無意識の恋 Second stage   作:ミズヤ

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 はい!どうもみなさん!ミズヤです



 それでは前回のあらすじ

 音恩はフランを殺された怒りによって覚醒、デイを追い詰めていく。

 しかし、あと一歩というところでデイに破壊の能力を使用されてしまい、体が崩壊していく音恩。

 だが、音恩はただではやられない。最後にデイの胸を霊力刀で一突きし、意識を手放す。

 目を覚ましたらそこにはフランがいた。音恩はそのことからすぐにここはあの世だということを察する。

 そして二人で抱きしめあい、永遠の幸せを願うのだった。



 それではどうぞ!


第181話 勝利の代償

side真

 

 音恩がデイの胸に霊力刀を突き刺した。それによってデイは絶命したのだろう。能力の進行が止まり、音恩の体の一部が残った。

 だが、その姿は左足と右腕が完全に崩壊し、顔も若干崩れかけていてひびが入っているという無残な姿だった。

 

 俺は這いつくばりながらも音恩へと近づき、音恩を運んでフランの真横においてあげる。

 音恩は十分頑張ってくれた。永夜異変から始まり、龍生の親父さんの時、ダーラの時、パラレルワールドの俺の時、キルタワーの時。そして今回も頑張ってくれていた。

 もう寝かせてあげよう。

 

 俺は二人が思いあっていることに気が付いていた。

 いつになったらくっつくのだろうと思っていたのだが、まさかこんな悲しい結末になるなんて……。

 せめてと思って俺は二人の手をつながせる。天国で幸せに二人で暮らせるように祈って俺は手を合わせた。

 

「音恩、お前の思い、俺が受け取ったぞ。必ずこの異変を解決してお前の無念を晴らしてやる。だから今はもう、安心して眠ってくれ」

 

 その瞬間だった。

 背後から何者かに肩に手を置かれた。

 

「はぁはぁ……まだ終わっちゃいねぇぜ。お涙頂戴はここまでだ! これからは俺の蹂躙タイムの始まりなんだよぉ!」

「……お前、本当にしつこいな」

「俺は一回だけ生き返ることができる。そいつは無駄死にだったんだよ!」

 

 無駄死に? その言葉が俺の中で強く印象に残った。

 音恩とフランが無駄死に? 絶対にそんなことはない。そんなことあってたまるかよ。

 音恩は消えゆく体で懸命に戦って、そして確実にデイに勝利した。その事実は揺るがないし、揺るがすことは俺が絶対に許さない。

 

「見てみろよ、お前の胸を」

「あ? なん、だ、よ」

 

 デイは俺に言われて自分の胸に視線を落とす。

 すると、そこには先ほど音恩が突き刺した霊力刀が未だに突き刺さっていた。

 霊力刀は本来、死ぬと霊力の供給がされなくなることから消滅してしまうはずのものだ。だが、その霊力刀は残っていた。音恩は確実に死んでしまっているというのに、この霊力刀だけは消えずに残っていた。

 音恩は死してなお、デイの事を倒すことを諦めていなかったんだ。それも、おそらくデイは生き返るであろうことも想定済みだったんだ。

 音恩は最初からすべて計算尽くし。本気を出した音恩に勝てるやつなんてこの世には存在しないっていうことだ。

 

「ぐ、ぐあぁぁぁぁっ!」

「もう一度死んであの世で音恩にもう一度ボコられて来い」

「や、やめ、やめてくれ! 死にたくない! 死にたくない!!!」

「悪いが、俺にはもうお前に掛ける慈悲の心など持ち合わせてはいない。死んでくれ、この幻想郷の為に」

 

 もう体の痛みなどどうでもよくなっていた。

 俺は力強く踏み込むと霊力刀を握りしめる。

 走って逃げていくデイ。だが、俺にはそんなことは関係ない。霊力を込めて刀を握りしめ、そして一息にデイに向かって一閃する。

 すると霊力の斬撃、霊力斬がデイに向かって飛んでいき、霊力斬はデイの首を一刀両断した。

 

「く、そぉ……」

 

 力を失って倒れるデイ。それを見てやっと終わったと確信した。

 少し様子を見るが、デイが再度動き出す気配などない。ついに俺たちはデイを倒したのだ。

 だが、その代償はあまりにも大きかった。

 永琳、紗綾、正邪が重症。俺、紫、幽々子、こいしも決して軽い怪我ではない。そして音恩とフランが死んでしまった。

 今辛うじて動くことができるのは俺、紫、幽々子、こいし位なものだろう。もしかしたら永琳先生も動くことができるようになっているかもしれないが、まさかここまでやられることになるとは思ってもいなかった。

 

「真……」

「大丈夫だ」

 

 この幻想郷に来て人が死ぬ姿には慣れた。だけど、これはきつい。仲間が死ぬってこんなにも辛いことだったのか。

 こいしが心配して声をかけてくれたので、大丈夫と言ったが、本当は大丈夫ではない。なにせ大切な仲間を一気に二人も失ったのだから、大丈夫なはずがない。

 だが、決して涙を流してはいけない。だって、二人はここで涙を流して自分の死を悲しんでくれることを多分望んでなんかいないから。

 

 さて、それはそうとだ。

 

「シャロ、音恩に協力してくれてありがとうな」

「っ!」

 

 俺の発言によってこの場にいる紫以外みんなが息をのんだ。

 俺はすぐに気が付いていた。音恩を助けたあのスキマは紫のものではなかった。かといってシャドウのものではないと直感的に感じ取った。シャドウだったら強すぎてオーラのようなものを感じるからだ。

 だとしたらこの場にいる人で紫以外でスキマを使える人物はと考えると––

 

「気が付くの早いね。僕、かなりの重傷だったからもっと気を失っててもおかしくなかったんだけど?」

「お前は神だろ。それくらいの超再生能力はあるかなと」

「いや、まぁ、その通りだけど……」

 

 シャロだった。

 おそらくシャロは目を覚ました瞬間に今回の場面に遭遇して咄嗟にデイの事を拘束したのだろう。

 それによってデイの能力を一回使わせることに成功したのだからシャロが居なかったら俺たちは皆殺しにされていた可能性が高かったため、ものすごく感謝している。

 だが、そんな俺の心とは真逆に、シャロはうつむいて暗い表情を見せる。

 

「ごめん。僕がもっと早く目を覚ますことができればこの二人も死ぬことはなかっただろうに……」

「いや、大丈夫だ。シャロのせいではない。俺たちが弱かったのがいけないんだ。それよりも、シャロ。目を覚ましたばかりで悪いんだが、ジーラの作り出したであろう空間を探してほしいんだ」

「ぐっ、そんな、僕は空間を司っているわけじゃないんだから……」

「そこを何とか頼むよ。これはお前にしかできない、お前にしか頼めないことなんだ」

「僕にしか、できない!」

「あぁ、お前にしか頼めないんだ」

「も、もう……しょーがないなぁ。えへへ、分かったよ! 友達の頼みなんだ。僕が何とかして見せようじゃないか!」

 

 シャロは嬉しそうにそう宣言するとスキマを開いてその中に入っていってしまった。これから作業を始めるつもりなのだろう。

 それにしても永琳先生の治療はすごいな。あれほどの怪我を一日も経たずに回復させてしまうなんて。シャロが神というのもあるのだろうが、それにしても永琳先生はすごいと思う。

 その間に俺たちは音恩とフランを霊安室へと運んであげることにした。

 なんとか俺は妖怪の回復力のおかげで運ぶことができるくらいには回復したので紫と協力して二人を運んでいく。

 

 そして霊安室に到着すると二人を隣り合わせで寝かせてあげる。

 

「こんな感じかな」

「えぇ、音恩は体の欠損が激しくて見るのが辛いわね」

「そうだな」

 

 体の半分ほどなくなってしまっている。だが、音恩のその表情は辛そうには見えなかった。むしろ安心しているかのような安らかな表情だ。

 フランも同じだ。少し微笑んでいるように見える。

 

「来世では幸せになるといいわね」

「あぁ、切に願っているよ」

 

 そして俺たちは霊安室を後にしようと振り返るとそこには申し訳なさそうに顔を伏せた幽々子が立っていた。

 

「ごめんなさい。私の能力は【死を操る程度の能力】だけど、私の力では二人を生き返らせることができない。神でもなければ私の能力をもってしてもできない。本当にごめんなさい」

「いや、大丈夫だよ。確かに二人が生き返ればいいと思っているけども、幽々子を責め立てるなんてそんな烏滸がましいことはしないよ。だって、俺も特に何もできなかったから」

 

 今回のは敵が強かった。ここまでぼろぼろになってしまったのは誰が悪かったというわけではない。みんな命を懸けて全力で戦った。だが、予想以上に敵が強かった。ただそれだけの事なんだから。

 それにおそらくもっと強いやつがジーラの仲間として加わっていることだろう。俺たちはすでにあと二人知っている。

 鬼琉。紗綾がいくら戦っても勝てたことがない相手。そしてそいつを遥かに上回るであろうスキマ使いの男、そしてそいつにだけは逆らってはいけないという本能が働いてしまっている。

 

「さて、紗綾と正邪も病室に寝かせてあげよう。二人とも辛うじて生きているんだ。これ以上犠牲者を出さないためにも」




 はい!第181話終了

 デイに勝利したものの、その代償は大きすぎるものでした。

 そして最終章の物語的にはまだ序盤なんですよね。

 デイはものすごく強かったのですが、この後に出てくる敵に比べたら対したことないかも。

 デイと鬼琉だったらデイの方が強いですが、神楽と比べると二人ともミジンコみたいなものですからね。

 いつも自分の命を鑑みずに戦い続けている真が逆らってはいけないと感じてしまうほどの強敵です。

 果たしてこんな強敵たちを真たちは倒すことができるのでしょうか?

 それでは!

 さようなら

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  • 海藤真
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  • 南雲鈴音
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