それでは前回のあらすじ
ついにデイを倒したが、その代償はとても大きなものだった。
音恩とフランの死。その事実は真たちの心に大きな傷跡を残した。
だが、悲しんでばかりもいられない。さらなる強敵が待ち構えているのだから。
それではどうぞ!
side真
あの後、どうやら永琳先生も歩けるようになったようで紗綾と正邪は永琳先生に任せて俺たちは部屋を借りて少し休むことにした。
永琳先生は誤っていた。事情を説明すると、その時動けなかったことで自己嫌悪に陥ってしまったらしい。だが、俺たちが永琳先生を責めることはできない。なぜなら俺たちもあの場で動くことができなかったのだから。
むしろ俺は目の前で音恩が殺されるのを見ていることしかできなかったのだから。
その時、誰かが部屋をノックしてきた。
かなり夜中でみんな疲れたから寝静まっただろうと思っていたのだが、どうやらまだ起きている人がいたようだ。
霊力を探ってみるが、悪い力は感じないので敵が攻めてきたわけでもないらしい。
「なんだ?」
そういって扉を開け放ってみるとそこには紫が立っていた。
「どうしたんだ?」
「いえ、少し気になったことがあって」
「気になったこと?」
「えぇ、どうしてもその枝が気になるのよ」
そういって指を差したのは先ほど俺がシャドウにもらった枝だった。
確かにあいつがただの枝なんかを渡してくるはずがないし、何か意味があるのだろう。言われてみればかなり気になる代物だ。
だが、俺には何も感じられない。ただの枝にしか思えない。
あるとしてどんな意味だ? 本当によくわからない。シャドウの放任主義もどうにかしてほしい。あいつ一応幻想郷の神様だろ! この幻想郷がめちゃくちゃにされてもいいのかよ。
「私にはそれが重要アイテムのように思えて仕方がないのよね。だから大事に保管して頂戴」
「あぁ、分かってる」
それだけ伝えると紫は俺の部屋を後にした。
俺も少し不安は残るものの、疲れを後に残す方が危険だと判断して今日はそのまますぐに寝ることにした。
新しい崩壊がこの幻想郷のあちらこちらで発生している。この場所もいつまで保つか分からないのだ。休めるうちに休んでおくのがいいだろう。
そして俺は布団に入る。
だが、なかなか眠ることができない。なぜならフランと音恩の最期の姿が脳裏に浮かんで俺の意識を覚醒させてしまうからである。
こんなんじゃだめだ。二人の思いを背負って戦うなんてとてもじゃないができそうにない。
眠れないから俺は夜風に当たることにした。
先ほどの戦いによって病室から出るとそこは屋外のような景色になってしまっているため、受付のベンチに腰を掛けて夜風に当たる。
「俺の力じゃ全く敵わなかったな。今の俺じゃ弱いなぁ」
そこで俺はあることを思い出した。
クレアと
クレアも
でも、もうそんなことを言っている場合じゃないかもしれない。イレギュラーな実力者たちが俺たちの前に立ちはだかっている。
「ねぇ」
「ん?」
突然声が聞こえてきた。
その声が聞こえた方へと顔を向けると、そこにはいつもの見慣れた顔が見えた。
「こいし、こんな時間にどうしたんだ?」
「真こそ」
「俺は、眠れなくてな」
「私も同じ~」
そういうとこいしは俺の隣に腰を下ろした。そして甘えるように俺の方に頭を預けてくる。
それを見て俺はこいしが頭を預けてきた方とは逆の手でこいしの頭を優しく撫でてやる。
最近、いろいろなことがありすぎてこうして一緒にゆっくりする時間が無かったもんな。
「ねぇ、真。今日の戦いを見て私、怖くなっちゃった」
「死ぬのがか?」
「もちろんそれもある。だけど、真が死んでしまうのが一番怖い」
こいしは震えていた。それだけで恐怖しているとすぐにわかってしまう。
そしてこいしの言葉を聞いて俺はある意味ではパラレルワールドの俺の言葉は正しかったのではないかと思い始めた。
大切な人がいるからこそ、その失った時のショックはデカいのだ。最初からそんな人物が居なければ、自分で壊せばそんなにショックは受けずに済むだろう。
だからと言ってこの場でこいしを殺すつもりは一切ない。だって、俺はこの先もずっとこいしと一緒に楽しく暮らしたいのだから。絶対に奪わないし、奪わせない。もうこれ以上被害者を増やさないために。
「こいし、安心してくれ。何があっても、俺が守るから」
こいしの事をぎゅっと強く抱きしめる。絶対に離さないという意思を表明するために今までよりも強く抱きしめた。
するとこいしも俺の抱擁に応えるために俺の背中に腕を回して抱きしめてきた。こいしの抱擁も少し痛いくらいの強さだったが、今の俺にとってはこれが心地よかった。
「俺は捕まえた獲物は逃がさない主義なんだ」
「じゃあ、私は真に食べられちゃうのかな」
「どうなのか、試してみるか?」
そういうと俺たちはどちらからか分からないが、顔を近づけて、そして唇を合わせた。
キス、何度もしたことがあるが、今回のキスは俺たちにとって特別なもののように感じて、そしていつもとは違う、お互いに求めあうようなキスをした。
唇を離すと俺たちの間に月明かりで照らされて銀のかけ橋ができていた。
おそらく時間的には数秒間の間だったのだろう。だけど、俺たちにはその時間が数時間にも感じられた。
今、俺の目の前にいるのは愛しの女性。そしてその姿は月明かりに照らされていつもよりも妖美に感じ、ドキッとしてしまう。
「ねぇ、真。やっぱり不安だよ……。だから、ね? 私が真のもので、捕まえられているっていう証拠、頂戴?」
「っ!」
男として、そんなことを言われて我慢できるわけがない。
こいしに手を伸ばそうとした。その時だった。
「ごほん」
「「うわぁぁぁっ!」」
突然聞こえた咳払いによって俺たちは我に返り、咳払いが聞こえた方へと顔を向ける。
すると、真っ赤に顔を染めてジト目のシャロがそこに居た。
「しゃ、シャロ……どうしたんだ?」
「……まぁ、君たちは夫婦なんだしね? 僕も何も言わないよ。だけどね? TPOは弁えようか」
「「本当にすみませんでした!」」
俺たちは並んで土下座をする。
シャロの呆れたようなため息が頭の上から聞こえてくる。
そうだった。俺たちは今、自分たちの世界に浸ってしまっていて忘れていたが、今は戦いの真っ最中でここは病院だった。それもほぼほぼここは野外のようなものだ。
危うく野外で致すところだった。何をとは言わないけど。
「まぁ、いいけどね。で、一つ伝えることがあってきたんだ」
「どうしたんだ?」
「ジーラとかいうやつ、ものすごい狡猾だね。全然見つけられない。だけどね、こんなものを見つけたんだ」
シャロがそういって取り出したのは何かのエキスのようなものが入った小瓶だった。
親指サイズの小瓶の中には半分くらい入っている。
その小瓶の蓋を開けるとシャロは適当にそこら辺の瓦礫にエキスを一滴たらした。
するとその瓦礫は瞬く間に腐食し、腐って崩れ落ちた。かと思ったらなんと崩れた破片一個一個が木の葉のようなものに変化してしまった。
「やべぇものを見つけたものだな」
「ねぇ、これを見た後だと真が持っていた枝はどう思う?」
「まさか!」
「うん。このエキスによっておそらく木の枝に変えられたものだと思う。ただ、僕はあの枝が何なのかを知るすべは持ち合わせていないんだ。だって、あの枝からは何の力も感じないんだから。
だが、もしこの考えが正しいんだとしたらあの枝の謎を解くことがこの戦いのカギになるかもしれない。
「このエキスからは神力のようなものを感じる。これは呪いの類だね」
「なるほど……それじゃ、この呪いを解く方法も探すことも目標の一つだな」
どんどんと目標が増えていっているものの、これらすべてを幻想郷が崩壊する前に解決しなければ幻想郷に未来などない。
はい!第182話終了
命の危機に直面すると生物は生殖本能が強くなるそうです。
それにしても二人は何をしようとしていたのでしょうか。
シャロが来なかったらそのまま二人で何かをしていたことでしょう。
滅多にこういうシーン、僕は書かないですよね。
まぁ、今後の展開についてのヒントを言うとしたら僕は救われない物語が苦手です。
それでは!
さようなら
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