それでは前回のあらすじ
なんと一輝の不発に終わってしまった霊縛波が地上に影響をもたらし、噴火を誘発させた。
それにより、なんとグレバンを大気圏外まで追放する事に成功する。
ようやく異変が解決したのだ。
それではどうぞ!
「う、うーん……」
「あ、起きたか」
「うん、おはよぉ真」
こいしが目を覚ました。場所は外の世界の俺たちの旅行先の布団だった。
俺のことを見つけたこいしはニコッと笑顔を向けると今の時間を確認した。
今の時間は夕暮れだ。どう考えてもあの時間に寝て起きるしては遅すぎるような時間だ。時間的には12時間以上寝ていたという計算になる。
「あ、あれ、もう夕方? そんなに寝てたっけ……」
「……あぁ、ぐっすりだったよ。よっぽど疲れていたんだな。寝顔、可愛かったぞ」
「も、もう、恥ずかしい……でも、本当にずっと寝ていたんだっけ? なんか、一回起きたような気がする」
「夢を見てたんじゃないか?」
「そうなのかなぁ〜」
その疑問を抱くのも別におかしくはない。
本来なら俺よりも先に起きて俺の寝顔をずっと見ているような子だ。それなのに、今の今までずっと寝ていた、しかも疲れていたんだとしてもこの夕方まで寝ているという状況は少し違和感を抱いても不思議じゃない。
そう、俺はこの事件を全て夢にすることにした。
この楽しい旅行に来たというのに、こんな辛い思い出に塗り替えられて欲しくないから、こいしの記憶にはこの旅行はずっと楽しかったとして記憶に残して欲しいから、だから絶対に話さない。
そして俺は宴会に誘われたけどお断りして帰って来た。どうやら一輝も賑やかなのはあまり得意じゃないとのことで一輝も俺とともに帰って来た。
これで全て元どおりだ。
「うん、多分夢だよね。あのね、今日見た夢は私が悪い人に連れさらわれてしまうってものだったの」
「うん」
「でもね、真が仲間を連れて一緒に助けにきてくれるの」
「そうだな」
「私ね、夢だったとしても嬉しかったな。やっぱり真は私を助けにきてくれる」
「当たり前だろ。お前は俺にとって命よりも大切なんだからな」
「ふふ、でも自分の命を投げ打ってまで行動するっていうのは反省してよね」
「……善処します」
「あー、またそうやってごまかして!」
こいしはニコニコしながら俺の胸をぽかぽかと叩いて抗議してくる。
やっぱり俺はこいしのことになると本当に自分の命のことを考えられるかがわからなくなってくる。自分の命を捨ててこいしを救えるなら俺は喜んでこの命を差し出すことだろう。
「あ、真この傷は?」
「ん? あぁ、ちょっと階段を踏み外しちゃってさ」
「大丈夫なの!?」
「問題ない。日頃から鍛えてるからな」
今となってはこいしを救う事が出来たのだからこの傷も誇らしい。まぁ、ほとんどグレバンとは関係なく裕太と一輝にやられたものなんだが、二人とも頑張ってくれたことだし、今回は多めにみよう。
ちなみに、俺と一輝、裕太で霊縛波を当てるために奮闘しているときに彩が四人のカプセルを破壊して救出し、タオルを巻いてくれたみたいだ。
「そんなことよりもさ、今近くで花火大会やってるらしいんだよね。行くか?」
「行く!」
「それじゃあ、行くか」
俺もさっき近くで花火大会があるということを知った。
昔、こいしと一緒に行った夏祭りが楽しかったななどと考えながらこいしに提案すると、こいしが行きたいと言ったので俺たちは出る準備をして一緒に花火大会会場へと向かった。
「ん〜おいひい」
「祭りの食い物は店よりはクオリティが高くないものの、雰囲気でなんとなく食いたくなるんだよな」
こいしと二人でレンタルの浴衣を着て花火大会に来た。
数々の屋台があり、こいしは食べ物の店を巡っており、次々と俺は横で出来たての焼きそばを頬張っているこいしを見てリスみたいで可愛いなと思いながら一緒に歩く。
「真は何か食べないの?」
「そうだな、この後も夕飯があるからな、俺は腹のスペースを残しておくよ」
「あ、そうだった! 忘れてた!」
忘れていてちょっとショックを受けた様子のこいし。
これだけ食べていたら晩御飯があまり入っていかないかもしれないな。
まぁ、それもいい思い出となるだろうしな、やっぱり平和が一番だ。
「あ、もう少しで花火が始まるからあそこに移動しよう」
「ん? うん」
そう言って俺たちが移動したのは少し中心から離れた空き地だった。
ここには近くに建物なんかがないから花火をよくみることができる。しかも、あまり人がいないことから、意外と穴場なのかもしれない。
そんなことを考えながら空き地に来ると端っこの方に一人だけポツンと立ってコーヒーを飲んでいるのが見えた。
「こいし、悪いけどちょっと待っててくれるか?」
「う、うん。わかった」
そういうと俺はポツンと一人たたずんでいる男へとゆっくりと歩いて行って話しかけた。
「よっ、さっきぶりだな」
「あぁ、海藤か」
そこにたたずんでいたのは一輝だった。
一輝は騒がしいのがあまり得意じゃないと言っていたから祭りなどには来ないと思っていたのだが、浴衣を着ているのをみる限りどうやら一輝もこの花火大会にやって来ていたようだ。
俺が話しかけたことによってようやく俺の存在に気がついたようで、すぐに隣にある自販機へ小銭を入れるとコーヒーを一本購入して俺に差し出してきた。
「いいのか?」
「今回は世話になったからな。礼だ」
「いや、それをいうなら俺も世話になったんだけどな。まぁ、でもくれるならもらっとくよ」
「あぁ、貰ってけ貰ってけ」
ぶっきらぼうに言っているが、人の心が読めるからか人の気持ちには人一倍敏感で気遣いも良くできる。
ちょっとしか見ていないから詳しいことはわからないけど、宇佐見さんとメリーさんも一輝を好いている様子だった。
それは一輝の人柄によるものだ。
「何笑ってんだ?」
「いや、別に。お前って面倒見いいよな」
「多分、うちに
「そうなのか」
確かにそんな雰囲気があるもんな。あの人たちが一輝のことを好いているのもわかる。
「そういえば宇佐見さんとメリーさんは?」
「あそこだ」
「え? あ、いた。みんなで来てたんだな」
「あぁ」
宇佐見さんとメリーさんもこいしと同様に俺たちとは少し離れた場所にいた。そしてこいしのことを見つけると三人で一緒に話をし始めた。
三人はそこまで深い関わりはないけど、こいしと二人は一度助けた件で知り合っているから、遠くて聞こえないけど、昨日の話で盛り上がっている様子だった。
そんな感じで三人のことを見ているとついに花火が上がり、夜空に大きい花を咲かせて見せた。
久しぶりに打ち上げ花火なんて見たが、やっぱり花火は綺麗だなと思う。
そしてこいしたちを見ていると打ち上がった花火を見て三人で盛り上がっている様子だった。
やっぱり女の子は綺麗なものが好きなんだなと遠目で見ていて思う。
「お前は次に『こういう光景はやっぱりいいな……』としみじみと呟く」
「こういう光景はやっぱりいいな……––はは、また読まれたか」
「読まなくてもわかる。俺もその気持ちはわかるからな」
「そうか」
そんなこんなで花火大会も終わり、昨日と同様に風呂に入って晩飯を食べて寝て、俺たちの温泉旅行が終わった。
途中大変なことがあったからどうなるかと思ったが、こいしは終始ニコニコしていて楽しそうだったから終わりよければ全て良しだと考えて今回の旅行は大成功だったと感じた。
そしてシャロの力を借りて元の幻想郷に戻って来た。
「どう? リフレッシュできた?」
「あぁ、ありがとな、今回の旅行に付き合わせちゃって」
「いいよ」
「これ、お土産だ」
そういって俺はお礼にシャロにお土産を渡した。
シャロへと買って来た土産はバームクーヘンだ。シャロは普段、結構甘いものをよく食べているからバームクーヘンなどのお菓子がいいと思った。
このバームクーヘンは抹茶味のものだ。抹茶味が京都らしくていいと考えたからこれを選択した。
「ありがとう! これからも何か困ったら言ってね!」
「おう、頼んだ。親友よ」
「しん、ゆうっ!」
俺の言葉にすっかりご機嫌なシャロは俺たちに手をふってスキマの中に帰って行った。
それから俺たちは並んで共に地霊殿へと向かう。もちろん、地霊殿のみんなにお土産を渡すためだ。
今回の旅行のこと、これから先一生忘れることはないだろう。一輝たちや裕太たちなどのいい奴らと知り合ったことも絶対に忘れない。
はい!記念エピローグ終了
今回の記念話は長かったですね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
引き続き本編の方は投稿を続けますので、そちらの方も読んでいただければと思います。
本編の方は毎週火曜日に投稿中です。
それでは!
さようなら