それでは前回のあらすじ
真に攻撃しようとする裕太を彩が止めに入った。
それによって裕太が真のことを誤解して攻撃していたということが判明した。
そして真、裕太、彩、一輝の四人は協力関係を結ぶ事に。
四人で裕太の能力で城の中に瞬間移動をする事にしたが、その直前に一輝が真に床に強力な技をぶっ放すように指示をする。
そして瞬間移動すると、そこにはトラップの魔法陣が展開されており、真が魔法陣に霊縛波を放った事によって難を逃れる。
そのことを読んだ一輝の読みの能力に真たちはおののくのだった。
それではどうぞ!
「済まない。危なかった。まさか移動先に魔法陣があるなんて」
「でも、どうしてわかったの?」
「いや、一輝がやれって言ってきてさ」
「これだけの事件を引き起こす奴だ。不測の事態の事を何も考えていないはずがない。しかも空頼のような移動系の能力保持者がいるこの幻想郷で事件を起こしている奴だ。真っ先に瞬間移動してくることを考えないはずがない。普通ならこう考えると思っただけだ。何も確証はなかったけどな」
「それでも助けられたことは事実だ。ありがとな」
「そんなことよりも俺たちは落ちてしまったんださっさと上がるぞ」
そういうと一輝はダンッと音がなるほどの力で床を蹴ると真上へ飛び上がった。
あまりにも力が強すぎて床に小規模のクレーターが出来上がっていることは言った方がいいのだろうか。そんなどうでもいいことを考えている間に一輝は上の階へとジャンプで登ってしまった。
この階層の天井、体育館の天井よりも高いんだけど、それをジャンプだけで登ってしまう身体能力がある時点で一輝も十分こちら側の人間だよなぁ。そんなことを考えながら俺たち三人は腑に落ちないまま飛んで上の階まで戻ってくる。
その瞬間、まばゆい光が辺りを包み込んだ。
俺たちはその光を直接見たわけじゃないので、目へのダメージはそこまでなく、すぐに目をそらすことによって目は無事だった。
今の光は何だったんだろうか、そんなことを考えながらこの部屋の奥に鎮座している男を見る。
その風貌はまるで王のようだ。そしてその両サイドには宇佐見さん、メリーさん、妖夢、こいしの四人が入ったカプセルのようなものが置いてあった。
四人とも服を接がれ、緑色の液体で満たされたカプセルの中に入れられていた。
口には酸素ボンベのようなものが着用されているため、呼吸はできている状態なんだろうけど、とても無事とは言えない状況だった。
「お前が、これをやったのか」
「お前の目的はなんなんだ」
俺と裕太は同時に男へと質問を投げかけると男は一瞬にやっと笑った直後、大声で笑い始めた。
この状況で大笑いしている男を不気味に感じた俺と彩は同時に一歩後ずさった。だが、裕太と一輝はずっとうつむいた状態で動かない。
すると男は愉快そうに口を開いた。
「まずはよくさっきのトラップを見抜いたと誉めてやろう。そしてこいつらを拉致したのも俺、グレバンだ。理由は簡単。この者たちのエネルギーを回収するためだ」
「エネルギーの回収ですって!?」
「そうだ。この者は潜在エネルギーが豊富だ。潜在エネルギーは個々が持っている成長率の事だ。この者たちは鍛錬すれば鍛錬するだけ強くなる。お前たちもそれは同じだが、お前たちの潜在エネルギーでは足りない。そしてこの機械でこの者たちの潜在エネルギーを燃料として取り出すことができる。この燃料は兵器の燃料としても使うことができる。ここまで言えばわかるかな」
「っ、お前、戦争でも始めるつもりか?」
「大正解だ。俺はこの力を手にし、全世界を手中に収めて見せる! まぁ、こいつらから潜在エネルギーを貰った暁には生命エネルギーがなくなって死んでしまうんだけどな」
ぐはははははと高笑いを始めるグレバン。
確かにこいしの成長は著しい。少し修行をしただけで俺の戦い方が分かっているとはいえ、俺のクレアについてくるのだから。そしてそれはほかのみんなも鍛えれば同じように急成長するということなのだろう。
その力を利用して兵器を作って戦争する? そして全世界を手にするだって?
そんな、そんなくだらないことの為だけにこいしを、みんなを利用しようというのかっ!
怒りでどうにかなりそうだった。
自分の大切な人の力をそんなことのために利用するなんて、許せない。
しかも、こいしたちが死ぬだって? そんなこと許せるはずがない。
「グレバ––」
「グレバン! もう許さねぇぞ!」
「ちょ、裕太君っ!」
俺よりも先に限界が来たのは裕太だった。
裕太は刀を鞘から抜き、瞬間移動でグレバンへと急接近をしようと試みた。だが、その試みは失敗に終わってしまった。
その事件は俺と彩の目の前で発生した。
なんと、裕太が刀を抜いたその瞬間、裕太は横から脇腹目掛けて飛んできた回し蹴りによってものすごい勢いで真横へとぶっ飛んで行った。
そして裕太は壁に激突してその場に崩れ落ちた。
そのすべてを背後から見ていた俺と彩はなにが起こったのかはっきりと見えていて驚きのあまり声も出なかった。
「なん、で……なんでそうなるんだよ。一輝」
「輝山、君?」
そう、裕太が刀を抜いたその瞬間、裕太の事を蹴り飛ばしたのは一輝だった。
一輝は何の感情もこもっていない表情で無言のままさも当然の様に裕太の事を蹴り飛ばし、蹴り飛ばした後もだらんと脱力したような体制になって何事もなかったかのようにそこに存在していた。
「か、ずき、お前っ! ぐっ」
今の蹴りで不意打ちで食らってしまった裕太へのダメージは深刻だった。
するとまたもやグレバンがくつくつと笑っているのが分かった。そしてこの状況と照らし合わせ、今何が起こってしまっているのか、そのすべてを理解した。
つまり、一輝はグレバンによって操られてしまっているんだ。
おそらくきっかけはさっきのまばゆい光だ。
俺たちは登ってきている最中だったから直接あの光を見ることはなかったけど、あの光を直接見たものを洗脳することができるものなのだとしたら、一輝は一人いち早くジャンプで登ってきていた。だから直接光を見てしまった可能性がある。だとするとかなりまずい状況だ。
「俺の能力は【洗脳する程度の能力】。君たちの仲間、一人いただいたよ」
「下種がっ!」
「地面に倒れながら言われても全く怖くないねぇ」
「くっ」
裕太が悔しそうに地面をたたいている。
本当に一輝は洗脳されてしまったのか? あれほどさっきまで相手の思考を先読みしてトラップなんかもかいくぐってきていた一輝が?
何の考えもなく一番最初にこの場所に登ってくるか? 一輝ほどの頭脳派となると、それこそおかしな話に聞こえてくる。
「さぁ、行け、我がしもべよ」
「イエス、マイマスター」
「っ!」
今度の狙いは俺のようだ。地面を蹴って一瞬で俺に距離を詰めてくると俺に蹴りを放ってきた。
ついさっきまで外の世界に居たヤツと正面から戦って負けるつもりは毛頭ない。
蹴りを腕で防御し、もう片方の腕を突き出して突き飛ばそうとした。だが、そこにはもうすでに一輝は居なくていつの間にか一輝は俺の背後に回ってきていた。
「次にお前は『いつの間にっ!?』と言う」
「いつの間にっ!? ––はっ! ぐああああああ」
俺は背後に回られたことに反応することができず一輝に蹴り飛ばされてしまった。
かなりの力があるようで、結構ダメージが大きい。
俺の思考が読まれている。それはまるでさとりと戦っているようだが、一輝はさとりとは全く別の戦い方をしてくる。
さとりは相手のトラウマとなった攻撃を出して相手を追い詰める。だが、一輝の戦い方はまるで将棋やチェスでもやっているかのような戦い方で、相手の思考を読み、そして相手の手をことごとくつぶしていって相手の玉を詰ませに行く。そんな戦い方だ。
俺の今の気分は次々と取られていく自分の駒、そして俺という玉をどんなに逃げても逃げても追いかけて詰ませに来る飛車に狙われている気分だった。
まだまだ体力的には余裕だが、もうすでにチェックメイトを決められてしまっているような気分だ。
おそらくそんな戦い方をしているのは相談屋で活動していることが大きくかかわっているんだろう。相談屋で犯人を捕らえるときは相手の手をことごとくつぶして詰ませるしかないからな。
これはなめてかかると本当にやられてしまいそうだ。
「クレアっ!」
一輝には悪いが、あまり時間がない。早期決着を付けさせてもらう。
クレアで冷静になって無駄な動きを省けば、まだこっちでの戦い方に慣れていない一輝の動きならば考えを読まれていても対処が間に合うはずだ。
「なるほど……」
「悪いけど、丁寧に洗脳解除とかしている暇はないんだ。あとで好きなもんを奢ってやるからよ、ちょっと我慢していてくれっ!」
はい!記念第10話終了
一輝が洗脳の力によって敵になってしまいました。
敵になったら恐ろしい一輝が敵になったのはかなりの痛手ですね。
クレアを使っていない真の速度くらいなら一輝は思考を読んで先読みし、回避することができるみたいですね。
前にTwitterで載せたのですが、強さランキングは1位空頼裕太、2位海藤真、3位輝山一輝・冬夏黒葉ですが、この一輝の順位は現代にいるときの順位です。
現代にいて霊力を使えない状態で黒葉とタイなのは恐ろしいですね。これで霊力を使えるようになったわけです。
幻想郷に来たら今の黒葉よりは確実に強くなります。
真対一輝の戦いは一体どうなるのでしょうか?
それでは!
さようなら