それでは前回のあらすじ
神楽との戦いが本格的にスタート。
しかし、超威力の衝撃波に真たちは大苦戦。
なんとか真、彼方、シャロ、紬の三人の神力を合わせることによって神力の上書きに成功したが、次の攻撃をすぐに繰り出そうとする神楽に万事休すかと思われたが、みんなが一斉に弾幕を放ってキャンセル。
さらには霊夢も現れて神楽を蹴り飛ばした。
果たして神楽を倒すことはできるのでしょうか?
それではどうぞ!
side真
「わらわらと……調子に乗りやがって。死ぬ覚悟はできてるんだろうな、博麗の巫女」
「あんたこそ、大人しく私たちに退治されなさい!」
その瞬間、二人は同時に走り出して同時に拳を繰り出した。速度は互角のようで、完全に動きがシンクロしている。だが、神楽の厄介な点は音を衝撃波として周囲に放つことができるということだ。
霊夢と神楽の拳がぶつかり合って音を出したら周囲の物をすべて破壊できてしまうほどの強烈な衝撃波が周囲に放たれてしまうだろう。そして神楽はおそらくそれを狙っている。端から霊夢に攻撃するつもりではなく、霊夢の全力の拳に自分の拳を打ち付ける気満々と言った様子だ。
だが、その考えは博麗の巫女の前では浅はかだったようだ。
霊夢は突如体制を低くして神楽の拳を躱し、神楽の懐に潜り込んで手を構えた。その手には陰陽玉のような弾幕があり、おそらく俺の霊縛波と同じように押し付ける気なのだろう。
しかし、神楽もその攻撃には瞬時に気づき、後ろに飛び退くことによって回避したが、それを見ると霊夢はその陰陽玉をガシッと握りしめて思いっきり神楽に向かって投げつけた。
「なっ!」
神楽は咄嗟に手を叩き、衝撃波を放って陰陽玉を相殺したが、その間に霊夢はお祓い棒とお札を構えて神楽を見据えていた。
「霊符《無双封印》!」
霊夢がスペルカードを使用した瞬間、大量の弾幕が神楽へと襲い掛かった。
さすがに神楽もその弾幕に反応しきれず、回避動作はしたものの、回避しきることができずに何発かはまともに直撃した。だが、霊夢の弾幕はこれで終わるものではない。
霊夢の弾幕はホーミングするため、直撃しなかったらいつまでも相手を追い回す性質がある。
「ぐああぁぁぁぁぁ」
そのことに気が付かなかった神楽はホーミングしてきた弾幕をすべてもろに受けてその場に膝をついた。
強い。やっぱり霊夢は博麗の巫女なだけあって強い。それに、霊夢の速度だったら神楽が強い衝撃波を放つ前に攻撃してキャンセルすることだってできる。
「そういえばシャロは今までどこに行っていたんだ?」
「ちょっと、霊夢を探しにね」
「霊夢を?」
「うん、この空間を探している最中に休憩していたら霊夢の事を見かけてね、その時に怪しい人を見かけなかったかって里の人に聞き込みをしていたんだよ」
「怪しい人?」
「まず間違いなく真の事じゃなかったよ。霊夢が探していたのはジーラの方」
まさか、霊夢の奴はずっと主犯を探していたというのか?
確かに最初は襲われて死にかけたからずっと警戒していて、一度人里で霊夢の事を見かけた際も俺の事を探しているんだと思って見つからないように行動していた。
霊夢がどんな内容の聞き込みをしているかなんて確かめてもいなかった。
なるほど、霊夢はもうとっくに俺たちには敵対していなくて、それどころか仲間だったってことか。一時期はどうなるかと思ったが、よかった。
そしてそれが分かったからシャロは俺たちを送った後、霊夢を探しに戻っていったってところか。そして今、俺に力を貸すタイミングで連れて戻って来たっていうことか。
「遅れてごめんね。探知探索は僕はあまり得意じゃなくてね」
「いや、すごい助かった。ファインプレーだ」
俺が礼を言うとにへへと表情を崩すシャロ。やっぱりシャロは誉められなれていなくて誉めるとめちゃくちゃ喜ぶみたいだ。
シャロたちもこの異変を解決しようと頑張ってくれている。みんな、この幻想郷の事が大切なんだ。
神楽は膝をついたが、すぐに立ち上がって霊夢の事を見据えた。
仮面が付いていて仮面の下の表情が全く読み取れないが、おそらく今の一連の戦いで霊夢の事を強者だと認めて本気になったのだろう。今までとは雰囲気がまるで違う。今までは衝撃波に頼って楽に俺たちを倒そうとしていたようだが、今の神楽はまるで雰囲気が違う。
「私たちも霊夢のあとに続くわよ! 結界《夢と現の呪》」
「ええ、亡郷《亡我郷-さまよえる魂-》」
「了解、逆符《鏡の国の弾幕》」
「うん! 表象《弾幕パラノイア》」
「わかったわ。天丸《壺中の天地》」
霊夢に続いて紫、幽々子、正邪、こいし、永琳先生が色とりどりの大量の弾幕を放った。
その弾幕の量と密度は凄まじく、まさしくあれに囲まれたら逃げ場がないというほどの弾幕で、普通で考えたらその量の弾幕を一斉にはなったら弾幕同士で相殺してしまいそうな気がするが、そこはみんなかなりの実力があり、弾幕の制御が上手いので一つたりともぶつかり合うことなく、上手く弾幕同士がかみ合って飛んで行っている。
その弾幕にもろに直撃したらさすがに大ダメージは免れないということを神楽も感じ取ったのだろう。手を叩いて衝撃波を放つことによって相殺しようとするが、その行為は霊夢が許さない。
叩こうとした手を霊夢が押さえつけて叩けないようにし、お札の鎖のようなもので、手首を固定することによって相殺するだけの音を鳴らせないようにした。
「さすがのあんたもそれを食らったらひとたまりもないでしょ。大人しく地獄へ行きなさい」
「……それはどうかな」
「どういうこと?」
その瞬間、神楽は足を思いっきり振り上げると勢いよく地面に振り下ろした。その一撃で地面がへこむほどの威力で、ものすごい轟音が鳴り響いた。
するとその轟音は周囲に衝撃波として放たれ、まずは一番近くにいた霊夢をぶっ飛ばし、その次に神楽へと飛んできていたすべての弾幕を相殺してしまった。
そうだ、あいつが衝撃波を出せるのは何も手を叩くことだけではない。最初に俺はポケットから手を出した時の布擦れの音にぶっ飛ばされた。
あれはそんなに大きな音じゃなかったから威力はあまりなかったが、地面を抉るほどの音となったら猛烈な威力となるだろう。
霊夢もぶっ飛ばされて壁に激突してめり込んでしまっている。それだけの威力だったということだ。
「く、くぅ……あいつ、強いわね」
「元神の力をなめないで貰いたいな」
本当なら俺が助けに入りたいところなんだが、如何せん衝撃波を上書きするのに力を使い過ぎて動けなくなってしまっている。
今この状況でサポートできるとしたらなんだ。どうしたらこの状況を逆転できる?
そうだ、確か紬って呪いの類の攻撃が得意なんだったな。俺も紬に認めてもらえなかったら呪い殺されるところだったしな。
「紬」
「はーい、どうしたの? 真」
紬は刀から人型へと変化する。そのいつもの姿に少し感動してしまうが、今はそんな場合じゃないので気を引き締める。
俺がなかなか要件を言わないのでどうしたのかと紬は首をかしげて不思議そうな表情で俺の事を見てきた。そして俺はついに紬に頼む。
「紬は呪いが使えたよな」
「うん、得意」
「じゃあ、あいつの動きを止めることができるような呪いってないか?」
「うーん……刀の時にもずっと呪いはかけていたけど、効かないんだよね」
「効かない?」
「うん、多分私とあいつの実力が離れすぎている」
なるほど、呪いにはそういう制約があるのか。実力がかけ離れすぎていると相手を呪うことができない。非常に厄介な相手だ。サポートをするならばこれが一番いいと思ったんだが、これではサポートすることができない。
何とかしないと霊夢までやられてしまう。霊夢はこの幻想郷の希望なんだ、こんなところで死なせるわけにはいかないというのに。
俺が焦って思考をぐるぐる回していた時、肩にとんと手を置かれた。
「落ち着け。俺たちにとってお前がここで倒れるのが一番ダメなんだよ。いいから、俺たちに任せて大人しく見てろ」
「ライト……」
ライトはそんな言葉をかけると紗綾と共に刀を片手にゆっくりと神楽のもとへと歩き始めた。
二人ともクレア装を使用して防御力を底上げしている。だが、俺にとっては神楽から比べたら二人合わせてもその実力は子供のように思えて仕方がなかった。
あの二人だけじゃ勝てない。霊夢、それからみんなの実力を全て合わせなければ神楽を倒すことはできない。
––落ち着け、お前ならあいつらの実力、よくわかってんだろ。
突如として頭の中に響く声。低いが、幼さが抜けていないこの声は、シャドウだ。
シャドウはこの異変解決には関与しないとは言っていたが、俺たちの事を見守ってはくれていたのだろう。
そうだな、シャドウ。俺はあいつらの実力をよく知っている。あいつがそう簡単に負けるやつらじゃないってこともよく知っている。
頼む、勝ってくれ、みんな!
はい!第190話終了
後10話で200話行きますね。
今回のメインは霊夢対神楽です。
霊夢は強いし、さらに強くなる素質はあるのですが、修行を怠っているため、神楽にもかなり苦戦しています。修行していればみんなの力と霊夢の力を合わせれば神楽を追い詰めることはできるのですが。
それと、この神楽戦はこの最終章の中身としては中盤くらいの立ち位置です。プロット上ではまだまだ続く予定になっていますので、最後までお付き合いいただければと思います。
それでは!
さようなら
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