黒森峰の超重量戦車マウスを倒した大洗。今は最後の作戦の指示をしている。
「私たちは相手フラッグ車との1vs1を挑みます。できる限り敵戦力を分断してください。みなさんの協力、特にレオポンチームの協力は必要不可欠です!」
「了解しました!」
「沙織さん、情報を密にしながら通信お願いします」
「まかせてみぽりん!」
「それでは最後の作戦……ふらふら作戦を開始します!」
大洗は最後の作戦を開始した。沙織が地図を見ながら各車両に曲がる方向を通信で指示、戦力の分散に努めていった。
「最後尾発見!西住隊長、最後尾は任せてください!」
「お願いします!」
ウサギチームは最後尾を走っていたエレファントを見つけIV号が通り過ぎた後にエレファントの前に出て自分たちを狙わせるように仕向けた。見事狙い通り、エレファントはM3を狙いだした。
「桂利奈ちゃん、その路地右折ね」
「あい!」
「その次の次の次の路地も右折ね!」
「あいあいあーい!」
「行くよ!昨日徹夜で研究した作戦」
『戦略大作戦!』
ウサギチームは路地を上手く利用して、エレファントの後ろを取ることに成功した。狭い路地のせいでエレファントは砲塔を旋回できない、M3は0距離で攻撃をすることができた。
……だが
「硬すぎる……」
「0距離でも抜けないなんて……」
エレファントの装甲が硬すぎるせいか、装甲を抜くことができない。どうするか悩んでいたその時
「薬莢……捨てるとこ」
「そうか!」
丸山の言葉で薬莢を捨てる部分を撃ち、撃破することに成功した。
「すみません。エレファントM3にやられました」
「何やってるの!?」
「フラッグ車のみ狙え!」
まさかエレファントがM3にやられると思っていなかったのか、撃破された報告を受けるとエリカは怒っていた。だがまほは冷静でフラッグ車のみ狙うように無線を飛ばしていた。
「このー!八九式のくせに!」
別の場所では八九式が黒森峰の戦車と戦車の間に入り込んでいた。2両の戦車で潰そうと寄った瞬間に後退し、スロープ部分を上手く利用し前に出ることができた。
一方でフラッグ車のIV号は複数の車両に追われている。だがまほの乗るティーガーだけ他の車両より前に出て走っている。
「隊長待ってください!後ろと間隔が空いています!」
「レオポンチームあとどのくらいで着きますか?」
「HS地点到着したよ!」
「では至急0017地点に向かってください!」
「了解!」
エリカはまほに間隔が空いていることを伝えるが走る速度は落ちない。みほはレオポンチームに来てもらいたいポイントを指示。その場所をみほのIV号とまほのティーガーが通り過ぎるとレオポンチームがその場所を塞いだ。
「そこどきなさい失敗兵器!」
「嫌でーす」
「上手く行ったみたいだな」
「そうみたいだね〜」
「西住流に後退はない、ここで決着をつけるぞ」
「……受けて立ちます」
レオポンチームが入り口を塞いだ様子を見ているカメチーム。その中ではIV号とティーガーの1vs1の対戦が始まるところだった。ついに最後の一騎討ちが始まる。
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みほとまほの1vs1が始まる時、別の場所ではアヒルチームとレオポンチームは集中砲火を受けて行動不能となっていた。そしてウサギチームはヤークトティーガーと対面、くっついて撃たせないようにしている。
「ヤークト、西住隊長のところに行かせたらダメ。ここで倒そう!」
「でもどうやって!」
「合図で左に曲がって……今!」
ダーンッ!
シュパッ………シュパッ
梓の合図で左折したところをヤークトティーガーに撃たれて行動不能に、だがヤークトティーガーも土手に落ちて砲塔が折れ、行動不能となった。
「3チームとも怪我はないか!?」
「レオポンチーム無事です」
「アヒルチームも無事です」
「ウサギチームも大丈夫です」
「ならよかった。みんなよくやった。後はみほたちを信じよう」
先に行動不能になっていたりくは3チームの無事を確認していた。どうやら全員無事のようだ。
「回収班急いで!」
「ゆっくりでいいよ〜」
アヒルチームとウサギチームが倒された場所は問題ないが、レオポンチームの倒された場所は西住姉妹が入った唯一の入り口。レオポンを倒したエリカたちは入れずにいた。
「りく先輩!」
「おっと、お疲れ様梓」
「澤ちゃんこんなところで抱きつくなんて大胆だね〜」
「はっ!?すみません//」
「ふふ、でもよくエレファントとヤークトティーガー倒したな」
「エレファントの時は紗希が薬莢捨てるとこって言ってくれたから倒せました。ヤークトは一か八かでしたけど」
「それでも紛れもなくお前たちの実力だ、よくやった。後はみほたちを信じて待とう」
『はい!』
最初に戻ってきたウサギチームを労った後、みほたちを信じるようにモニターを見た。ちょうど動き始めたところみたいだ。
動き始めたIV号とティーガーは学校エリア内をぐるぐると回っている。お互い砲撃をするが当たらない。するとティーガーは榴弾でIV号が進むであろう道の方に撃った。
「停止してください!後退…」
ティーガーから撃たれた榴弾は、学校の一部を崩して通れなくした。それを見たみほは後退の指示、エンジン音が聞こえたため
「全速後退!」
と指示を出した。ティーガーが現れると砲撃したが、IV号が全速で下がったため当たることはなかった。みほの良い判断がなければ撃破されていただろう。
その後はまたぐるぐると回り最終的にまた開けた場所へと戻ってきた。
「西住隊長〜黒森峰が1台そっちに向かおうとしてるから気を付けてね〜っていうかあんたたち強引すぎだってば〜」
開けた場所に戻った時、レオポンチームから通信が入った。どうやら黒森峰から1台、みほたちの方に向かっているという報告だ。黒森峰やレオポンチームの上を走るように通過している。
「バカエリカ!?頭危ねえ!?」
モニターでそれを見ていたりくは思わず叫んだ。天井とエリカの頭がスレスレの状態になっているからだ。りくは心配したが無事にそこは通ることはできていた。
一方でみほは最後の賭けに出ようとしていた。
「やっぱり一撃を躱して回り込むしか……優花里さん、装填時間の短縮はできる?お兄ちゃんの真似はしなくていいけど」
「任せてください!」
「行進間射撃でも可能ですが0.5秒でいいので停止して射撃の猶予をください。一撃で仕留めてみせます」
「麻子さんやれる?」
「履帯切れるぞ」
「大丈夫、ここで決めます」
「わかった。任せろ」
みほが考えた最後の賭けは決まれば勝ち、失敗すれば確実に負けるような考え、まさしく最後の賭けである。
「前進」
ティーガーが止まっている中、IV号が先に動き出した。先に攻撃したのもIV号、それを躱してティーガーが撃ち返してきた。それを躱して一気に前進し回り込むためドリフトを開始した。
麻子の言う通り履帯が切れたが回り込むことに成功したが、お互いに砲塔が向いている。
ダーンッ
ダーンッ
……シュパッ
2つの砲撃音が聞こえたが白旗が出た音は一両分のみ、IV号かティーガーどちらかは行動不能になっているということである。
煙が晴れ、状況を確認することができ審判のコールが鳴り響いた。
『黒森峰女学院フラッグ車行動不能!大洗学園の勝利!』
白旗判定が出ていたのは黒森峰側の戦車。これにより大洗学園の優勝が決まった。
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「杏さん?」
「ごめん、今はこのままで」
「もちろん、いくらでもどうぞ」
大洗の優勝が決まったことをモニターで見ていたあんこうチーム以外のメンバーたち、優勝が決まると会長はりくの胸に顔を埋めた。どうやら泣いているみたいだ。りくはそれをそっと抱きしめ、あんこうチームが戻ってくるまで続けていた。
「西住隊長!」
あんこうチームが戻ってきたことを梓がいち早く気付き、みんな寄っていった。さっきまで泣いていた会長はしれっとなかったように見せている。
「あれ?力が入らない」
「しっかりしろ隊長」
「まったくだ。手貸そうか?」
「大丈夫だよお兄ちゃん」
みんなの元に到着したあんこうチームはみんな外に出た。だがみほは力が入らないのか、外に出るのに時間がかかっていた。
「わっ!?」
やっと降りたと思ったら今度は前に倒れそうになった。ギリギリ倒れることはなかったが……
それだけ安心したのだろう。
「西住ちゃーん!」
「わっ!?会長!?」
「俺たちより前からずっと廃校阻止のために動いてたんだ。嬉しくなって当然だろ?他の2人もさ」
「西住、本当にありがとう」
「ありがとね西住さん」
「私だけの力じゃありません。みんながいたからですよ」
「そういうこと。それに3人が役人に素直に従わず反論したから、みほも俺も戦車道を楽しいって思えたんだ。だからありがとうございました」
「それはよかった。それじゃあ帰って宴会だー!」
『おおー!』
「それじゃあ先に帰る準備しててください。みほも行くだろ?」
「うん」
戦車から降りてきたみほに、会長は抱きついていった。みほは驚いていたが、この行動は優勝の喜びもあるが、廃校を救えた喜びからだろう。
程なくして帰って宴会をしようと言い出したがみほとりくの2人はみんなから離れて黒森峰の方に行った。
「お姉ちゃん」
「姉ちゃん」
「みほ、りくもいたか」
「いるわ!?」
2人が会いに行ったのは2人の姉であるまほのところだった。
「完敗だな。お前たちらしい戦車道だった。西住流とは全然違うがな」
「そりゃそうさ。俺たちは西住流の戦車道をしたんじゃない。俺たちの戦車道をしただけなんだからさ」
「お兄ちゃんの言う通りだよ。私たちは私たちが見つけた戦車道をしただけ。やっと見つけたよ。私たちの戦車道!」
「ああ」
去年の大会のことでわだかまりもあった3人だが、今はみんな笑顔で話し合っている。みほが自分たちの戦車道を見つけたと言うと、まほは嬉しそうにした。
「次は負けないわよ!りく!それに…みほ!」
「っ!うん!私たちも負けないよエリカさん!」
「みほの言う通り、俺たちも負けるつもりはない!」
「そうこなくっちゃリベンジしようがないわ!」
「そういえばエリカ、お前頭ぶつけたりしてないか?」
3人で話していたら突然エリカが話しかけてきた。近くにいたみたいだ。エリカとも話していると、突然りくは頭をぶつけてないか心配していた。モニターで見ていたし心配するのは当然だ。
「ええ、大丈夫よ。スレスレではあったけどね」
「ったく、あんま危ねえことすんなよな」
「ちょっと!?りくには言われたくないわよ!?」
「たしかに、りくが言えることじゃないな」
「そうだね」
「いやみほには言われたくないな…」
「「たしかに…」」
「ええー!?」
心配していたりくだったが、どうやら心配無用だったようだ。危ないことをするなとりくは言ったが、人のことは言えないりくだった。
「それと小梅から試合前のこと聞いたわ」
「あ〜あれは驚いたわ」
「小梅に負けるつもりないから覚悟しなさい」
「…………へ?」
「りくにそのつもりなくても私も小梅も貴方のことを想っている。それはいいわよね?」
「お前もかーい!まぁそこを止めるつもりはないさ」
「ふ、りくは人気者だな。たしか他の隊長たちもお前のことを…」
「まぁそれは置いておいて、また試合するの楽しみにしてるからな」
「ええ」
「じゃあ私たちそろそろ行くね」
「じゃあな〜」
どうやら小梅だけでなくエリカもりくのことが好きみたいだ。まぁ今はりくにその気はないみたいだが……
4人で話し込んでいたが、そろそろみほとりくの2人は自分たちの学校の方へ戻ることになった。遠くの方では母親のしほが笑顔になって拍手をしていたが、みほたちは気付くことはなかった。
「帰ってきた〜」
「西住ちゃん、何か一言」
「ええ!?
えっと……うーん……パンツァー・フォー!」
『おー!』
大洗の街に帰ってきた戦車道受講者のみんな。会長の無茶振りに、みほは"パンツァー・フォー!"としか言えなかった。
全員戦車に乗り、優勝記念のパレードに参加することとなった。
「帰ったら何しよっか」
「お風呂入って〜」
「アイス食べて〜」
「それから…」
「戦車乗ろっか!」
「うん!」
これでアニメ編は終わりです。次回投稿から劇場版編に入ります。それまでお楽しみにしていてくれると嬉しいです。