男子も戦車道に参加できる世界   作:カット

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作成中に急遽二回に分けることにしました。あと少し口調迷子気味です……


6、初の練習試合(前編)

 

『大洗学園対聖グロリアーナ学院、練習試合開始!』

 

 

今日は大洗学園と聖グロリアーナによる練習試合の日。審判を務める蝶野さんの合図により試合が開始された。

 

 

「それではBCDEチームは作戦ポイントへ走行!私たちは囮となるための場所へ走行します!」

 

「なんか作戦名ないの?」

 

 

大洗の隊長であるみほが指示を出すと、Eチーム38tに乗っている車長の会長が作戦名を求めた。たしかに何かある方が指揮も高まるだろう。

 

 

「それじゃあ"こそこそ作戦"にしましょう。こそこそ作戦開始です!パンツァー・フォー!」

 

 

作戦名が"こそこそ作戦"に決まり、隊長であるみほの合図でそれぞれ作戦ポイントへ移動を開始した。

 

 

「お兄ちゃんそっちの指揮はお願い」

 

「俺でいいのか?河島先輩じゃなくて」

 

「別にルール上問題ないしりく、指揮を頼んだ」

 

「まぁ河島先輩が言うならいいけど……それじゃあAチーム以外速やかにキルゾーンへ移動。そこで陣形を整えるぞ」

 

『了解』

 

 

みほの指示により、仕留め役の4チームの指揮はりくがすることとなった。副隊長にはなれないが代わりに指揮をとることは禁止されていないから問題はない。

Aチームはグロリアーナの戦車の元へ、BCDEチームはキルゾーンのポイントまでそれぞれ移動を開始した。

 

 

「マチルダII4両、チャーチル1両前進中」

 

「さすがグロリアーナ……綺麗な隊列ですね」

 

「うん。あれだけの速度を出しながら隊列を乱さないのは凄いね」

 

 

Aチームは囮役となるため、グロリアーナの戦車を見つけていた。見つけた後はみほと優花里の2人が双眼鏡を使って様子を見ている。グロリアーナの車両は現在隊列を作って前進しているところみたいだ。

 

「こちらの徹甲弾だと正面装甲は抜けませんよ」

 

「そこは戦術と……腕かな」

 

「っ、はい!」

 

 

火力の問題か、正面装甲は抜けないと心配している優花里だったが、みほの言葉で自信を持つ優花里。

そのまま2人はIV号に乗り込みみほは麻子に指示、その通りに動くと今度は華に指示を出した。

 

 

「砲撃準備!」

 

「装填完了!」

 

「えっと…チャーチルの幅は…」

 

「3.25メートル!」

 

「そうなると4シュトリヒだから距離は……800メートルですね」

 

 

装填が完了し華が距離の計算を終わらせる。いよいよ作戦実行の時だ。

 

 

「撃て!」

 

 

ダンッ!

 

 

「すみません」

 

「撃破が目的ではないので構いません。麻子さん、ポイントまで操縦お願いします!」

 

「了解!」

 

 

華が撃った砲撃は外れて華は外したことを謝るが、今回の砲撃は撃破が目的じゃないため特に気にしていない。当たったら当たったで嬉しいことだったが……

今度は麻子に指示を出しその場から撤退し出した。今度は麻子の腕の見せ所だ。キルゾーンに行く前にやられたら意味がない。

 

「仕掛けてきましたね」

 

「そのようね。全車IV号に照準を合わせて……発車」

 

 

グロリアーナの隊長であるダージリンの指示により、グロリアーナの車両は一斉にIV号へ砲撃を始める。

 

しかし

 

 

「麻子さん、なるべくジグザグに走行して当たりにくくしてください」

 

「わかった」

 

 

みほの指示で操縦手の麻子がジグザグに走り、見事に避けている。流石マニュアルを見ただけで操縦方法を覚えたことはある。

 

 

「やるわね、全車速度を上げて追うわよ」

 

 

ダージリンも少しやる気になったのか、全車に速度を上げるように指示を出し、グロリアーナはみな速度を上げて追い続けている。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「かっくめい!」

 

「心にはいつでもバレーボール!」

 

「はぁ……」

 

 

Aチーム以外の4両はキルゾーンとして設定したポイントで待機中……なのだがまた1年生チームは大富豪で遊んでるしバレー部チームはバレーボールをしている。それを見てりくはため息をついてしまった。

 

 

「りく君我慢してあげて」

 

「なんで試合中にこんなことできるのかな……」

 

「あはは……ま、まぁ初めての試合だし今日は許してあげよ?」

 

「まぁ今はいいですけど……」

 

 

小山先輩が言うと渋々許したりく。だが

 

 

「遅い!」

 

「果報は寝て待てだよ〜」

 

「ですが!」

 

「落ち着け河島先輩、この案提案したの河島先輩だろ。だったらちゃんと待て」

 

「うっ…」

 

「りくりくもイラってしてない?いつもはもっと丁寧な言い方してると思うけど」

 

「試合中だとこんなもんっすよ」

 

 

イラッとしているような言い方のりくではあるが、試合中だといつものことらしい。それはさておき、囮作戦を提案した河島はAチームが来るのが遅くてイライラしている。どちらかというとイラッとしてるのは河島の方だ。

 

そんな時

 

 

『こちらAチーム、あと約5分でポイントへ到着します!』

 

 

と、Aチームから通信が入った。

 

 

「みんな聞こえたな?準備しろ!」

 

「えぇ〜せっかく革命したのに〜」

 

「なんか言ったか?」

 

「いいいいえ!?」

 

 

1年は文句を言ったが、それはりくの笑顔によって黙らされた。各員戦車に入り準備をする。

そしてみほが言った5分が経過すると一台の戦車が姿を現した。

 

 

「見えた!撃てー!」

 

「バカ!!」

 

 

副隊長河島の合図でみんな撃ち出した……のだが姿を現したのは味方のIV号だ。思わずりくも"バカ"と言ってしまったくらいだ。

 

 

「味方撃つな!全車砲撃中止!」

 

「味方撃ってどうすんのよ〜」

 

「撃て撃て撃てー!見えるもの全て撃てー!」

 

 

りくやIV号の通信手、沙織の声はみんなに届かない。河島のおかしな指示のせいで……

 

 

「だから撃つのやめろって言ってんだろ!!!」

 

「どんどん撃てー!」

 

「もうダメだこれ……会長、小山先輩、2人ともよく2年間一緒にいましたね」

 

「「あ、あはは……」」

 

 

再度りくが怒っても各車に届かない。呆れたりくが言った言葉に、同乗している小山や会長は苦笑いするしかなかった。

 

 

「みほすまん、バカな奴のせいでみんな撃ちまくってる。なんとか当たらないようにしてくれ」

 

『大丈夫、麻子さん運転上手いから当たってないよ。お兄ちゃん諦めた?」

 

「これ無理」

 

 

りくは完全に止めるのを諦めた。IV号に乗っている5人は揃って苦笑いしたが後ろからグロリアーナの車両が来ているため、止まることなく味方の砲撃の雨の中を進んでいる。そんな中、IV号の後ろからグロリアーナの車両がやってきた。

 

 

「グロリアーナが見えた!みほ達も可能になったら応戦してくれ!」

 

「わかった!」

 

 

グロリアーナの車両が見えると今度はグロリアーナの方へ砲撃が飛んでいった。でもバラバラに狙いすぎて全然当たっていない。

 

 

「バラバラに狙ってもダメです!まずは履帯を狙ってください!」

 

「どんどん撃てー!」

 

「みほ、悪いけどうちの砲手には届いてないぞ。みんなは届いてるかわからないけど……まだ狙える腕はなさそうだ」

 

「わ、わかった…この作戦はダメそうだね」

 

 

りくが乗っているEチームの砲手にはみほの声は届いていない。他の車両には声は届いているようだが、着弾地点から見てりくは難しいと判断した。

 

 

「りくりく、グロリアーナの動きが止まったよ〜」

 

「そろそろ来るか。各車操縦手へ!グロリアーナの反撃が来る可能性が高い!なるべく被弾しないように頼む!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

会長からグロリアーナの動きが止まったことの報告を受けると、すぐさま各車操縦手へ指示を出した。

 

 

「こんな安直な囮作戦など通用しませんわ。全車砲撃開始」

 

 

グロリアーナの反撃が始まった。さすがは強豪校、大洗よりはるかに良い精度で砲撃している。そんな中

 

 

「もう嫌ー」

 

「逃げよう!」

 

「そうしよう!」

 

「待って!昨日戦車から出るなって言われたでしょ!みんな待って!」

 

 

グロリアーナの砲撃が怖くなったのか、1年生チームが戦車の外に出てしまった。そのため当然

 

 

「バカ!!外出んな!!」

 

 

りくの怒声が響いた。だが1年生チームは恐怖からか、その声は届いていない。

そんな時、りくが恐れていたことが起こってしまった。

 

 

「きゃぁぁぁあ!!」

 

「澤!?どうした澤!?」

 

「うぅ……」

 

 

1年生チームM3リーの車長の澤から悲鳴が聞こえたと思ったら、その後はうめき声が聞こえてきた。おそらくどこか怪我したのか痛めたかだろう。

 

 

「くそっ!河島先輩砲手交代!」

 

「っ!?わかった!!」

 

「緊急事態発生!両チーム砲撃中止!」

 

「「っ!?全車砲撃中止!!」」

 

 

38tの車内では砲手が入れ替わり、指示されることなく会長は共通無線で砲撃を中止するように言った。しかし

 

 

ダーンッ!

 

 

「なっ!?すみません1発行きました」

 

「1発なら大丈夫だ!」

 

 

1発だけグロリアーナの車両から砲撃が飛んできた。しかも運悪くM3リーの方へ向かっている。まだ澤は隠れられていないため危険だ。だが何故かりくはダージリンからの無線に大丈夫と答えた。

 

 

ドガァーン!

 

 

M3に砲弾が命中……とはならなかった。38tからの砲撃が相手のマチルダIIの砲撃を撃ち落としたからだ。りくには砲弾を撃ち落とす技術がある。

 

 

「ダージリン様!おそらくピンチになったから止めたのだと思われるので砲撃を続行します」

 

「やめなさいルクリリ!砲手の方は撃ってはダメ!」

 

「撃て!」

 

「(ちっ)仕方ねぇな……やるか」

 

 

ルクリリと言われた車長が、同乗している砲手に撃つように指示し、砲手はそれに従い撃っている。おそらく砲手の人もピンチだから中止と言っているのだと思っている。そこでりくはあることを決意した。

 

 

「まずい…」

 

「まさかりく殿は!?」

 

「うん……そのまさかだよ優花里さん。

 

ダージリンさんすぐ砲撃をやめさせてください!早くしないと砲手の人が大変なことになります!」

 

「まさかりくさん!?早く砲撃を中止しなさい!」

 

 

みほとダージリンは何かに気が付いて慌てている。砲撃を中止するように指示をしても1両だけ止めてくれない。何度も撃っているが、その度にりくによって撃ち落とされている。やがて

 

 

「そ、そんな……私の砲撃が……全て……」

 

 

戦意が喪失したのか撃つのをやめてしまった。

 

 

「やっと止まった……会長説明しておいてください!俺は急いで澤のところに行ってきます」

 

「わかった!全車聞いて!うちの生徒が1人負傷した!今は砲撃をしないでその場で止まってて欲しい!」

 

「「わかりました」」

 

 

りくが救急箱を持ってキューポラから外へ出て澤の元へ走る。その間に会長が緊急事態について説明をした。それを聞いて全車動かずその場に待機することとなった。

 

 

「ダージリン様、あちらの隊長が言っていた大変なこととは一体……」

 

「ペコ、あなたは私のりくさんのことを"神の装填手"と言ったわよね?」

 

「え、えぇ…」

 

 

待機中オレンジペコが"大変なこと"についてダージリンに聞いている。さらっと言った私のりくさんという言葉に突っ込まず……

 

 

「ですが私が知っているのは別の呼ばれ方……おそらく装填手の間では神の装填手と呼ばれていても、他の方はこう呼んでいるでしょう」

 

「まさか…あの西住りく?」

 

「そのまさかよアッサム、彼はこう呼ばれている。"悪魔の砲撃をする者"とね」

 

「悪魔の砲撃……?」

 

 

ダージリンやアッサム、ついでに優花里が知っている呼ばれ方は"悪魔の砲撃をする者"である。

 

 

「由来は先程のを見てもらえればわかると思うけど、戦車に当たりそうな砲撃を次々と撃ち落とす。そして相手砲手の戦意を喪失させてしまう。これが悪魔と呼ばれている理由よ」

 

「たしかに……先程のは凄かったです」

 

 

先程悉く砲撃を撃ち落としていたりく、それにより戦意を失ってしまった砲手の1人。悪魔と呼ばれているりくの被害者が増えた。復活するかどうかはその人次第だ。

 

 

一方で

 

 

「澤!」

 

「り、りく……先……輩」

 

 

りくは澤の元に到着した。澤はものすごく辛そうにしている。ここにいるのは澤だけであり、他のみんなの姿が見えない。

 

 

「大丈夫か!?他のみんなは!?」

 

「みんなは……気付かない……で行ったのかも……」

 

「(あいつら……)そうか、痛めてるのは左足だけか?」

 

「た、多分……」

 

「右少し力入れて触るけど痛かったら言え」

 

「はい」

 

 

そう言ってりくは少し力を入れながら様子を見るために触っていく。念のため言っておくが怪我ないか確かめるために簡単に確かめるためだ。

 

 

「大丈夫そうだな」

 

「はい//」

 

 

簡単な確認だけしてみると右足には大きな異常はなさそうだった。そして澤本人は足を触られている恥ずかしさからか、顔を赤くしている。

 

 

「それじゃあ運ぶぞ」

 

「ふぇ////」

 

 

りくがお姫様だっこで運ぶと先程よりも赤くした。まぁいきなりそんなことされたら恥ずかしくもなるだろうが……

りくは御構い無しに戦車内に運び込み応急処置を始めた。

 

 

「とりあえずこれで良し、試合は見たいと思うから終わったらでいい。絶対病院に行くこと!いいな!」

 

「は、はい…約束を破ってすみませんでした」

 

「その説教は後でだ。とりあえずこの車両は走行不能扱いとして回収してもらう。お前は絶対中にいろ!」

 

「はい……」

 

「でも……この程度で済んでよかったよ」

 

 

最後にそう言うとキューポラから出て行き38tへと戻っていった。

戦車に戻るとすぐに共通無線を入れた。

 

 

「試合止めてすみませんでした。公式戦ならしませんが練習試合ということで今回は止めさせてもらいました。幸い……本当に幸いですが大きな怪我というわけではありませんでした。今はM3リーの車内で待機させています。ですが他に乗員はいませんので走行不能扱いとします。できればグロリアーナの選手はM3やその付近は撃たないでもらえると助かります」

 

『了解。聞きました通りM3及びその付近は砲撃しないように!した場合は悪魔の餌食になります』

 

「(悪魔って……まぁいっか)それと大洗はM3に隠れて砲撃を逃れようとしないように!もしした場合隊長車の餌食になってもらいます」

 

『その役目引き受けます。大洗チームは今言った通りにしてください!』

 

「両チームありがとうございます。回収班はM3の回収をお願いします。ちゃんとした謝罪は後ほどします。本当にすみませんでした。再開の合図は審判にお願いします」

 

『グロリアーナは準備できています』

 

『大洗も大丈夫です』

 

『両チーム確認!それでは試合再開!』

 

 

共通無線も終わりにし、審判の合図で試合が再開された。再開と同時に砲撃の撃ち合いが始まるが、無線の通りM3やその付近には撃ち込まれていない。そして隠れようともしていない。無線の通りにしてくれて、りくはホッとしているだろう。

 

だが大洗の戦況が不利なのに変わりない。

 

 

「あれ!?あれれ!?」

 

「あ〜外れちゃったね〜履帯」

 

「38tは外れやすいから仕方ない。砲撃が止んで安全が確認できるまで残ってたら直そう」

 

「なっ!?その間にやられたらどうするんだ!?」

 

「怪我するよりマシだろ」

 

「うっ…」

 

 

不利な状況に陥った上に、生徒会チーム+りくが乗る戦車の履帯が外れてしまった。これでは動かすことはできない。

 

 

「沙織さん各車状況確認お願いします!」

 

「わかった!Bチーム!」

 

「問題ありません!」

 

「Cチーム!」

 

「こちらも問題ない。状況はまずいが動けるぞ」

 

「Dチーム……は無理だからEチーム!」

 

「こっちは無理だ!履帯外れた!みほ、次の作戦プランに移れ!」

 

「わかってる!動けるBチームとCチームはついてきてください!」

 

「「了解!!」」

 

 

ピンチに陥った大洗学園はこの場で攻撃することを諦め、ABCチームは撤退した。Eチームはグロリアーナ全車が通り過ぎていった後で履帯を直すようだ。

 

………それまでにやられなければ。

 

 

「それではこれより"もっとこそこそ作戦"を開始します!みなさん、大洗の地を活かして各自で行動してください!」

 

「了解だ!」

 

「大洗は庭です!」

 

 

大洗学園第二の作戦プラン、"もっとこそこそ作戦"を開始された。先に市街地へ到着した大洗チームは各自分散し、追ってきたグロリアーナの視界から消えることに正解した。

 

ここから第2ラウンドの開始だ。

 

 

ちなみに…………

 

 

「グロリアーナは俺たちを攻撃しないで行ったな。後で後悔させてやるか」

 

「そだね〜じゃあ履帯直そっか」

 

 

Eチームの38tは相手から砲撃されず、履帯の修理を開始していた。

 




前回出た"神の装填手"、そして今回出た"悪魔の砲撃をする者"、これがりくの設定となっています。プロフィール等はそのうち載せますね。

何かあれば感想欄にお願いします。仕事疲れでなかなか返せない可能性もあるますが……

それでは次回もお楽しみに
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