男子も戦車道に参加できる世界   作:カット

23 / 31
ここから決勝戦の話になります。


22、決勝戦開始!〜蘇るトラウマ〜

 

『黒森峰女学院vs大洗学園、決勝戦開始!』

 

 

審判の合図でついに第63回戦車道高校生大会決勝が開始された。

 

 

「ところでりくりく〜さっきの子途中赤くなってたけど何話してたの〜?」

 

「別にたいしたことは……ただ去年のことでお礼を言われただけっすよ」

 

「え〜告白とかされたりして〜」

 

「まさか盗聴器をしかけて……」

 

「しかけてないよ!?でも当たりみたいだね〜」

 

「……あっ」

 

 

試合が開始され目的地点へ移動している中、会長がりくに赤星と話してたことについて聞かれていた。そして話していた内容を当てられた。

 

みほもIV号の中で聞かれていて、それを聞いた沙織がライバル出現と言ったらしい。だが試合に集中し始め通信をしている。

 

 

「以上で交信終わります」

 

「あれ?喋り方変わりましたね」

 

「どう?プロっぽい?」

 

「全然」

 

「もぅ〜なんでそんなこと言うの〜」

 

「だってアマチュアだしな」

 

「「「あはははは」」」

 

 

ドカーン!

 

 

『っ!?』

 

 

通信を終えた後IV号の中では笑いが響いている。だがその直後もっと響く音が聞こえた。黒森峰からの砲撃だ。予想以上の接敵の早さに大洗のメンバーは全員驚いている。

 

 

「マジかよ、みほ!森を突っ切ってきてる!」

 

「っ!?全車射線に入らないように動いてください!!」

 

「杏さん桃さん役割交代!」

 

「「了解!!」」

 

 

森を突っ切ってきていることに気が付いたりくはみほにそのことを伝え、ヘッツァー内では役割の交換が行われていた。

 

 

「ギアが入らない……」

 

「ゲームだと簡単に入るのに…」

 

『アリクイチームどうした!?』

 

「すみません、ギアが入らなくて…」

 

「入った!」

 

 

途中で動きの止まった三式に乗っているアリクイチームを心配してか、りくが通信を飛ばした。どうやら故障ではないようだが、こればかりは経験不足としか言いようがない……

少しするとギアが入ったみたいだが、戦車は下がりだしてしまった。

 

 

「フラッグ車に照準合わせました」

 

「こちらもです」

 

「ちっ、2両で狙ってやがる……エリカのやつ俺が撃ち落とすことを考えてるな」

 

「りくりく、アリクイチームが下がってきてる」

 

「っ!?意図的ではないだろうがここは仕方ない」

 

「1発で仕留めてあげるわ……撃て!」

 

 

ダーンッ!

ダーンッ!

ダーンッ!

 

 

エリカの合図で黒森峰から2両がフラッグ車のIV号を目掛けて、2両のうち1両を撃ち落とすため、タイミングを見計らってりくも打ち出した。

 

 

『大洗三式中戦車行動不能!』

 

 

1両はりくが撃ち落とし、もう1両は下がってしまったアリクイチームの三式中戦車に当たり行動不能となった。アリクイチームの方は決して意図的ではないだろうが、結果的にチームを救うこととなった。

 

 

「西住さんごめんなさい。もうゲームオーバーになっちゃった」

 

「それは大丈夫、怪我はありませんか?」

 

「私たちは全員大丈夫です、あとはお願いします」

 

「うん」

 

「やっぱりりくは撃ち落としてきたわね。三式には守られたけど1両撃破よ」

 

 

もともとりくに撃ち落とされることを計算して撃っていたためか、プラウダのノンナを他のチームとは違い動揺はしていない。

 

 

「みほ!急いでここを脱出しないと厳しいぞ!」

 

「そうだね、全車モクモク作戦用意!」

 

 

「モクモク準備完了!」

 

「では!モクモク作戦開始!」

 

 

この状況は不利、急いで脱出する必要があると考えりくからみほに通信が飛ばされた。そしてみほがモクモク作戦の用意と言うとそれを前にいる車両から後ろに流していった。

 

最後尾の車両の準備が完了すると各チーム煙幕を張り、相手の視界から逃れることに成功した。

 

 

「視界を…全車撃ち方用意」

 

「全車撃ち方やめ!」

 

「何故です隊長!?」

 

「無駄弾を使わせるつもりの可能性もある。相手の作戦を把握してからも遅くはない。撃つなら機銃にしろ」

 

「くっ」

 

 

視界が見えなくなり、エリカは撃とうとしたが、それを隊長のまほが止めた。

 

 

「あの先は丘になっている。大洗にはポルシェティーガーがいるから登るのに時間がかかるはずだ」

 

 

大洗が向かっている先に丘があることを把握しているまほ。登るのに時間がかかると思っているが、他の車両でロープをつなぎ引っ張っている。そのため想定よりはるかに早く登れている。

 

そして離れたところに隠れている戦車が1両……

 

 

「よし、今だ杏さん」

 

「ほいきた!」

 

 

ダーンッ!

 

 

「当たったぞ河島〜」

 

「わかっています」

 

「もう1両くらいはいけるな」

 

 

ダーンッ!

 

 

隠れていた車両はヘッツァー、少し離れた位置から見事に2両の履帯を外すことに成功した。

 

 

「あの豆戦車!!」

 

「2両が限界か〜」

 

「みほ〜とりあえず2両の履帯は外しておいたぞ。そっちも次の作戦言ってくれ」

 

「了解。パラリラ作戦開始!」

 

 

2両の履帯を外したヘッツァーはそのまま後退してまた隠れることとした。そしてみほたちの方ではまた煙幕を張った。そして今度はジグザグに動きながら煙幕を張っているため、広範囲に煙幕が広がっている。

 

そして大洗は頂上を取ることに成功。その少し下の方に黒森峰の戦車が並んでいる。

 

 

「想定より早く陣地を築いたな」

 

「全車砲撃用意……撃て!」

 

 

大洗と黒森峰の撃ち合いが始まった。撃ち合いの始めの方は位置的優位もあったのか、大洗が優勢だった。

 

しかし……

 

 

「ヤークトティーガー、前へ!」

 

 

黒森峰側はまほの指示で重量戦車のヤークトティーガーが盾として前に出てきた。ヤークトに当たりはするが、装甲が硬く倒すことができないでいた。

 

 

「15vs7……これだけ削れれば……これよりこの場から撤退します!」

 

「でもこの状況からどうやって脱出するのみぽりん?」

 

「そこは大丈夫、お兄ちゃん!」

 

「了解、アレの番だな!」

 

「り、りくりく悪い顔してる…」

 

 

この場所から撤退することを決めたみほ。周囲を囲まれた状態だが、そこは作戦を考えてある。りくが再び砲手に代わりとある作戦をやろうとしていた。

 

 

「おっ、あれはさっき履帯外したやつだな」

 

「やっと直せた……っ!?後ろにヘッツァーがいるぞ!?」

 

 

ダーンッ!

 

 

黒森峰で履帯を外され、直したばかりの車両をりくは見つけた。それをりくは撃ち、再び履帯を外させた。

 

 

「ああー!?直したばかりなのに!?ウチの履帯重いんだぞ!?悪魔か!?」

 

 

カパッ

 

 

「呼んだか?」

 

「あ、悪魔でした」

 

 

履帯を外された車長は悪魔かと文句を言ったが、キューポラから顔を出したりくを見て悪魔だったと納得してしまった。

 

作戦のついでで履帯を外したヘッツァーは、大洗と黒森峰が集まっているところに到着した。

 

 

「突撃ー!」

 

「あんなに大勢の戦車の中に突っ込むなんて……」

 

「大丈夫柚子さん、柚子さんの操縦テクニックは高いです。それにこの場合だと突っ込んで戦車と戦車の間に入った方が安全なんですよ。ついでにいざとなれば悪魔の砲撃がありますから信じてください」

 

「うん。りく君に言われると安心できちゃう。行きます!」

 

「ほ、ほんとに大丈夫なのか?」

 

「大丈夫ですよ桃さん。だから装填お願いしますね」

 

「わ、わかった」

 

「みほ!準備オッケーだ!」

 

「了解。では、おちょくり作戦開始です!」

 

 

到着したヘッツァーは黒森峰の戦車の間に入り出した。小山や河島はちょっと不安になったが、そこはりくが声をかけて不安を取り除いた。

 

 

「11号車12号車!間にヘッツァーがいるぞ!?」

 

「ほんとだ!?押しつぶしてやる!」

 

 

戦車と戦車の間にヘッツァーがいることに気が付いた黒森峰は押しつぶそうとしたが、すぐさまヘッツァーは前進した。その後は予想できないような動きや、時々悪魔の砲撃をしながら動き回っていた。そのせいで黒森峰の隊列はバラバラとなっている。

 

 

「はっはっは!やっぱりまだこういうトリッキーな動きには弱いままか!」

 

「りくりく楽しみすぎ!」

 

「真面目にやってるのか!?」

 

「大真面目に楽しんでますよ!?失礼な!?」

 

「そ、それって真面目なのかな…」

 

 

ヘッツァー内ではりくがものすごく楽しんでいる。本人曰く、大真面目に楽しんでいるそうだ。

観客席の方でも、こんな黒森峰を見たことがないなど言ってる人もいる。

 

 

「そろそろいいんじゃね?」

 

「右側がぐちゃぐちゃだよ!」

 

「全車右側を全速前進!最後尾は煙幕もお願いします!」

 

 

隊列に隙ができたため、大洗全車は右側を降りていった。最後尾の車両が煙幕を張り、その中でヘッツァーはまた別行動をした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「結構離せたね、ここからどうする?」

 

「この川を渡ります。上流にはレオポンチーム、下流にはアヒルさんチームがいてください」

 

「なるほど、軽い戦車が流されないようにするためですね!」

 

「はい!それでは渡ります。全車歩調を合わせて渡ってください」

 

 

ヘッツァー以外の残っている全車で川を渡り出した。最初はスムーズに行っているため問題なく渡れると思ったが……

 

 

「あれ!?あれれ!?エンジンがかからない!?」

 

「ウサギさんチームがエンスト!?」

 

「全然かからないよ!?」

 

「私たちのことはいいので先に行ってください!」

 

「後から必ず追いつきます!」

 

 

ウサギチームがエンスト起こしてしまった。このままではみんなをピンチにしてしまうと思った車長の澤は、自分たちを置いて先に行って欲しいと伝えた。

 

だがM3は今にも横転しそうになっていて、置いていくのは危険すぎる状態になっている。

 

 

「何してるんだみほ!!」

 

「お兄……ちゃん」

 

「あの時のことを思い出すのはわかる!だけど助けに行け!ウサギチームに何かあってもいいのか!!」

 

「っ……」

 

「行ってあげて」

 

「え?」

 

「その間は私たちで見るから」

 

「……優花里さん!ワイヤーにロープを!」

 

「はい!」

 

「全車両少し待ってください!」

 

 

川で横転しようになったウサギチームを見て、去年のことを思い出してしまったみほ。だがりくや沙織の説得もあり、助けに行くことを決意した。

 

そしてみほはキューポラから出ると戦車から戦車へと跳んでいき、ウサギチームのM3リーに到達した。

 

 

「西住隊長!」

 

「みんなで引っ張ろう」

 

『はい!』

 

「みんな!みほたちの援護は頼んだぞ!」

 

『了解!』

 

 

みほたちの援護をするため、三突を除く他の車両は砲塔を回転させ、追ってきている黒森峰に向かって撃っている。その間にロープを引っ掛け終わった。

 

 

「西住隊長、ありがとうございました!」

 

「ご迷惑をおかけしました!」

 

 

無事にロープを引っ掛け終わり、全車両でM3を引っ張るように渡っている。途中でM3のエンジンもかかり、ギリギリだったが黒森峰から距離を取ることができた。

 

 

「どこへ向かうつもり?」

 

「おそらく市街地」

 

 

川を渡りどんどん離れていく大洗を見て、エリカはどこに向かうつもりか疑問に思ったが、まほは市街地へ向かうと予想していた。

 

黒森峰も市街地の方へと向かっていき、次の戦い場所は市街地となった。

 




今回はここで終わりです。
アニメ編は残り2話になる予定、次の投稿は明日になります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。