それでは前回のあらすじ
正邪とデイの戦いは正邪が優勢で進んでいた。
上下左右の感覚をあべこべにされたデイはさすがに様々な能力を持っているとしても対処が難しかったようだ。
このまま正邪の勝ちで終わると思っていた。だが、正邪は背後から不意打ちをされたことにより、まともに攻撃を受けてしまって体に機械の突起が突き刺さってしまう。
このままでは正邪が殺されてしまう。そう思ったときにフランの弾幕がデイを襲い、音恩がデイを押しつぶして、こいしが正邪を助ける。
音恩たちが助太刀に入ったことによって形勢逆転して今度こそ勝てるかと思ったその時、地面がとげへと変化し、音恩たちの体を貫いてしまった。
かつてないほどの絶望的状況。能力の相性が不利、そしてかつてないほどの強敵に真たちは勝つことができるのか?
それではどうぞ!
side真
「みんな!」
俺は叫ぶ。
みんな、辛うじて急所は外したようだが、かなり苦しそうな表情を見せている。
なにせ突然の出来事だったので、みんな手練れだから急所は外せたものの、それでも体に突き刺さってしまったのだ。大ダメージには違いない。
「く、くそ……」
「よくもやってくれましたね。余程死にたいようだ。安心してくれ。寂しくないようにここにいるやつらは全員あの世に送ってあげますからね~。あひゃひゃひゃひゃ!」
余裕を取り戻したデイは高笑いをする。
悔しいが絶望的状況なのには変わりない。
今ここにいるのは負傷して動けない俺、紫、幽々子、永琳。気絶してしまっている紗綾、正邪、シャロ。
戦えるのは音恩、フラン、こいしの三人のみ。だが、この三人もかなりピンチに陥ってしまっている。
強すぎる。
バークと戦った時、もうこいつ以上に強いやつ等いないと思っていた。だが、上には上がいるというもので、能力が強いというのもあるだろうが、それ以上に戦闘技術がバカ高い。
俺たちを封じる術をいくつも用意している。
「さて、どういたぶってあげましょうか?」
ゆっくりとフランに近づくデイ。
「やめ、ろ」
音恩がフランへと手を伸ばす。
何とかしないとフランが殺されてしまう。
動けない今の俺ができること……それは何だ?
考えろ、考えろ、考えるんだ。
そうだ、一歩も動かなくてもできる。腕さえ動けばいいんだ。
幸いにもかなり腕に痛みはあるものの、動かせないというほどではない。
俺は手のひらに霊力を集めると霊力刀を作り出して力強く握りしめる。
そしてそのまま腕に霊力を集め続ける。
最近は石ばっかりに使用していたけども、これは本来、刀に使用するために作り出した技。
「狙撃《スナイパー》」
俺は思いっきり刀をデイに投げつける。
「っ!」
驚いたデイは飛んでくる刀を防ごうと目の前に壁を作り出した。しかし、俺の技の特性を忘れてはいけない。
何かにぶつかった場合はその投げたものが威力に耐え切れなかったら大爆発を起こす。そしてあの霊力刀は技と脆く作っている。
ドガーン。
霊力刀が壁にぶつかった瞬間、大爆発を起こした。
その爆風はデイが作り出した壁を破壊し、デイを吹き飛ばすまでに至った。
その間に音恩が床を操作し、とげを消すことで音恩、こいし、フランが解放された。
「すみません」
「いや、今の俺にはこれくらいしかできない。謝るのは俺の方だ」
「ありがとうございます」
その瞬間、音恩の目に浮かぶ歯車の数が四つに増えた。
お礼を言って地面に手を付ける音恩。その表情は今までにないほどに怒りに染まっていた。
音恩は敵がいたら倒すし、いつも俺たちと一緒に戦ってくれる。だが、これほどまでに怒っているのを見たことがない。音恩はいつも冷静に敵を倒す。
俺にも音恩が怒ったらどうなるか分からない。
「僕は怒りなんて感情はあるだけ無駄だと思っていた。怒ったところで、その先にあるのはただのむなしさだからだ。そのむなしさは何も生まない。だけど、どうしてだろうな。怒りが止まらない。収まらない」
霊力が一気に放出され、突風のように俺たちに襲い掛かる。
俺たちは少しぶっ飛ばされる。
膝が震える。俺が音恩の威圧によって恐怖しているのだ。
「僕の大切なものを傷つけたヤツを許すつもりはないし、楽に死なせるつもりはない。それはいつも同じだ。だけど、それとは違う個人的な怒りが僕の大半を支配している」
「お、お兄様」
フランが不安げに音恩に恐る恐ると近寄ると音恩はそんなフランを安心させるためか優しく撫でた。
そうか、分かった。
今まで音恩は大切なものという漠然としたもののために怒り、そしてその怒りを胸の内に抑えて戦ってきた。だけど、音恩は今日、今初めて誰かのために怒っているんだ。それもこの世で一番大切な人、フランのために。
「それが君の本気ということか」
「真さんが勝てなかった相手に僕がどれだけ抵抗できるか分からないけどね、今できるだけのことはやって見せるさ」
「そうか、それじゃ、まずは君を殺して君の能力を頂くとしよう!」
その瞬間、デイはものすごい速度で音恩に接近すると拳を振り上げた。すると音恩の前にものすごく分厚い壁が出現し、デイの拳を防ぎ、そしてデイの真下の床がとげに変化してデイに襲い掛かる。
しかし、デイは即座に飛び退くことによってとげを回避する。
「これはどういうつもりだ」
「お返しってやつだ」
音恩は天高く拳を突き上げる。
すると音恩の背後の床が拳の形に変形して音恩と同じように天高く突きあがる。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
拳をデイに向かって突き出すと、床が変形して出来上がった拳も同じようにデイに振り下ろされた。
その瞬間、デイがニヤッとしたのを俺は見逃さなかった。
「音恩!」
「っ!」
拳が振り下ろされた先にはデイは存在しなかった。その代わり、音恩の背後にデイが居た。そしてその手には槍を持っている。
このままじゃ音恩が串刺しにされてしまう。
「お兄様!」
その瞬間、音恩とデイの間にフランが入り込んだ。
そしてそのまま––
「ぐぅっ」
フランは音恩をかばい、そのままデイに串刺しにされてしまった。
音恩の目は驚愕に染まっている。
そしてデイが槍を抜いた瞬間、フランは力なくその場に崩れ落ちた。そこを音恩は慌てて支える。
「お兄様……」
「ふ、フラン……どうして」
「お兄様は私にとって大切な人なんだよ。私ね、お兄様の事が好き……だから死んでほしくない」
「っ! それはこっちのセリフだ。僕もフランには死んでほしくない!」
「ねぇ、お兄様。これ、あげる」
そういってフランが差し出したのはさっきからかぶっていた帽子だった。
帽子を手に取ると音恩の頭に被せる。
その時のフランの目は今までのような目ではなく、初めて慈愛に満ちた目で音恩のことを見る。
意識が朦朧としているのだろう。視線が定まっていない。
「お兄様、がんばって、そして幻想郷を––」
「ふらあああああああん!!!!!」
そこで完全にフランの意識は途絶えた。
音恩はぎゅっとフランを抱きしめ叫び声をあげる。
だが、フランは一切反応しない。
帽子によって音恩の表情は一切見えないものの、かなりの威圧がここまで伝わってくる。
「お涙頂戴は結構だ。それじゃあ、寂しくないようにお前もあの世に送ってやる! 禁忌《レーヴァテイン》」
その瞬間、フランのスペルカード、レーヴァテインを使用して音恩に斬りかかった。だが、その攻撃は音恩に届くこともなく、霊力の衝撃波のみでデイがぶっ飛ばされた。
「な、なんだと!」
この霊力、よく知っている。間違いない。この霊力はまごうこと無き––
「貴様、誰に許可を得てその能力を使っているんだ!」
クレアだ。
はい!第179話終了
フランが殺された怒りによって音恩がクレアに目覚めました。
ここから音恩とデイの本気の戦いです。
それでは!
さようなら
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