無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです

 今回は独白が長いのでそれに伴って文字数もいつもの倍近くあります。



 それでは前回のあらすじ

 フランにデイの魔の手が迫る。しかし、寸前のところで真が狙撃《スナイパー》を使用して救出。

 その間に音恩は床を操作してとげをなくし、脱出。

 音恩はフランを殺そうとしたデイに耐えがたい怒りを覚え、デイを全力で倒すために動く。だが、音恩のいまの実力じゃデイに勝つことはできなかった。

 殺されそうになった瞬間、フランが音恩の事をかばって死んでしまう。

 それによって音恩はフランを殺された怒りによってクレアに覚醒した。

 果たして音恩はデイに勝利することができるのか?



 今回は久しぶりの音恩視点です。

 それではどうぞ!


第180話 永遠の幸せを

side音恩

 

「貴様、誰に許可を得てその能力を使っているんだ!」

 

 怒りがあふれて止まらない。どうにかなってしまいそうだ。

 

 俺はこの日常が当たり前にずっと続くのだと思っていた。

 紅魔館に居て、咲夜さんが美味しい料理を作ってくれて、フランの遊び相手になって、フランは当たり前に俺の側にずっといてくれるものだと思っていた。

 だが、それは一瞬ですべて崩れ去った。

 

 俺の腕の中で微笑む彼女は俺の中でかけがえのない大切な"人"になっていたのだ。

 永遠はないと知っていたはずだった。生き物はいつかは死ぬからこそ今その時を生きている儚いものだということをすっかりと忘れていた。

 この異変が起きてから姉ちゃんも行方不明になった。僕が霊力を探っても見つからないのだからおそらくかなり遠くへ行ってしまっているのだと思う。それか、最悪の場合、姉ちゃんはもう……。

 

 そんな俺にとってはフランこそが俺の最後の心の支えだったんだ。

 みんなおかしくなっていく中、フランだけがまともで、そして紅魔館を飛び出してからも何度もフランの笑顔には救われてきた。

 

 僕の心は脆い。ずっと昔にひびを入れられてからずっとそのひびが修復することもなく今の今まで生きてきた。俺の心が壊れなかったのはフランのおかげだといっても過言ではない。

 そしてフランは最期の最期まで俺の事を鼓舞しようと痛く、苦しく、死にたくないはずなのに苦痛の表情は一切見せることはなく、俺を優しい言葉で包んでくれた。

 

 僕だけだ。僕だけがいつも足を引っ張っていて、守られていて……そして今回もフランに守られていなければ僕は死んでいた。

 

 最初はただ憧れていたんだ。異世界転移をして、そして姉ちゃんと一緒に世界を救う。

 だけど、この幻想郷で過ごせば過ごすほどに思い知らされるんだ。僕は弱いって。

 

 今、一番その事実に打ちひしがれている。

 僕がもっと強ければ、もっと先の事を見据えて動けていれば、フランは死ななかったかもしれない。

 

 もう動かなくなってしまったフランの顔をもう一度見て頭を撫でる。

 

「なぁ、フラン。君は僕の事をお兄様と呼んでくれるけど、僕は君にそう呼んでもらえるくらいの何かをすることはできたのかな」

 

 僕はいつも君に守られっぱなしだったよ。どちらかというと年齢的にも立場的にも僕の方が弟みたいじゃないか。

 自嘲気味に笑うしかなかった。そうしないと精神が崩壊してしまいそうな気がした。

 

 怒りが噴火寸前の溶岩のように湧き出てくる。今すぐにデイの事を殺してやりたいくらいには怒りで僕の思考は埋め尽くされていた。

 だけど、落ち着け南雲音恩、フランは怒りに我を忘れて暴れることを望んでいない。望んでいるわけがない。

 だから無理にでも怒りを押し込めろ。僕ならできる。

 

 そして頭に被せられた帽子を手に取って心を静める。

 僕、いや、俺ならできる。この南雲音恩になら!

 

 再度帽子を頭にかぶると背後から気配が迫ってきているのを感じた。

 咄嗟に俺はフランを抱えた状態でその場から思いっきり地面を蹴って3メートルほど離れる。

 すると元居た場所には馬鹿でかいクレーターが出来上がっていた。どうやらフランの能力を利用して攻撃力を上げたらしい。あの男からはフランから時々感じていた狂気の力を感じる。

 

「だから、その能力は誰の許可を得て使ってんだって言ってんだろうが!」

 

 俺は思いっきり地面を蹴るとデイが反応できないほどの速度で接近し、そしてデイの腹に渾身の拳を叩き込んでそのまま殴り飛ばした。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 あいつがどんな能力を使用するとしても俺がやることは変わらない。デイを倒すそれだけだ。

 そうだよな、フラン。

 

 俺はさらに追い打ちをかけようとぶっ飛んで行ったデイへと一気に距離を詰める。

 だが、さすが真さんたちを戦闘不能に追い込んだだけはあり、俺が接近したことにいち早く気が付くと、空中で回し蹴りをするというとてつもなく器用なことをしてくれたせいで俺は反応が遅れて蹴り飛ばされ、壁に激突する。

 そんな俺に追撃を加えるために拳を振り下ろしてくるデイだったが、俺はその拳を受け止めると天井へと投げ飛ばした。

 するとかなりの威力だったようで、デイは天井を貫通して空へと舞い上がる。

 俺も地面を思いっきり蹴るとデイを追って飛んでいく。

 

「く、やはりお前が一番厄介だ!」

 

 デイがそういうと瞬時に俺は機械たちに囲まれてしまった。

 普通ならピンチのこの場面。だが、俺は逆に好機に思えた。こいつは今、最大のしくじりを冒してしまったのだ。なぜなら、機械をハッキング出来る俺に対して機械を送り付けてきたのだから。

 俺は手を伸ばすと周囲に霊力を放つ。

 するとその霊力は糸のように伸び、周囲のすべての機械と俺の手がつながった。

 

 今まではパソコンが無ければできなかったハッキング、今の俺には必要ない。

 

「行け!」

「なんだと!」

 

 俺の周囲を囲っていた機械たちが一斉にデイを襲い始めたので一瞬、ぎょっとして固まってしまったデイだったが、すぐに機械たちは叩き落していた。

 

「使えない機械どもだ! ぐはっ!」

「油断はしないで貰いたいね!」

 

 機械を一掃したとしてもまだ俺がいる。油断はしないでいただきたい。

 俺は機械を一掃して油断しているデイにアッパーをキメた。だが、まだまだ俺の怒りは収まらない。

 俺は連続でデイを殴りつける。あの正邪さんにやっていたように今度は俺がデイを何度も何度も空中で殴りつける。

 そして意識が朦朧としてきたであろうタイミングで俺は一回転して脳天に踵落としをキメて地面にたたきつける。

 

「とどめだ!」

 

 手のひらに霊力で槍を作り出すとデイに向かって投げつけた。

 レミリアのスピア・ザ・グングニルから比べたら劣るけども、これもかなりの威力のある技だ。

 

 槍は着弾してデイを貫いた。かと思ったらその次の瞬間、心臓がドクンと跳ね上がった。

 そして体が崩壊を始めたのだ。

 どういうことかと思い、デイの方を見るとなんと、槍はデイをかすめただけで直撃しておらず、その手には目玉のようなものが握られて握りつぶされていた。

 痛い。焼けるような激痛が襲い掛かってくる。

 

 今、明確に感じ取ってしまった。死の予感だ。

 フランが実際に能力を使っているのを見たことはないが、フランと話しているときに少し聞いたことがある。能力を使用すると対象者の核、目玉のようなものが手に入り、それを壊すことで相手は壊れると。

 まさか、あれがフランの言っていた核だとでもいうのか?

 

「ふ、ふはははは! 俺の勝ちだ!」

 

 どんどん崩れていく体。もうすでに左足と右腕がなくなってしまっている。

 

「音恩!」

 

 真さんの叫ぶ声が聞こえてくる。

 だけど、自分ではこの崩壊はどうすることもできない。どうやら俺が死ぬのは決定事項のようだ。

 なら、最後は俺らしくかっこをつけてやろうじゃないか。

 

「さて、俺が完全に破壊されるのが先か、それともお前が死ぬのが先か、ゲームをしよう。命を懸けたデスゲームだ!」

 

 俺は宣言をすると手のひらに霊力刀を作り出す。だが、真さんやライトさん、燐火さんと違う点は燃えているという点だ。

 力を貸してもらうぞ、フラン!

 俺はデイに一気に接近すると思いっきり霊力刀を振った。だが、一度も刀など握ったことのない俺の剣などそう簡単に当たるはずがなく、回避されてしまう。

 

「どうした? 威勢がいいのは最初だけか?」

 

 そんな煽りを受けてももう何も感じない。だって、魂の奥深くで、俺は今、フランを感じている。フランと一緒に戦っている。そう感じられるから。

 

「ん、な、なに!?」

 

 デイはものすごく驚いた声を上げる。

 突如出現したスキマによってデイは全く身動きができない状態にされてしまったのだから。

 俺はゆっくりとデイに近寄っていく。

 

「みんな、さようなら」

「や、や、やめろおぉぉぉぉぉ!」

「ねおんんんんん!!」

 

 俺は一息にデイの胸に霊力刀を突き刺した。

 デイはその瞬間に静かになり、力なくその場に崩れ落ちた。しかし、それと同時に俺の意識も飛んだ。

 悔しかった。こんな結末だなんて。だけど、ヤケに清々しく、安心していた。真さんなら僕の遺志を継いでこの異変を解決してくれると信じているからだ。

 

「ねぇ、お兄様」

 

 優しい声が聞こえてくる。ずっと聞きたかった声が聞こえてくる。

 目を開けるとそこは一面花畑だった。

 見回してみるとそいつはいた。というか、寝転がっていた俺の真上にそいつはいた。

 

「フラン」

「なんで……」

「……」

「なんで来ちゃったのよ!」

 

 目を覚ますや否やフランに叱責されてしまった。

 大粒の涙を流しながら未だに起き上がれずにいる僕の体にだいぶして泣きついてきた。

 そんなフランを僕は優しく抱きしめながら頭を撫でる。

 

「失敗してしまった、な。悪い。フランがつないでくれた命を……捨ててしまった」

「私は私が死んでもいいからお兄様には生きて幸せを掴み取ってほしかった。私なんて忘れて、他のいい人を探して付き合って、結婚して幸せな生活を送ってほしかったのに、こっちに来たら……ダメだよ。死んだらすべて終わりなんだよ」

「……僕にはもとよりフランが一緒にいる以外の幸せなんてないんだよ。僕の幸せはフランが生きていて、一緒に並んで歩んでくれる。これ以外の幸せは考えられない」

「お兄様……」

「まぁ、死んでしまってからいうのもなんだけどな、これからは絶対にフランの事を守るし、離さないからな」

「本当に、死んでしまってからいってもなんだかなって感じだね。だけど、本当に私の事を守って、もう絶対に離さないでね」

 

 僕たちは抱きしめあう。

 僕たちは互いに死んでしまったが、これからずっと一緒であることを誓った。

 永遠の幸せを願って。




 はい!第180話終了

 フランに続いて音恩まで死んでしまいました。二人はこれから天国で二人仲良く幸せに暮らすことでしょう。

 当初は音恩は第二の主人公として作ったキャラだったので殺すつもりは一切なかったんですが、最近いろいろなアニメや小説、物語を見たせいなのかその考えは変わってこういう流れになりました。

 正邪は今は辛うじて生きていますが、どうなるのでしょうか?

 戦っていることについては永琳も気が付いていますが、体がぼろぼろで動けないのが悔しいといった感じですね。

 そしてデイを動けなくしたスキマの持ち主は紫ではありません。果たして誰なのでしょうか?

 それでは!

 さようなら

好きな主人公枠キャラは?

  • 海藤真
  • 刻雨龍生
  • 南雲音恩
  • 南雲鈴音
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