それでは前回のあらすじ
こいしが仲間に加わり、戦略の幅が広がり、正邪が真のふりをする必要がなくなった。
真達はその事を正邪に伝え、体をもとに戻すため、正邪のもとへと向かうのだった。
魔法の森再び。
それではどうぞ!
side真
紫のスキマで俺たちは魔法の森へと戻ってきた。
ここに正邪がいると言うのだが、俺たちは正確な場所をつかむことができないので、こいしに道案内をしてもらうことになった。
「ふんふんふーん」
「こいし、随分とご機嫌だな」
「だって、今までずっと真に助けらればかりだったからやっと私でも役に立ててるんだなと思うと嬉しくて」
こいしはどうやら俺の役に立てているから機嫌がいいらしい。だが、本人は俺に助けられてばかりだと言っているが、俺にとってはこいしには何度も助けられている。
むしろ、俺はこいし無しにはここまで戦っては来なかったと言っても過言ではない。
俺の方が礼を言いたいくらいだ。
「そういえばこいし、最近は無意識に能力を発動するって言うことが少なくなったわね」
俺はこいしの無意識を感じ取って認識することができるから分からないが、こいしは無意識に能力を発動してたまに誰にも認識されなくなったり、フラ〜っとどこかへ行ってしまったりしていたらしい。
「なんかね、真の近くにいると能力が落ち着いているんだよね」
「似たような能力を持っているからかしら?」
「相乗効果で安定しているのかもしれないわね」
幽々子と紫はそう仮説を立てたものの、俺は全く別の可能性を考えていた。
少し前の話になるが、さとり妖怪の力を引き出して覚醒した後、さとり妖怪の力はもう使えなくなったものの、その代わり無意識の力が強くなったように感じた。
そのため、前までは弱すぎてなかなか扱えなかったんだが、今はかなり使えるようになっていた。だから正邪も初めてで俺の無意識を操ることが出来たんだろう。
で、代わりにこいしの無意識の力が弱くなっている気がする。だからこそ今のこいしは自分の無意識を操ることが出来ているんだろう。
つまり、俺がこいしの無意識の力を少しずつではあるが奪って行っていると考えるのが自然だな。
「あ、居た」
突然こいしが立ち止まってそんな声を上げたと思ったら、目の前を見るとそこには俺がいた。
正確に言うと俺の姿をした正邪が居た。しかもかなりボロボロでぐったりとしている。
体には傷跡はあまりないが、かなりのダメージを食らってしまって、体は無事でも中身の正邪が耐えきれなかったのかもしれない。
そう考えて俺たちは急いで正邪のもとへと向かった。
「し、真……」
声も弱々しい。相当参ってしまっているようだ。
隣を見るとこいしが少し頬を赤らめているのが見えた。
「こんなに弱々しい真、初めて見た。可愛い。今なら私を頼ってくれるかな」
「お前、サイコパスの素質があるな」
こいしは弱々しい俺を見てゾクゾクしてしまったようだ。何だかこの姿を見てしまったせいで新しい世界の扉を開きかけてしまったのだろう。
そんな扉、一生閉めてろ!
って、そんな話をしている場合じゃないんだよ!
「ど、どうしたんだ。何があったんだ?」
「……魔理沙が襲いかかってきた」
「っ!?」
確かにここは魔法の森。
魔理沙がこの森に住んでいるのだから魔理沙が出てきてもなんの不思議もない。
だが、そうか……魔理沙に襲われたら一溜りもないよな。
正邪は俺たちのためにずっと逃げ続けてくれたんだ。ならば今度は俺たちの番だ。
「もう元に戻そう」
「え?」
「俺の体に入っているとろくな事にならないだろ? 今元に戻すからな」
そう言って能力を発動させようとしたその時、正邪はいきなり立ち上がると俺から距離を取った。あそこじゃ能力開発届かない。
何を考えているんだ。
「元に戻るのは断るね。私、天邪鬼だから魔理沙の注意は引き付けすせてもらうよ」
「なっ!」
そう言うと正邪は走って行ってしまう。
なんて強情なやつだ。このまま鬼ごっこを続けていても何にもいいことなんてないってのに……。
俺は何度も正邪に救われてきた。
文の時も、慧音先生の時も、人里から逃げる時も……だけど俺は何一つとしてあいつにしてやれていない。
その時、猛スピードで俺の頭上を何かが通った。
速すぎてよく見えない。だけど、何となくその正体は分かった。
魔理沙が正邪を追っていったのだ。このままじゃ幾ら俺の能力があるからって精神的にも肉体的にも魔理沙に殺されてしまう。
そんなのは俺が許さない。
「っ!」
「真っ!」
俺は気がついたら駆け出していた。
後ろからこいしの声が聞こえた気がするが、そんなことを気にしている余裕は俺にはない。
俺は無我夢中で走り続ける。だが、俺の今のスピードでは一切追いつくことができない。
魔理沙も正邪の速さも今の俺よりも圧倒的に速いのだ。
悔しい。やっぱり俺の力では守ることはできないのか?
その時、突如として地面に穴が開いて俺は落下してしまった。
見てみるとその穴というのはおそらく紫が作り出したスキマだ。俺の事を見かねてやってくれたのだろう。
その次の瞬間、俺の体は宙に放り出され、一秒にも満たない時間で俺は何かに激突して地面に倒れこんだ。
見てみると、その何かとは俺、つまり正邪だった。なんと俺は正邪に激突して一緒に倒れこんでしまったようだ。
「え、えっと……」
「……」
やっとそこで今の状況を理解した。
俺が正邪に覆いかぶさって押し倒しているような見た目になってしまっている。
「ごめんっ!」
俺は慌てて立ち上がる。だが、全然ドキドキはしなかった。
なにせ、自分を押し倒しているようなものなのだから、劣情を抱くはずがない。
「いや、いいけどさ、なんでお前、私を追ってきたんだよ。今、私の近くにいると危険な目に遭うぞ。特に今は魔理沙に追われている。状況分かってるのか?」
「お前こそ状況がわかってんのかよ!」
「っ!」
正邪はまさか言い返されるとは思っていなかったらしく、肩を震わせてびっくりしていた。
「もう、お前が俺である必要はない。こいしの洗脳が解けたんだ。だからお前が危険な目に遭う必要はもうどこにも––」
「そんなことは知らない。私は天邪鬼だからな。やりたいようにやらせてもらうだけだ」
こいつ、人の心配をそんなに簡単に蹴るなんて……。
こんなことを話している場合じゃない。魔理沙の速度だったら一瞬でここまで来れてしまう。早く元に戻って逃げないといけないのに……。
「お前がその気なら俺だって––」
その時、
「見つけたぞ真! くたばれ! 恋府《マスタースパーク》」
背後から迫ってくるマスタースパーク。
だが、俺は回避しようなどとは思わない。そのまま正邪の方へと歩いていく。
「な、なんだよ。ってか、マスタースパークが来てるって!」
「知ってる」
「だ、だったらなんで逃げねぇんだよ」
「今の俺は天邪鬼だからな」
「え?」
今のこの体で成功するかは正直怪しいところだ。
この体の妖力の扱いにはまだ全然慣れていない。そんな状態での霊力・妖力コントロールの難しいあれの成功率は半分も満たないことだろう。
だが、やらないよりはやる方がいい。
妖力の球をこの手に作り出す。
「な、なにをする気だよ」
「ここをしのぎ切ったらしっかりと俺の体を返してもらうからな」
やっぱりコントロールが難しい。特に妖力はあまり操ったことが無かったせいか、操るのが余計に難しく感じる。
だけど、今ここでやらないと俺と正邪は一瞬でお陀仏だ。
「やってやる! 《妖怪・霊縛波》!」
はい!第163話終了
果たして真は正邪を守りきれるのか。
そしてこの異変を解決出来るのか?
まだまだ続くよ前半戦!
それでは!
さようなら
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