東方人の生   作:喜求

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飛翔

 

 

 

「……美しい」

 

 

 二人の弾幕ごっこは美しく、そして激しかった。

 

 

 霊夢は御札を、魔理紗は星形の弾幕を主に放ち。互いがスペルカードを放ったときなんてもう凄かった。開いた口が閉じないくらいには。

 

 

「どうだ?見ていた感想は」

 

 

 少々衣服が汚れた魔理紗と霊夢が目の前に降り立つ。

 あれだけ派手な被弾だったのに服の破損や汚れだけで済むのか。

 弾幕ごっこという名もそういうことなのかな。あくまで遊びと。

 

 

「凄く綺麗だった!」

 

 

 かなしきかな、自分の語彙力ではこの美しさを表現できない。

 だが魔理紗はそんなこと気にもしてないようで、そうかそうかと何度も頷いている。

 

 

「弾幕ごっこっていうのは実力と共に美しさの対決でもある。これまでと違う美しい闘いに、って考案者はいっていたぜ」

 

 

 美しい戦争…一見矛盾してそうだが、これはそう呼ぶにふさわしいと思う。

 

 

「私も弾幕ごっこやってみたい」

 

「お、やる気を出したみたいだな、じゃあまず空を飛ぶところから始めるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れたあ」

 

 

 あれから日が暮れるまでみっちり魔理紗と魔法による飛行訓練を行った。

 結果は飛べず終いだったが、魔理紗曰く遠くないうちに飛べるようになるだろうとのこと。

 

 魔力を使いまくったせいか凄い脱力感に見回れるし、早く寝たい。

 

 

 ちなみに魔理紗はちゃっかり夕飯を食べてから帰った。

 

 

「お疲れ、大変だったんじゃない?」

 

 脱力感に逆らえず寝っ転がっていると霊夢がお茶を持ってきてくれた。

 

「ありがとう霊夢。でも、それ以上に楽しかったよ」

 

 

 お茶をすすり、そう……と霊夢が呟く。

 

 

「そういえば紗由理は外の世界……いえ、日本から来たのよね」

 

「うん」

 

 

 急に改まってどうしたのだろう。

 

 空気が変わったような気がしたので、なんとなく姿勢を正しておく。

 

 

「幻想郷には稀に日本からこちら側に人が迷い混んでくるの。そういった人たちは大体決まってて、自殺願望を持っていたり周りから忘れられたりした人達なの」

 

 

 霊夢の声が一段階低くなる。

 

 

「ねえ、貴方もそういった人達の一人なの?」

 

 

 その声は、どこか震えているような気がした。

 

 

「……そうだよ、私も消えるつもりだった」

 

 

「……ッ!なんで!」

 

 

「必要とされなかった、それどころか邪魔者扱いされた。なにもできない自分が嫌だった」

 

 

 

 だから死のうとした。

 

 

「…………そう」

 

 

「でも今は違う」

 

 

 それも、ここにくるまでの話だ。

 

 

「今は生きたいって思ってる。霊夢と出会い、魔理紗と出会い。弾幕ごっこを知って、まだまだ知らないことがたくさんある……だから、そんな顔しないで」

 

 

 彼女にもなにか思うところがあったのだろう。私を見ているその顔は、とても悲しそうだった。

 

 

「…わかった、今の貴方がそう思ってるなら私は何も言わない……けどこれだけは言わせて。私は貴方を見捨てたりしない」

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 それは今までもらったどんな言葉よりも嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、そうそうその調子。そのままゆっくり上がってみろ」

 

 

 あれから2ヶ月、度重なる訓練によりようやく私の体は空へ浮かび上がった。

 

 

「う、浮いた!魔理紗!私飛んでる!」

 

 

「落ち着け」

 

 

 何度か魔理紗に注意されつつも、上下左右前後と三次元的な動きが出来るようになった。

 これで弾幕ごっこに必要な要素が一つ手に入ったわけだ。

 

 まあまだ走った方が速い速度でしか飛べないけど…要練習だなぁ。

 それに飛翔する為の魔力の消費もバカにならない……あれから魔力容量も増えたけど、40分も持たないと思う。

 

 

「よし、これで紗由理も空を飛べるようになったな。次は弾幕とスペルカード。とりあえずこの前教えた通りに弾幕を撃ってみろ」

 

 

 地面に降り立ち、言われた通りに適当な木に向けて私の弾幕を放つ。

 

 自分の魔力がゴリッと失われる感覚と共に丸いソフトボールサイズの弾幕が出現。木に衝突し、小さく穿つ。

 

 

 ……この調子じゃあ今日は10も撃てないだろうなぁ。

 覚えたての私の弾幕はあまりにも魔力の消費が激しい。まだ慣れてないのもあるだろうけど、単純に私の魔力要が容量が少ないのだ。

 

 

「よし、ちゃんと出来てるみたいだな。どうだ?魔力は持ちそうか?」

 

 

「あと10も撃てなさそう……全快だと80ぐらい」

 

 

 毎日少しずつ最大容量が増えてる実感はあるけどそれも微々たるものだ。

 

 

「うーん、やっぱり妖力で弾幕を作った方が効率が良さそうだな、私らじゃ教えられないけど……まあ頑張ってくれ」

 

 

 なげやりか、まあ普通の人間は妖力を持たないっていうしわからないのも無理ないか……でもなぁ。

 

 

「妖力かぁ、妖力って妖怪のもつ力でしょ?妖怪の知り合いとかいない?」

 

 

 いるとは思ってないけど一様聞いておく、これまでの話だと人間と妖怪は相容れぬ存在らしいし。

 

 

「生憎妖力の使い方について教えてくれる親切な妖怪は…………慧音がいたな、人里に行くか。長居しなければあいつもそこまで文句は言わないだろうしな」

 

 いるのか、びっくりだよ私は。

 

 あれ?でも慧音ってこの前聞いた話だと。

 

 

「慧音って確か人里の人間なんでしょ?妖力の使い方なんてわかるの?」

 

 

「そういやまだ紗由理に言ってなかったか、慧音は半人半妖っていって人間と妖怪のハーフなんだ。だから霊力と妖力両方が扱える……まあ本人は主に妖力を使っているようだが」

 

 

 なるほど、普通じゃない人か。私以外にも力の掛け持ちをする人(?)がいたのか。

 

 

「でも大丈夫かなぁ、門前払いとかさせられない?」

 

 いざ行ってはいダメでした~じゃ骨折り損だし。

 

 

「そんなものは行ってから考えればいいんだよ、ほら行くぜ」

 

 

 そういうと魔理紗はほうきに足をかけ空へと舞い上がる。

 ……まさか飛んでいくとか言いませんよね?

 

「調度いい飛行練習にもなるだろ」

 

「あっはい」

 

 その通りでした。

 

 

 ……まあ人里はここから見えるくらいには近いし多分大丈夫…だといいなあ。

 

 内心で不安をごちりながら私は体得して間もない飛翔を始めた。

 

 

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