無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 魔法陣を回避した真たちはついに異変の主犯であるグレバンとの戦いに臨む。

 グレバンの目的はこいしたちのエネルギーを回収し、そのエネルギーで兵器を作成して戦争を巻起こすことだったのだ。

 そんなグレバンの能力は【洗脳する程度の能力】。その能力によって一輝が洗脳されてしまった。

 そんな一輝と真の戦いが今始まる。



 それではどうぞ!


記念第11話 真対一輝、先を読む力

 俺はグッと拳に力を込めるとグレバンへと走り出した。するとやはりさっきの裕太の時と同じように俺の前へと立ちふさがってくる一輝。

 そしてその力を込めた拳をそのまま一輝に振り下ろした。

 

「っ!」

「忘れたか? 俺には思考が読めているんだよ」

「だけど、今度は見える!」

「ぐっ!」

 

 俺の一発目のパンチは回避されてしまった。だけど、回避動作中だと思うように動けない、その隙を突いて俺は二発目の攻撃として蹴りを放った。

 その蹴りは足で受け止められてしまったが、これは俺の動きがこいつの先読み行動に間に合ったことを意味している。

 つまり、一輝に思考を読まれても一輝の動きよりも早くに攻撃ができれば一輝に攻撃を入れることができるということだ。

 

 この蹴りは止められてしまったが、次こそはぶっ飛ばしてグレバンをぶっ飛ばす。

 

「はぁ、はぁ……くっ」

「まぁ、そうだよなぁ。ここに来る前に海藤、お前は空頼と激しい戦いを繰り広げていた。そのあとにそのクレアを使っている。体力の消耗も激しいだろう」

「はぁ……はぁ……問題、ない!」

 

 図星だった。

 裕太との戦いの後、すぐにこの戦いに来ているから正直ダメージは全然抜けてないし、正直霊力も枯渇気味だ。

 だけど、負けるわけにはいかないんだ。こいしを、助けるんだ!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

「っ!」

 

 俺は一輝に連続でパンチを繰り出す。それを次々と避けていく一輝だったが、やはり俺の速度の方が上回っているから二発に一発は俺の攻撃が一輝に当たり、それを一輝は防御する。

 だが、やっぱり一輝の思考を読む能力は厄介でなかなか当たらないし、疲労からか一輝が防御する隙すらも無いほどのスピードというものが出ない。

 

「はぁ……はぁ……」

「限界なんじゃないか?」

「まだまだぁっ!」

 

 諦めずに連続でパンチを繰り出すが、いずれもその攻撃は有効打にならない。

 

「隙あり!」

「ぐあっ」

 

 一瞬の隙を突かれ、俺は蹴り飛ばされてしまう。

 一輝のスピードやパワーでは俺に殴り合いで勝つことはできないが、相手の考えを読む力によって俺と渡り合うほどに実力を底上げしている。

 

 やるしかない。

 俺はクレアの霊力を腕に纏わせ、クレア装を発動させた。

 防御されるなら、その防御を打ち砕く攻撃力を手に入れれば問題は解決する。

 

「っ!」

「だぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 先ほどよりも早い速度で強いパワーで一輝を殴りつける。もちろん一輝は先ほど同様に腕をクロスして防御したが、さっきよりも強いパワーによって今度こそ一輝を殴り飛ばすことに成功し、一輝を壁にたたきつけた。

 何とか一輝をどけることができた。あとはグレバンを倒せば異変は解決だ。

 

「はぁ……っ!」

 

 俺は再度足に力を込めてグレバンへと急接近しようとしたその瞬間、真横から強い衝撃を受け、今度壁に激突するのは俺の方だった。

 蹴りが飛んできた方を見てみると、そこには先ほど俺が壁に蹴り飛ばしたはずの一輝がそこに立っており、俺は目を見開いて驚愕した。

 間違いなく壁には激突した後が残っているので、俺が蹴り飛ばしたのは確かだ。だけど、もう一輝は俺の方に接近してきて俺を蹴り飛ばしてきたということになる。

 反射神経と体感の化け物かよ。

 

「本気を出せよ。俺は舐めてかかって倒せるほどやわじゃねぇぞ」

「そんなこと出来るかよ」

 

 一輝はただ操られているだけだ。そんな奴を相手に本気で戦えるかよ。

 もしかしたら本気で戦ってしまったらこっちでの戦いには慣れていない一輝には致命的なダメージを与えてしまうかもしれない。

 そうなったら宇佐見さんやメリーさんに申し訳が立たない。

 

 だから俺はこのままクレアで戦い続ける。

 クレアならギリギリ一輝の反応速度を超えて攻撃することができる。クレア装まで使ってしまったらもしかしたら一輝に致命傷を与えてしまうかもしれないから、一輝との戦いではクレア装を封印することにする。

 

「海藤、私も戦うよ」

「あぁ、お願い。彩はグレバンを頼む。俺は一輝を抑えておく。裕太も頼む!」

「うん、わかったよ」

「了解」

 

 裕太もそこで立ち上がって彩と共にグレバンへと走り始めた。

 それを見て一輝は二人を止めようと動き出したのだが、その前に俺は一輝の進行方向に先回りして立ちふさがる。

 

「お前の相手は俺だ」

 

 すると今度は一輝が俺に連続攻撃を繰り出してくる。

 パンチを腕で防御し、蹴りを足で防御していく。俺のスピードは間に合っているし、おそらく速度で言ったらクレアを使っている俺の方が上のはずなのに、全く反撃のチャンスが見えない。

 それに、スピード的には俺の方が上だけど、全く回避できないから防御するしかない。おそらく俺の思考を読んで次にどこに動くのかを把握しているから俺が回避することができない攻撃を繰り出せているんだろう。

 

 だけど、俺のスピードがあるから一輝の攻撃は逆にこっちに有効打が入っていない。いくら先読みできるとはいえ、攻撃を放った直後に間に合うほどの速度で防御したら流石の一輝も対応できないだろう。

 このまま時間稼ぎをして一輝をどうにかあっちに行かせないようにするんだ。

 

「時間稼ぎ、ねぇ。なぁ、海藤。お前は本当に空頼と忍冬の二人だけで勝てると思っているのか?」

「……どういうことだ?」

 

 彩の力は知らないけど、裕太とはさっき戦ったから身を以てあいつの力は思い知らされた。

 あいつは俺のクレア王をクレアを使わずに倒してしまうほどの実力の持ち主だ。仮にも一輝がグレバンに敗北するところなど想像ができない。

 

「戦符《刀化》!」

 

 そう考えて見てみるとちょうど彩がグレバンに攻撃しているところだった。

 彩は能力を発動してグレバンを殴りつけると、グレバンはその攻撃に反応して即座にかわすが、ちょっと彩の速度の方が早いようで、拳が頬をかすっていた。

 するとかするだけでグレバンのその頬には鋭利な刃物で切りつけられたような傷が出来上がり、血が垂れ始めた。

 おそらくあれが彩の能力である【肉体を鋭くさせる程度の能力】の力なのだろう。

 

 そしてそれに続いて裕太がグレバンが回避した方向に移動して刀を構えて斬りかかる。

 流石にその一撃は回避が難しかったようで、胸に大きな切り傷が出来上がった。

 あの二人は次々と攻撃を繰り出し、グレバンに隙を与えない戦いを繰り広げている。どう考えてもあそこから負けるとは思えない。

 

 するとグレバンは腰から二本の短剣を取り出して彩のパンチと裕太の刀を受け止めた。その瞬間、彩はグレバンのことを睨みつけた。

 

「狂符《キルグレア》!」

「グフゥっ!」

 

 するとグレバンの体に無数の切り傷ができた。

 今のはおそらく斬撃を飛ばしたのだろう。威力的にはあまり高くは無いようだが、遠距離の敵にも攻撃できるっていう点ではかなりいい技だ。

 

 そこでついにグレバンが動き出した。

 グレバンは力任せに短剣で二人の攻撃を弾き飛ばすと二本の短剣をクロスさせて構えた。

 そしてその短剣に霊力が流れていくのを感じる。あれは間違いなく俺たちが霊力斬を使うときの霊力の動きと全く同じものだ。

 それを二つ放とうとしている。

 

「裕太! 彩!」

「クロス・霊力斬!」

「っ! 空符《俺と君との間の空間》」

 

 俺が二人の名前を叫ぶと同時にグレバンの短剣から霊力斬が放たれ、クロスしたばつ印のまま二人に向かって飛んで行く。

 すると突然その霊力斬は見えない壁に直撃して消えてなくなった。おそらく俺と戦ったときにも使っていた裕太のバリアなのだろう。やはりあのバリアは強力だ。

 

「はぁ……はぁ……ちょっと焦った。この筋肉ゴリラが!」

「お前たちの力は弱い。簡単に弾けたぞ」

 

 今のは裕太のバリアが勝利したが、よく目を凝らして見てみると、裕太の目の前の空間に少しひびが入ってしまっているのが見える。

 つまり、グレバンはただ霊力斬を二発当てただけで裕太のバリアにヒビを入れてしまったことになる。

 さっき裕太のバリアに攻撃を阻まれて思ったが、あれは並大抵の攻撃じゃ傷をつけることもできないバリアだ。

 霊力斬は確かに霊力操作も重要だが、もう一つ、筋力によってもその威力は左右される。だが、基本的には霊力の操作力だけで威力をあげることができるから、そこまで重視していなかったが、筋力だけであれほど霊力斬の威力を底上げしてしまうとは……。

 

「どうだ、海藤。これがマイマスターの力だ」

「確かに単純な筋力じゃどう考えても勝ち目はない。だけど、裕太たちの力は単純な筋力だけでは語ることはできない!」

 

 そして俺はパンチを一発放つものの、回避されてしまったため、もう一発をすぐに放った。するとその攻撃は防御をしてきた。やはり有効打を与えることはできないか。

 

「確かにそうだ、厄介だ。だから俺はお前を倒してマイマスターの援護に行く」

「何?」

「さっきから海藤はずっと俺の前でクレアを披露してくれているけど、いいのか?」

「……何が言いたい」

「それ、俺にクレアの使い方を教えているようなものだぞ」

「っ、まさかお前!」

 

 その瞬間、一輝から放たれている霊力が徐々に徐々に薄くなり始めていることに気がついた。




 はい!記念第11話終了

 一輝、めちゃくちゃ強いですね。

 真の力は一輝よりも強いですが、先読みの力がどれ程戦いに影響してくるかがわかります。

 先読みできるかできないかでかなり勝敗が変わってくると言っても過言ではありません。

 そして最後のシーンの意味とは?

 それでは!

 さようなら

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