く倒そうとしている。
一方みほも、ウサギさんチームとカモさんチームがやられたことを聞き、急いで倒そうとしている。そのうち何度も同じ場所を通っていることに気が付いて、カバさんチームにあることをお願いした。
ダーンッ!ダーンッ!
「うぅ……」
「泣くな!涙はバレー部が復活した時のために取っておけ!」
「キャプテン!そうですね」
「ここが私たちにとっての東京体育館、または代々木体育館!」
『そーれそれそれそれー!』
プラウダからの激しい砲撃で弱気になりかけていた。だがキャプテンの磯辺の言葉で立ち直れた。まだ砲弾が当たることはなく走れている。
ダーンッ!
「っ!?」
避け切っていたアヒルさんチームであったが、ここで砲撃が当たってしまった。煙のせいで撃破されたかどうかわからない。
一方プラウダのフラッグ車を狙っているIV号と三突も動きを変えた。
「こちらカバチーム、準備できた」
「了解しました。優花里さんは上から見て指示をお願いします!」
「了解であります!」
みほが指示をした内容の準備が完了したということを聞き、みほも最後の作戦に出た。
「華さん、機銃で右の道に誘い込んでください」
「わかりました。やってみます」
みほの指示で機銃を使い、見事指示通りに右の道に誘い込むことに成功した。あとはカバさんチームのところに行くのを待つだけだ。
「目標まで残り50メートル!」
「カバさんチームのタイミングで撃ってください!」
「了解!」
ダーンッ!
カバさんチームが最後に撃った砲撃は、プラウダ高校のフラッグ車に命中した。
それは、大洗フラッグ車の八十九式が当たったのとほぼ同じタイミングだった。
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「どっちだ……」
ガタガタガタガタ
……シュパッ
煙が晴れ、状況が明らかになった。
大洗のフラッグ車の八十九式はまだ動いている。かたやプラウダ高校のフラッグ車は白旗が上がり撃破判定が出ている。
『プラウダ高校フラッグ車、行動不能!大洗学園の勝利!』
「そん……な……ひぐっ」
「……どうぞ」
「泣いてなんかないわよ!!」
審判のコールが鳴り響くと、カチューシャは涙を見せた。そこにノンナがやってきて自分のハンカチを渡した。
「やりましたね西住殿!」
「みんなが頑張ってくれたからだよ。優花里さんも偵察ありがとね」
「西住殿にありがとうって言われましたー!」
「大げさだよ〜」
「みんなのところに戻ろっか」
優花里はIV号に戻るとみほにお礼を言われて喜んでいた。大げさに……
優花里と合流し、みんなのもとに戻り出した。
みほたちより一足先にりくはフラッグ車をしていたアヒルさんチームと合流していた。
「磯辺!」
「りく!」
「よくやったな!」
「私1人じゃなかったから!みんながいたから!」
「ああ!みんなよくやったな!」
『えへへ』
合流したりくはフラッグ車をやっていたアヒルチームを褒めていた。それだけの活躍だったが、それはりくも同じだ。みんなそのことについて触れていないが……
「おっ、みほたち帰ってきたな」
「みんな集まってたんだね。磯辺さん、ありがとう」
「ふふっ、兄妹揃ってお礼言わなくても」
「え?そうなの?」
「まぁな」
「まぁ〜それだけ兄妹の考えが似てるってことでしょ〜」
「あっ」
「ん?あっ、カチューシャさん」
みほたちがみんなと合流して話していると、カチューシャがノンナに肩車されてやってきた。そのまま話すと思ったら、なんとカチューシャはノンナから降りて話し出した。
「まさかあの包囲網を突破できるとはね」
「私もです、まさか突破できるとは……でもあそこで全車両で来られてたら負けてたかも……」
「どうかしらね、あなたたちなかなかやるしそれに……そっちにはあの悪魔もいるんだから」
「いくらお兄ちゃんでも全車両でこられたら……でもありがとうございます」
「決勝戦……観に行くから絶対優勝しなさいよ?」
「はい!」
みほとカチューシャ、隊長同士で話しているすぐ側で、りくとノンナもまた2人で話していた。
「学校としては大洗が勝ちましたけど、俺たちの勝負は引き分けでしたね」
「えぇ、さすがりくさんですね。私と1vs1で私に負けなかった人はそんなにいませんよ」
「そりゃあノンナさんは優秀な砲手だからな」
「人のこと言えますか……私を38tで倒しに来るとは思いませんよ……」
「あはは……」
「というよりもっと火力のある戦車に乗っていたら私はあっさり負けていました」
「そこはまぁ……仕方ないです」
ノンナの言う通り、りくがもっと強力な火力のある戦車に乗っていたら、おそらくりくの勝ちだった。最初の一撃を与えた時点で……だがそこは学校の事情があるから仕方ない。
すると突然
ギュッ
「ノンナさん!?(や、柔らか)」
ノンナがりくに抱きついてきた。突然すぎてりくも反応できないくらいだ。りくはりくで、驚いたと同時に何か別のことを思った様子だ。
ちなみに……周りで見ている人は、面白そうだと思ってみたり、歯ぎしりをしながら見ている人など色々だった……
「決勝戦勝ってください。応援していますから」
「そ、それはありがとうございます。でも抱きつく必要は……」
「あなたを私のモノにしようかと」
「はっきり言い切った!?しかも当然のごとく!?」
「ちょっとノンナ!?それはダメよ!?」
「カチューシャさん助かります」
「いくらカチューシャとは言え、それは聞けません」
「りくは私のモノになるんだからね!」
『えぇー!?』
「なんでそうなんだよ!?」
「いくらカチューシャでも、それは譲れません!」
「いくらノンナでも、それは譲れないわよ!」
「(え、なんで俺の取り合いになるの!?)」
『(この2人は……)』
砲弾の軌道や撃つタイミングを読むことができるりくでも、人の心は読めないようだ。
「とにかくノンナさんはそろそろ離れてください。それと2人とも、言い争うなら2人のこと嫌いになっちゃいますよ」
バッ
「それは困るわ!」
「困りますね」
「とにかく、決勝戦応援に行くから!負けるんじゃないわよミホーシャ!リクーシャ!」
「「はい!!」」
りくに嫌われたくないのか、ノンナはすぐに離れ、2人の言い争いは終わった。
決勝戦を観に行くと告げて自分たちの学校の方へ戻っていった。
「(ん?あれは?)」
りくは何かを見つけたようだ……
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「大洗が勝ったのは相手が油断したからよ」
「いえ、実力があります」
「実力?」
「はい。みほの指示に応えようとみんなで力を合わせています」
「あんなものは邪道。決勝戦では王者の戦いを見せ付けなさい」
「はい」
「実力があるって言ってくれんのは嬉しいけどさ、母さんの言う通り相手の油断もあったと思うぜ」
「「りく」」
りくが見つけたのは、観客席から見ていた母のしほと姉のまほだった。みんなから離れて2人のところにやってきていた。
「相手が油断していたっていう自覚はあるのね」
「あれが油断じゃないっていうんならなんて言うんだよ……3時間待たずに……というか降伏宣言させようとしないで普通に試合してたら間違いなくプラウダは勝っていた。それは事実だ」
「そう、わかっているのね。相手が油断したことも、あなたたちの戦車道が邪道ってことも」
「邪道?それは母さんから見てだろ。いくら家元でも他校の戦車道に口出しする権利はないだろ」
「口ではなんとでも言えるわ。決勝戦では黒森峰が王者の戦いを見せ付けるからそのつもりでいなさい」
「(長引くのか?)」
試合を見ていた人が帰っている中、りくたちのいるところだけ険悪な雰囲気になっている。まぁ事実言い争ってるわけだし無理もないが……
いつまでこれが続くのか、まほがそう思ったその時、1人声をかけてきた人がいた。
「おーいりくー!俺たちも帰るってさー!」
呼んだ人物は翔太。翔太はりくを呼びに来ていたのだ。
「はいよー!
まっ、母さんがどう思うが関係ねぇや。俺たちは戦い方や考え方を変える気はないしな。
それと姉ちゃん」
「なんだ?」
「俺たちは負けない。俺たちの戦車道で黒森峰にも勝つ」
「そうか。だが我々も負けるつもりはない。お母様の言った王者の戦い方を見せ付けるというのは私も同意だ。私たちは負けない」
「そっか、そんじゃ試合でな!」
呼びに来た翔太に気付き、まほと少し話した後にりくは戻り出した。
「そういや翔太、母さんや姉ちゃんと話さなくてよかったのか?会うの久しぶりだろ?」
「去年の決勝戦の後のことはりくから聞いてたからな。それがなければちょっとだけ話してたかもな。あ、でもまほ姉とは前に少し話したかな」
「そっか……そうなの!?」
「まぁな、でもそれは置いておいて、決勝戦も勝てよ!」
「ああ!」
翔太が母さんやまほと久しぶりに会ったのに話さなくてよかったのかと聞いたら、よかったみたいだ。それに翔太は1度まほと会っている。それを知らないりくは驚いていた。そのことは気にせずに、次の試合も勝てと檄を飛ばした。
ちなみに……
「お兄ちゃん遅いよ!」
「悪い悪い」
戻った時に文句を言われたことに関しては予想通りだった。
終わらせ方ちょっと雑になったかな……オリキャラの翔太出番少ないから出さないと忘れそうなので出しました
次回いつになるかわかりませんがお楽しみに