「自己紹介がまだだったな、いたって普通の魔法使い、霧雨魔理紗だ。魔理紗でいいぜ」
「私は紗由理、よろしく魔理紗」
昼食と自己紹介をすませ、霊夢が人数分のお茶を煎れてくれる。
「にしても霊夢が外来人をとどめておくなんて珍しいな、普段は即効送り返すってのに……まあ殆どがここにたどり着く前に妖怪に襲われるんだけどな」
なにそれ怖い、よく生きてたな私。
「送り返そうと思ったんだけど前の名前を思い出せないらしくてね。その上帰りたくないっていうのよ」
「なるほどな……ん?じゃあ紗由理って名前は……」
「霊夢につけてもらったの、いい名前でしょ」
私は結構気に入ってる、いい名前をつけてもらったものだ。
霊夢が余計なことをとばかりに目線を飛ばしてくるがそんな気にすることないのに。
「霊夢にそんなセンスがあるなんて意外だぜ……」
霊夢はセンス良い方だと思うけど、普段はどんな人なのだろうか。
「心外よ……そんなことより紗由理の今後よ。人里に住みたいなら慧音に相談するのがいいんでしょうけど……」
霊夢が言葉を詰まらせる。
人里と言うからには村とか町みたいなものだと思うけどなにかあるのだろうか。
「その人里になにか問題でもあるの?」
「違うわよ、問題なのは貴方の方。貴方段々妖力が増えていってる、目を覚ましたときよりね。このままだと人里の退治屋に見つかったらめんどくさいことになるわよ」
「妖力?やっぱり妖怪なのか?」
妖力が増えてる?一体なんで?というか妖力について何も知らないんだけど。
「恐らく人間よ。でも妖力と一緒に霊力も増えてる。多分魔力の方も増えてるんじゃないかしら?」
そう言われてみればと魔理紗が私のことをくんくんと嗅ぎ出した。だから臭うのかそれは。
「うーん、確かに私が会った時よりも増えてるな、これは一体どういうことだ?」
どうやら目が覚めてから霊力、妖力、魔力が増えているらしい。その手の知識がまったくないからいまいちわからないのが現状なんだけど。
「恐らく能力ね、こちらにきてから目覚めたんでしょう。普通霊力と妖力を同時に持つことなんてできないし。」
「能力?なんですかその厨二心をくすぐるような響きは」
「ちゅうにごころ?よくわからんがここじゃよくあることだぜ、霊夢は空を飛ぶ程度の能力。私は魔法を扱う程度の能力ってな」
「名前そのまんまか。でも羨ましいな、空が飛べるのか。私も飛べるようにならないかなぁ」
やっぱり上空って寒いんだろうか。風とか強そうだけどなにか対策してるのかな。
「飛べるぜ?魔力があるなら私のように魔法で飛べばいいし、妖力で飛んでるやつもいるし。なんならそれら意外で飛んでるやつもいる。まあ才能は必要だろうけどな」
魔理紗も飛べるのか、二人が飛べるなら私も……って思ったけど出来るかなぁ。
「っと話がそれたわね。とりあえず貴方は人里には住めない。もし仮に住んだとしても退治屋から逃げる生活になるわよ」
……困った、ここでも私は除け者か。いや、無理に人里に住むのが間違っているのか?でも妖怪出るらしいし出来れば人の輪に入りたい。
「うーん……」
どうしたものか……。
頭を抱え悩んでいると、いつの間にかこちらに来ていた魔理紗に頭を小突かれた。
「悩んでたってなにも出てこないぜ。人里がダメならその外に住む、自分が弱いなら強くなればいい…だろ?」
「魔理紗の言うとおりね、雑魚妖怪を倒せるくらいになるまではうちで面倒を見てあげるわ。幻想郷の説明もしないといけないし」
強くなる……か、今まではそんなのは妄想の中だけだったけど、霊夢と魔理紗に鍛えてもらえば変われるのかな。
「うん、ありがとう。霊夢、魔理紗」
「気にすんな、仲間が増えるのは良いことだぜ」
「そうそう、そこらで死なれても寝覚めが悪いしね」
頑張ってみようかな、今回は。
「それじゃあさっそくやるか、庭にでるぞ紗由理」
「了解です師匠!」
「まず弾幕ごっこについてだ。これは最近普及した命名決闘法案。幻想郷において闘いはすべてこれだ」
弾幕ごっこ、なにか遊びみたいな響きだね。
すると魔理紗がちょいと離れたところにある木に向かって手を伸ばし、星形の光る物体を打ち出した。
それは木にぶつかると同時に爆発し、木の皮が少し剥げた。
「これが私の使う“弾幕“だ、主に魔力や霊力、妖力で作られる。なんならその辺の石ころでもいい」
弾幕……よく戦争映画とかで弾幕を張れとかあるけど銃とかのように弾が見えない訳じゃないのか。
「次にルールだが、試合を始める前に被弾数とスペルカード使用数を宣言する。全てのスペルカードを攻略されたら負けだ」
「スペルカード?」
「ああ、それぞれの能力とか得意技。または自分を象徴するような物を弾幕として発動させるんだ。所謂必殺技だな。スペルカードには制限時間を設けて一度使用したスペルはその試合中は使えない。制限時間に指定はないが、長いとつまらないからな。大体三十秒が限度だぜ」
自分の必殺技か…どうしよう、考えるのが凄く楽しみだ。
「あとは実際に見せた方が早いかな……霊夢」
呑気に縁側でお茶を飲んでいた霊夢は顔をしかめ、面倒くさそうに立ち上がった。
「仕方ないわね…なら基本的な被弾3、カード3で」
そういうと二人ともトランプよりも2回りほど大きいカードを懐から3枚取り出した。話の流れ的にあれがスペルカードだろう。
「それじゃあ、始めるぜ!」
魔理紗の合図と共に、二人は空へと飛び上がった。