それでは前回のあらすじ
シャドウと神楽の戦いはさらに勢いを増していく。
しかし、シャドウはあっさりと神楽の新技に順応し、神楽以上の成長で神楽の一歩上を行く。
そしてついに明かされる。シャドウと神楽の過去、邪神の物語が。
それではどうぞ!
目を覚ました。
その視界に広がっていたものは真っ暗な世界で、なんだかどことなく不気味さを感じるような、そんな世界だった。
上空にはうっすらと濃い灰色の雲が見え、稲妻のようなものが走っているのが見える。
俺は何も知らない。何もわからない。だって、俺は
だけど、この光景を見て一つだけ何も知らない俺でも理解できたことがあった。
––この世界はまともじゃない。
俺はまだ生まれたばかりで何も記憶が無いし、まともな世界というのがどういうものかもよく理解していないが、そんな俺ですらこの世界はまともじゃないと、そう思ったのだ。
そしてこの世界全体から邪悪な気配を感じる。
歩くとぽつりぽつりと歩いたにしては不自然な足音が周囲に響き渡った。その音はまるで水滴が落ちてきているかのような音だが、周囲にそんなものはないし、一歩踏み出すと聞こえることからすぐにそれは足音だと理解した。
やはりこの世界はまともじゃない。
そしてこの世界に生まれてしまった俺も同じく、おそらくまともじゃない。
「邪神ナンバー154681。目を覚ましたか」
「っ!」
その瞬間、背後からとてつもない圧を感じた。
こいつに逆らったら確実に殺されてしまう。そう感じた俺はゆっくりと振り返って背後に現れたそいつを見る。
そいつは10メートルはあるような巨体で、背中には俺の何倍もの大きさの黒い羽が生えている。
そしてここは真っ暗であいつの顔の位置が高いから俺の位置からは真っ暗で見えないが、本能的にあいつの顔を見たら殺されてしまうということが理解できたので、そこまで無理して奴の顔を見ようとはしない。
手のひらの大きさは俺の体がすっぽりと握りこまれてしまうような大きさだ。
性別は顔も体もよく見えないから不明。
そしてやつが今言った邪神ナンバー154681というのは多分俺だ。
邪神ナンバーというものが何なのかはわからないけど、やつがそう言葉を発した瞬間、なぜか俺の事だということを認識した。
「邪王神様。こいつが一緒に目覚めた邪神っすか?」
「そうだ。邪神ナンバー154682」
超巨体の後ろから出て来たそいつは仮面をかぶった男だった。
背中には大剣を背負っており、いかにも戦闘が得意ですよというオーラを放っている。
俺より一つ後の番号ということは俺のあとに生まれた邪神なんだろうか。だが、俺の方が目覚めるのが遅かった、という感じなのだろう。
なんだろうか、奴の表情は全く分からないし、まだ全然会話を交わしていないのに俺はあいつを好ける気がしない。
「お前たち二人は同期として共に邪神として活動するのだ。邪神の仕事は世界を混沌に陥れる、これに尽きる。神々がありとあらゆるものを生み出す存在ならば俺たち邪神はありとあらゆるものを破壊する存在だ」
そうか。俺は世界を崩壊させる兵器としてこの世界に生を賜ったのか。それならばその通りに行動しなければ俺はこの世界の理に反してしまう。
世界を崩壊させなければいけない。
「それじゃあ、さっそく仕事に行ってもらおうか。君たちは神力が強いようだから戦闘面でも活躍できるだろう」
それから俺と154682は共に世界を侵略していくことになった。だが、俺は乗り気ではなかった。そのため、いつもメインで侵略活動をしているのは154682となっていた。
俺たち邪神には邪の力が備わっており、その力を使用することによって数多の世界の住人より有利に戦いを進めることができた。
なぜなら、俺たちの邪の力のように特殊な力を使える世界は珍しいものだったからだ。
そして154682は邪の力を使わせたら天才だった。
そのため、向かうとこ敵無しというものだった。
「おいおい、154681。なんでいつもサボってんだよ。この前もサボり癖が祟って上の邪神たちに説教されたばかりだろう?」
「いや、まぁ、やる気がでないってだけだ」
そもそもとしてなんで俺たちはこの世界を侵略しているんだろうか、どうしてこの世界に住んでいる人たちを殺しまくっているのだろうか。
この世界の住人はなにか悪いことをしたのだろうか、なにか殺さなければいけない重大な理由でもあるのだろうか?
――いや、そんなものは存在しない。
俺たちが活動拠点としているあの普通じゃない世界は邪神界と言うらしいが、あの邪神界ではとある娯楽が流行っているらしい。
それは、どれだけの日数を侵略されている世界は耐えきることが出きるのかという娯楽なのだという。
これはたまたま邪神界を歩いていたときに耳に挟んだ話だ。非常に胸くそが悪くなったことを鮮明に覚えている。
それからは余計にやる気がなくなっていた。
パートナーである154682も仮面を被っていて表情をしては見えないが、雰囲気でそんな俺にあきれてしまっている。
「なぁ、聞けよ154681。俺、ついに名前をいただけることになってな!」
「へー、そうか。良かったな」
名前をいただく、それは俺たち邪神にとってはとても名誉なことだった。
活躍したら名前を与えてもらえる。名前をいただけたら更なる強さを得ることが出来るようになる。
だからほぼ全ての邪神が名前をもらえるように奮闘するというわけだ。まぁ、俺は興味がないが。
「俺たち同期だっていうのにお前がサボり魔だから大きく差が開いてしまったな!」
「別にいい。勝手にやってろ」
面倒くさくなった俺は地面に倒れ混んで仰向けで昼寝を決め込む。
ただ、俺ももうそろそろ仕事をしなければまずいということは理解していた。
この世界の侵略だけは参加するとするか。この昼寝を終えたら……な。
はい!第195話終了
今回はシャドウと神楽の過去その1でした。
皆さん気がついているかたも多いと思いますが、邪神ナンバー154681が後のシャドウで、邪神ナンバー154682が後の神楽です。
果たしてシャドウはどういう経緯で神となり、どういう経緯で神楽を殺すことになるのでしょうか?
それでは!
さようなら
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