「みんなお疲れ様!初めてでこれだけの動きができれば上出来よ!グッジョブよ!」
模擬戦が終わり、戦車倉庫前に集まった俺を含む戦車道受講者を蝶野さんは褒めている。
動きに関してはほんとみんなよく動いてたと思う。なんせこの教官は何も教えなかったからな。
「特にAチーム!ほんとによかったわ!まぁりく君は本気の装填速度じゃなかったみたいだけどね」
「あ、バレました?」
やっぱ俺のこと知ってる人から見たらバレちまうか〜
「お兄ちゃんが本気で装填したらもっと早いもんね」
「そうなのでありますか!?」
「そのうち見せてやるよ、それよりも1つ気になってることあるんですけどいいですか?」
「最後のM3リーの走行不能についてかしら?」
おぉ、普段適当な感じするのにこういうところはしっかりわかってるんだな。
この疑問には車長をやっていた澤さんが答えてくれるみたいだ。
「それはその……会長たちが乗ってる戦車が走行不能になった後逃げようとしたんです。でも慌ててたためか泥沼にはまってしまって、そのあと履帯も外れてエンストまで起こして……それで走行不能になりました」
「そういうことだったのか、説明ありがとな」
「いえ…」
う〜ん……やっぱり最初だし逃げて欲しくはなかったけど……初心者だし仕方ないだろうな。これからの訓練次第だな。
「それじゃあ今日の訓練はここまで!これからも何回か来るからよろしくね!」
「では!蝶野教官に礼!」
『ありがとうございました!!』
最後蝶野さんにお礼の挨拶をして今日の訓練は終わりとなった。
みほは今日同じ戦車に乗ったみんなと温泉に入ってから帰るとのことだったため、俺は1人で帰ることとなった。
翔太に今日の訓練の様子を撮ってもらってたからそれを見ることにするか。
おっと、その前に……
「会長ちょっといいですか?」
「なんだいりくりく?」
「ちょっと相談あるんですけどその前に1つだけ質問、砲手は誰がやったんですか?」
「かぁしまだけどそれが?」
河島先輩だったか。
「同じ初心者でも三突や八九式の砲手の人と比べて酷すぎだったんですよ、だから練習しっかりさせないとって思っただけです」
「ああ〜たしかにそれはね〜それはこれからの練習次第だよ。それより相談したいことって?」
「俺の独断でまだ本人と相談してないんですけど……隊長はみほにやってもらった方が良いと思うんです。普段の練習の指示はみほじゃなくてもいいですけど、試合中の指示はやっぱり戦車道をよく知ってる人がいいと思うんですよね」
「やっぱりりくりくもそう思う?」
「はい、今日途中からみほが指示を出してたんですけど…その方がみんなスムーズに動けてよかったんです。俺はルール上隊長になれないし優花里は好きってだけなので、戦略とかを指示するのは難しいと思うんですよね。場合によっては俺も手伝いますけど隊長はみほにやって欲しいです。それで副隊長を生徒会の誰かにお願いします」
「うんうん、やっぱりりくりくがいてくれて助かるよ。私と同じ考えの人がいてくれると嬉しいし。西住ちゃんには明日の訓練が終わったら相談してみるよ」
「了解です。俺も一応今日みほに伝えておきますね」
「はいよ〜西住ちゃんが隊長になったら私たちの戦車に乗ってね〜」
意外とすんなり話がまとまったな。もしかして会長も最初から同じこと思ってたのかな?
乗る戦車の考えまで同じだったよ。
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「いいぞー」
「お邪魔しまーす」
みほたちは温泉に入ってから帰るため、先に帰ってきた俺と一緒に翔太も来た。
今日の模擬戦の様子を撮ってもらってたからそれを一緒に見るためだ。別に動画データをもらうだけでもよかったが、翔太が部屋に来たいと言ったため一緒に来たのだった。
「一応試合開始場所までの移動も撮ってたけど沙織これ大丈夫だった?」
映像は沙織の顔が枝に当たるところだった。これは痛そうだったな〜
「怪我はないから大丈夫だ、まぁ痛そうだったけどな。でもその後の華の方が痛そうだったけど」
「何かあったのか?」
「実はさ〜」
俺はその後戦車内で起こった出来事を話した。みほが操縦手の肩を蹴って方向を教えてあげると言い、沙織が華の肩を蹴って操縦桿にぶつかるくらいの勢いで蹴ったことを……
「アハハハハ!なんだそれ!」
「同じ戦車に乗ってたら笑い事じゃないぞ?」
あれはマジで痛そうだった。俺もみほも優花里も苦笑いするくらいに……
いくら思いっきりって言われてもあそこまでやる必要はなかったな。
「試合開始だ、りくたちは最初どのチーム狙ってたんだ?」
「会長たちのチームだ。今回車長やってた沙織がそう指示してな。おっ、この動きだとやっぱりBチームとCチームは組んでたな」
翔太が撮った動画を見てると、やはりBチームとCチームが手を組んでAチームを狙っていることがよくわかる。そうじゃないなら近くにいるのに撃ち合わないはずがないからな。
「これはやっぱり酷すぎ……」
「そ、そう言うな、初心者なんだから」
試合が進み河島先輩が盛大に砲撃を外した場面までやってきた。いくらなんでも外れすぎだろ。
つーかみほと同じこと翔太に言われたな。
『AチームIV号の勝利!』
「これで終わりか、翔太ありがとな」
「これが俺の役目だ、気にすんな」
最後まで見終わった。これからやってくことがたくさんだな。まず1番にやるのは操縦訓練に砲撃訓練ってとこか。
「ただいま〜」
「みっちゃんお帰り〜」
「お帰りみほ」
ちょうど見終わったところでみほが帰ってきたけど……どっか寄ってきたのかな?
「あ、翔太君いたんだね。部屋覗いてないよね?」
「見てない見てない。りくと一緒に今日の模擬戦見てただけだ」
「やっぱりこれからの訓練次第?」
「そうだな、操縦も砲撃も色々やってかないと。他校と練習試合組めたらいいけどまずは基本的な動きは訓練しないとな」
「そうだね……あ、そうそう!今日途中で乗った冷泉さんだけど戦車道取ってIV号の操縦手やってくれるって!」
「ほんとか!?そりゃあ嬉しいな!」
冷泉さんが操縦してくれるのは頼もしい。今日の模擬戦でもやったけど初心者とは思えない動きだったしな。
つーかマニュアル見ただけですぐにあんな動かせるのは凄すぎだって……
「それで私が車長、華さんが自分で希望して砲手、優花里さんが装填手、それで沙織さんが通信手をやることになったんだけど……」
華は希望したのか。まぁたしかに今日も凄い感動してたもんな。それに沙織が通信手なのも向いてる。
最後にみほが"けど"って言った理由も想像がつく。
「俺の役割のことか?」
「うん……今日は緊急だったから6人乗ったけど普段から6人っていうのは流石に……それでお兄ちゃんと相談するってことだったの」
「なるほどな、そのことにも関係するけどちょっとみほに相談があるんだけどいいか?」
「いいけど…お兄ちゃんが相談って珍しいね」
「そうか?あ、まぁ向こうじゃ姉ちゃんと話す方が多かったからな……
ってそれは今はいいや。みほ、お前隊長やる気ないか?」
「「…………えぇー!?」」
俺の相談事は会長と話した隊長の件だ。案の定驚いてるな、おまけで翔太も。
「会長とも話したんだよ。それでみほに隊長やってもらえないかなってなった。戦車道が好きって言うなら優花里でもいいけど戦略とかのことも考えるとみほがやった方がいいと思う。それにそうすれば俺が生徒会チームと一緒に乗って酷過ぎた河島先輩をしご……見てやれるしさ」
「おいりく……お前今しごけるって言おうとしなかったか?」
「まぁ最後のはついでだとして、みほが隊長になるのがいいと思うんだ。嫌なら無理にとは言わないけどさ」
「ちょっと考えさせてもらってもいい?そこまで言ってくれるのは嬉しいけどちょっと考えたいの」
「もちろんだ!」
隊長の件はひとまず保留だな。みほがどんな答えを出すか……楽しみだ。やってくれたら嬉しいけどな。
翌日の朝
「おはようお兄ちゃん」
「おはようみほ、今日は早いじゃん」
朝いつものように朝飯を用意していたらみほが起きてきた。普段はもう少し寝てて準備ができた頃に起きてくるんだけどな。つーか絶対狙って起きてるだろって感じがするけど。
「昨日のことだけど……決めたよ私」
「隊長の件か、どうするんだ?」
「私やる!弱気になっちゃう時もあるかもしれないけど頑張る!」
「そっか、じゃあ今日朝一で生徒会室行くか」
「うん!」
朝飯の準備ができたのでこの話を1度終わりにして食べることにした。
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コンコンコン
「どうぞー」
「「失礼します」」
「ん?りくりくに西住ちゃん?こんな朝早くどうしたの?」
「2人ともどうした?」
生徒会室に来れば会長はいると思ったが、まさか河島先輩までいるとはな。
「昨日の模擬戦の後に話した件です」
「模擬戦の後?」
「あ、河島先輩は知らなかったんですね。あの後会長と話したんですよ。大洗では誰が隊長をやった方がいいかって」
「そういうこと〜西住ちゃん連れてきたってことは答え決まったってわけだね?」
「はい。隊長の話は昨日の夜お兄ちゃんに聞いて知りましたけど……会長、私隊長やります!」
「なんだと!?」
みほが隊長をやると言ったら河島先輩が驚いた。どういう意味で驚いたんだ?みほがやらないって言うと思ったのか?それとも自分がやるつもりだったのか?
「会長!隊長なら私が!」
「かぁしま〜気持ちはわかるけどここは西住ちゃんに任せよ〜」
「何故です!!」
…………そういうことか。だいたい河島先輩が反論してる理由がわかってきた。
ならみほは教室に行かせるか。
「みほ、先に教室行っててくれ」
「えっ?」
「頼む」
「わ、わかった。荷物は持っていっておくよ」
「サンキュー」
「それじゃあ……失礼しますね」
みほが出て行き姿が見えなくなってからドアを閉め話を再開させた。
「河島先輩…先輩が隊長をやりたがる理由はなんとなくわかりました。優勝しないと廃校になってしまうんですよね?だから戦車道履修はともかく、隊長や副隊長は自分たちがやってって思ってたんですよね?」
「そうだ!西住兄妹を入れたのは2人の力が必要だから。だが隊長までやらせて負担を負わせたくない。だから私がと思ったんだ」
「河島先輩……気持ちはわかりました。でもだからこそ隊長はみほにしてください!」
「なっ!?」
やっぱり河島先輩が隊長をやろうとしてた理由は学校のことが絡んでた。まぁ会長は意外と適当そうだし。
「まだ数日しか通ってない俺が無くなって欲しくないって思ったんです!だから俺なんかよりもっと無くなって欲しくないって思ってるはずです。だからこそ隊長は戦車道経験者のみほがいいんです!」
「……わかった、りくを信じよう」
「ありがとうございます!それで……副隊長なんですけど河島先輩、やりませんか?」
「っ!?私でいいのか!?」
「いいっすよね?会長」
「うん、いいぞ〜」
軽っ!?さすが会長……
「ってことで河島先輩が副隊長よろしくお願いします」
「任せろ!」
「あ、それとお願いついでにもう一つ。みほは結構弱気になるところがあると思うんです。当然俺もサポートしますけど副隊長、よろしくお願いします!」
「っ!?いいだろう!副隊長である私に任せておけ!」
これで隊長と副隊長の件は解決だな。
今日の戦車道の練習前に隊長はみほ、副隊長は河島先輩とみんなに伝えられた。
訓練開始し、操縦訓練では河島先輩が指揮をとった。
そして次は砲手の訓練の開始だ。
今回はここまで!次回は練習試合まで入ろうと今は思っています。あくまで予定ですので実際はどうなるかどうか……
次回投稿はいつになるか私にもわかりませんが……お楽しみ