それでは前回のあらすじ
鈴音のことを気にかける音恩。
フランとゲームで賭けをして負けた音恩はフランと添い寝することになったのだった。
それではどうぞ!
俺は今日も今日とて二人に修行をつけていた。
といっても、二人相手だと俺がクレアを使っても厳しくなってきていた。
紗綾は元々クレアを使えるほどの実力者なので、ものすごく強いのだが、それよりも驚くべきは龍生の成長ぶりだ。
クレアは使えないものの、クレアを使っている俺に対して迫ってくるほどに実力になっている。
というか、異常に足が早い。足の速さだけで言ったら、俺よりも圧倒的に早い。
俺の残像は二体が限度なのに対して龍生は六体も残像を作ってくる。
かなり対処が大変なやつだ。
だけど、これで俺もかなり安心だ。二人ならば並大抵の敵相手には圧勝できてしまうだろう。
それに、紗綾はクレア装を使える。もう俺が居なくても何とかなるだろう。
俺はこの先、無理をしそうな戦いには極力参加しないと決めている。もう、こいしを心配させたくないから。
「それじゃあ、今日はここまでにするか」
「あざーっす」
「ありがとうね」
うん、挨拶は人それぞれだからな。
という訳で今日は解散として家に帰る。
家に帰ってくると美味しそうな匂いが充満していた。
この匂いは俺が一番好きな料理の匂い、シチューの匂いだということに直ぐに気がついた。
「あ、おかえりー。ご飯にする? お風呂にする? それともわ・た・し?」
「…………」
エプロン姿の超絶可愛い嫁にそんなことを言われて一瞬、意識が飛んでしまった。
落ち着け落ち着け。意識をしっかりと持つんだ。
いや、待てよ。こいしは俺の嫁なんだから、別に理性を保つ必要なんて……。
「…………」
「あ、あはは、冗談だから。そんなに悩まなくてもいいよ」
「そ、そうだよな」
一瞬本気にしてしまった自分が恥ずかしい。
こいしの顔が真っ赤になっている。自分で言っていて恥ずかしくなってしまったらしい。
まぁ、今日は疲れてるから、そういうことは出来ないとはいえ、これくらいはいいだろう。
俺に背を向けてキッチンに戻ろうとするこいしを背後からギュッと抱きしめた。
俗に言うあすなろ抱きと言うやつだ。
「し、真っ」
「愛してる。いつもありがとう」
「わ、私も」
そして俺たちは自然に唇を触れ合わせる。
触れ合うだけの軽いものだが、凄く幸せを感じるものだ。
「わ、私、ご飯を持ってくるね。シチュー温まってるから、温かいうちに食べちゃって」
「あぁ、ありがとうな」
そして俺はこいしの作ってくれたシチューをたらふく食べて、風呂に入ったら直ぐに寝てしまった。
最近は稽古で疲れて帰ってくることが多いので、布団に入ったら気を失う勢いで眠ってしまう。
「さて、久しぶりだな海藤真」
「あ?」
俺は眠ったはずだった。
だが、目を覚ましてみるとそこはいつか見たような空間が拡がっていた。
目の前にいる少年。この人は紛れもなく俺を助けてくれた命の恩人、シャドウだ。
「どうして、俺はここに?」
「お前を引っ張ってきたんだ。少し話があったからな」
シャドウほどの神が俺になんの話しがあるんだろうか。
何やら真剣な雰囲気を感じる。
「さて、どうやら最近、自分以外の戦士の育成をしているようじゃないか」
「いや、言い方」
確かに言い様によっちゃそうなんだけど、言い方……。
「あの二人は強い。才能は凄まじいものがあるからな」
「そうなんだよ。あの二人、成長スピードも早くて」
「そしてそれはお前にも言える」
「俺も?」
「そもそも、お前が元祖成長が早い人間だ。人間であんなに成長速度が早いやつは初めて見た」
なんだか急に褒められたので、むず痒くなってしまう。
だが、なんだか話が見えてこない。この人は俺とこんな雑談をするために呼び出したって訳では無いだろう。
「結論を言ってもらってもいいか?」
「……お前、意外とせっかちだな」
「自覚してる」
「まぁ、本題を言うとだな」
あ、まだ本題に入っていなかったのか。
「お前、神にならないか?」
「……はぁ?」
あまりにも驚きすぎて俺は素っ頓狂な声を出してしまった。
俺が神になる?
そう言えば以前、一回だけ紅蓮に力神にならないかと勧誘されたことがあるのを思い出した。
ちょっと前だったはずなんだけど、随分と昔のことのように感じる。
神になると言うのはこの世界を守る者になるということで凄く名誉ある事だと思う。だけど、俺の答えは――
「済まないけど、断らせてもらう」
「……理由を聞かせてもらおうか」
「俺はこの世界よりもこいしの方を優先する。神になったらこいしは心配するからな」
「お前は一度失ったせいで愛妻家に拍車がかかってしまったようだな」
それはそうなんだろう。自覚はある。
一度失ってしまったせいで俺はこいしを絶対に手放さない、悲しませないと誓ったからな。
「そうか、じゃあこういうのはどうだ?」
「なんだ?」
「もし死んでしまったら俺が神にしてやろう。人柱としてだ。神になるには超神水を飲むか人柱になるしかない。だから人柱になったとしたら神にしてやろう」
「もし死んだらな」
死ぬ気は無いけどな。
こいしをもう二度と悲しませないために、何度でもこいしの元に帰ってくるし、離れることは無い。
こうして俺は死んだら神にしてもらえることになった。
はい!第149話終了
物語の主人公はどれだけ頑張ろうともその宿命からは逃れられない。
それでは!
さようなら
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